入学して早2ヶ月
ハーさんの大冒険!
その後は比較的に平和な日々が続いている。
ハリー達は相変わらず、逆にハーさんの視界に彼等が入り込まないようにハーさんを引き連れて図書館で色々な本を読みあさっている。
ハロウィーンの朝
パンプキンパイを焼く美味しそうな匂いで目が覚めた。
夜にはパーティーの様なご馳走が並ぶらしい。楽しみ
出だしは好調な1日だった
妖精魔法のフリットウィック先生が「物を飛ばす練習をしましょう」と言って新しい呪文の授業が始まった。
ネビルのカエルをブンブン飛び回らせるのは見てて楽しいが、使い方次第ではこの魔法は色々と実用的だと思う。
例えばホグワーツ特急に乗る際に、カートにこの魔法をかければカートの接地抵抗が無くなりエアホッケーみたいに重さを感じず滑る様に押せるというわけだ。
勿論、マグルに見つからないように超低空維持しないとならないという高度な技術が必要にはなるのだが。
ハリーはシューマス、ネビルは私と、ロンはなんとハーマイオーニーとペアを組むこととなった。
一斉に呪文が唱えられて配布された羽を飛ばす練習が始まるが、これまでの呪文と比べて格段と難易度が上がっており成功者は今のところ居ない。
ハリーは何故か火のついた羽を防止で鎮火しているし、ロンは長い腕を振り回しハーマイオーニーに注意されている。
そして、私はというと……
「ねぇ……そんなに近づいたら杖を振れないと僕は思うんだけどな…」
机に置いた羽を穴が空くように凝視するジェーンにネビルが堪らず声をかける。
「大丈夫です!大丈夫大丈夫大丈夫」
「えぇぇ………」
ネビルの困惑した声を無視し標的に集中!
その距離20cm、普通ではこの距離で杖を振ろうとすると障害物に当たり魔法を発動出来ないのだがスネイプ先生との特訓の成果もあり、あの日以降は至近距離での魔法を失敗する事は無くなった。
……本当にあの日、何があったんだ!?
『ウィンガーディアム レヴィオーサ』
ハーマイオーニーが魔法に成功した後、続けて私も成功。
もう少し距離をとっても大丈夫だろうか?と
調子にのって少し離れた所で魔法を放ったら真後ろの先生がフヨフヨと浮き上がる事となった。…何故だ?
授業が終わり教室を移動
ハーさんの機嫌は最悪で私と合流してからも終始無言。
元凶は前を歩くロン
「だから、誰だってあいつには我慢できないっていうんだ。まったく悪夢みたいなヤツさ」
その一言が此方まで届き、遂にハーマイオーニーのダムが決壊した。
走り去る彼女。
「今の聞こえたみたい」
「それがどうした?」
「…………」
さて、どうしてやろうか…?
~~~
ハリーはきが気でなかった。
一つは走り去るハーマイオーニーが泣いていたこと。
一つは彼女の友達のジェーンがハーマイオーニーを追わずに
「トリック・オア・トリート!お菓子くれないと悪戯しちゃうよ?」
「……はぁ?」
まるでハーマイオーニーの事など気にしていないかのように振る舞うジェーンにロンも困惑しているようだ。
「今日はハロウィンだよ?マグル風ではお菓子をくれない人には悪戯していいという風習なのです!」
朗らかに微笑むジェーン
他のクラスメイトは首を傾げるだけだが長い間ダーズリー一家やマグルの学校の中で虐めを受けていたハリーには分かる……
『滅茶苦茶怒っている』ということを……
ヒステリックな金切り声を上げるペチュニア叔母さんや、唾を撒き散らしながら怒鳴るバーノン叔父さん、真っ赤になって殴りかかってくるダズリーとその取り巻きとは違う…
数々の人々の悪意を間近に接してきた鍛えぬかれた感覚を持つハリーだからこそ分かる有無を言わせぬ迫力。
身体中がマズイと警鐘をならしている
無意識に一歩、二歩と後退したハリーに誰も気付かない。
「お菓子持って無いんだ~なら、仕方ないね!悪戯を甘んじて受けてくださいな」
『トンッ』と軽いステップ、何の予備動作もなく行われたそれは3m程離れていたロンとの距離をほぼ0にする。
まるで抱きつくかの様なお互いの息がかかりそうな距離
ジェーンはロンの目の前で踏み込んだ足を軸に、未だに反応出来ないままでいる彼の体を避ける様に優雅にターンを行った。
一瞬の出来事
2人の体が交差、ジェーンはロンを回避するように通り抜け
ロンは空高く切り揉みしながら舞い上がる。
後にハリーはこう語る
クィディッチの練習で鍛えられた動体視力を持つ俺だから気付くことが出来たと……
「あれは恐ろしく早い抜杖!俺じゃなきゃ見逃しちゃうね」と…
普通なら杖を振り回す空間が無い状況で腕を胸元に引く、そして杖の中央を持つことで空間を確保。
まるで相手に文字を書き込む様に素早く正確に杖を振り魔法を発動させたのだ。
「は!?!?」
打ち上げられたロンの間抜けな声が通路に響く
魔法をかけられた本人も含め、クラスメイトも何が起こったのか理解できていないようだった。
「ジェーン!」
3m~4mと宙へ舞い上がったロンに危機感を抱いたハリーが堪らずにジェーンへ講義の声を上げる。
「大丈夫だよ。毎秒9.8mの加速をつけながら地上に戻ってこれる」
つまり自然落下……助ける気など無いということ
『ベチャ』と効果音が付きそうな無様な着地をしたロンを一瞥することなく、ジェーンはハーマイオーニーが消えた方向へと進んでいった。
「いててて……一体僕が彼女に何をしたというんだ…」と呟くロンをため息混じりに見据えるハリーであった。
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女子トイレ
「………で、授業サボってこんなところで一人で泣いていたってわけ?」
「うるさい!放っておいてよ!」
ロンにささやかな悪戯を与えた後、ハーさんを探しましたよ?探しましたとも!
