鏡の中のアリス   作:ブルーな雛菊

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何の成果も!!

「ねぇ、ジェーン・・・。ホグワーツ発の列車は11時発だったわよね?」

 

そわそわと列車のコンパ―トメント中から外の様子を伺うハーマイオニーを横目に私は新しく購入した『狼男との大いなる山歩き ギルデロイ・ロックハート著』を開く。

 

「そういえば、去年もギリギリで列車に乗り込んで来たよね・・・ウィーズリー家。幸い、赤毛は目立つから入ってくるとすぐに分かると思うわ。」

「・・・そうね。」

 

向かいの席に座るが、やはり落ち着かない様子のハーさん。

「ねぇ、ジェーン。」

「なぁーに?ハーさん・・・?」

 

「もし、ロン達が乗り遅れたらどうなると思う?」

本から視線を上げると真剣な眼差しでハーさんが此方を見つめている。

きっとロン達が()()、善からぬトラブルを持って来ると確信しているように思える。

・・・もう少し信用してあげなさいな。

 

「間に合ってないのはロンとハリー達だけではないわ。ウィーズリー家には確か梟を飼っているのでしょう?組み分けには遅れるかもしれないけれど連絡が届けば問題ないと思う。」

 

「残念ながら拒否権はないんですの。」

去年の今頃、悪質な宗教勧誘と判断した私が学校から来た教師を追い返そうとした時に返された言葉だ。

素質のある者に学ぶ機会を与えるのではない。無自覚に魔法を使い惨事を起こす前に、子供達を学校へ収容し、魔法のコントロールを学ばせる・・・そういう政府からの圧力を自身の経験から感じるものがあった。例え遅刻したからと言って一年間、ホグワーツに登校できない・・・なんて事には成りえないとジェーンには確信めいたものがある。

 

(それに、ハリーの不在なんて狸爺が許さないでしょうしね。)

そう、あのハリー・ポッターなのだ。組分けの時にハリーの姿がないと狸が気付けば、当然迎えを寄越すことだろう。

 

(でなければ、去年わざわざ回りくどい試練などさせる筈もない。)

校長自身であったならば、簡単に片がつく襲撃者をわざわざ生徒に迎撃させた事件は記憶に新しい。そして、その主役となったのが何を隠そう…ハリーなのだから。

ええ、あの狸が主役不在の物語を進める訳がない……。

 

視界の隅に目立つ赤毛が横切った。

「ハーさん。杞憂で済んだみたいよ・・・到着したみたい。開いているコンパートメントを探して2人ともここに来ると思うわ。」

 

そうこうしてるうちに、汽笛が鳴り列車がゆっくりと前へ進み始める。

 

「ねぇ、ジェーン……」

「………………もう少し待ってみましょう。」

 

お嬢ちゃん達、御菓子は如何?とカートを引いた魔女がコンパートメントを通り過ぎた。あの二人なら、真っ先にハーマイオニーの居る場所を探し回って来ると思っていたが…予想が外れたのだろうか?と首を傾げる。

 

 

窓の外を見れば、景色は自然豊かな田舎を疾走しているところだ。

2人の居るコンパートメントのドアを開く音が聞こえ、私とハーさんは同時に「やっと来たかー」と、入口に視線を向けた。

 

「あの……兄……ロナルド・ウィーズリーとハリー・ポッターを見かけませんでしたか?」

予想していた人物達ではなく、赤毛の小柄な少女が2人の視線を受けるなか、居心地悪そうに訪ねた。

確かウィーズリー家の末娘、ジニーだったかな…?

 

「まだ見かけてないわ……と言うか、ハリーは貴方達と一緒に列車に乗り込んだのじゃないの?」

 

ハリーは夏休みの期間、ロンの家で過ごして居たのだから……知らない筈がない。とハーさんが問う。

 

「駅までは車に一緒に乗って来ました。だけど、列車に乗り込む時には姿が見当たらなくて……」

 

「「………………」」

考え込むハーさん。コンパートメントには沈黙が流れる。

 

「「ねぇ、」」

「「ハーマイオニー」「ジェーン」」

 

見事に声がシンクロした。

まさかね?そんなはずはないよね?と、互いに見つめあう。

 

