転生して電子生命体になったのでヴァーチャル配信者になります   作:田舎犬派

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#122 ネットの隙間

 復興省の代表としてV/L=F会場に来ていた蛇谷、技術関連の運用のため参加した先進技術研究所職員、そして推進室室長は現在V/L=Fの全体管理を行っている塔の施設内にある管制室に閉じ込められていた。

 

 閉鎖されている塔の上層部である主塔(メインシャフト)より、塔そのものから管理中枢が攻撃を受け、管制室および塔の施設内の扉はすべて非常時緊急コードが発令されロックされており、外に出ることも施設内に入ることも出来ない状態だった。

 

「ダメです、繋がりません!」

 

「もう一度最初から。繋がるまでやり続けろ」

 

「は、はい」

 

 焦った様子の先研職員の声に応えるのは室長だ。本来彼らを指揮するはずの蛇谷は部屋の隅で茫然自失と言った具合で(くう)を見ていた。管制室のネット制限はこちらからの情報の発信が阻害されているだけで、情報の取得自体には問題が無い様子であり、管制室の人間はもうすぐラストイベント開始時間となるのに公式や参加配信者からのつぶやきが全く無いことに不安そうにしている一般参加者や視聴者の声、犬守村で孤立している配信者たちの様子を把握していた。

 

 それだけに、彼ら彼女らにこの非常事態を伝えることが出来ないもどかしさが室長の拳に焦りをにじませる。

 

「無駄さ。今攻撃を仕掛けているのはこの塔そのものと言ってもいい。当時の先進技術の粋を集め生み出したAI、現在ではNDSをはじめとした人類が到達していない領域の技術力を持つ存在だ。そんなものに抗うことなど……」

 

「ふん、抗うことすらしないヤツが何を言っている」

 

 蛇谷が諦めてしまうのも無理はない。なにせ相手はこの世界の中心ともいえる塔そのものなのだから。そのAIが人間の管理から外れ、独自の発展を遂げた結果生み出されたNDS。そのありえないほど隔絶した技術を目の当たりにすれば、人間がどれほど抵抗しようと無駄なのではないか? と思ってしまうのも仕方がないだろう。

 しかし、だからといって室長は諦めるつもりは無かった。少なくともその管理者に囚われている状態のFSの子たちを助け出すまでは。

 

「ダメか……どうすればいい……、どうすれば……」

 

 だが、状況は根性論で何とか出来るほど甘くはない。あらゆる手段が封じられ、手も足も出ないと言えるほどに悪い。

 

「何か……相手の隙を見つけられれば……」

 

「そんなものあるはずがないだろう? 相手は塔の管理を行っている管理者だぞ? 一切の瑕疵もないさ」

 

「……何か、あるはずだ……何か、隙……見落としている何かが……」

 

 室長は考える。この状況を覆すために必要な手段、情報、タイミングを。

 

 (現状出揃っているデータの全てが利用できないのならば、出揃っていないデータはどうだ? ……我々が見落としている、見えない、見えていない情報が……、……ん?)

 

 "見えていない情報"というワードから、室長はふとわんこーろとの雑談の内容を思い出した。この異常事態が発生するほんの少し前、わんこーろと展示会場の敷地内でしていたたわいもない話。その中でわんこーろが口にしていたとある話題。

 

「おい! この施設の図面は出せるか?」

 

「ず、図面ですか……?」

 

「地図でも改修時の履歴でもいい、とにかく施設の構造が知れるデータを出してくれ」

 

 室長は端末を操作していた職員へと指示を飛ばす。施設の図面を探せという突拍子のない命令に職員は聞き返すが室長は大きく頷き、間違いでは無い事を伝える。そんな室長の様子に呆けていた蛇谷が眉を顰め、思わず室長の方へと寄る。

 

「……? 何をして――いや、何を探している草薙?」

 

