鏡の中のアリス   作:ブルーな雛菊

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今年もよろしくお願いします(/・ω・)/
複数の人物が登場するのでフォントを分けています

「一般枠、この話では地上部隊の統合末端攻撃統制官。コールサイン(グリズリー23)」
『ユーロファイター タイフーン、戦闘機パイロット。コールサイン(ロッキー11)』
「銀髪、銀瞳の少女。(アリス)」
「黒髪、青瞳の少女」
『オーケストラ、オペラ合唱。歌詞』



私は誰だ?
おお、運命の女神よ


「手始めに手ごろな獲物で練習して貰います。」

「彼らは人よりも素早い・・・だけど、車の速度には劣る。」

「彼等は鋼の様な筋肉を持っている・・・だけど、本物の鋼の塊や重金属の複合装甲を貫徹させることの出来る貴方達には些細な違いでしかないでしょう?」

「彼らは魔法を反射する・・・だけど、そもそも魔法を使わない貴方達を相手にしては何の意味もなさない特色と言えます。」

「彼らは巨大だ・・・ね?分かったでしょ?貴方達にとっては相手は唯の案山子でしかないのですよ。」

 

なんなら弾頭に高性能炸薬を込めるのすら勿体ない、コンクリートを詰める程度でも良いくらいよ。

と少女はクスクスと笑った。

ーーーー

 

「ロッキー11へ、此方グリズリー23」

『グリズリー23。こちらロッキー11』

「攻撃中止コードは無しのままでいいか?」

『ロッキー11。攻撃中止コードは無し』

「了解、9ライン受領準備出来次第知らせ」

スタンバイ(準備よし)

 

「タイプ2コントロール、標的に攻撃

IP Mazdaから進入

IPからの目標方位270左へオフセット

IPからの目標距離12.1マイル

目標高度5050フィート

目標は巨人

PG37858490

誘導はレーザーを使用

2km南

退避は左旋回のち IP Mazda へ、高度1万3千から1万4千フィートへ復帰、ライン4と6を復唱せよ」

 

『此方ロッキー11、5050フィート37858490』

「復唱良しリマークスとリストリクションを続ける」

 

岩肌の立ち並ぶ険しい山の中、翼の無い虫達は地に身を隠し様子を伺う。

レンズ越しに見える景色。

生物的にも上位に君臨するその存在達に、不運にも遭遇してしまっていたならば、その者は悲惨な末路を辿ることになっていただろう。

魔法使いであれ、マグルであれ、戦闘訓練を受けていない一般市民が単純に巨人達の縄張りに侵入してしまった末路でしかない。

つまり・・・当たり前に訪れるであろう結末は『今回』には当てはまらない。

 

『ロッキー11攻撃侵入、方位030』

「グリズリーからロッキー11へ、攻撃を許可する。」

『ロッキー11、了解』

 

彼等は自ら魔法を使うことはない。

それは、使()()()()のではなく、学ばなくてもその手を振りかざせば全て解決する事を知っているからだ。

彼等にとっては物事を解決するために何時間も講義を受け、魔法を身に着ける事など無駄な労力でしかない。

 

彼等は魔法を使うことはない。

正しくは、『魔力がない・魔法を理解する知能がない』のではなく『覚える必要性を感じない』のである。

その証拠に、彼らの血には人間の魔法使いが放った呪文を反射する程の濃密な魔力が流れている。

 

『投下完了。着弾まで18秒』

 

彼等にとって魔法は脅威になり得ない。

攻撃魔法・魔法で発生させた火炎。あらゆる魔法をも反射し有効打には程遠い。

ならば物理攻撃はどうだろうか?

