相変わらず部隊構成とか良く分からないですので!頭空っぽにしてお楽しみください((( ;゚Д゚)))
「此方エコー、ポイントゴルフに到着。各員状況を報告せよ。」
『リマ、配置についた』
『シエラ、到着まであと2分』
『ケベックいつでも行ける』
「
『了解』
ウエットスーツを脱ぎ捨て、闇夜に紛れる様な黒塗りの装備を身に纏う。
一見、宇宙服の様にも見えるレベルAの化学防護服。
耐穿刺性ポリプロピレン、プラスチックポリマー、ネオプレンなどの素材をふんだんに使用された防護服は、お世辞にも動きやすい物と言えるものではない。
少女はトリガーガードの外され、薬室に銃弾を装填されていない銃を握り、分厚い手袋の上から引き金を絞る動作した後に形の良い眉をハの字に歪めた。
「今回使用する特殊武装はとても凶悪だ。万が一症状が出だしたら速やかにアトロピンを体内に注入しろ」
「時間だ、始めろ」
幼児向けのサンダルの様に歩くたびに『キュッ!キュッ!』となる自身の足音に何とも言えない表情を作りながら少女は闇夜の中に溶け込んでいった。
ーーーー
ハリーは初めて
好きな時に起き、好きな時間に寝る。食べたい物を食べれるし、退屈したら魔法使いの繁華街・ダイアゴン横丁へと赴くことも出来る。
つい最近までプリベット通りの従弟の家で、自分の部屋に閉じこもってコソコソと宿題を済ませていた生活とは、まるで別世界といっても過言ではない。
時間が経てば経つほど、自身の置かれている状況も奇妙に思えてくる。
ハリーは死んだ両親を馬鹿にした親戚を、
去年(屋敷のしもべ妖精がハリーに冤罪を掛けるために魔法を使用)の際はどんなに弁解しようと問答用無用で再度の(未成年の学校外での)魔法使用は退学と警告の手紙が送り付けられてきた。
去年と今年の2アウト。当然、
ところがどうだろう?蓋を開けてみれば『あれは事故だった!おばさんを膨らました廉でアズカバン送りにすることはない!』現魔法大臣、コーネリウス・ファッジはそう言い切ったのだ。
ハリーは手紙を書いた。エジプトへ家族旅行しているロンや、フランスへ観光を満喫しているハーマイオーニーではなく、ハリーの国・・・イギリスに居るであろうもう一人の友人へ。
その夜に体験した不思議な事・・・おばさん風船事件、ナイトバス、漏れ鍋での魔法大臣の待伏せとハリーへの処罰について。
数日後、ヘドウィグが運んできた手紙。
今や今やと待ち望んでいたハリーは早速開封をし、目を通した。
ハリー、お元気?
・・・と聞いていいか微妙なラインではありますが、ひとまず学校を退学にならなかった事、事故に巻き込まれる事無く無事に漏れ鍋に辿り着けた事を嬉しく思います。
初めにお説教みたいな事は言いたくはないのだけど、仕事でも、学問でも、スポーツでも、本当に大切にしたいと思うのならば、凶行を行う際にその手段を使用するのは止めた方が良いと思うの。
程度はあれど記憶と罰は貴方の身に纏わりつく。魔法が楽しいと思っていても、使うたびに最悪の記憶が蘇って苦しいと感じる様な事には・・貴方もなりたくないでしょ?
