「助けてくれ・・・もう、限界なんだ」
「今更、ならば何故引き受けたんだ」
涙と鼻水で顔をグシャグシャにした男に寄り添わられてうんざりしたように返答する少女
「仕方なかったんだ、他に方法はなかった」
「その結果貴方は全てを失う。どう考えても手遅れ「見捨てないでくれ!君だけが頼りなんだ」」
君が了承するまで離さないぞとすがる男。少女はその気迫を別の努力に向けなさいよと再び呆れる
「・・・・はぁ、いいでしょう。取引をしましょう。そんなに身構えなくても取って食ったりはしないさ・・・」
「・・・・今はね」
男には手を差し出す少女の姿が天使の様に見えた。少女は鏡に映る自身の姿を見て(まるで悪魔のようね)と嗤った
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ハロウィン。10/31、この夜は秋の終わりを意味し、冬の始まりでもあり、死者の霊が家族を訪ねてくると信じられていた。死者の魂は、幽霊や妖精、悪魔などの姿をしており、家に戻ったときに機嫌を損ねないように食べ物や飲み物を用意しておくのが伝統である。
だけど考えてみて?魔法使いにとってゴーストは別段特別な存在ではないの。ホグワーツにも各寮にも1体ずついるし、なんなら魔法史の先生もゴーストよ・・・そうね、私達にとっては彼らは恐怖の対象ではなく身近な存在であると言ってもいいかもしれない。
仮装?魔女もゾンビも吸血鬼すら実在するの、別に私達はそのままでいいんじゃない?
だから、私達にとってハロウィンは死者を尊ぶという意味合いは薄くただのお祭り程度の認識くらいしかないのかな。
そして、ゴースト達が自身が肉体を失った日を祝うという絶命日パーティー。
生きているうちにこのパーティーの招待が来るなんて中々ないと思うの・・・そうね、ハリーに誘われたってこともあるけど好奇心に抗えなかったって言い方が正確かしら。
私の予想とは違った?ええ!勿論ですとも!
死者の為のパーティーよ?私ったら少し考えれば分かる事なのに、きっと招待されて浮かれてたのでしょうね。
音楽は黒板を引っ掻いたような不快音。並べられた料理・・・魚料理は腐り、チーズはカビが生え、肉料理は?ええ、蛆がわいていましたとも!出てくる食事にまともな物なんて何一つなかったの!
ゴーストは生前に比べると感覚が鈍くなるから
うん・・・分かってるわ。当時の状況を聞きたいのでしょ?今から話すわ。
今言った通り、パーティーは散々だったわ。大勢のゴーストが集まったせいで室温は氷点下以下!何も食べれるような物は無く、蓄積された疲労もあって・・・
ハリーがズリズリと壁を伝って歩いていくのも不思議には感じなかった。
たしか、一階のホールに出る階段を登っているときだった、ハリーが突然立ち止まって「あの声だ!聞こえる!」って言って突然走り始めたの。
「うん。ハーさんちょっと待って?その言い方だとハリーしか聞こえなかったみたいに感じるけど?」
「ええ、私とロンにはハリーの言う
それで、ハリーを追って一階のホールにでたの、ハリーは辺りを見回した後にそのまま2階へ。
「ハリーは声を
「私達には声は聞こえなかった・・・ハリーはキョロキョロと・・・まるでハリーにしか感じることの出来ない何かが近くに居て、それを追って2階へって感じだったわ。」
ハリーは「誰か殺すつもりだ!」って叫びながら3階へ、鬼気迫るものがあった・・・。
そして、水浸しの廊下。石にされたミセス・ノリス。壁に書かれた脅迫めいたメッセージ。
「早く離れた方が良かったんじゃない?その状況は真っ先に貴方達が疑われる・・」
「できなかったの・・パーティーが終わった生徒達が3階の
「でも、おかしな話よね?犯人は何所へ逃げたのかしら?周辺の部屋もあの後先生達が捜索してたのよ?」
「それが分からないから貴方に相談してるのよ~」
ため息と共に項垂れるハーさん。
その他の生徒達からするならばハロウィンの会場にはハリー達の姿は無く、ゴースト達から離れた後から発見されるまでアリバイは無し。逃げ場がない状況での第一発見者と・・・・
サラサラと黒い背表紙のメモ用紙に犯行時の状況を書き込みながら情報を整理する。
「もう、ハリーが犯人でいいんじゃない?「それ、本気で言ってる?」いや、ちっとも!!」
犠牲になったミセス・ノリスは未だに石のまま。マンドレイク回復薬が出来るまで慎重に
少なくてもハリーにはダンブルドアが解呪出来ない様な呪いを使えるとは思えない。一年の時、一緒に禁書コーナーに立ち入った事があったけど・・・それを踏まえても不可能なんじゃないかな?
