ダンジョンにキャロルが居るのは間違っているのだろうか?   作:ヴィヴィオ

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第5話

 

 

 

 さて、ホームの改造は終了した。表は普通の大聖堂だ。その地下には亜空間を生成し、チフォージュ・シャトーと同じ機能はないが、外見が同じ物を用意した。

 世界を分解する事はできない外側だけの存在だが、こちらの方が作業をしやすいからな。

 ショッピングモールと大聖堂の建設に合わせて発注した資材にシャトーの分も混じり込ませたわけだが、必要な資材と金は全く足りん。まあ、おいおい完成させればいい。今は工房としての広さと機能があればいいだけだ。

 コツコツと足音を響かせながら、俺以外が発する一切の音がしない廊下を歩き、細部まで確認する。前はここにクローン達やあいつらも居たのだが、今は他に生物などは居ない。

 

「無駄に広いな」

 

 歩きながらシャトーの最深部に到着した。ここには大きな炉心を作り上げた。材料は黄金錬成により作りあげた賢者の石。ファウストローブにも使われる材料だが、炉心がなければミカ達は作るのに時間がかかり過ぎる。

 

「問題ない。そして、最後の材料はこいつだ」

 

 懐から取り出したのはヘスティアの髪の毛など身体の一部。あいつが生活している上で抜けた奴や、唾液なども回収しておいた。また、寝ている間に血を少し抜かせてもらった。

 奴はギリシア神話に登場する炉の女神だ。クロノスとレアの娘で、ゼウス、ポセイドン、ハデス、ヘラ、デメテルと兄妹。

 古代ギリシアにおいて炉は、家の中心であり、従ってヘスティアは、家庭生活の守護神として崇められた。

 また炉は、犠牲を捧げる場所でもあり祭壇、祭祀の神でもある。さらに国は、家庭の延長上にあるとされていたため国家統合の守護神とされ、各ポリスのヘスティアを崇める神殿の炉は、国家の重要な会議の場であった。加えて全ての孤児達の保護者であるとされる。

 大聖堂を孤児院として運用し、そこで使われるエネルギーを全て賄うこの炉心にヘスティアの素材を使うのは当然だろう。その名の通り、加護を与えてもらう。ファルナまで刻ませれば生きた炉心の完成だ。

 

「よし、後はヘスティアに刻ませるだけだな」

「呼んだかい?」

「何故ここに居る」

「いや、聞き忘れた事があって戻ってきたらいきなり教会が大きくなってるじゃないか。だから、キャロル君を探してここまで来たんだよ」

「良く道がわかったな」

「愛のなせる技だね!」

 

 親指を立てて腕を突き出してくるヘスティア。

 

「ちっ」

「舌打ち!?」

「まあいい。来たのなら丁度いい。こいつにファルナを刻め」

「なんで?」

「こいつは見ての通り、炉心だ。完成させるにはファルナが必要だ。孤児を養いたいなら言う通りにしろ。すくなくともこいつのお蔭で寒さに震える必要はなくなるぞ」

「……嘘じゃないね。子供達の、キャロル君にとってこれは大事な物かい?」

「ああ、そうだ。オレの仲間達を呼び寄せるためにも必要な物だ」

「わかった。なら、やろうか。それが子供達の為になるのなら、ボクにとっては幸いだ。ただ、大きいから時間はかかるよ」

「眠らずにやれ」

「そんなっ!?」

「やれ」

「じゃあ、ご褒美を頂戴!」

「……いいだろう。何が望みだ」

「これから一緒に寝よう!」

「…………………………………………………………………………………………………………いいだろう」

「よし! じゃあ、やっちゃおう!」

 

 ヘスティアは張り切って炉心にファルナを刻んでいく。俺はそれを解析しながらゆっくりと待つ。オレに刻まれたファルナと新たに刻まれていくファルナ。両方を解析し、文字を理解し、疑似的なファルナを生み出せるように研究するつもりだ。神の力を理解せねば、神を殺す兵器など作れんからな。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 無事に炉心が完成し、起動した。馬鹿みたいに膨大な熱量を持つそれは暴走すればオラリオなど容易く吹き飛ぶだろう。

 