「ここに来る少し前、わんこーろと話をしていた。何でもない只の雑談だったが、そこであの子が気になることを言っていた。……管制室の管理する管理空間に、不自然な隙間があるらしい」

 

「隙間? ネット空間に……?」

 

「視覚的にとらえやすい形でネット内の仮想空間とそのリンクを表現した時、そのような何もない場所が生まれるらしい。もしその何もない場所が、何もないのではなく"何もないように見えているだけ"なのだとしたら……?」

 

 そこまで聞いて蛇谷ははっとする。それは確かにここにいる全員が見ていなかった部分だ。……というよりも、わんこーろからの情報がなければ考えすらしなかった内容だ。

 

「……管制室の管理する管理空間ではない……我々も、塔の管理者も把握していない独立した別管理の空間がそこに存在している、のか?」

 

「でなければそんな不自然な隙間ができるとは考えにくい。私の考えている通りならば……」

 

「ありました! 副塔の建設当時のデータのようです」

 

「建設時? よくそんな過去のものが残っていたな」

 

 職員が見つけ出したのは副塔の建設に関する工程表などの工事関係のデータだった。もしこれが塔の街建設当時のものだとしたら、そのデータは100年程度過去のものという事になる。それほどまで過去のデータが保管されているのはこのデータが塔関係のものだからという理由がある。

 伝統的、文化的なものが効率化社会により失われ、同じようにあらゆる過去のデータが失われている昨今、しかしそもそも効率化社会とは塔のために存在していたものだ。その塔のデータさえも効率化社会で失われてしまっては本末転倒。塔に関するデータは比較的古いものまで現存しているらしかった。

 

「はい、ですが元データというわけではないようです。何度か複製された形跡がありますし」

 

「かまわん。見せてくれ」

 

 しかし、それでも完全なオリジナルのデータとはいかなかった。効率化社会崩壊の混乱により塔そのものの機密情報はいくらか流出しており、塔の設計関係の資料もその混乱の最中一度消失していた。既にデータは回収されているが、そのデータが正しいかは室長には判断出来ない。だが、確認したいのは詳細な数値などでは無い。ある程度施設の間取りが分かればそれでいい。

 

「ここは、何かわかるか……?」

 

「サーバールームの隣の……入り口のない部屋? ですね」

 

 そしてデータを閲覧していた室長が気になる場所を見つけた。それはこの管制室の数ブロック先に存在する副塔下層部のシステム管理サーバーが設置されているサーバールーム。その部屋に付随するような形で入り口のない小さな空間が存在していたのだ。見取り図のデータにはその空間に関して何の説明もなく、ただ何もない空間としか表示されていなかった。

 

「通気ダクトが通っている空間か?」

 

「のようです」

 

「……サーバールームの隣……怪しいな。ダクトが通っているなら、ダクトを辿ればその部屋にいけるな?」

 

「え!? は、はい……ですが」

 

 室長の言葉に思わず職員は驚きの声を漏らすが、室長はいたってまじめな顔で聞いているらしく、動揺しながらも職員は肯定する。そして次に室長は職員が想像した通りの行動に出た。

 

「よし、蛇谷付いてこい」

 

「なっ、なぜ私が……」

 

「どうせ空いているのだろ? 少し手を貸せ」

 

「……」

 

 室長は管制室に並んでいたPC型情報端末からいくらかの配線と金属端子を引っこ抜き、懐にしまう。どうせ管制室の端末のほとんどは利用できなくなっている。配線だけでなく他の端末に流用出来そうなものを次々に端末から外している室長。

 

「何をしている……?」

 

「少し準備をな。この部屋のダクトが通っている場所は?」

 

「ええと……後ろの壁の……あそこです」

 

 先研職員が指さした場所はなんの変哲もないただの壁だ。無機質な白い壁に触れた室長はその表面にほんの僅かにつなぎ目があることを確認し、そこに先ほどの金属端子を差し込む。

 

「お、おい草薙……」

 

「弁償する」

 