とは言っても、貴方の気持ちも分かるから『身を亡ぼす様な無茶は止めてね?』とだけ言わせてほしいです。
手紙で貴方が疑問に感じてた、退学処分の隠蔽の私の見解を述べます。
貴方の起こした事件に対して魔法省から派遣された職員は『魔法事故巻き戻し局』の職員の2名だけ、その事件から数日経ちましたが日刊預言者新聞にも貴方の起こした
必要最小限の人数で、無駄に事を荒げないように・・・つまり、魔法大臣は
この手紙に添付した新聞の切り抜きを見て。凶悪犯が脱走したという事は、マグルのTVでも放送があった事ですし貴方も知っているかもしれないわね。
問題なのは、この凶悪犯が魔法使いで、難攻不落と言われてるアズカバン(魔法使いの要塞刑務所)から脱獄したということなの。
この脱獄犯は過去に、マグルの行きかう大通りを魔法で吹き飛ばして13人を死傷させた正真正銘の悪党・・・自由になった今、何をしでかすのか誰も予想できない。
そんな中、良くも悪くも貴方がマグルに対して違法に魔法を使用した上に一人で逃亡しているって知った魔法大臣は気が気じゃなかったでしょうね・・・
唯でさえ監獄の警備体制の見直し、逃亡犯の確保、その為の情報収集や指名手配を行っている最中に貴方が危険な街中に居るって情報が入った事でしょうから。
貴方、自身の『英雄』としての価値をご存知?貴方に万が一のことがあれば『魔法省の対応は最悪だ!』って大勢の民衆が大挙をなして魔法省を包囲する事になるわ。
そう思うと、マグルのおばさんを膨らませた事なんて些細な事よね。
魔法省にとっては行方をくらました貴方の安全確保が最優先。つまり、そういう事なの。くれぐれも
私も近直、新学期の準備の為にロンドンに向かうわ。貴方の変わらない元気な姿を見れる日を楽しみにしています。
ジェーンよりーーーー日々の健康と健勝を祈って
ハリーの行動を注意しながらも心配している・・・実にジェーンらしい文だな、とハリーは笑みをこぼした。
同封されてた新聞の切り抜きは2つ。
一つはナイトバスで車掌のスタンがハリーに見せてくれたものと同じもの。
ブラックいまだ逃亡中
と一面にでかでかとシリウス・ブラックの顔写真と魔法大臣の対応やコメントが記された記事
もう一つの切り出しは、どこかの廃墟からモクモクと黒煙が立ち上っている記事だった。
記事の日付は昨日、見出しには・・・
魔法使い刑務所・アルカトラズ崩壊、ブラックの襲撃か!?
昨晩、魔法使い要塞監獄アルカトラズが襲撃され、受刑者、看守含む80名の生死を確認できないという前代未聞、大胆不敵な犯行が行われた。
アルカトラズは近年、人権問題になっている軽犯罪者のアズカバンへの収容、その対策として新設された刑務所だ。
この島は過去にマグルが監獄として使用していたが、食料品等の物資の運搬コストの増大など経営難から閉鎖されたものを魔法省が買い上げ、改築した監獄だ。
犯行には極めて強力で危険の伴う闇の呪文、『悪霊の火』が使用されている事が当局の捜査で明らかになった。
等刑務所は受刑者を留置する施設として、『姿くらまし』『姿現し』は使用できない様に対策が取られている。
また、島を囲む様に放たれた『悪霊の火』と合わせて、パニックになった受刑者による暴動が内部で行われ、看守の状況対応を上回った為に被害が拡大したとみている。
魔法大臣であるコーネリウス・ファッジはこの件に対して、
『一連の犯行は、ブラックの手によるものとみて間違いない!この犯行を見て分かる通り、ヤツにとっては味方も敵も無い!』
と怒りの言葉を残している。
ブラックが脱獄不可能とまで言われたアズカバンから逃亡し、既に1週間が経過した。魔法省の威信を掛けた追跡も、結果は虚しく未だにブラックの足取りも掴めていない状態だ。
魔法省はブラック確保に繋がる情報提供に懸賞金を掛け、魔法界、非魔法界問わずに情報提供を募っている。
─────
険しい山脈に建てられたヌメンガード城、大洋のど真ん中に存在するアズカバン。孤島に建てられたアルカトラズ。
凶悪犯を収容する監獄には人里から離れた場所が好ましい。
それは、一重に脱走した際に周囲の被害を軽減するという意味合いでもある。勿論、簡単にアクセス出来てしまっては意味がない。したがって姿現し、ポートキー等の対策は必須である。
周囲とは隔離された世界。
皮肉にもマグルが建設した刑務所の環境はマグルから身を隠さざる得ない魔法使い達には適した環境はであると言える。
「ブラック様々だよな!」
巡回から戻った看守が守備室に戻るなり、唾を床に吐き捨てる。
とても政府の役人『闇払い』とは思えない態度に俺はタメ息を漏らした。
「何が不満なんだ?囚人は大人しく、Tvでラグビーを観戦するだけの平和な日々じゃないか。」
「知らないのか?ブラックがアズカバンから脱走した!」
そんなことは世界から隔離された地、このアルカトラズ島でも把握してる。
「それで?監視体制の見直しでこのアルカトラズ島にも監査が来ると思ってるのか?」
この刑務所は他の刑務所とは勝手が違う。
アズカバンの様に、気味悪く不浄な看守の餌として囚人を放り込む訳でもない。
ヌメンガードの様に精鋭の闇払いが24時間体制で警備しているわけでもない。
ここは政府の息のかかった
「新入り、分かってないようだから教えてやる」
お前が逃亡犯だとしてブタ箱にぶちこまれるならば、入ったならば最後、数年で冷たくなって出所出来る刑務所と、外を出歩く事や杖の携帯は出来ないが所内での自由は認められているグループホームみたいな施設。どっちがいい?
