ご存知?と少女が老人に問う
ホッブズ・1588年にイングランド生まれ。
社会契約に基づいた国家の理論を確立した。
老人が答える
ご名答。パチパチと拍手を贈る少女。
昨今では義務を果たさず存在するだけで偉いと思ってるお馬鹿さんもいるみたいですけどね?と少女は笑った
話をこの場に出したのはその在り方が私に似てるなと思ったからです
人々が願い、叶わずに破り捨てた夢。それをかき集めて一つの形にしたモノ
個人、国家、力の在り方、大衆心理
人々は集められた強大な力を一匹の獣に例えた・・・
獣の名前は・・・リヴァイアサンという
一人一人に物語があり、誰しもが主人公であり脇役
故にキングが詰まれても残った駒達の物語は進む
ハリーが敗れた未来?ヴォルデモートにとってはそれは通過点でしかない。元よりマグルの排除を掲げて活動していたのよ?障害が無くなったら本来の目的に戻るわ
マグルとの戦争が始まる・・・魔法使い同士がお遊びで杖を振り回し、
数千・数万・数億もの犠牲の出る本物の戦争へと。全世界へ戦火は飛び火する。
帝王はその戦いの結末を知っているのかしら?自身が勝つとでも思ってるのかしら?
迫害されるマグル生まれの魔法使い、混血の進む魔法界で肉親に杖を向けれる子がどれ程居るというのだろう?
裏切り、亡命、技術提供。マグルとの戦争はそれぞれの思惑が複雑に絡み合い泥沼となる
魔法の解析が進み、化学が魔法に追いつけば魔法族の優位性は失われ、加えてABC兵器が解禁されれば地上は廃墟となり果てる
勝者は無く、敗者も居ない。誰も居なくなった世界・・・私が変えたい結末・・・・
だから、
同じ物語を見飽きた神様が、シナリオを書き換えたくなるその時まで・・・
だからこそ思い付きで私と同じ轍を踏もうとする貴方へ言葉を捧げる
「
この世界が誰かが書いた物語なのならば・・・
英雄でも、例え悪役でも懸命に戦い、愛し、憎み、殺し、殺され・・・与えられた役割を綺麗に演じる事が出来れば
次の脚本ではもっとマシな役割を与えられると・・・私はそう信じている
★★★
「そろそろ来る頃だと思ってたわ」
まもなく学期末の宴会が始まる為、ホグワーツに在学する生徒、教師達は大広間へ集まっている頃だろう。
誰も居ない廊下を一人歩くハリーを見かけたジェーンは、あたかもハリーがその時間、その場所を通りかかるのを
「誰かを探してるみたいだと太った貴婦人が言っていたわ。多分、ほとんど首なしニック辺りかしら?」
もう一度シリウスに会えるかもしれない。その希望はゴーストであるほとんど首なしニックの言葉によって断たれた。
「あの人は逝ってしまうでしょう」
ニックは言葉を紡ぐ。
「私は死ぬ事が恐ろしかった」
だから、死を理解するのではなく儚い生の擬態を選んだ・・・と。
彼は自分とは違うとニックはハリーに告げた。
シリウスが勇敢だという事はハリーとて嫌と言う程理解していた。
彼ならば現世に未練などは残さない。ここにゴーストになって留まる事などありえないと。
同時に何かに縋りたいと思っていたハリーは一つの可能性が頭をよぎった。
この
去年、占い学の課題をしている時にジェーンが話した『予測・可能性』
もし過去に戻る事が出来るのならばシリウスが死んだ現在を変える事が出来るのではないか?と。
「ジェーン!丁度君を探していたんだ!」
息を弾ませながら少女へ詰め寄るハリー。
対する彼女もハリーが何を聞きたいのか既に理解している様だった。
ガラス玉の様な銀色の瞳を細めて彼の姿を映す。
その表情は心なしか哀れな者を見るようでもあった。
「手伝ってくれ!今から魔法省へ行って「逆転時計を盗みに行くのかしら?」」
「ハリー、冷静になって。先日の襲撃で魔法省は厳戒体制よ?戦闘の余波で逆転時計は全損。仮に無事だった物が残っていても魔法省は使用許可を出さないでしょうね」
だから手段としては侵入するしかなくなる。
死喰い人が目を光らせている中、魔法省やホグワーツの教師達の目を盗んで神秘部へ忍び込むの?
