ハグリッドの番犬は出し抜かれるのは間違いないだろう。
問題はいつ実行するのか?というところだ。
前提としてダンブルドアが校内に居るときには行動を起こさない。例のあの人は最も力のある全盛期でも直接対決を避けていた。ならばその配下がダンブルドアの力を過小評価している訳がない。
そして人気の少ない夜間の可能性が高い。
そわそわしている3人組を談話室のソファーに腰掛けながら「あぁー今日がその日なのか」と他人事の様に感じている辺りジェーンも感覚が狂ってきてるのかもしれない。
ポケットの中に準備した物がきちんと入っている事を確認した後、ジェーンはハリー達よりも一足先に談話室から外へ出た。
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4階廊下前
既に鍵が外されている。これまでの一連の犯人は予測通り今日、賢者の石を強奪する気のようだ。
「ジェーン!何故君がここに!?」
「君もネビルみたいに僕たちを止めに来たのか!?」
「ジェーン道をあけて!このままじゃ大変な事になるの!」
私の姿を見つけるや否や一斉に口を開く3人
「別に邪魔しに来たわけじゃないよ…」
両手を上げて戦う意志がないこと見せるのだが
「ごめんなさい、スネイプの配下かもしれない貴女を信じられないの!『インカーセラス(縛れ)』」
ハーマイオーニーが魔法の縄でジェーンを簀巻き状態にして拘束した。
「そこで待ってて……全て終わったら解放するから」
そう言い残し3人は先へと進んでいく。
「…………」
「………………」
「……………………寒い」
どれ程時間が経ったか分からないが身動きとれない状態で放置されるとは思わなかったよ!
『エマンシパレ(解け)』
呪文を使い縄の拘束から解放される。
もし、私じゃなかったら…呪文を解除出来なかったら凍死してるかもしれなかったよ!
このまま帰るのも癪だしせっかくだから……
「元凶さんのツラでも拝みに行きましょうか」
勢いよく廊下の扉を蹴り開けて侵入する。
中には巨大な三頭犬の姿が見えるがあまり時間を割いてやるつもりはない。
ポケットに手を突っ込んで取り出した缶詰。
パンパンに膨れ上がったソレをだらしなく開いた口の中に放り込んであげる。
パンと音をたてて弾ける缶詰。
3つの口から同時に嘔吐し白目をむきながら痙攣する三頭犬の横を通過して仕掛け扉の中へ入り込むジェーン
投げ込んだ缶詰は塩漬けニシンが発酵したもの。
『シュールストレミング』という名前の世界一臭い缶詰だ。
販売者が勇気をもって食べてみたところ「人間の食べ物ではない」「屋外で開封しないと汁が飛び散るので注意」「万が一汁が服に付いた場合はいくら洗ってもとれない」「一口食べただけでも吐き気が込み上げてくる」「完食は不可能」と言うほどの……食品ではなく兵器といっても過言ではない品物様だ。
それを人間の嗅覚の1000倍〜1億倍とも言われる犬に食べさせたら当然こうなる。
「ちょっとやりすぎたかな……」
いまだにのたうち回る犬の姿が不憫に思えた。
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仕掛け扉の先は滑り台の様なきつい傾斜でそこが見えないくらい下へと続いている。
『トゥームレイダー』というゲームをしたことのある人なら分かるだろうが…滑り台の終点には大抵、致死性のトラップが仕掛けてあるものだ。当然、ジェーンも警戒しているわけで……その手にはのらぬ!
『ウィンガーディアム・レヴィオーサ』
滑り台が終わる直前で浮遊術を発動することで滑り落ちる勢いを相殺してトラップを回避する
「悪魔の罠か…」
床にビッシリと敷き詰められた植物の絨毯
範囲に入った動物を締め上げる植物のトラップ。
火に弱い性質がある。燃やしてもいいのだが、そもそも範囲に入らなければいい話だ。
トラップを完全にスルーして次の部屋に向かう
通路の先はアーチ状の天井の高い部屋。
羽のついた鍵達がバサバサと飛び回っている
奥には分厚い扉と壁に立て掛けてある箒
「飛び回る鍵を箒に乗って捕まえろって事でしょうけど…」
わざわざそんなお遊びに私が付き合ってあげる義理はないよね?
『アクシオ(来い)』
翼が折れてヘナヘナと弱々しく飛ぶ鍵へ呼び寄せ魔法をかけた。
勢いよく飛来する鍵をキャッチして鍵をあける。
「やっぱり狙いをつけなくても発動出来る魔法は便利よね」
この魔法が光線を当てたものだけに発動するのならばこの部屋で私は脱落していただろうな。
次の部屋は巨大なチェス盤の様な部屋でハリー達が自身を駒がわりにして対戦していた。
「ジェーン!どうやってここへ!?」
「あ~私の事は気にしないで~ゆっくりとチェスを楽しんで!」
驚愕する3人をよそにヒラヒラと手を振り応援するジェーン。
観戦する事数十分……
ロンが吹き飛ばされた後ハリーが相手へ王手をかけた。
「ロン……いい奴だった……「いや!死んでないからね!?」」
全く心配していないジェーンにハリーは突っ込みを入れる。
次の部屋…気絶したトロールの横を通過して更に奥の部屋へと進む
「この試練はスネイプだ!何をすればいいんだろう」
扉の敷居を跨ぐと入ってきたばかりの入口と奥の扉への入口が燃え上がり閉じ込められた。
中央のテーブルに7つの瓶
ハーマイオーニーが瓶の横に置かれた巻き紙を読み上げ解読を試みる。私?傍観しています!
「すごいわ!これは魔法ではなくて論理よ。大魔法使いと言われる人って論理の欠片もない人も沢山いるの。そういう人はここで行き止まりだわ」
「でも僕達は違う…そうだろう?ハーマイオーニー」
「勿論!任せて」
ブツブツ一人言を言いながら巻き紙を読み直すハーマイオーニー
そしてついにパチンと手を打った。
「わかったわ。一番小さな瓶が『石』の方へ行かせてくれるわ」
「一口分しかないね…戻れる薬も分かる?」
一番右端の丸い瓶を指差すハーマイオーニー
「いいかい、よく聞いてほしい。戻ってロンと合流してくれ。それから鍵の飛び回っている部屋に着いたら箒に乗る。そうすれば仕掛け扉も三頭犬も飛び越えられる」
「あ~三頭犬の心配はしなくていいかも…もう暫くはグッスリ眠っている筈だから」
「……ふくろう小屋へいってダンブルドアに手紙を送ってくれ。彼が必要なんだ。」
「でももし例のあの人がスネイプと一緒にいたらどうするの?」
「そうだな、一度目は幸運だった。だから二度目も幸運かもしれない」
ハリーに抱きつくハーマイオーニー……私?完全に空気です。
「ハリー、あなたって、偉大な~~~」
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「ジェーン、貴女を疑ってごめんなさい…すぐにダンブルドアを連れて戻ってくるから待ってて!」
あ~ 話し終わったみたい?
「大丈夫、ハリー以外の人が奥から出てきたら私が足止めしててあげる」
「幸運を祈ってるわ」
ハーマイオーニーは一気に薬を飲み干した後踵を返しもと来た通路へと炎の中を歩いていく。
その姿を見届けたハリーも同じように薬を飲み干した後奥の扉へと続く炎の中へと消えた。
残された私はハリーが通った後に炎が不自然に揺れる様を只眺めているしかできなかった。
でもね……せっかくここまでたどり着いたのだから『答え合わせ』したくない?