「私も車内を探してくる!」

腰を上げようとした矢先、黒い物体が疾走する列車の車内に飛び込んできた。

ピクピクと痙攣するソレを摘まみ上げると、手紙を持った気絶した梟………。

 

「エロール!!?」

ジニーが慌てて駆け寄り、気絶した梟を叩き起こし水を飲ませる。

 

「ねぇ、ハーマイオニー?」

「奇遇ね。私も貴方に聞こうと思ってたの……。」

 

手紙を恐る恐る拾い上げる

「この手紙は読まない方が良いと思うの。」

「嫌な予感しかしないものね……」

 

とは言いつつも宛名も書かれていない封筒の封を切り、手紙を広げた。

 

 車が盗まれました。

そんなことはどうでも良いのですが、列車に全員乗っていますか!?

思い返すと見送りの時に、ハリーとロンを見かけなかった……(時間ギリギリで慌ててたので私の見落としであって欲しいのだけど)

   何か分かりましたらパーシーの梟で連絡を下さい。

 

「「「……………。」」」

 

「まさかね………」

「ハーさん……あの二人よ?私達の予想の斜め上を行く……あの二人よ?」

 

あたふたとしているジニーとは対照的に天を仰ぐ二人の少女。

 

「取り敢えず、今出来る事をしましょうか。……ジニーは他の兄弟に連絡。列車内を手分けして探した後にパーシーの梟で連絡を飛ばすから、手元に置いておくように言ってて。私は最後尾から一つずつコンパートメントを巡るから範囲が被らないように……ハーマイオニーが兄弟達を割り振って。」

 

「了解!」

 

「兄達が素直に聞いてくれるか「夫人からの吠えメールが御所望なら私から口添えしますよ…って伝えなさい!」」

 

ジニーの顔には明らかな動揺が伺えた。

もし、列車に乗り込んで居なかったのならばハリーとロンは何処に居る?

2人だけで親の車を運転して、ホグワーツに向かおうとしている事がほぼ確定するのだ。

 

「大袈裟な事じゃないのよ……あの2人なのよ?警察に無免許で止められた……程度で済む筈がない!」

 

 

「ジェーン落ち着いて!」

宥めようとするハーマイオニー。

 

「もしも……もしも2人が本当に列車に乗っていなかったら、それこそ私達が慌ててもどうにもならないでしょ?」

 

「そうね………」

慌てたウィーズリー氏がやらかさないとも限らないが……..

 

「それじゃ、手筈通り行動しましょう……」

 

そして散り散りに列車内を探索する事20分・・・・

 

「何の成果も!!得れませんでした!!!」

・・・うん、知ってった。

 

号泣(嘘泣き)しながらお互いを抱き合う双子の報告を聞き、パーシーがウィーズリー氏が立ち往生しているであろう、駅に向けて手紙を飛ばした。

予想通り、汽車には乗っておらず駅にも居ない。車は消え・・・あとは、神のみぞ知るだ。

 

 

ーーーー

 

遡る事、10分前・・・

 

コンコンとコンパートメントの扉をノックし、中の様子を伺う。

 

「すみません・・・少々人を・・・・いえ、何でもないです!失礼しました!」

 

≪ジェーンは扉を閉めて無かった事にした≫

ホグワーツ行きの列車だし、何処かに乗ってるってことは知ってたよ!でも、ウィーズリー一家やハーマイオニーも探してる中、自分が引き当てるなんて思わないじゃないか!

確立にして1/6?つくづく運がない、とジェーンは己の運命を呪った。

 

「どうした?用事があって来たんだろう?まぁ、入って行けよ。」

《しかし回り込まれてしまった。》

 

昨年度は知識を吸収するために、ほぼ一年、図書室に籠りっぱなしだったので私としては他寮の生徒とはあまり接点がない。

しかし、共同授業にて、食堂にて、ホールにて、グラウンドにて、廊下にて・・・・

ありとあらゆる所にて彼らが偶然鉢合わせした結果、碌な事にならないという事を理解するのには、一年間という時間は十分すぎる物だった。

ハリーの言葉を借りるなら、同学年の生徒の中でも随一の陰険で嫌な奴。スリザリン寮所属、ドラコ・マルフォイ。

ハリーとドラコが水と油の様に反発しあうのは、互いの寮がいわゆる、敵対関係にあるだけではない・・・そう思わざる得なかった。

 

