鏡の中のアリス   作:ブルーな雛菊

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ロックハート(略

『I took their smiles and I made them mine:他人の笑顔を盗み、自分の物にした・・・』

 

ーーー懐かしい歌が聞こえる・・・ーーー

 

『I sold my soul just to hide the light:光を覆い隠すため、私は魂を売った・・・』

 

ーーーまるで自身の事を謳ったような歌詞に笑みを漏らすーーー

 

『And now I see what I really am:そして自身がどんな人間か気づいたってわけ』

 

本日リリースされたばかりの懐かしい新曲に私は声を重ねる。

 

「A thief, a whore, and a liar:盗人で穢れた・・・嘘つきなんだって。」

 

突然、鼓膜を震わせた澄み渡る音色に、付近の通行人は足を止め周りを見回す・・・・

音色の方には人影はなく、家電店、ディスプレーに飾られたTVが変わらずPVの音楽を奏でていた・・・・

 

 

ーーーーー

 

「ハリー。去年はどうやってダイアゴン横丁まで学用品を買いに行ったのかい?」

「去年は地下鉄に乗っていきました」

 

マグル好きのウィーズリー氏に話したとたんに目を輝かせるウィーズリー氏に、夫人は「これじゃ、どちらが子供か分からないわ・・・」と、ため息を漏らした。

 

「マグルの交通手段は置いといて・・・ハリー、今回は煙突飛行粉(フルーパウダー)を使って行くわ。」

「煙突飛行?」

 

ハリーが聞き返すと、夫人はハッとした顔をし急いで説明を始める。

 

「ああ、ハリーは初めて?煙突飛行はマグルの交通手段よりも早いの。この粉を暖炉に「ママ!ママ!ハリーは大丈夫だよ!」」

話が長くなると察した双子が夫人の説明を遮り、壺から粉を一掴み取り出して暖炉の燃え盛る炎の中に振りまいた。

 

「ハリー、僕たちのを見てなよ。」

フレッドがダイアゴン横丁と唱えた瞬間、姿が暖炉の中から消えた。

 

「肘は引っ込めろよ。」

ハリーの肩を叩きながらジョージが暖炉へと姿を消す。

 

「正しく発音しないと駄目だよ。」

「目を閉じててね。煤が「ハリー、ジョージ達が先に待ってるから姿が見えるまで待っていなさい。」」

 

心配そうな表情を浮かべる夫人の話を遮り、ウィーズリー氏がハリーに暖炉へ行くように促した。

粉を暖炉に振りまき中に入る。肌を焼くような熱さはなく、暖かな風が体を撫ぜる。目を閉じ、肘を引っ込め、大きく息を吸い込んで・・・

 

「ダ、ダイア、ゴン横丁」

煤に咳き込みながら発音した。

 

 

ーーーーーー

~漏れ鍋~

 

マグルの店が建ち並ぶチャリング・クロス通りに面する古い店、漏れ鍋。

店内は薄暗く、一見いつ潰れてもおかしくはない風貌なのだが、この店の役割を考えると閉店することはないように思える。

この寂れたパブの中庭、ゴミ箱の上にある特定のレンガを叩くことで魔法使い達の繁華街であるダイアゴン横丁への入り口が開くのだ。

 

「あら?先客?」

 

モップの様なボリュームのある・・・一年間、見慣れた茶髪の少女が杖を取り出してレンガを叩こうとしている場面に出くわして思わず声が漏れた。

少女は振り返り、驚愕の表情を浮かべた後、嬉しそうに駆け寄ってくる。

 

「まさか、こんなに早く再開できるなんて思わなかったわ。ハリー達からの手紙を読んだわ・・・貴女、マグルの職員を装ってハリーを迎えに行ったんですって?私、自分にも何かできる事がないか色々方法を探していたの。でも、中々良い方法が見つからなくて・・・・そうしているうちに貴女がハリーを救出したって連絡があってほっとしたわ。ロンったら、もし貴女があの日ハリーを助け出さなきゃどうしたと思う?なんと、兄弟達だけでハリーの家に()()迎えに行くつもりだったみたいよ!ええ、私、知ってます!悪戯好きの双子に私が貴女がマグルを騙した武勇伝を話したら、羨ましそうに自身達が計画していた()()()()()()()の全容を教えてくれました。まったく・・・あの人達は自身がどれ程、無謀で危険な事をしているのか自覚が無いのでしょうね!ほんと信じられない!ええ、()()()()()()()()()()()()()()()!とにかく・・・皆が無事で()()()()()救出できたのは良かったわ・・・このままハリーを救い出せなかったらハリーはきっと、大変なことになっていたと思うわ。」