不可能よと諭すように伝えるジェーンへハリーは「やってみないと分からないだろう!」と気炎を吐く。
「貴方が意地になるのは・・・助けれる可能性があるのに諦めてしまったら
だから、何もせずに立ち止まっている自分に怒りを感じているのかしら?と少女は言う。
「予測の樹形図の話をしたのを覚えてる?それじゃ、運命の話も覚えてるかしら?例え話をしましょう。未来を100%当てる事が出来る預言者から『明日のAM8時に貴方は事故による渋滞に巻き込まれる』と予言を受けていたら貴方は回避する事は出来るのかしら?」
答える気のないハリーの代わりにジェーンはそのまま話を進めた。
『きっと、いつもより早く出発して普段とは違う道を行けば渋滞には巻き込まれない』と。
その判断の結末はきっとこう・・・『翌日の早朝、回り道は工事により全面通行止め。結局、普段の道に戻る事になり8時の渋滞に巻き込まれることになる』」
「貴方は考える事になる。予言が無ければ渋滞に巻き込まれていただろうか?」
予言を信じたが為に回り道をし、渋滞に巻き込まれた。
「もしも手元に逆転時計があれば運命を変えられるかしら?」
時をさかのぼり原因を排除すれば渋滞に巻き込まれる事も無くなると思う?
簡単な事よね?その日・その場所・その時間に原因となる車が居なければ事故は起こらないのだから。
「貴方は過去に戻り、事故の原因となる車の運転手に『腹痛の呪い』を掛ける。これで未来を回避できたでしょうか?・・・違う。実際に起きるのは
簡単な事です。
時を戻す事が出来たとしてもなんの意味もない。
時を戻してでも変えたいと思う過去があったとして、実際に遡る力を手に入れた未来の貴方は何もしないままだったのかしら?
「戻る事が出来るならとっくの昔に貴方は過去に戻っている。何度も結果を変えようと努力してやがて1つの結論に辿り着く・・・変えたいと思った過去は、未来の貴方が辿った結末なんだって」
アズカバンからシリウスが脱走した年、貴方達は逆転時計を使った。未来を変える事が出来たと感じてるかもしれないけどそれは間違い。
『バックビークが処刑されるのを見届けた後に過去を変える事が出来た?』
『シリウスが魔法大臣に引き渡された未来を見たことがある?』
「結局、樹形図なんて存在しない。過去に戻ったところで環状線を走る列車の様に同じレールの上を走っているだけなんだ」
貴方がシリウスを助けるために過去に戻ったとする。
ハリー達、そして応戦する騎士団に対する死喰い人とのパワーバランスはダンブルドアが乱入するまで拮抗していた。
貴方が他の誰かの姿を借りて戦いに行けばバランスを崩す事が出来る?否、未来の貴方の戦力も含めて拮抗していた事をその時に知る事になる。当然シリウスを助ける時間など与えてくれはしない。
そのままの姿だったならば?過去の自分に鉢合わせないように立ち回れば?
それも否。騎士団の優先対象はハリー・・・貴方よ。貴方が知らない間に騎士団の戦力を分けて、もう一人の貴方を保護しようとしたのかもしれない。
そうね・・・ダンブルドアが他の騎士団よりも遅れてきたのは連絡が遅れたせいかしら?それとも過去に戻った未来のハリーを助けるために奮闘した結果、シリウスが戦闘を行っている神秘部の部屋へたどり着くのが遅れたのかしら?
死喰い人に扮し、背後から敵の戦力を減らす?
否、貴方は必ず失敗する。貴方の友人の危機を前にしてそれを黙認してシリウスが殺される瞬間まで身を潜めれる?
あらかじめシリウスに偽の指令を通達して襲撃救援に間に合わないように計らう?
