鏡の中のアリス   作:ブルーな雛菊

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潜入のお供といえば…

図書館

閲覧禁止棚は生徒が誤って入り込まない様にロープが張ってある。

保管されている本は主に強力な呪い、検出不可能な魔法毒薬、キメラ製造方法等。

 

強力な呪文や人間の一部を材料とする薬のレシピ、命という概念を冒涜するものばかり保管されている。

 

ランプの灯りを頼りに本を吟味するハリーとジェーン。

 

 

(この本は蘇生薬考察……)

黒の表紙に銀の文字。

パラパラと捲ってみると表紙通り考察が書かれている。ざっくり纏めると『完全な蘇生薬は未だに完成しておらず、薬を使用した死体は何らかの欠如が見られる』とある。例えば甦った者は残忍な性格になっていたり、生きた人間の血肉を欲する様になったりなど。

 

『薬を使用したマグルが凶暴化、その場に居合わせた10名前後の魔法使い達をマチェーテで惨殺した事件の後、研究は凍結している。』

 

暴走した検体は闇払いが捕獲して金属製の棺に入れられて近くの湖の中に沈められたらしい……

場所は……クリスタルレイク

 

 

(私にはまだ早いかな…)

そっと本を閉じて本棚に戻した。

 

次の本を…と本棚を眺めているとハリーが開いた本が鋭い悲鳴を上げた。

 

ハリーはあわてて本を棚に戻して一目散に逃げていく……

 

 

「…えぇ~~~」

置いてけぼりか…絶対このあとフィルチが駆け込んでくるやろ…

 

 

 

急いでジェーンが本棚に身を隠した直後に駆け込んでくる足音

 

「いい子だ、しっかり臭いを嗅ぐんだぞ。まだ奥に隠れているかもしれない」

 

あぁ……飼い猫のミセス・ノリスも一緒らしい…全く嬉しくない状況だ。

 

入口から順に捜索していくフィルチ達、このままでは発見されるのは時間の問題か……図書館の一番奥、逃げ場はない。付近には積み上げられた本棚へ戻される予定の本の山だけ…

 

~~~

フィルチ

 

「いいぞ~その調子だ」

 

匂いを嗅ぎ徐々に奥の本棚へと進むミセス・ノリス。

この先には逃げ場はない。早く恐怖でひきつる生徒の顔を見たいものだ。

 

そして辿りついた最奥、閲覧禁止の棚。

右手の通路には返却待ちの本の山、左手には……

 

「!」

 

「なんだ?これは……」

 

目に入ったのは見慣れない紙製の箱。

大人一人入れそうな大きさがある。

 

「ミセス・ノリス!生徒が飛び出して来ないかしっかり見張っててくれ」

 

賢すぎる愛猫に指示をだしてゆっくりと段ボールを持ち上げると……

 

「…誰も居ないか」

 

気を取り直して右側の棚も捜索、やはり生徒の姿は見当たらない。

 

「一足遅かったか…ミセス・ノリス!外を探すぞ!」

 

まだ近くに居る筈だ。逃がしはしない!

 

~~~

ジェーン

 

肝が冷えたよ…伝説の傭兵はいつもこんなことをしているのか……

何ともまぁ…凄まじい胆力だとしか言いようがないな。

 

自身は本の山に身を潜め、反対側の本の山に変身術をかけて段ボールに変化させて注意を引く。

 

段ボールを調べている間に既に捜索が終わったエリアに入り込む。

生徒が図書館の外に逃げた可能性がある以上長々と同じ場所には時間を費やせないだろう。

 

フィルチ達の足音が遠ざかる……ほとぼりがさめたらゆっくりと寮へ帰るとしよう。

 

~~~

 

「ロン、ジェーン!今晩一緒に鏡を見に行こう!僕の家族達の姿を見れるよ!」

 

翌朝ハリーが元気に話しかけてきた。

 

へー鏡ねー……私を置き去りにして呑気に鏡を眺めてたわけだー

此方は捕まったら罰則は確定している状況だったのに…鏡ねー…

 

「……ハリー…昨日の今日じゃない。また、危険をおかすの?」

 

「危険がなんだ!君だっていつも平気でやってる事だろう、今更御託を並べるな」

 

あっはい…すみません…

見つかっていないけど日常的に閲覧禁止の棚に入り浸ってます…

 

「僕は止められたって鏡を見に行くぞ!ロンはくるよな?」

 

「あ~……僕もその…君の家族を見たいかも……「それじゃあ一緒に行こう!」」

 

まるで取りつかれた様な強引さだ

(昨日の閲覧禁止棚で変な本でも引いて取りつかれたのかな…)

 

魔法のかかった本は読んだ者の精神を侵食するものもある。

流石にそんな危険な者を学校に置かないとは思うのだが…ここはホグワーツだしな……

 

この状況が長引くようなら教授に相談するべきか…

思わぬ厄介事が追加され溜息が増えたのはいうまでもない。

 

 

 

 

 




~~~
「ジェーン!君も次のクディッチの試合は来るよな?」

チェス中のロンがジェーンへ話しかけた。ロンはチェスが得意で現状を打開するのに必死のハーマイオーニーより幾分か余裕が伺える。

「いえ…今回も観戦はしないかな」

「ハリーが今度こそ死ぬかもしれないのに?次の試合の審判はスネイプなんだぞ!」

君達はどれだけ教授を疑っているのだろうか?
ゲームと殺人とでは全く意味が違うということを理解していない。

「そう…ならば尚更安心じゃない…」

「はぁ?何を言ってるんだいジェーン。遂に本の読みすぎで頭が可笑しくなったか?」

「ちょっと!ロン!」

喧嘩腰のロン、止めに入るハーマイオーニー。
ハリーの危機、無関心な私に腹を立てているようだ。

「自身の破滅とハリーの殺害……スネイプ教授にとってそれらを天秤にかけても尚、実行する価値のあるものかしら?審判という目立つ立場で見つからずに呪いをかける何て不可能よ。そんな事すら気付かないほど教授は愚かではない」

例外として薬を使った暗殺は可能性があるが、それを考えれる頭があるのなら最初から使っているだろう。
犯人は脳筋で間違いない。

その会話は結局、談話室に入ってきたネビルとハリーによって中断された。



「フラメルを見つけた!どっかで名前を見つけたことがあるって言ったよね。」

談話室の端でヒソヒソと話すハリー、ロン、ハーマイオーニー。
断片的だが此方まで内容が聞こえてくる。

若干興奮した様子でお菓子に付属しているダンブルドアのカードの裏の説明文を読むハリー


(ダンブルドアに関係のあるフラメル……ニコラス・フラメルか…錬金術で有名…代表的な成果物は………)

ハーマイオーニーが「本を取ってくる!」と言い寝室へと向かった


(黄金と命の水を産み出す『賢者の石』、今回狙ってる犯人は警備の厳重なグリンゴッツ銀行にまで侵入している。…それほどの手腕があるなら職には困らない筈だ。ならば、目的は命の水と見て間違いないだろう)

ジェーンは読んでいた本をパタンと閉じて談話室から立ち去った

(難攻不落の銀行を攻略して、呪い対策の施してある競技用箒をコントロール不能へと追いやった『命の水』を欲する魔法使い……一体どんな方なのでしょうね…)

(ポリジュースを使ってホグワーツ内に潜伏している?もし変身して潜入するなら…生徒よりもある程度権力をもっている者に変身していた方が立ち入り禁止区域にいても怪しまれない…教授達の誰かか…)

(……本当にこの学校は退屈せずにすむ)

少女は一人微笑む

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