 

「う・・・うん。ハーマイオニーも元気そうで何より・・・」

ーーーマグルの執行官に変装して、偽りの家宅捜査をするのもマグルの法律を侵してるのだけど・・・それはノータッチでいいのかしら?(良い子はマネしないでね!)ーーー

 

「そういえば・・・ジェーンの私服?似合ってるわ!髪型も変えたの?」

ーーーええ、変えました!髪型も背丈も後ろから見るとハーさんとキャラ被ってしまうからね!在学中に教師達のお手伝い()をして稼いだお小遣い&バイト代をつぎ込んでリニューアル!(奨学金?そんなもの私生活の分までは出ないのだよ!)ーーー

 

「ああ~~私の癒し~~!いい匂い~」

 

・・・・なんだろう?ハーさんから勢いよく左右に振られる尻尾の幻覚が見える気がする。自然な感じで胸元に顔を埋めて匂いを嗅ぐハーさんは、もはや犬にしか見えない。

 

「硬い「うるさい!」

 

「・・・・ところで、後ろの御二方は?「あ!!」」

ハーマイオニーの後ろで気まずそうに固まってる2人の姿が気になってハーマイオニーに尋ねる。

 

「私の両親です。「挨拶が遅れました。ジェーンさんですね?いつも娘がお世話になっています。」」

 

ハーマイオニーの両親が深々と頭を下げて挨拶をしてくるのだ。

ーーーまさか、私の事を変な風に親御さんに紹介してないよね?例えばハグリットの小屋を蹴破ったりとか、禁じられた廊下の先で闇の配下と一騎打ちしたりとか・・・ーーー

とハーマイオニーに視線で訴えるが、何を勘違いしたのか誇らしそうに胸を張るハーさん。

(まぁ、当事者には口止めはしてるし・・・)

 

「初めまして。ジェーン・ウィルソンと申します。昨年度は娘さんに大変助けられました。どうぞ、よろしくお願い致します。」

私服のロングスカートの端を摘まみカーテシー。

 

「さて、ここで話し合うとパブを訪れた方の妨げになりますし・・・まずは銀行へ向かいましょうか。」

と待ち合わせ場所を目指して歩き始める。

 

「そういえば、今年の闇に対する防衛術の教材を見た?」

「ロックハート?「そうそう!今年の先生はきっとロックハートのファンに違いないわ・・・教材に()()彼の書いた本を指定しているんだもの!ええ、勿論彼の本が教材に適していないという意味ではなくて、寧ろ良いチョイスだと思うもの!彼の武勇伝の数々を見たら、きっとジェーンも彼の事を気にいると思うわ!だって彼って凄いのよ!本来、ベテランの闇払いくらいでないと退治できない様な人狼や吸血鬼を()()()退治してるのよ。」」

 

お・・・おう。いつにもなく熱が籠ってるハーさんの圧。

 

「え~っと・・・良かったわね・・・」

「?」

「ほら・・・・あれ。」

 

フローリシュ・アンド・ブロッツ書店の上階の窓にかかった横断幕『サイン会 ロックハート ~~ 本日12:30~16:30』を指すジェーン。

「ああ!!何てこと!信じられない!!」

 

既に店内には待機するファン達で人だかりが出来ている。

 

「一応、確認だけど。ロックハートって人は有名人?「勿論よ!!」」

既に混雑した店内を横目にため息が漏れる。有名人のサイン会、しかもホグワーツの教材が決定し、学生達が訪れ、混雑するであろうこの時期に。

まだ時間まで2時間近くあるが、それでもこの混雑具合なのだ・・・・これが12時になった時の事は考えたくはない。

 

「先に本だけ買っておこうかな・・・「サイン会は!?」私は遠慮しとく」・・・ええ、全力で!

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「ハリー!ハリー!こっちよ!」

グリンゴッツ銀行のホールでハリー達と合流。いつもの3人組で和気あいあいと話し合うハリー達。ハーマイオニーの両親に絡むウィーズリー氏と諫める夫人。そして私はというと・・・

 

「よう!兄妹!」

「探したぞ、我が分身よ。」

 

「こんにちは、お二人さん・・・お久しぶり・・・というよりは初めましてかしら?」

去年の記憶を辿るがどうしても親しくした記憶はないのだが?