俺だったならば断然後者だね!
追い回される自由か、何一つ不自由のない監獄か?
さて、問題は悪事に手を染めた上院議員にも同じ事を考えたヤツが居るらしい。
勿論、そんな都合の良い監獄なんてあるわけがない。ならば、作ってしまえ!
そうして此処が出来たって訳だ……
お前も囚人を見て分かっているだろう?
あいつらは囚人であり、お客様なんだ。
快適な生活を行い、刑期が終われば罪を精算したとして
晴れて自由の身。
誰もが大枚をはたいてでもこの刑務所に入りたがるさ。
勿論、大臣様々も知っている。
今まで足取りの掴めなかった逃亡犯が次々と自首してきたんだからな。
魔法大臣もさぞや鼻が高いだろう。
凶悪犯を捕まえ、平和に貢献したとして支持率も上がった事だろうよ。
「理解したか?ここは奴らにとっても楽園で、わざわざ抜け出そうなんてヤツは居ない。囚人は顧客で政府や雇われの俺達はその金で飯を食ってるんだ。政府の視察?そんなもの1日だけ、いつものように
新入りは説明を理解したのかしてないのか…再び唾を吐き捨ててエールをあおった。
こんな施設だからこそ数少ない戦闘訓練を受けた本物の闇払いなんて派遣されるわけがない。派遣されては囚人も、政府としても都合が悪い。
だからといって、こんな質の悪いチンピラみたいな人間をこの仕事に配属するのも考えものではあるのだが……
「おい!お客様がシャワールームでお呼びだぞ。どうせ
「糞が!」
「くれぐれも行儀良くしろよーそうすりゃチップでも恵んでくれるだろうよ!」
瓶を片手に悪態をつく看守。その後ろ姿に皮肉を込めて仕事を押し付けた。
煎餅片手にマグルのTVでラグビーを観戦する。
魔法使いにとって魔法由来の道具が身近にあること程危険な物は無い。
魔法刑務所という事もあり使用されるものは極力、魔法を使った物は排除されている。
とは言ってもマグルの残した無線機の使い方も分かる訳もなく大半は唯のアンティークに成り下がっているのが現状ではあるが。
試合が終わり、紅茶を啜ったあとにふと思い出す。
「あの
看守が既に守備室を出て40分は経過している。
看守長は重い腰を上げざるをえなかった。
誰も入っていない見せかけの牢獄(居住スペースは拡張魔法で設けてある)を抜け大浴場へ。
脱衣室へ入る際に看守長は違和感を感じた
脱衣所から見える開けっ放しの戸、その先にある浴室は湯気で奥までは見えない、鳴り続けるシャワーの音
何より・・・『人の声がしない』
杖を取り出し構える。
看守が溢していた「ブラックが逃亡した」という愚痴が脳裏を過った。
奴の目的何て分かりはしない。俺は狂人じゃないんでね。と普段なら笑い飛ばしていただろう。
だが、今になってそのことが頭から離れない。
(もし、奴に明確な目的があってアズカバンを脱獄していたのならば?)
アズカバンを警備する看守は人ではない。囚人から幸せな感情を抜き取り、最悪な記憶を見せつける。
やがて囚人は生きる事を諦めてしまうのだ。
(そもそも、意志の弱い奴は数カ月で自殺する。それなのに10年もの間あの場所に服役してる事が異常なんだ!)
明確な目的がある。看守長の中でその考えは確信へと変わる。
(一体どんな目的が?)
そんなの考えなくたって分かる。奴は闇の帝王の腹心だった。どうやって捕まった?