否、巨人相手に人が剣を振るったところで一寸法師が鬼を針で突いた程度のダメージしか与えられない。

対する相手は体長7.6m、振るわれる手は一撃で建物すらも粉砕する。

 

眠れる巨人を起こすべからず。

それが、魔法使い達の共通の認識であり、常識である。

故に大戦の時には自軍へ引き込もうと、死喰い人が命懸けで交渉へ赴いたという過去すらある。

 

つまり、兼ねてより彼らにとって脅威となるものなど存在しなかった。

今日、この日までは…

 

ーーーーー

 

ホールの照明がおとされ、舞台だけ明々と照らしだす馬蹄形のコンサートホール。

一回の観客席、2階のボックス席、共に満員。

幕が上がるその時を待ちわびるかのように辺り一帯に静寂が漂っている。

 

「失礼、お隣の席・・・ご一緒してもいいかしら?」

唯一、空席があるのは2階正面。

 

「その席は私の取引相手の為に用意した席です。ご遠慮ください。」

「かつて王族が使用していたであろう特等席をまるまる貸切って?随分太っ腹ね?」

 

銀髪の少女は同意なく隣に座った少女に視線を送る。

濡烏の様な干渉色の浮かぶ腰まで届く漆黒の長髪。

横顔を見ただけでも整っている事が窺い知れる、そして東洋人には見られないような青い瞳。

何より、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の少女にアリスは苦虫を噛み潰した様な表情を作った。

 

「衣擦れ音さえ耳に届きそうな静寂の中、これだけ雑談しても誰も気にも留めない。便利なものね・・・()()って物は。」

「私は、私と同じような存在が非魔法族(マグル)にも居る事が残念に思いますよ。」

 

クスクスと鈴を転がす様な声で笑う黒髪の少女。

「仕方ないですわ、少佐殿は16時から空手の稽古ですもの。ですが、少佐からはこれからの案件は私が適任だと任せられているんですよ?」

「だといいけど…」

 

少女達の雑談をよそに、舞台の幕は上がる。

指揮者は台に立ち指揮棒を振るう。

 

O Fortuna,(おお、運命の女神よ)

velut luna statu variabilis,(お前は月の様に絶えず姿を変え)

semper crescis aut decrescis; (満ち欠けを繰り返す)

管弦楽団の奏でる音色、圧倒的な声量で周囲を圧倒する合唱。

 

「オルフ、カルミナブラーナ・・・『おお、運命の女神よ』」

「ええ、修道院で発見された詩集を元にカール・オルフが作曲した曲よ。この曲にはかつての時代の風景が刻まれている。」

 

愛と自然、愛の喜びと苦しみ。宴会、遊戯、放浪生活。そして、時代と風俗に対する嘆きと批判。

この曲には、当時その時代に生きていた者達の思いが込められている。

 

vita detestabilis(このイヤな人生は)

nunc obdurat et tunc curat (抑えつけたり、宥めたり)

ludo mentis aciem,(いつも気まぐれで)

 

「運命の気まぐれで人間としての権利も自由も命さえ左右される・・・まるで今の私達のようね?」

 

魔法族はマグルを見下し家畜の様に扱う。

時に騙し、時に道化の様に痴態を晒させ、指を差しその姿を嗤う。

無知で、無力で、愚かな・・()()()()()()()()()

 

egestatem, potestatem(貧困も、権力も)

dissolvit ut glaciem. (氷の様に溶かしていく)

 

「私達は貴方達の尊厳を踏みにじり、命さえも奪う。そして、償うこともなく何気ない日常に戻っていく・・」

国際魔法機密保持法によりマグルが魔法界の戦闘に巻き込まれた場合、その犠牲者、関係者は記憶を改ざんされる。

隠蔽は様々だ。

時にガス爆発、または違法建築により建物の崩壊、あるいは飲酒運転による人身事故と記憶を操作し処理するかもしれない。

魔法界は起こった事故の理由に≪魔法≫が関係していないならば何でもいいと思っている。・・・そのでっち上げた理由で更なる犠牲者が発生するにも関わらずに・・だ。

 

Sors immanis et inanis, (おぞましく空虚な運命よ)

rota tu volubilis, (お前は回転する車輪の様に)

status malus,vana salus semper dissolubilis,(悪意に満ち、幸福を無にする)

 

「私は・・・それが気に食わない

何がマグル保護法か?

その法律で一度たりとも護ることが出来たためしも在りはしないのに。

何が無力で守らなければならない存在か?