図書館、談話室、寝室、空き教室、校庭……ハーマイオーニーの居そうな場所や一人になれる場所を重点的に。
まさか…よりにもよってトイレに立て籠るなんて予想外だったけど。
一人になれる場所を考えればトイレなんてすぐに分かる?
いやいや、一人になれるようでそうでない。
寝室なら自分を含めルームメイトの3人だけ事情が知られるだけですむ。今は10月後半だ…既に気温は下がり暖房のついていない空き教室や校庭での他者の遭遇は少ない。
ではトイレはどうだろう?
全学年の女子が利用出来る、暖房なし、臭いあり……何一つ良いことなど無い。
近くの教室で授業があった生徒が利用する際はその都度息を殺して泣くしかない。それでも尚、逆に目立ってしまう。
パーバティーから場所を伝えられ私が此処にいるのがいい証拠だ。
「彼に言われたことをまさか本気で気にしてるの?」
「貴女には関係ないでしょ!一人にしてよ」
そしてこのやり取りの繰り返し。
探しだすのに時間がかかり、とっくに日は沈みもうすぐハロウィンパーティーだ。
「もしかして彼のこと好きなの?」
「誰があんなヤツ好きになるもんですか!「だったら別に嫌われてもいいんじゃない?」」
沈黙、辺りにはジェーンの手を洗う水の音だけが響いている。
「合わない人が離れていくのは仕方ない事よね。そして残されるのは惨めな小娘一人。笑っちゃうわ~
お前に私の何が分かる…何も知らないくせに『何でも分かってますよ』みたいなツラして!貴女が私に構うのはどうせ『面倒な頭でっかちな友人』を持ってしまって振り回させてる『可哀想な私』を演じて周囲から同情を貰いたいだけなんでしょ!私はアンタなんかの引き立て役なんかじゃない!もう構わないでよ!あっちに行って!
貴女は良いわよね!誰からにも気軽に話しかけられて
私なんか居なくても大した問題じゃないでしょ!」
それは悲鳴のような叫び声だった……
「…………ハーマイオーニー…つまり貴女は誰からにも『嫌われたくなかった』って訳ね」
悲鳴の返答した声は酷く平坦なものだった。
その声には怒りや悲しみ哀れみなどの感情が一切感じられず、まるで機械のように温かみがない
「…ねぇ、『頭でっかち』さん貴女は『嫌われない人間』ってどういう人なのだと思う?ハリーの様にグリフィンドールの中心の様な人物?それともロンの様にお調子者?
でもね、『誰かに好意を持たれる人物』『好意を持たれる様な行動をする人物』は一方で『誰かにとって都合が悪い人物』でもあるんだよ?ハリーとマルフォイがいい例ね。
それじゃ、どんな人間が嫌われないと思う?」
「そんなの分かるわけ無い」
「…空気の様な存在よ。
一般的な常識、当たり障りの無い回答、目立つ様な能力もなく、誰にでもニコニコと笑いながら対応する。
当たり前の日常を繰り返し、自身の意志などまるでない、他人の都合に流され生きていく…
他人の領域に踏み込まなければ当然、嫌悪感など生まれない
でもね……それって本当に『生きてる』っていえるの?」
「…………」
「貴女は私の何が分かる?って言ったけど
貴女こそ
もう出ていくから一人で好きなだけ泣くといいよ。泣いたところで何も状況は変わらないけどね。いつまでも悲劇のヒロイン演じてなさいな」
水道の蛇口が捻られ水の音が止んだ。
ハーマイオーニーをオーバーキル
「クララの馬鹿!もう知らない」