敵対する魔法使いを殺す為に大通りでマグルごと
それじゃ、
ブラックを忠実なる僕とするなら、ここの囚人は主人を見限り、政府に首を垂れる
自問自答の中で見つけた答え。そして、濃い湯気の隙間から覗く倒れた人間の足を確認した看守長は中の惨劇を見届けることなくその場から走り去った。
ーーーー
「魔法は万能のようでそうではない。例えば最強の防御手段『盾の呪文』」
「一つの呪文を除いてあらゆる脅威から身を守ることの出来る呪文です。さて問題です、『あらゆる脅威』とはどこからどこまでの事でしょう?」
例を挙げるのなら私達の身近にある『空気』これが複数の気体が混合したものという事はご存知かと思います。(魔法使いの中にはこれすら知らない人もいますけどね)と銀髪の少女は笑った。
窒素7.8割、酸素2割、残りをアルゴンや二酸化炭素、その他諸々で構成されています。
酸素の比率が少なければ人間は『酸素欠乏症』となり筋力低下、意識喪失、死亡と弊害が起きます。
逆に酸素が多ければ安全か?体に無害な酸素だけを盾の魔法内部に通そうとすると結果的に高濃度の酸素が形成され酸素中毒になる。
「私達は『空気』という概念を理解して、その中にある『あらゆる脅威』を排除しているわけではありません」
それじゃ、もしも無色無臭、少量でも容易に意識を刈り取り死に至らしめる、自然分解には時間がかかり、皮膚に付着しただけでも効力を発揮する毒ガスが室内に流されたとして、魔法使い達は『自身の脅威』を理解して対処が出来るか?
「答えはNOですよ」
大勢が何が起こったかも分からずに死亡する。
仮に把握したとしても毒に侵され、口の端から白い泡が噴き出し呂律の回らない状態で魔法を正しく唱えれるのでしょうか?
激痛、痙攣、途切れそうな意識の中最善の行動をとれるのでしょうか?
「つまり魔法使い達は『自身が脅威に思った物』に対して防御出来るけれどその正体が分からなければ貫通できるというわけね」
「なりふりを構わなければいくらでも手段はありそうですね。自身の家を焼く覚悟が出来ているならばの話ですが。」
看守長は走った。
目的地は医務室。
40分前に送り出した看守の他にも複数の囚人、看守が大浴場に居たにもかかわらず一方的に虐殺されていた。
考えられるのは強力な毒薬を水道に流し込まれた・・・・
毒ガスの充満した浴場近くに居る自身も唯で済むとは思えなかった。
既に痙攣し始める足を引きずって。
「魔法界にはあらゆる毒物を解毒できる万能薬となる物が存在します」
医務室からガラスの割れる音が鳴る。
看守長は部屋に飛び込むと同時に呪文を放った。
「だけど、それは大量に生産できるようなものでもない」
ベゾアール石を握りしめたまま、驚愕の表情を浮かべる看守の手から石をもぎ取り、その石を飲み込む。
「残念だがお前は手遅れだ!」
「どんなに魔法使いが高貴な存在と説こうが、中身は薄汚い人間であることには変わりはない。」
魔法族、非魔法族以前に人間であるのだとアリスは笑う
「初手で施設の大半は機能を失うでしょうね。残りは異変に気付いた囚人、看守を処理していく作業になりますね」
杖の無い魔法使い程、無価値なものはない。彼らは武装したマグルを目の前にしてもきっと鼻で笑うでしょうね。自分自身も、杖が無ければ何もできない糞虫にも関わらずにね?
『此方リマ、守衛室を確保。』
「了解、モニターを監視、警備に注意を払え。」
『了解、現存する脅威を転送する』
「とはいっても戦闘態勢に入った魔法使いを相手するのは細心の注意が必要でしょうね?」
黒髪の少女の問いに銀髪の少女は無言で頷く。ならば、警戒態勢に入られる前に可能な限り数を削ることが重要ねと黒髪の少女は結論を出した。
隠密、誰にも気づかれる事無く無音で処理を行っていく。
銃口につなぎ合わされた
いくら音を押さえる事が出来るとしても生活音で誤魔化せる範囲を優に越している。
まして、密閉された室内では余計に目立つ。
杖を構えて前進する魔法使いを、廊下の角で待ち伏せし、杖を掴み取り捩じ上げる。
とり落とした杖を足で蹴飛ばし、胴体に黒塗りのナイフの刃を突き立てた。
くぐもった声を上げよろめく看守、態勢を崩しのけ反った体。その場でたたらを踏んだ看守の太ももに少女は足を乗せ、踏み台がわりに宙を舞う。相手の頭を掴み、少女の膝は看守の顔面に突き刺さる。
魔法に頼ってばかりの魔法使いが、魔法の無い世界で戦い、研鑽してきた技術に対抗できるのか?