「きゃ、キャロル君!」

「問題ない。ヘスティア、大サービスだ。オレの歌を聞かせてやる」

「え?」

 

 ダウルダブラを取り出し、ファウストローブを身に纏って歌う。鋼糸魔弦と錬金術を使いながらエネルギーを暴走させずに施設と大聖堂に流し込む。強弱も全て制御し、術式を完成させる。

 レイラインとして構築したエネルギーバイパスの中を通り、隅々まで淀みなく行き渡り、使われなかったエネルギーは炉心に戻ってくる。

 それが経験値へと変換されて炉心のステータスが自動更新されていく。概ね問題なく制御はできた。

 

「お、明るくなったね」

「炉心が目覚めたからな」

 

 生成されるエネルギーは想定以上に高いが、問題はない。続いて生産ラインと警備システムにエネルギーを送って起動させる。

 生産ラインは膨大なエネルギーを圧縮させて結晶化させていく。思い出の焼却よりは効率が悪いが、聖遺物の作成には膨大な力がいるからこちらでも賄う。

 続いて警備システムは基本的にゴーレムだ。こいつらが起動して教会の警備を行う。過剰なエネルギーがあるので、掃除用の物も用意しておくか。

 

「ねえ、キャロル君。ひょっとしなくてもこれってやばくないかい?」

「問題ない。襲われたら排除するだけだ。それより忘れ物ってなんだったんだ?」

「行ってきますって言ってなかっただろ?」

「はぁ……」

「溜息っ!?」

「さっさと行ってこい」

「行ってきま~す」

 

 ヘスティアを入口まで送りつけた後、オレは改めて工房で道具を作る。正直、ダンジョンでの移動が面倒だ。だから、バイクを作る。三輪のトライクを作ればいいだろう。装備はブレードと機関銃だな。いっそミサイルも装備するのもいいか。

 操作は自動で行うようにしておけばいい。警備システムもほぼ自動化されているから容易い。

 トライクは色々と魔改造するが、しない奴も売れるかもしれないな。この世界は移動手段が乏しい。基本的に馬か歩きのようだしな。ダンジョンの狭さも考えると……収納可能なアイテムと一緒に販売すればトライクやバイクは売れるだろう。一機一億ヴァリスで販売してみるか。収納機能つきにして容量を拡大した物は10億ヴァリスにすればいけるか? 

 襲われてどうしようもない時に逃げる手段にもなるが……それなら転移結晶を売った方がはやいが、流石に不味いか。よし、ショッピングモールのオープンイベントにオークションとして出そう。それとこの街は娯楽が少ないようだし、バイクレースでも作ってみるか。

 バイクの供給はオレがして、神共にオーナーをやらせ、運転手は冒険者だ。ショッピングモールを囲むようにコースを生成し、走っている映像を全てモニターに映してやれば一部以外は地下でいい。

 地下の開発に関しては……駄目か。下水があるだろう。よし、それならオラリオの外の土地だな。権利関係はどうなっているかわからないが、ヘスティアに神会を開かせればいい。

 企画書を渡してそこでプレゼンと遊ばせてやれば暇を持て余した神々は喰いついてくるだろうが……駄目だな。流石にそこまでやれば狙われるか。狙われても問題ない理由を用意すればいけるか。

 神々にも出資させて企画と運営の権利をくれてやる。ただし、バイクは俺の場所で買い、かつショッピングモールの利用を絡めること。トトカルチョは全てショッピングモールで行うようにすれば……連中は喰いついてくるだろう。やはり、コースを作って子供の遊び場にしておくか。

 よし、決めた。一先ずはショッピングモールにバイクのシミュレータを配置し、そこで遊ばせる程度にしておこう。エルフナインの知識にあるゲームセンターだったか、それを作ればいい。あの程度のシステムは容易く構築できるしな。なにより金がかからん。

 

 

 実際に何台かのバイクを作り、シミュレータシステムを搭載。続いてコースを作成。しかし、画面が面白くない。アバターを作成して亜空間で実際に走行させてやろう。ヘルメットに亜空間を知覚できるようにすれば可能だ。