「強力な呪いである事は確かね。教師陣、少なくても上級生と思うのが妥当。2年生になったばかりの生徒に使える呪いとは思えない。」
「伝説の通り、秘密の部屋の怪物の仕業って線は?」
「犠牲になった者は、スクイブであるフィルチの飼い猫、そしてマグル生まれのコリン・クリービー。いくら怪物が強力でも飼い主の指示に従うものじゃないとね・・・継承者は選別がしたいのであって
「私からすれば殺戮も選別も同じ事よ!」
「そうね・・・」
問題はどうやって情報を仕入れたか・・・
「ところでハーさん、貴女なら今年の新入生の家系を把握してる?」
純血、混血、マグル生まれ、様々な生徒が在籍している。今となっては純血よりも混血の家系が多い、そしてそれらは家名が変わるのも
その上で他の寮の生徒を。しかも、情報の少ない新入生の出生を、他の者に自身の目的を悟られることなく知る事は可能なのだろうか?
「どちらにせよハリーではないのは確かね。今は情報が足りないけど。」
「何か分かったら教えて頂戴。それと、ジェーンもいい加減寮に戻って来なさいよ!例え貴方が標的じゃなくても偶然犯行現場に居合わせてしまったら命の保証はないのよ!?」
「分かってる・・・分かってるよ・・・」
「なら「今はレイブンクローの談話室にお邪魔してる」なんで!?」
談話室に入る条件は鷲の彫刻が出題するなぞなぞに答える事。逆に言えば質問に答えさえすれば誰でも入ることは出来るのだ!
当然追い出そうとするレイブンクロー生もいましたが・・・まぁ、知識を誇りとしているレイブンクローは知識で勝てないと分かると静かになりましたよーっと。
「色々と都合がいいのよ・・・・」
「私は貴女の事が心配で」
思い返すと私も何故ここまで意地になってるのだろう・・?ただ・・・
「ロンが石になったら戻ってくるよ」
「冗談でも言わないでよ!」
このままでは釈然としない。
「貴方達の立場は第一発見者になるように嵌められた時点で危ういの。これ以上、周囲から怪しまれないように気を付けてね。間違っても犯人探しなんてしないように!」
大勢の生徒、優秀な教師達、世界最高とまで言われるダンブルドアを出し抜いての犯行。
犯人が一筋縄で捕まるとは思えない。
ーーーーーーーー
ハーさんと別れ、廊下を歩く。
「目立ちたがりのポッターから離れたと思ったら、『穢れた血』の次は『血を裏切る者』ときた・・・付き合う相手は選べと列車内で忠告したはずだが?」
広大な城内、寮が違えば当然行動する範囲も変わってくる。それでも
『穢れた血』はハーマイオニーの事、ならば『血を裏切る者』は誰の事を言ってるの?
一瞬の逡巡、普段なら聞き流す筈の
それを好機とニヤニヤ笑いながら両手を広げ演説を始めるマルフォイ。
「ご忠告どうも。それで、わざわざ自虐ネタを言うために一人で付け回してたの?マルフォイ」
「なるほど、気づいてなかったのか。まぁ、そんなことはどうでも良い。」
「『継承者』の標的となる出来損ない達と共に居るのは何故なんだい?『類は友を呼ぶ』つまりお前も『穢れた血』なのかい?」
「貴方こそ
互いに杖を抜く。ジリジリと間合いを測るように睨み合いながら歩を進める。
「僕こそが
「そんな軽口を聞ける時点で貴方ではない。こんな短絡的な行動をとるのも自分が一連の犯人でないから、だから捕まった所でなんとでもなると思っている。そうでしょ?」
ならば、何故私に余計な干渉をするのか?