この結末も当然の結果と言える。
廊下に崩れ落ちた看守の喉をナイフで切り裂き、少女の姿は再び闇の中に溶け込んでいった…。
『此方シエラ、コンタクト!』
「エコーより各員へ、フェーズ3へ移行!兵装の使用制限を解除」
「貴方達の話を聞いていると、魔法界由来の生物には強力な魔力が宿っている見ていいのです?」
「肯定よ。魔法使いの杖には魔法生物の素材が含まれている。その素材を用いて魔力を増幅、制御を行っているの」
「それならば先日仕留めた巨人の骨を弾芯に、血肉を混ぜ合わせた鉛を流し込み、その上を真鍮で覆い、ルーンを刻んだ特殊弾は対魔法使いに効果が出ると思いますか?」
「ルーンを刻んだだけでは意味が無いの。貴方達の銃から放たれた弾丸は魔力を流さない限り鉛玉以上の効果は出ない筈よ?」
「あら、魔力ならちゃんあるわよ?」
少女は両手を顔の前で合わせてにっこりと満面の浮かべる
「魔力ならちゃんと
口径5.56mmの銃口から放たれた特殊弾は室内の空気を裂き、盾の呪文を展開する魔法使いへと向かう。
弾丸が
看守長は目の前で起こった現実に目を疑った。
無力と嘲笑っていたマグルの兵器に貫かれ、同僚が倒れた・・・信じられる筈もない!
きっと、盾の呪文を解いた瞬間を撃ち抜かれたんだ、間抜けな奴め。
壁の裏に身を隠し、姿の見えない襲撃者。
数少ない生き残りである同僚の2人に、襲撃者を包囲するように指示を出す。
正面、左右に分かれてゆっくりと回り込む。
「投降しろ!シリウス・ブラック!!貴様は完全に包囲されている!」
「大人しく降伏するなら身の安全は保障しよう!」
当局に引き渡すまでの間はな・・・・
「此方シエラ、包囲されている援護を頼む」
『エコー、10秒で到着、タンゴ3をやる!』
『ケベックだ。タンゴ1いつでもいける』
「カウント3」
盾の魔法を展開しながらゆっくりと包囲する看守。
自身の心臓の音が聞こえてきそうな静寂の中、『パリン』とガラスの割れる音が背後の窓から聞こえた。
左に回り込んでいた同僚と目があった・・・胸に穴が開き、その目は驚愕で見開かれている。
銃声、正面に目を戻すとブラックが身を隠していた壁に、複数の小さな穴が開いていた。右から『ドサ』と倒れこむ音が聞こえる。
もう、状況を確認する必要すら感じない。咬み合わせた歯がガタガタと鳴り響く。
胸に違和感を感じ、視線を下げてみる・・・ナイフを持つ子供の手の様なオブジェが自身の腹部から生えていた・・・・・
「綺麗な炎ですね、何もかも……灰に変わっていく」
轟々と燃え盛る炎を前に的外れな感想がもれる。
魔法の獄炎は毒ガス、薬莢、脱ぎ捨てられた化学防護服や魔法使いの戦闘ではあり得ないような蜂の巣になった死体をも……全て灰に変えていく。
それは、証拠隠滅の為。
それは、空白のピースを作り追憶者に都合の良い過去を予想させるためのもの。
全てが灰になった後、彼等は悪霊の火を使われた事のみを把握する。
足りないパズルのピースを勝手に想像し、無理やり押し込み、一枚の絵を完成させる。
こんなことが出来るのは凶悪犯、シリウス・ブラックだけだ!ってね………
「昔は私も夢を実現できる不思議な力…なんて思ってました」
「今は違う?」
まるで肯定するかのように空白の時間が流れる。
「もうじき魔法省が事態を察知し、駆けつけてくる」
でしょうね、とそれまで無言で待機していた隊員に撤退の合図を送る。
「また会えるかしら?」
まるで親しい友人へ話しかける様に黒髪の少女は問いかけた。
「いいえ、もう会うことも無いでしょう
銀髪の少女は悲しみも喜びもない無機質な瞳を少女に向けながら返答する
そう、それは残念ね
「でも、案外世界は広いようで狭いものよ?また会いましょうエイシー」
と微笑みを残して………