ロンは次の日からジェーンへ話しかける回数がめっきり少なくなった。彼からしたら友人のピンチすら気にかけない冷酷な女という事なのだろう。
(私も本当に危険ならば私も手を貸したよ)
今回は危険性はないと判断した上で静観しただけなのだ。
そんな微妙な空気を吹き飛ばす程、教師達からは年度末の進級試験へ向けての宿題が大量に出された。
山の様な宿題を前にするとその他の事がどうでも良くなってくる気する。ひたすらに教科書を開き課題を消化する毎日。
「やっと終わった!」
図書館で最後の問題の解答書いた後、伸びをしていると普段ならこの場所で絶対に見ないような人が目に入った。
モールスキンのオーバーを着たハグリッド
オーバーの下、背中の部分には何かを背負っている様な膨らみがありキョロキョロと本棚に並べられた本を探す様子は心なしか挙動不審に感じる。
そんなハグリッドをロンが発見してハリー達がハグリッドを囲み話し合っている様子をジェーンは遠くで眺めていた。
(……明らかに厄介事でしょうね。あの子達もなんで自分から首を突っ込みたがるのかな?)
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数週間後
ロンが呻き声を上げながら朝食を食べている。
手は2倍くらいの大きさに腫れ上がっていた。そして午後には傷口が緑色に変色し初めていたので強制的に医務室へロンを引き摺って行く事になった。
「先生、犬に噛まれたらしいです」
「どんな犬にですか!こんな強力な毒をもった犬がいてたまるものですか!いいですか、きちんと説明してくれないと誤った処置をして取り返しのつかない事になることもあるのですよ。強力な呪文や毒は完治せずに醜い傷痕を残す事もあるのです。」
校医のマダム・ポンフリーの怒りようといったらまるで火山が噴火した様だ。
「犬に噛まれたんです」とロン
「貴女も知ってる事があったら話して下さい」
ポンフリーさんや此方に振るのはやめてください
「私もなにがなんだか……噛まれた所を見たわけではないので何とも……」最近の出来事から察するに大方ハリーの友人の愉快な『大きな友達』のペットの仕業なんだろうけど
「はぁ…わかりました。彼は此方でひきとります」
「よろしくお願いします」
ロンを医務室に届けた後、教室に戻らずにそのまま図書館に。
ハグリッドが眺めていた本棚をさがす。
『イギリスとアイルランドのドラゴンの種類』『ドラゴンの飼い方』
「………………」
何でハリー達は自ら厄介事に首を突っ込みたがるのでしょうね?
そして週末、150点がグリフィンドールから減点されていた。
ハリー、ハーマイオーニー、ネビルが原因らしい。
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「貴女は私達に冷たく接しないの?」
図書館で本を読みながらいつも通りハーマイオーニーと接していると、ふと彼女はそう切り出した。
大きな減点のせいで彼等は自寮だけでなく他寮からも悪口を言われているらしい。それも7年間寮杯をスリザリンに取られていて今年こそはと他の寮の学生も期待していたという背景がある。
「別に…寮杯なんて興味ないし」
熱くなっている生徒達の前では決して口にしないが最初から興味は無かった。
学生達を互いに競い会わせて高め合う資本主義の様な発想。ルールから外れる様な生徒を生徒が粛正する様な仕組み。
そして手に入れた栄光で賞金が出るわけでも就職活動で役に立つわけでもない。
「私にとっては価値のないものよ」
「でも…」
「人の価値観は人それぞれ。私はそれを他人に強制しないしされない。責任を感じているなら何処かで挽回出来るようにしなさいな。……ところで、その後ハグリッドからは何かあった?」
「…何でその事を。いいえ…何も」
「………そう、野暮用が出来たから席を外すね」
ハーマイオーニーはジェーンの異様な雰囲気に何も言えないまま見送るしかできなかった。
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『コンコン』と扉を叩く音
「誰だ?」と訪ねるが返答はなかった
ハグリッドが首を傾げながら扉に近付くがその手がドアノブに触れる事は無かった。
突如『ズダン』と分厚い木の扉が両断された後、一人の少女が姿を表す。『ゴツ…ゴツ』とその姿にはみあわない重い足音を響かせながら小屋の中に入り込んだ少女の瞳には光がない。
「一体なんの真似だ「黙れ『フリペンド(撃て)』」」
圧縮された魔力を標的に打ち出す魔法。まるで銃弾の様に放たれた呪文はハグリッドの頭部へ着弾する。
「もともと入ってないと思ってたが脳味噌まで筋肉で出来ているとは驚きだね。なぁ木偶?」
本来なら貫く筈の魔法は硬い頭蓋骨に弾かれて近くのテーブルに大きな穴をあけた。
「何に怒ってるか分からないがとりあえず落ち着け!話し合おう」
「何に怒ってるかですって!?本当にわからない?『ディフィンド(裂けよ)』」
魔法はハグリッド服を切り裂くだけにはとどまらず床にざっくりと亀裂を残す。ハグリッドの肌には鞭で打たれた程度の赤いアザが出来る程度のダメージしかないようだ。
「私の友達が苦しんでいるのに心当たりはない?彼女は賢く決して悪戯で深夜徘徊で捕まる様な子ではなかった」
表向きはドラコ・マルフォイに偽の情報を流して誘きだして捕まる様子眺めていた卑怯者、そして自身も逃げ遅れて捕まった愚か者。
「彼女はその不名誉な理由を否定しなかった。出来なかった、何で?」
「それは…「お前を庇ったからだろうが!」」
近くの椅子を蹴り上げ空中でディフィンドをかける、バラバラになった椅子欠片に変身術で刀剣に変化させハグリッドへ向けてアクシオを使った投擲を一瞬のうちに行った。
大男の筋肉に刀剣は深々と刺さるが大したダメージを負わせていないようだった。
「ハリー達には本当にすまないことをしたと思っているこの通りだ」
「私に謝ってどうなる!謝罪の意志があるなら今すぐに校長のところへ行って事情を説明してきなさいよ!子供達の見本となるべく大人が法律を侵してそのとばっちりを子供達に負わせた上で自身は知らん顔?巫山戯るのも大概にせえよ」
「本当にすまなかった」
「貴方それしか言えないの?」
御託など聞きたくもない、行動で示せよ
「もういいわ…貴方のせいでハリー達は罰則を受ける…
それともう一つ、ドラゴンなんてどうやって手に入れたの?」
「バーでフードを被った男から「法律で禁止されているのに?」」
「それじゃ、ホグワーツや賢者の石、三頭犬に関して何か話した事はない?」
「………いいや、俺はなんも話しとらん」
「……そう」
話しはこれで終わりと言わんばかりに踵を返し立ち去るジェーン。振り向く事無く杖を一振りすると散乱した室内や変化した椅子が全て元通りとなっていく。
何事も無かったかのような室内でハグリッドは暫くの間、呆然と膝をついていた。
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(あの時、記憶を辿る様に視線は斜め上を向き、その後横へ視線を泳がせた。手は自身の腕を無意識のうちに掴んでいる)
(………三頭犬の情報は間違いなく漏れているとみていい)
賢者の石か……誰かの手に渡るのを静観する訳にはいかないか
ハグリッド
その身に流れる血の影響で魔法の影響が軽減される
魔法での攻撃は効果的ではない。
物理的にも一般的な魔法使いよりも恵まれているため倒すのは困難
今回、ジェーンが圧倒していたのはハグリッドに交戦の意志が無かった為。
ハグリッドの唯一の弱点は脳味噌が筋肉で出来ている事くらいか…