 差し込んだ端子をテコの原理で押し倒し、壁の装飾板を剥がすと通気ダクトが見えた。さらにダクトの表面に露出していたネジの頭に金属端子を差し込み、マイナスドライバーのごとく回してネジを取り除いていく。その手際の良さに蛇谷は舌を巻く。

 

「さて、通れない狭さじゃなさそうだな」

 

「本当に行くのか……」

 

「まるでアクション映画のようだな?」

 

「……悪い冗談だ」

 

 室長がダクトの中に入り、次に蛇谷がダクトへ入っていく。ダクトの中は予想していたよりも息苦しくなく、そして明るかった。害虫や害獣の類が住みつかないように設置された明滅する除虫光がダクト内を照らしていた。

 

「分かるか蛇谷、ダクト内にケーブルが通っている。おそらく電源とネットワークケーブルの類だろう」

 

「ダクトを介して電源供給がされているわけか……まさか本当に"隠し部屋"が?」

 

「さてな、確証はない。だが、ネット内に存在する謎の隙間が別の管理空間に占有されている空間だとしたら、この施設内にその占有している管理空間を保持しているサーバーが存在している可能性は高い。副塔の管理空間があった場所に無理やり別管理の空間を設けたのでなく、元々この場所に空間があり、後から副塔の管理空間が造られたのならば、ネット空間と現実のサーバーとの位置が同じでも違和感は無い」

 

「隠し部屋にそのサーバーが存在していると?」

 

「正規のサーバールームに近いのは保冷設備の関係だとは思う。ダクトを通して冷気の循環が出来るようにしてあるのだろう。電源供給もこうやってダクトを通せば可能だからな」

 

 あらゆる場所を通り、折れ曲がり上下しているダクト内を移動するのはなかなかに難しい。それでも二人は慎重に、かつ急いでダクト内を進む。

 

「蛇谷、先ほどの話だが……お前たちはどうやって塔の管理者とコンタクトを取ったんだ?」

 

「……衛星だよ」

 

「衛星? 人工衛星のことか? だが、例の事件(33-2251)によって当時稼働中だった衛星はその全てが破壊されたはずだろう?」

 

「稼働中のものはな。静止軌道はデブリに汚染され、新たな衛星を飛ばすことは出来なくなった。……だが、静止軌道上に存在せず、デブリによる破壊を免れた衛星があったとしたら?」

 

「……墓場軌道か」

 

「そうだ。墓場軌道に投棄されていた衛星の中でもまだ稼働できるものを管理者が動かし、こちらへの回線を開いた」

 

「それを考えた者は他にも居た。塔が封鎖された当時、まだ塔の恩恵を受けられなかった小国が投棄した衛星を再び稼働させようとしたことがある。だが、それはできなかったと聞いている」

 

 塔が封鎖され衛星が破壊された当初、塔による大規模なネットワーク構築の網に入れなかった小国は何とか衛星の運用を行おうとしていた。

 だが、衛星軌道は破壊されたデブリに汚染されており、墓場軌道は衛星軌道のさらに遠方に存在する。

 

 つまり墓場軌道と地上との間にデブリの汚染帯が存在している形になる。デブリ群は衛星だったものの残骸で構成されており、多分の金属が含まれている上に磁力などにより動作する電子機器などが駆動状態で散乱している。それらが通信を妨害、静止軌道外に存在する衛星との通信は実質不可能であり、できたとしても不安定なうえにノイズが酷い状況だった。

 

「忘れていないか? 塔は数えきれないほどのデブリ回避用マイクロマシンを運用出来るほどの情報処理能力があるんだぞ? マイクロマシンの稼働データを利用すればデブリの大まかな位置情報を取得することは可能だ」

 

「まさか、デブリ群の"薄い"場所を狙って通信していると……?」

 