 

「連れない事を言うなよ我が妹よ。」

「雪が積もる中、体を温め合った仲じゃないか!「そうね、雪合戦以来でしたね。」」

近くに居たジニーが、信じられないモノを見る様な顔で此方を見ていたので、双子の言葉に訂正をいれた。

 

「ところで、マグルを騙すなんて面白い事を何で俺達に黙ってたんだ!教えてくれたら喜んで手を貸したのに!」

「貴方達に協力を仰ぐと、取り返しのつかない状況になるでしょう・・・」

 

ハリーと話しながらチラチラと此方の様子を伺っているロンの姿が視界に写る。

「共闘は最終手段よ。」

「連れないな~。まぁ、面白そうな事をする時はぜひ呼んでくれ!「それより・・・アレ(ロン)はどうしたんですか?」」

 

私の視線の先に気づいたのかフレッドがにやりと笑った。

 

「親愛なるロニー坊やは救出の手柄を取られて嫉妬しているのさ。」

「優秀な兄妹に挟まれた坊やは必死なのさ。」

 

「・・・八つ当たりされる此方としてはこれっぽっちも嬉しくないのですがね。」

私としてはいい迷惑でしかない。

 

 

「さて、皆買うものも見たい店も違うでしょうから1時間後にブロッツ書店で合流しましょう。」とウィーズリーおばさん

目を輝かせるハーマイオニー。そして、さらに悪化しているであろう店内へ、教材を買いに行かなくて済むと安堵の息を漏らすジェーンであった。

 

「久しぶり。この間はありがとう。」

「ハロー、ハリー。調子はどう?」

 

追いついてきたハリー達と横丁を歩く。

「そういえばハリーはいつから監禁されてたの?ロン達に連絡とれなかった?」

 

ハリー曰く、屋敷しもべ妖精がホグワーツに行かせないために手紙を止めていた。曰く、ホグワーツは危険だから自宅に居させるために叔父さんを激怒させた。

煙突飛行で誤った暖炉から出た際に、ドラコを見かけた事・・・トラブル気質は未だ健在のようだ。

 

「そんなの、陰気くさいドラコの仕業に違いない!」とロン。

「まだ決めつけるのは早いわ」

 

「呪いの品を店主に売りつけてたらしいじゃないか。きっとハリーに使用した証拠品も一緒に処分しようって魂胆なのさ。」

「ハリー。他には何か聞いてなかった?」

 

「たしか・・・人権がないとかで新しい刑務所を建てているとか・・・言ってた。」

 

それなら知っている、とロンが得意げに声を上げた。

 

「アズカバン・・・あ~、魔法使いの刑務所の事さ。とにかく環境が悪くて何人も服役してる囚人がそのまま死ぬんだ。やっこさんは、いずれ自分がアズカバンにぶち込まれるのが怖くなって今更ながら人権問題を謳い、自身が住むことになる刑務所を居心地よくしようって話さ。全く・・・あんな奴らアズカバンで十分なのさ!」

 

 

「つまり、今の段階では何も分からないって事ね・・・何か仕掛けて来るならば痕跡が出来るはず。ハリーも罠にはめられないように気を付けて。初手を凌がないと次のチャンスは無いからね。」

うんうん、と頷くハーマイオニー。

 

「やられっぱなしは好きじゃない。僕たちが尻尾を掴んでやるんだ」と、ロンとハリー。

 

通りの喧騒の中、私は空を仰ぎ見る。

雲一つない綺麗な青空・・・

 

ーーー今年も退屈はしなさそうねーーー

トントンと、重いブーツのつま先を石畳の路面に打ち付けた。

 




皆大好きロックハート回!

サブタイトルの通り待望の登場シーンはジェーンの機転により省略されました!

・ジェーン ロングスカート(私服)+鉄板入りのブーツ 髪型も去年までハーマイオニーと同じように腰まであるウェーブの掛かったロングだったが、今年は胸元くらいの長さの2つ結び(おさげ)でイメチェンしている

・ハーマイオニー 犬は良いぞー!最高だ!マシンガントークは健在。マグル出身だが魔法界の常識にどっぷりつかってしまっている。
・ハーさん両親 マグル出身。横丁の品は全て珍しく、住む世界が違うと実感している。娘と仲良くしてくれているジェーンに友好的。

・ロン 兄弟の栄光に隠れていた反動で英雄的行為に幻想を抱いている。表面上には出していないがジェーンを警戒している

・ハリー 行動力のある少年。だけど無鉄砲。
・バーノン叔父さん 自称、常識人。しかし虐待紛いの事を平気でするのは如何なものか・・・

・ロックハート (以下略

歌詞はエヴァネッセンス Farther Awayから!
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