「お疲れ様。大変だったみたいね……無事で何より。」
ジョーダンが壊れた様にグリフィンドールの勝利を叫び続けているので離れた図書館にいても試合が終了したことが分かった様だ。
「ジェーン!大変何てものじゃ済まないわよ~ハリーが危うく殺されかけたのよ~!」
ジェーンが労いの言葉をかけるや否や『ポスッ』と効果音が付きそうな具合でハーマイオーニーがジェーンの胸の中に飛び込んでいった。
ナチュラルな感じでジェーンの胸に顔を擦り寄せるハーマイオーニー……
「………硬い「うるさい!」」
「…………あっ……え~と……スネイプだったんだよ…犯人は」
と目の前の光景を目の当たりにして思考停止していたロンが再び話を戻した。
「教授が?本当に?」
半信半疑といった感じのジェーンにハリーは苛立ちを覚えた。
「ロンもハーマイオーニーも目撃したんだ!僕からずっと目を離さずにブツブツ呟いている姿を!聞き込めば目撃者なら大勢出てくる筈だ!」
「う~ん……例えスネイプが犯人なのだとしても動機は何なのかしら?例え好ましくない生徒でも殺害しようとまでは普通は考えないよ?」
「アイツは僕を憎んでる!それにきっと、ハロウィンの日にフラッフィーを出し抜こうとトロールを連れ込んだのに僕達が奴の予定よりも早く対処してしまったことで目的を果たせなくなった事を恨んでるんだ!」
「フラッフィーって?」
「ハグリッドの三頭犬の名前」とすかさずロンが補足を入れる。
『ハグリッド』という名前が出た瞬間、ジェーンの目元がピクピクと痙攣していたが説明に夢中の3人は気付かなかった。
「君も見ただろう?トイレに駆けつけた時にアイツは脚を引き摺っていた……フラッフィーに噛まれたんだ!」
「……なるほどね…ハリーが障害となりうると判断して排除しようとしたって訳ね…」
「ジェーン、私も最初は信じられなかったわ…だけど今回は間違いないと思う。」
いつもはストッパーになっているハーマイオーニーも今回は味方をしてくれている。これ程心強いものはない。
「貴女達がそう言うのならそうなのかもしらないけど……」
「しれないけど?」
ジェーンの含みのある言い方にハーマイオーニーは眉を寄せた
「ええ……箒に呪いなんて方法、教授らしくないなって思ってね」
「「「はぁ??」」」
「ジェーン!大丈夫!?罰則の日に何か弱味でも握られたのか!?」
「一体何されたんだ!」
「……多分皆、勘違いしてると思う」
「大丈夫よジェーン!私達がスネイプの存在と共に嫌な記憶を全部消し去ってあげるから!」
「……もう、話を聞いてよ!泣くぞ!?」
ハリーがロン、ハーマイオーニーに視線を送ると無言で頷き返した。ジェーンをこれ以上巻き込む訳にはいかない。ジェーンと番犬が守るモノをスネイプの魔の手から護り通すと3人が結束した瞬間であった……
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無言で頷き合い、その場を去っていく3人を半ば焦点の合ってない瞳でボンヤリと見つめながらジェーンは思考する。
「私はただ…ハリーを箒から振り落とすなんて不確かな方法をとるなんて意外って言いたかっただけなのに……」
私が彼なら事故を装い殺害する。
仮にも魔法薬学の教師だ。当然彼なら回復薬から毒薬まで熟知しているであろう。ならば分解されて後に死体から検出不可能な毒や無色無臭、揮発性の高く少量吸い込むだけで判断力を低下させる毒薬なども知っている筈だ。
鉄球が選手を叩き落とそうと飛び回る会場。
一瞬意識が飛ぶだけで命取りとなる。
ならば致死性の毒など必要無いだろう……
ストレス、プレッシャーで昨晩寝れなかったハリーは試合中に集中力が切れる。そして寝不足で意識が朦朧としているハリーに鉄球が直撃し転落死という筋書きだ。
全てはハリーの体調管理ミス
当の本人も含めて誰も他殺だとは思わない。
そんな芸当を彼ならやってのけると私は確信している。
彼がその気になればハリーはとっくにこの世を去っている、ハリーが生きている…それが彼が犯人でない証拠だと思える。
それを箒に呪いね……
「やっぱり教授らしくない…」
現状放置の教師達、殺人未遂の凶悪犯が野放しになっている校内
何も知らず箱庭で踊る生徒達
「……ほら、身を守るためにも結局武力が必要じゃない」
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図書館
本漁りは最早日課になりつつある。
大半の攻撃魔法は閲覧禁止棚にあるため機会を伺わないと手を出せないが、反対に防御魔法は全て閲覧自由となっているので一年生の身でありながら上級生の魔法を自主的に取得する事も可能だ……最もそんな物好きはホグワーツ始まって以来、皆無といっていいほど前例がないらしいが。
勿論、知識があるのと実際に使えるのでは意味が違うが…
中世から使われている弾避けの呪文に盾の呪文ね…
防御魔法の基本だ
自らの中にある魔力を杖で増幅させて体外に放出する。
放出された魔力は飛来する矢や弾丸に抵抗を与えて弾道を直撃コースから逸らせるという魔法だ。中世、マスケット銃が生産された辺りに開発された呪文だが現在においても有効なものだ。
そして弾除けの呪文を更に一段階昇華させたものが盾の呪文だ。
体外に魔力を放出するまでは同じなのだが外の空間で魔力を凝縮、硬化させて物理的に攻撃を防ぐ盾を成形する呪文である。
いずれも発動には大量の魔力が必要、盾の呪文に至っては魔法を維持する為に繊細な魔力操作とイメージ力が必要となり高難易度を誇る。
具体的には取得推奨学年は5年生くらいからだが取得出来ずにそのま卒業した魔法使いも多い。
勿論、私も発動出来るかと聞かれれば答えは否。
根本的に魔力がまだ足りていない。
成長と共に魔力量も増加するので数年後には使えるようになるとは思うのだが……精々それまでの間にコントロールを練習しておくとしよう。
「次の閲覧禁止棚を訪れる機会はクリスマスか…」
大半の生徒達は実家に帰省し校内は閑散となる。
教師達の見回りも通常と比べて緩くなるのが予想出来る。
「楽しみね…」
盾の呪文などの理論は独自解釈です
一年の時から進んで実戦的な呪文を取得しようとするジェーンは後々凄い事になりそう…