 その驚くべき方法に室長は絶句する。本来デブリ群は分厚く地球を覆っており、デブリの形も大きさも不規則であるためその動きを予測するなど不可能に近い。だが、塔の管理者はその不規則なデブリ群の動きを予測し、周期的に現れるデブリ群の薄いタイミングを狙って衛星で通信回線を地上へと開いているという。

 

「衛星の周期と、デブリの薄い場所が現れる周期、その二つの周期が合致し、通信回線が開ける場所と時期、それこそが――」

 

「その場所こそが塔の街で、その時期こそがV/L=Fの開催されるまさに今、ということか」

 

「私が復興省のV/L=F運営責任者となったのもそれが理由だ。塔の管理者が開発した膨大な技術の情報を、長時間通信を繋げていられるV/L=F開催時にまとめて回収する予定だった。前年と同じように……それなのに、まさかこんなことになるとは……」

 

 これまでのように塔の管理者との回線を開き、人類にとって有用な情報の提供を望んでいた先研だったが、繋いだ瞬間に待っていたのは大量の不正アクセスに仮想空間の管理者権限を取り上げられるという状況。これまでの塔の管理者の化け物じみた技術力を目の当たりにしていた蛇谷にとってそれは絶望し、諦めを感じてしまうほどの衝撃だったのだ。

 

「管理者が裏切ったか、もしくは最初からこちらを利用するつもりだったのか……っと、見えたぞ。おそらくあそこが隠し部屋だ」

 

 ダクトの終点が見えたところで二人の話は切り上げられた。室長は手にした金属端子をダクトの接続部のネジに差し込み、器用に回して外していく。ダクトの一面を取り除き、二人は例の入り口のない狭い空間へと侵入することに成功した。

 

「……まさか、本当にあるとは……」

 

「これは、かなり古い型式の情報端末だな……」

 

「現在のように情報端末として規格が一本化される以前のものだな。パソコンというヤツか」

 

 その空間にあったのは床を覆いつくすほどに這わされたケーブルの類。それらは部屋の奥に存在する機器に取り付けられており、どうやらその機器こそが、サーバーとして活用されている存在であるらしい。その見た目は現在室長達が使っているような端末とは比べ物にならないほど大型のフォルムをしており、外装は年月により変色し、老朽化が見て取れる。それでも機器自体はかろうじて稼働しており、目の前にあるキーボードも室長が触れた所、問題なく動かせることが分かった。

 

「ふむ……やはり配線の規格が違うか……だがこの程度なら何とかなる……NDSに繋げられそうだな」

 

「ならいったん戻るか。NDSとの接続テストをしてみなければ」

 

 目的のサーバーが存在している事を確認した室長はさっそくそのサーバーとNDSを繋げようとするが、やはりというか現在利用されている配線のどれとも規格が異なり、このままでは接続することは出来ないようだ。それでも室長は分解した端子と配線を工夫すれば繋げられると言う。その言葉を聞いた蛇谷はダクトを通り管制室へ一度戻る事を提案する。

 第一の目的であるサーバーの発見と、必要な規格を知れただけでもかなりの収穫だった。あとは管制室にあるもので準備を整え、再度NDSとサーバーの接続テストに挑むべきだろう。

 

 そう考え、二人は管制室へと戻ったのだが、そこでも新たな事件が起こっていた。

 

「大変です代表!」

 

「なんだ、どうした」

 

「V/L=Fのイベントが始まりました!」

 

「は? ……なに!?」

 

 職員によるその報告は、蛇谷はおろか室長でさえ予期せぬものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『みなさーん!! 少し遅れまして申し訳ありません! これよりラストイベント、"防衛!札置神社の秘密!"を始めたいとおもいますっ!』

 

『司会はFS所属の私、白臼寝子と』

 

『虹乃なこそがやっていくよ!!』

 

 管制室の先研職員が手元の端末を操作し、配信画面を切り替える。そこには確かにV/L=Fの最終イベントの開始を宣言するなこそと寝子が映っていた。配信のオープニングが流され、しばらく二人の雑談が続き、そして当初の予定通りこのイベントのルールや達成目標などが説明されていく。あらかじめ決められていた内容を口にしていくなこそだが、その説明の中にいくらか室長達が知らないルールや名称が含まれている。

