「おい!大変だ!我が兄弟!」
「寝てる場合じゃないぞ!我が兄弟!」
同じ兄弟でも見分けのつかない双子の兄にたたき起こされるロン。
「今日は大事な日だ。僕は寝てないよ。」
「いや、俺にははっきりわかるんだね!お前は寝た振りをしたつもりで本当に寝ていた!」
「あれは恐ろしく早い寝つき・・・俺じゃなきゃ見逃してたね!」
「時間にはまだ早い筈だけど、あんまり騒ぐとママが起きちゃうよ!」
「そう!大事な作戦だ!」
「作戦で使用する手筈の車なんだが・・・パパが一旦帰宅して、車に乗って出かけたらしい「じゃあ、ハリーの迎えはどうするのさ!」」
皆が寝静まった深夜。父親が興味本位で購入し、魔法を掛けた空飛ぶ車に乗って3人で音信不通のハリー様子を見に行く手筈だった。
ロンも、当然双子の兄達もマグルの機械である車の免許など持ち合わせていないが、そもそも
「どうするも何も足が無いならお手上げさ。」
「後日決行って事になるな」
「それはいつになるのさ!ハリーに何かあってからじゃ遅いんだぞ!」
「声を落とせ兄弟!ママが起きるぞ」
「だが安心したぞ。俺達はヒヨッコのロナルド坊やが臆病風に吹かれないか心配だったんだ。」
「安心しろ、パパは明日もきっと残業だ。」
「ああ、間違いなく残業だ。」
「何で断言できるんだ?」
「それは男の秘密だぜ、坊や」
「お前が漢になったら教えてやるよ坊や。明日の為に今日は寝るんだぞ坊や」
まるで台風の様にやってきて風の様に撤収する兄弟の背中・・・敵に回すとこの上なく面倒だが、味方であればこれほど心強いものは無い。
「ア・・・マグルのカメラで撮った写真は中の人物は動かないらしいぞ?」
「ここに涎を垂らしたロナルド坊やの写真があるが・・・お前も見るか?」
・・・・やっぱりコイツ等キライだ!
ーーーーーー
深夜の来客。ハリーと世界を隔てる扉が開かれて飛ぶように時間が経過するような感覚だった。
先程まで怒りを露わにしていた男性職員は、ハリーの手を引き一階への階段を下りた。
未だに睨み合っているバーノン叔父さんと女性職員から十分に距離が空いたのを確認して。
「ハリー無事で何よりだ。私達は君の味方だ。」と小声で話しかけた。
職員に促されるままに階段下の物置からハリーの私物・・・・マグル界ではお目にかかれない魔法の箒や怪しげな調薬セット、魔法学校に必要な道具を一通り取り出し職員の物と思われる少しくたびれた
荷物を運び出す途中で階段を下りて来た(まるで死刑台に立つ間際の)バーノン叔父さんと目が合った。
女性職員にしきりに目で合図をし『後ろの小僧の持っている荷物を見てみろ。とても
女性職員はバーノン氏の行動を見逃さないように鋭い目つきで監視している様で一向にハリーの方に視線を向ける気配は無い。
「~~♪」
ハリーはバーノンに『ベー』と馬鹿にした表情で舌を出し、大鍋を帽子の様に頭から被り鼻歌を奏でながら、悠々と最後の荷物を忌まわしき家から運び出した。
「情緒不安定、挙動不審・・・薬物、もしくはアルコールを最後に接種したのはいつ頃ですか?」
「ワシは素面で至って健康的だ!」
車に乗り込む直後にバーノンと職員のやり取りがハリーの耳にも聞こえ、ハリーは笑い声を出さないようにする為に息を殺すのに必死だった。
それから10分ほど時間が立ち、女性職員が車に乗ると同時に颯爽と走り出す車。
それから、職員と会話をすることなく10分が経ち・・・30分が経過した。
静まり返った道路を照らし出すヘッドライト。散発的に通り過ぎる外灯。
自由になった解放感、それがこれから訪れるであろう不安に塗り替わっていく。
「あ・・あの・・。僕はこれから何所に向かう事になるのでしょうか?」
いよいよハリーの不安がピークに差し掛かり、室内に漂う沈黙をハリーの口から破った。
「安心してください。貴方は学校の夏季休暇の期間は我々の施設で保護することになりました。」
「あの・・学校なのですが‥」
ハリーは魔法学校の名前を口に出そうとして、ハッと息をのんだ。
(ただでさえマグルの前で魔法を使うことが禁止されているのに、自分の口からマグルの職員に魔法学校の説明が出来るわけがないじゃないか!)