 待てよ。これなら弓を持たせたシューティングゲームでも作るか。それともいっその事、訓練用としてダンジョンを忠実に再現したシミュレータを作成するか。どちらにせよ、匿名でショッピングモールに配置する。まずはバイクからだな。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 バイクのゲーム機を数台作成し、それを亜空間に収納してから大聖堂に移動すると、ヘスティアが戻ってきた。七人の少年少女と若い女性を連れてだ。

 

「連れてきたよ!」

「オレは関与しないから好きにしろ。生活費ぐらいは出してやるがな」

「わかってるよ。ついでに人も雇ってきたからね」

「雇う金まで出すとは言ってないが……」

「あ、あの、申し訳ございません! わ、私はなんでもしますので、子供達の事をお願いします! わ、私はか、身体を売れば……」

「お姉ちゃん……」

 

 餓鬼共が女性に抱き着いているが、オレの知ったことではない。

 

「キャロル君。この子達はギルドの支援を受けて孤児院を運営していたそうだ。でも、支援が打ち切られ、建物も取り上げられたそうなんだ。行く当てもなくて、裏路地で相談してたところをボクが拾ってきた。駄目かな?」

「雇うつもりはない。だが、教会の掃除やヘスティアの維持管理をするのなら、置いてやる」

「待って。ボクは施設と同じ扱いなの!」

「しっかりと働くならヘスティアの裁量で好きにして構わないと言っただろう。まあ、教会の景観を損なわないために食事と服ぐらいは用意してやる」

「ありがとうキャロル君!」

「「「ありがとうございます」」」

「じゃあ、ボクはもっと拾ってくるね!」

 

 ヘスティアの奴はさっさと出て行った。アイツ、どれぐらい養うつもりなんだ? 実際問題、施設の維持に人が大量に居るのだが……

 

「……あ、あのぉ……」

「わかったか? アイツの管理を頼むぞ」

「は、はい!」

「ああ、それとやはり働いてもらっていいか?」

「な、何をすれば?」

「なに、カウンセリングだ」

「や、やったことはありませんが……」

「機材は用意する。お前は俺の言う通りにやればいい」

 

 教会に懺悔はつきものだろう。消す、消さないは彼女に選ばせて忘れたい嫌な思い出を収集させてもらう。

 ついでに治療院も行って稼がせてもらうか。使う薬はミアハ・ファミリアとオレから提供すればいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 数月後。無事にショッピングモールが完成した。オレはオーナーとして挨拶を行った。といっても、プレオープンで、招待客は神々と護衛としてそのファミリアの団長と副団長のみだ。

 オレの仕事は基本的に施設の維持管理と詐欺などの犯罪や問題行動を起こした店主達を取り締まり、そいつらを追い出す役割だ。

 またショッピングモールの東西南北にはエルフナインの名前でテナント契約をし、球体型のバイク・シミュレータを配置した。基本的にに三階建ての大きな建物になっているので、テナントとして貸し出す場所は多い。前から入っていた店以外はほぼ全てがオレの管轄になっているようなものだしな。

 また、巨大な水槽を設置して亜空間の映像を映し出したり、バイクレースの映像を映し出すスクリーンが設置された柱もいくつか用意してある。一部は広告を載せて流したりもする。

 問題は警備だが、武器の持ち込みは一切認めない。また騒ぎを起こしたらそのファミリアに損害賠償を請求することを伝えて、了承した冒険者のみ入場を許可する。神々に関しては武器を持っていない限りはフリーパスだ。

 オレが作った魔導具店は基本的に美容関連商品で、武器関係は一切作っていない。他の商品はバックの内部空間を弄って重量軽減効果を2倍から10倍にした商品で、値段はとても高く、普通のバックの10倍から100倍の値段で販売する。

 次の商品は上級冒険者にとって必需品であろうテント。内部空間は拡張され、10人が余裕で過ごせる広さがあり、ベッドが四つと個室でシャワーとトイレを完備。汚物は全て分解されるので臭いもなしな上に灯りもつく。更に警報装置もあるのでモンスターや人が近付いてきたらわかる。しかも、中に道具を置いておけばそいつらも纏めて掌サイズの結晶体に収納可能。お値段はたったの1億ヴァリス。