否、シリウスはそれでも貴方の救援に駆けつける。貴方の計画が失敗したわけではない。
「シリウスは何所に行ったんだ?クリーチャー、神秘部に行ったのか?」
ハリーはしもべ妖精に詰問する。妖精はとたんに高笑いをした。
「ご主人様は神秘部に行ったっきり戻ってこない」
上機嫌に笑うクリーチャー。ハリーの元にはシリウスが居ないという事実だけが残った。
「僕が・・・シリウスを殺した・・・?僕のせいで・・・」
「私のせい・・・?私がのせいで殺してしまったの?」
「助けれたのに・・・私が何もしなかったから・・・私が見殺しにしたというの・・・?」
ハリーの言葉を聞いた少女は呆然と自身の両手を眺めていた。
短く息を吸い込み綺麗な両手を握りしめ・・・ジェーンは血濡れた両手をハリーから隠すように机から下ろす。
「違うよ。貴方が過去に戻っても戻らなくても彼の運命を覆すことはできないの」
「だから、
「決定してしまった運命。過去に貴方の望む未来はない」
まるで実際に起こる事を見て来たかのように具体的な例を上げるジェーンにハリーは目を伏せた。
少女から表情から感じ取れるのは葛藤や諦め、そして擦りきれた様な希望。
何度も運命を変えるために闘い、そして希望が絶望へと変わっても尚、背負ったが為に立ち止まる事を許されない。
ハリーがジェーンの警告を無視し強行した末の自身の姿を彼女の姿に幻視してしまった…
もう、運命を変えるなんて大それた事を彼女の前で口にすることはハリーには出来なかった。
最後に少年は少女に問う。
「君もそうなの?」
少女は困ったように曖昧に嗤った。
「・・・これが最後。貴方と話せて良かったわ」
『ガチリ』
歯車から異音が響く。
★★★
「Si Vis Pacem, Para Bellum 」
「汝平和を欲さば戦への備えをせよ。ローマ帝国の軍事学者ウェゲティウスじゃったかな?」
平和を願う者は、戦争の準備をせねばならない。勝利を望む者は、兵士を厳しく訓練しなければならない。結果を出したい者は、技量に依って戦うべきであり、偶然に依って戦うべきではない。
戦争がしたくて準備をするのではなく、平和を維持するために敵国が容易に攻め込めれない戦力を提示する必要がある。
「貴方という抑止力がある一方、それを阻害する者達が友軍にいました」
魔法省も一枚岩ではない。もし、戦争初期から足並みを揃えて対処出来れば闇の勢力に対して優位に立ち回れただろう。
「危険生物を輸入し、繁殖させたり。機密情報を敵勢力に暴露したり。眼前で観察しないと敵と味方の判別がつかない巨人を引き入れたり・・・」
何度も排除しようとしましたが・・・他でもない貴方が目を光らせていましたからね?
「神秘部の戦いではギリギリのところで騎士団が救援に入った・・・と思ってるでしょう?」
「そうではなかったと?」
アリスはコクリと頷き肯定した。
ハリー・ハーマイオニー・ネビル。
ロン・ジニー。
ルーナ。
逃亡の際、ハリーが認識しているよりも分散していたの。
はぐれてしまった者の状況をハリーは把握していないし貴方もハリー以外の生徒の心を覗こうとは思ってなかったでしょ?
「死喰い人のやる事は想像がつくでしょ?生徒を捕まえ家族の前で拷問をする。
『この事を他人に話してはならない』『我々の指定した使命を果たさなければならない』
「誓いを立てた後はロンの記憶を消しジニーを解放した。『恋人への裏切り』か『家族を見殺し』にするか選ばせる為に」
アイツらにとっては唯のお遊びでしかなかった、彼女がどちらを選んでも良かったんでしょうね・・・ずっと後悔していたよ。自死する事も許されず、その時を恐れ神経をすり減らして・・・「私はあの時に死ぬべきだった」って。
「それが君が秘密の部屋が開かれた年にジニーを殺害しようとした理由なんじゃな?」
「ええ、彼女自身がそれを望んだから・・・」
「ならば・・・尚更わからぬ。君は彼女をあの日、あの時に
ハリーの妨害など障害ではない。事実、ハリーは無力化された上で記憶を改ざんされている。
「君は情に流されるような者ではないと把握しておる」
必要ならば友人でも手を掛けるというダンブルドアにアリスは「とんでもない人でなしですね」と他人事のように話す。
「出来るのにしなかった・・・何故?」
「・・・先生は運命を信じますか?」
手を下さなっかったのは運命だからとでも言うのだろうかとダンブルドアは訝る。
後にハリーの障害になると理解しておきながら。
運命とやらの苦渋を舐めた者がチャンスを見過ごす筈がない。
「可笑しいと思いませんか?決定した
まるで分岐があるみたいですよね?とアリスは天を仰ぐ。
「その予言を信じたせいで私は何回もループする事になったんですよね・・・」
「簡単な事です。きっと彼女は両方の未来が見えていたんです」
ハリーが勝利する
トム・リドルがマグルに戦争を仕掛ける
同じ
アリスは未来を懐かしむように思い返す・・・憎しみ、されど愛しむように・・・
少女は5枚のカードを机の上に並べ、一枚引くようにダンブルドアに促す。『それが明日の自分の運命』なのだと言うように・・・
気づいたら43話(ここまで長かった~)_( _´ω`)_ペショ
あと1話で完結予定です(/・ω・)/
ここまで読んでくださった皆様に感謝!