「ああ、取り巻きが居ないと怖くて話もできないのか。()()()()()()ハリー・ポッター様と金魚の糞みたいなウィーズリー」

「安い挑発ね。そんなものに釣られるとでも?」

 

扉を挟んでの会話。

ハリーやロンの様に互いに罵声を浴びせるでもなく、静かに会話するようなやり取り。

実際、他のコンパートメントには列車の走る騒音で届くことはないだろう。

 

「別に僕としては皆に知ってもらってもいいんだけどね!迷子の「分かった・・・入るから。少しだまってて。」」

 

突然大声で話し始めるドラコ。

既に手遅れな気もするが、わざわざ騒ぎ立てる事でもない。

渋々、戸を開き中へと足を向ける。

4人、詰めれば6人は入ることの出来る部屋に金髪の少年が一人、意地の悪い笑みを浮かべて此方を見つめていた。

 

「それで、どこまで把握してるの?」

 

 

「さて、どこから話そうか?あれは、36万・・・・いや、1万4千年前の事だったか・・・」

「蛮勇を勇敢と盲信する獅子。同族すらも蹴落とす鷹。全てを受け入れたが為に、方向性の定まらない穴熊。蛇にとって外部の者は敵だった。故に、蛇達は団結する必要があった。全てを知っているよ。お前達が()()さがしているか。()()汽車に乗り遅れたのか。その()()()()()今、()()()()()()()()()()まで。お前達が思っている以上に僕には情報が入ってくるんだ。」

 

壁に耳あり、障子に目あり。仲間達()が教えてくれた、と彼は薄ら笑いを浮かべる。

 

「そう。では、肝心の()()()()()今、どこに居るのかしら?」

「教えてやるよ。ただし、僕の質問にお前が答えてからだ。」

 

等価交換。情報を親切に教えてくれる道理はないと

 

「狡猾で手段を選ばないスリザリンらしいわね。」

「合理的と言え。ずっと気がかりだった・・・・ポッターの近くにいるが俗に言う()()でもない。かといって、ポッターが減点された時には大衆が責める中お前は唯、傍観に徹していた。」

 

敵でもなく味方でもない。お前の立ち位置は何所だと問いたいのだろうか?

ハリーを含むグリフィンドール生が近くに居る事が多くて声を掛けれなかった。

話す機会を伺っていたが、それが今日だったという事なのだろう。

 

「私は平和が好きなんですよ。例え互いの寮が仲が悪いと言えどもね。36万…1万4千年前でしたっけ?誰かさんの始めた喧嘩を私達が受け継ぐ必要性があると思います?」

 

コンパートメントの扉が開く音でジェーンは会話を中断した。

振り返ると見慣れたトロールが2つ。

 

「興が削がれましたね。…貴方との最初のやり取りで2人の今の状況もある程度把握できましたのでこの辺でおいとまさせていただきます。」

どの道、主導権を握られてる以上、すんなり情報を渡してくれるとは思えない。これ以上は不毛と判断し、足早に立ち去りハーマイオニーと合流した。

 

(そういえば普段の雰囲気とは違った・・・)

言うならば小物臭のする小悪党。三下。チンピラ。

今回のが彼の地なのだとするならば普段の彼は()()()()()()()()()()()

 

いいや、違うと自問自答をして頭を振るう。

足手纏いの案山子が近くにいないからか・・・

 

(そんな装備(取り巻き)で大丈夫か?)

お互いに難儀なものね少し同情をした。

 

 

 




ドラコ・・・原作とキャラが違いすぎる('ω')
利用できるものは利用する。表立って敵対していないジェーンを懐柔できないかと考えている。実際、敵寮に内通者とか居れば行動しやすくなりますしねw

ジェーン・・寮同士のしがらみに対して無関心、中立地帯(図書室)に居る為争いとは無縁だった。(暴れれば摘まみ出されます)ぶっちゃけ後世にいざこざ残すなよカス!と思ってるよ!因みに相手が仕掛けてきたら勿論、(個人への闘争)と判断して喧嘩買います!

一同・・・十中八九、車乗って学校目指してるだろう。現状どうする事も出来ないしどうにでもなれよと思ってるよ!

やっとホグワーツに入れるw
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