転生して電子生命体になったのでヴァーチャル配信者になります   作:田舎犬派

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#9 森の中からこんにちは!

「みなさま~今日もわんこーろの配信にお越しくださってありがとうございます~」

 

『まってた』『わこつ』『初見わんこ乙』『モデル制作動画から来ました』『メイク垢あれ本人?』『同じ髪留めつけてるし本人垢確定だな』

 

今日も元気に緑一色空間から配信を始めましたわんこーろです。先日配信終了後にすぐこの世界で最も有名なSNSであるメイクのアカウントを取得しまして、私のチャンネルリンクとこの空間で制作したいくつかの3Dモデルを紹介しておきました。

特に大々的に宣伝する必要もないと思ったのでそれ以外のリアクションはしていませんでしたし、この配信で本人ですと言っておけばいいかななんて思っていたのですが。

 

甘すぎました。甘々の甘ちゃんでした。

 

メイクに乗せたのは私が今新しくつけている髪留めとこの空間のにぎやかしに創った雑草と草花(計46種)なのですが、どうもその制作風景が異様すぎて各方面に拡散されているようです。

 

私の配信を見たことのない方々はその制作過程が3Dモデル制作中のものであるなどとは考えられないようで、こういう映像作品なんだろ?と思われている方が大半のようです。

 

まさかそこまで大規模に拡散されるとは思ってなかったので動画には私の配信にたどり着けるような情報はほとんどありません。ただ私こと黒髪の浴衣犬耳幼女がせっせとノミを動かしているだけの動画なのです。

 

まとめサイトに『【速報】犬耳幼女が草を生やすだけの動画が話題に』なんてものがあるのを知ったときは思わず顔を真っ赤にして俯いてしまったぐらいです。

 

「え~とですね~一応本人なんです~まさかわんこーろもあそこまで拡散されるとは思ってなくてですね~軽ーい気持ちでてきとーにアップしただけなので驚いております~今度から動画内に私のメイクアカウントとチャンネルのリンクでも載せておきます~」

 

『おkフォロー完了』『フォロー済みなのだよ』『まじかよメイク垢つくってくる!』『髪留めかわいい』

 

「皆さんありがとうございます~この髪留めは草を生やしている休憩中に作ったものなんですがなかなかかわいく出来たんじゃないでしょうか~?」

 

私自身が犬耳を付けた見た目ということで制作した髪飾りは丸っこい犬の肉球を模したものにしました。それを黒髪の横っちょにさりげなくくっつけております。今後もこんな感じで私の見た目もいろいろ追加したり変更したりと視聴者の皆さんに新鮮さを届けていきたいですね。

 

「ではでは~今日の作業現場へといきまっしょ~」

 

両手をぽん、と叩くと場面が転換し私の立っている場所は深い森の中へと移った。

 

『おお!』『木がたくさん!』『瞬間移動助かる』『ちょい暗い?明るさ調整必要?』

 

「皆さんようこそお越しくださいました~ここはですね先日のこぴぺ森を大幅に改良して造った山の麓の森になります~」

 

前回の配信で同じ形の木ばかりが並んでいた場所ですが、植えたコピペ木を裁ち取り鋏で一閃して初期化した後、形の違う木々を植えなおしました。

枝の付き方だけでなく全長の違いや、幹の太さ、葉の付き具合などなど異なる形状の樹を十数種類制作しまして、さらにそれらを杉や檜など木の種類分制作してバランスを考えて植えていきました。

 

さすがに今私が立っている場所から少し離れるとまだ丸坊主の山が見えてしまうのですが、ここだけみればリアルな森の中という雰囲気を出せていると思います。

 

「ちょっと暗いですか~?ああ~それはきっとこのせいですね~」

 

私は配信画面に手を伸ばすとそのままむんずとつかみ取り、画面を私から空へと移します。

森の中、画面に見えるはずの空は木々の葉によってまばらに見えるばかりで降り注ぐはずの光は森の外よりかなり制限されています。

 

『おお、こんな光景見たことない!』『太陽めっちゃ綺麗やん、今じゃこんなに綺麗に見れないぞ!』『太陽光がこんなに優しく見えるなんて不思議だな』『ん?太陽?』『ネット空間に太陽?』『え?』

 

「太陽も創っておきました~、といっても空間内の光源設定を一つに絞って動かしているだけなんですけどね~」

 

『ファ!?』『なん…だと…』『天地創造わんこ』『お前が神か』

 

「ふふふ皆さんに驚いてもらえるのはうれしいですね~、でもまだあの太陽も未完成なんですよね~」

 

私は太陽、と命名した光源に向かって指を指し、そのままゆっくりと指を下していく。すると太陽は指の動きに従うように緑の大地の向こう、地平線へと沈んでゆく。

 

「こんな感じで動かせるんですけど~手動で動かせるだけでいつもはお空のてっぺんにずっとあるだけなんですよね~近々ワールドクロックと連動させて実際の太陽の動きを再現させてみようかと考えております~」

 

『いいね!』『もはや神かよ神だった』『朝夕で色を変えたい』『日食とかほしいですね』『世界時計と連動するなら季節も実装するの?』

 

「日食!いいですね~朝焼けとか夕焼けは実装しようと考えてたんですけど日食は考えてなかったですね~アイデアありがとうございます~それと、季節ももちろん実装しようと考えております~、紅葉とか雪化粧とか造ってみたいですね~」

 

『楽しみ』『採用アザース!』『他にもアイデアあったら採用してもらえる?』『俺らの願いを神に聞き届けてもらうのだ』『神=わんこーろ』『紅葉も雪も画像データでしか見たことないなぁ』

 

「もちろん皆さんのアイデアは可能な限り取り入れたいと思っております~。で、ですけど先ほどから神さまとか言われるのはちょっと恥ずかしいですね~、私の事はもっと気軽にわんこーろとかわんころって呼んでくれていいんですよ~?」

 

『わ、わんころ……』『いいんかそれで?』『わんころってなんかイメージ悪くない?大丈夫?』

 

「全然大丈夫ですよ~皆さんに呼んでもらえるの、とっても嬉しいですから~皆さんもっと私の事をペットみたいに遠慮なく接してくださいね~」

 

『ふぁ!??』『これはあかんでぇ』『凍結?凍結?』『お、俺は何もやましいことは考えていない!!本当だ!』『←話は処刑台で聞く』『せめて警察署にしてさしあげろ』

 

「?~あ、もう時間になっちゃいましたね~それじゃあ今日の配信はここまでにさせていただきます~次回の配信はわんこーろのメイクアカウントでお知らせします~それじゃあ今日もわんこーろとお話ししてくれてありがと~ばいばい~」

 

 

 


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