「きっと貴方は何所の馬の骨かも分からないぽっと出が目立っているのが気に食わないだけでしょ?」
まるで癇癪をおこす子供のようだ
互いに杖を相手には向けていないがチリチリと張りつめたような空気が一触即発の状況を雄弁に語っていた。
「純血ってそんなに御身分が高いものなのかしら?」
少女は問う
「当たり前だ。貴族は平民達よりも優れているのが世の理」
少年は『そんなことも分からないのか』と自慢げに語る
「良いこと教えてあげる。」
かつて遥か昔、今の様に雁字搦めの法が無かった時代。
人々は自身の自由の為に個人の力を使用していた。でも、その自由が他人の自由と重なり合った時、何が起こったのだろうか?
様々な思惑はあれど結局、万人による万人に対する闘争が始まった。
奪い蔑み殺し合う。
やがて争いに疲れ果てた人々は、個人が力を行使する事を禁じ代表者に自身の力を献上する事にした。
力が無ければ争いは起こらない。互いの主張は公正公平の元、代表者に決定してもらう。
ならば、もし自治区外のよそ者が攻め込んできたら?その為に市民は統治者に権利を譲渡したの
故に、代表者の持つ権力は内部の混乱を治めるものであると同時に
「おわかり?それが貴族であり王であり国家であり法なのよ。責務を果たさず権力の上でふんぞり返るだけの貴族にいったいどれほどの価値があるというの?」
やり場のない怒りで目の前がチカチカする。
そう、何の役に立たない者達。居ても居なくても問題ない害虫なら・・・・
「別に殺しちゃってもいいよね?」
杖を振り上げる
流れるように・・いつもと同じように
当たる事のない狙い?この魔法は命中する。放つ前だが確信へと変わる
スローモーションのように流れる景色、正面のドラコが驚きで口を開け間抜け面している様を鼻で笑いながら呪いを唱える
「アバダ「エクスペリアームス 武器よ去れ」」
自身の手から弾け飛ぶ杖、衝撃で地から足が離れそのまま後方へ。
再び廊下に
「おっと、大丈夫ですか?私とした事が力加減を間違えたようですね。それは良いとして・・・生徒同士の私闘は禁止されていますよ?今回は未遂ということで目を瞑りますが、例の事件で周りが敏感です。くれぐれも
「ミスター・マルフォイ。もうすぐ授業が始まります、先に行きなさい。私はこの子を医務室に運びますので」
ーーーーー
「医務室は必要ないです。」
「そうですか、無理はしないで。立てますか?」
差し出された手を取る。
なんで私は・・・?この程度の事で人を殺そうと思ったのだろう・・・
「ありがとうございます。ロックハート先生が間にあわなければどうなってたかと思うと・・・」
「ええ、私だってカッとなる時もありますですので。ええ、学生時代の時は良く友人達と呪いをかけ合ったものです」
まるで他人の怒りが自身の中に渦巻いている様な?
大したことではないとウィンクするロックハート。
違う!私は私の意思で引き金を引こうとした。
「ああ、ミス・ウィルソン。これは君のかい?」
先生の手にある黒い背表紙のノートが目に入った。
「拾い物です、図書室の本の隙間に挟んでありました。中には何も書いてないので持ち主を特定しようにも出来なくて。とりあえずメモ代わりに使ってたところです」
「では、私の方から持ち主に返しても?」
ヒラヒラとノートを振りながら満面の笑みを浮かべる教授。・・・別に私のってわけでもないし大丈夫だけど
「では、返却お願いします。それと・・その本、あまりいい物とは思えないので気を付けて」
例えるなら禁書コーナーに並ぶような本達の様な歪な気配。
開くと本が絶叫するなんて序の口、表紙を触るだけで手が焼け爛れる物や、開いたら最後、読み手を本の中に引きずり込む様な物まで。
思い返すと、そんな邪悪な物と同じような気配があの本にはあった。
「ご忠告有難う。では、良い一日を!」
だけど、きっと先生の前にはどんな邪悪な物も尻尾を巻いて逃げていくんだろうな・・・そう思えてしょうがない。
癇癪を起し無差別に殺戮するのが革命や聖戦というのならば私はそんなものは望んでいない
忘れるな「私が望むのは復讐・・・」
ミセス・ノリス:石
コリン:石
例のノート:図書館の本の隙間に挟んであったよ!もはや時限式無差別テロ
レイブンクロ-寮:鷹を模した彫像が入口、彫像の問いに答えれれば誰でも入ることは出来る。そんな寮の雰囲気だからこそ他寮の生徒が平然と居座っていても(口論で追い返せないような相手なら)見てみぬふりをしている
時間的には決闘クラブの前