 

obumbrata et velata michi quoque niteris; (影に隠れて私を苦しめる)

魔法界が無力と嘲笑うマグル達は治安を守る為に活動する警察か?それとも、自国を守る為に厳しい訓練を受けている兵士達か?

武器も持たない一般市民を虐殺して、兵士たちが駆けつけた頃にはその場には居ない。

私達のしている事は、見つからないようにコソコソと悪事を働く小悪党のそれでしかない。

はたして、まともに戦った事もないのに彼らを無力と呼べるのだろうか?

マグルは守るべき存在?その考えこそが傲りとも言える。

魔法界が想像している以上に彼等の技術は発展し、魔法との隔たりは年々縮まってきている。

 

「かつて、魔女狩りが行われていた時代。マグル達は魔法使い、無実の非魔法族、関係無く捕まえ火炙りにかけていました。その姿に心を痛めた魔法族は非魔法族の前から姿を眩ませる事を議会で決定させた。」

 

いい話ですよね?と銀髪の少女は笑う。

我が物顔で君臨し、民衆の不満に火が付き始めたら慌てて逃げ出した。

そして、そのまま隠れておけばいいものを、時代の端々で姿を表し甚大な被害を残し去っていく。

だからこそ、ハッキリとさせないといけないこともあるのですよ…と意見を吐き捨てる。

 

「私達と貴方達。文化も歩んできた歴史も違う。もしも戦争になったら当然、貴方達が有利に事が進むことになると思います。・・・それでも、貴女は我々に価値を見出したのでしょ?」

 

「我々の出来る事は銃弾の無力化。精密機器の動作不良。無意識下での人避け。魔法薬による変装、情報収集。長距離を一瞬で移動する機動力。数え上げればきりがないですね。ですが、それらは貴方達が魔法をどういった物か把握してないという、情報の優位性によるものだと考えます。だから貴女達には・・・・」

 

Sors salutis et virtutis michi nunc contraria,(運命は健やかさも、力強さも奪い)

est affectus et defectus semper in angaria.(私を渇望と失望のとりこにする)

 

「私達の殺し方を教えてあげる。」

 

「・・・理解できませんね。貴女達には何のメリットもない筈です。一体何が目的で自ら破滅に向かおうというのですか?」

「私は平和が好きなんですよ・・・」

 

魔法族とマグル。積み重ねた歴史は既に、調整できないほど天秤を傾けてしまっている。

終わらない戦い、いつまでも続く差別。そして、いつの日か戦火は広がる。

ゲラート・グリンデルバルド。トム・マールヴォロ・リドル。臭い物に蓋をしたところで匂いは無くなっても汚物が消えるわけではない。

いつの時代か、必ず戦争は始まる。

ならば、いっその事・・・・

 

答えの無い答え。

それでも分かる事が出来たのか黒髪の少女は問う事もなく静かに目を閉じた後、舞台の劇に目を向けた。

 

「運命は強者をも打倒するのだから・・・」

「そうですね・・・貴女達の手から零れ落ちた火の粉は私達にも降り注ぐ・・・これは、貴女の戦争であり、私達の戦争でもある。」

 

舞台では女王が民衆を虐げ、踏み躙る。

そして、怒り狂う民衆が王に反旗を翻す様が劇場の中で繰り広げられていた。

 

mecum omnes plangite!(皆の者、我と共に共に嘆こう)

 




敵勢力
巨人部族10名前後


使用した兵器一覧

近接航空支援
ユーロファイター タイフーン 3機編成
ペイブウェイ II 1000ポンド誘導爆弾

AH-64D アパッチ・ロングボウ 2機

支援火力
L16 81mm 迫撃砲 3門

航空爆弾→迫撃砲と戦闘ヘリによる掃討→逃亡した巨人を再突入した戦闘機で殲滅
※9コードの座標、高度、部隊編成などは結構出鱈目な数値になってるかと思いますがド素人なので許して!!
山間部ですので地上部隊のアプローチが大変かなと思った次第です。

ーーーー
アリス:情報提供者
黒髪の少女:とある特殊部隊出身。マグルだけど魔法使いよりもヤバい奴。(別シリーズでもオリ主として活動中(; ・`д・´))
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