「Ms.ウィルソン・・それくらいにしないとハリーが可哀そうだよ。」
「そうですね。ハリー・・・私達の顔を見て見覚えは無い?」
運転席に目を向ける。多少薄くはなっているが鮮やかな赤毛には見覚えがある。
「ハリー・・人の名前を毛量で判断するのはやめた方が良いわ・・・それって・・つまり、とっても失礼よ?」
「髪の色だよ!量じゃない!」
「2人とも聞こえているよ?アーサー・ウィーズリーだ。息子のロナルドがいつも君の事を話していたよ。改めてよろしく。」
ハリーも髪の色と家名で予想はしていた。
「どうしてここに?」
「息子が君からの連絡が来ないと騒いでいてね、不審には思っていたんだよ。そしたら先日、君がマグル相手に魔法を使ったって情報が・・・あ~~こう見えても私は魔法省で働いていてね、そういう情報も耳に入ってくるんだ。それで、流石に様子を見に行くべきかと迷っていたところに彼女から提案があってね。」
ウィーズリー氏が助席に座る女性に目を向けた。
「このまま任せていたらバーノン宅の呼び鈴を鳴らす代わりに、玄関に大穴を開けそうだと思ったから政府職員に成りすましてハリーを引き取ろうって提案したの。何もなければそれで良いし、もしハリーが手紙を書けない状況なら保護しようってね。」
「え~と・・・貴女はジェーンのお姉さんですか?」
黒髪、金髪、赤毛、プラチナブロンド・・・ホグワーツでも様々な髪色を見てきたが純粋な銀の髪色はハリーの知り合いには一人しかいない。
(身長がハリーよりも低く、博学で、ゆるふわっとした雰囲気を醸し出す美少女。」
「綺麗なお姉さんだと思った?残念ジェーンちゃんでした★」
「いや、途中から声に出てるからね?人の回想に勝手に入って来たけども!そこまでは思ってないからね?」
ハリーの訴えは華麗にスルーされた。
「簡単に言うと老け薬飲んで職員を装ったってわけ。ハーマイオニーでない限り、数多ある法律を丸暗記してる人なんて居ないでしょうしね。」
「でも、未成年が魔法を使ってはいけないはずじゃ・・・「そこは大丈夫だよハリー。」」
問題ないと口を挟むウィースリー氏。
「魔法が使用されると匂いが出るんだ。それを魔法省が察知して警告を送ったりするんだが~如何せん、制度が悪い。例えば同じ屋根の下で息子が魔法を使ったとしても
しかし、それでもマグルに魔法族の存在を秘匿する為の処置としては十分だと改良を加えられることはなく現在に至るというわけだ。大事なのはマグルから魔法族の存在を隠蔽できる大人が居ない状況で魔法を使用し、世間に露呈してしまう事なのだと。
「私の場合は、たまたま
そして、ウィーズリー宅への帰宅途中に
「かなり無理やりなんじゃない?」
「全て偶然、不慮の事故よ。」
ふふん!と胸を張るジェーンにハリーはため息を漏らす。
ーーーー
地平線の彼方が桃色に染まり。やがて真っ赤な曙光が差し込み始めた。
「もうすぐ我が家だ。」とウィーズリー氏
「ご協力いただき有難うございました。お陰様で比較的穏便に進めれたと思います。」とジェーン
バーノン叔父さんの『まるでこの世の終わり』の様な表情を目にしたハリー。しかしながら当の本人は『穏便に済ませた』と口にした・・・(つまりそれ以上があるってこと?)
そしてハリーは『絶対に逆らってはいけない人物ランキング』に友人の名前を追加しようと心に決めた。
「長旅お疲れ様。モリーに君の分の食事を用意して貰わないとな。あとは睡眠だ。」
車を止めるや否や『隠れ穴』と書かれた看板の入り口から、小柄で丸っこい温和そうな女性が周囲の(庭に飼っている)鶏を蹴散らしながら此方に向かって駆けてくる姿がハリーの目に映った。
「ハリー!!皆貴方の事を心配してたのよ!!まぁ、こんなにやせ細って!」
勢いをそのままに、タックルをするようにハリーを抱きしめる夫人
「ジェーンも!こんなに見かけない間に別嬪さんになって・・・「あ~薬の効力ですね」」
「アナタもお疲れ様!ごはんを用意するから中に入って。」
夫に労いの言葉をかけて忙しく家の中へと消える夫人
「では、ウィースリー氏。後はよろしくお願いします。ハリー、近いうちにダイアゴン横丁で会いましょう。」
またね、と手を振り家の中へと消えるジェーン。
昨日の今頃からはとても想像は出来ない日常、ハリーは『おかえり』と知り合いから声を掛けられて初めて、これが夢ではない、帰って来たんだと実感した。
絶対に逆らってはいけないランキング
1 ダンブルドア
2 マクゴナガル
3 ジェーン
スネイプとドラコは嫌な奴のランキングにランクイン!!
別れの挨拶をしたのにウィーズリー家の門をくぐるジェーン
↓
煙突飛行ネットワークを使用するために暖炉を借りたよ!