 

「九尾……、犬守村に現れた鵺や大蛇と同じか……やはりCL-589、塔の管理者によるものだったか」

 

「……管理者から聞いた話ではV/L=F期間中は長時間の通信が可能というだけで数秒程度の通信ならば一年に数回程度は可能らしい。例の配信者の住まうネット空間に異常が起きていたのは、管理者による干渉があったとみて間違いないだろう」

 

「お? なんだ、もう隠さなくていいのか?」

 

「はあ……こうなればなるようになれ、だ。例の配信者が塔の管理者に対抗できるというのなら、協力するしか手はないからな」

 

「……なんだ、しっかり報告書を読んでいるじゃないか。正直になれんヤツだな……しかし、この九尾は……」

 

 これまで犬守村に出現した鵺や大蛇は配信画面に映っている九尾ほどの賢さは無かった。ただわんこーろを闇雲に攻撃するだけだったそれらと比べると、わんこーろと対峙する様子からして違う。こちらを伺い、攻撃に対処する姿勢を見せているのだ。

 恐らくは今までの個体は攻撃性だけを高めた個体であり、最初からコントロールする気が無かったのだろう。塔が地上と通信できる数秒という時間に個体だけを送り込み、適当に暴れさせてわんこーろの手の内を暴かせるための捨て駒だったというわけだ。なぜ塔の管理者がそのような威力偵察のような真似をしたのか、それはつまりこの九尾を用いた長時間通信のタイミングのためだったのだろう。

 

 九尾の姿を映しながらなこそと寝子のルール説明は続いていく。その内容に視聴者がコメントを返し、そのコメントに対してなこそが応答する。といったいつも通りな配信風景が繰り広げられているのだが、それに蛇谷は違和感を覚える。

 

「おい……放送室からは視聴者のコメントは見えていないのではなかったのか……?」

 

「いまだ通信制限はかけられています」

 

 そう、実況の二人が居る放送室も、犬守村に居る配信者たちもどちらも視聴者のコメントが見えていないのだ。それどころかメイクなどのSNSも閲覧することができず、完全に視聴者の反応を伺うことが出来ない状況のはずだった。

 

「……コメントが見えない状況で配信を開始したんだ」

 

 そんな疑問の声に室長は静かに答える。なこそは視聴者のコメントに対して反応を返しているように見えるが、よくよく観察するとその場その場に適応した言葉を選んで発言しているだけで視聴者の反応を見ているわけでは無い。イベントの内容に興奮する視聴者には分らないほどの些細な会話のズレのようなものも見て取れる。

 

「は!? だが、なこそ君と寝子君は今視聴者と会話を」

 

「なこそはFSの中で最も配信時間と配信歴の長い配信者だ。自身とFSメンバーの視聴者の反応ならある程度予想できるだろうさ」

 

「それじゃあ何か、あの子達は自身の言葉に視聴者がどのような言葉を返しているか予測し、それにふさわしい言葉を返しているというのか!? あれほどに違和感なく!? そんなこと出来るのか!?」

 

「……普通ならそう思うだろうな……だが、なこその経験と知識、それを補助する寝子の記憶能力があればある程度何とかなるだろう。実際あの子達はそれをやってのけている」

 

 呆れながらも室長は管制室端末の横に置いたある推進室のNDSを手に取る。配信に関してなこそたちは信頼できる実力を有している。そのなこそたちが配信を始めたということは、それなりの理由、あるいは目的があるのだろう。

 

 ならば、こちらはこちらの仕事を進めるべきだ。室長はそう判断し、NDSを抱えてダクトへと戻る。

 

「蛇谷、NDSを繋げるぞ。管制室のネット回線を通さないNDS間の通信ならば管理者に気付かれないはずだ」

 

 


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