 売れるかは知らん。オレがダンジョンで使う時の為に作った。一人でゆったりと長時間を過ごすならこれぐらいはいる。

 店員はゴーレムの自動対応でさせている。このゴーレム達は全部エルフナイン製としておいたので、関係者はオレが購入して持っていた物だと思っている。オレの収納容量が凄まじいことは知っているからな。まあ、そのせいで税金の追加徴収を受けたが、正式な理由があれば支払ってやる。

 それと飲食店もあるが、酒類の取り扱いは一切ない。アレは別の所で買うように仕向けた。そうでないとミアに申し訳ないし、泥酔者が暴れると面倒だからだ。どちらかというと、ショッピングモールは冒険者や一般人が休日などに遊びにくる感じで、おしゃれな感じにしてある。

 

「さて、諸君。ゲームの時間だ。投票は終えたか?」

「1番に600ヴァリスや!」

「3番に700ヴァリス!」

「9番に5000ヴァリス」

 

 操縦者となった団長や副団長達が球体に入り、バイクレースを開始する。その映像が大スクリーンに映し出され、一部には有料でゴーグルを貸し出して運転手と同じリアルな映像がみえるようにしてやった。亜空間とはいえ、地球の歴史を参考にして作り上げた様々なコースだ。とても面白いだろうよ。

 

「投票は終わりだ。レースを始める。スタートだ」

 

 ボタンを押すと、軽い鐘の音が響いてゲームが始まる。スタートの開始位置は凱旋門からだ。

 

「うわ、これやばいなぁ」

「難易度が高すぎよ!」

「まあ、マニアックは無謀だったな」

 

 一部の神々はレースに夢中になり、自分達も遊びだす。他の連中は美容関連を取りにいったり、風呂にいったり色々だ。そう、風呂だ。ここにはスパリゾートを参考に水着を着て遊べる温水プールを用意したし、水上アスレチックも設置した。

 当初に予定していたよりも施設が大掛かりになってしまったが、近くの住人から参加したいという言葉をもらったからだ。辺り一帯を買取、別の場所を買い取ってそこに社員寮を作成し、そこに移り住んでもらった。平屋を潰して三階から五階建てにすればそれだけでスペースに余裕はあるしな。それに……内部と外の空間は弄ってある。そう、実際のスペースは本来のスペースよりもかなり大きいのだ。これはショッピングモールも同じだ。

 

「ねえねえ、キャロル君」

「なんだヘスティア」

 

 オレはショッピングモールにある三階に作られたカフェテリアで紅茶と作らせたケーキを楽しみつつ読書を行っている。オレにとって砂糖なども簡単に作れるので、ここの店舗にはレシピと一緒に安く売っている。出る利益もオレの収入だ。

 

「うちが完全に商業用ファミリアになってるんだけど……」

「ショッピングモールはオレの個人資産だ。関係ないな。あるとすれば孤児院と治療院か?」

「冒険者の治療だね」

 

 冒険者達に薬草を取って来させ、代わりに格安で治療を施す。もっとも、ヘスティア・ファミリアが運用する保険に加入する事が治療の条件だ。月々に一定の金と依頼の品を収める。治療を安くしてもらえ、働けない間は一定期間の金を支給する。身体の欠損に関してはミアハから買い取った銀の腕を解析し、量産用に作ったダウングレード品を販売。そいつの借金返済までショッピングモールの警備や商隊の護衛などで働く事を条件に施してやる。商隊は外に出して品物を運び入れさせないと怪しまれるからな。

 ちなみにこの保険。加入すると子供を預かって教育を施したり、両親が亡くなったりした場合、そのまま引き取る契約をしている。そのさいに親の残した資産は全て子供に引き継がせる契約をしてある。またヘスティア・ファミリアの緊急時には協力する事が義務付けられており、無視した場合は違約金が掛け金の100倍を請求できる契約だ。支払い義務はファミリアにも及び、ファミリアはそいつを追放するか金額を支払うかの契約だ。

 ただ、人手が足りないので低所得者に仕事を与え、家が無い者達には住み込みで働かせている。ついでにいえば各ファミリアに入るための訓練所も併設させた。

 

「ミアハは喜んでいるけどね~」

「だろうな。オレ達が使っている薬品はほぼアイツから買っている」

 

 経営状況は借金もあるが、ミアハ・ファミリアに関しては孤児たちを弟子に取らせることで、人手を増やしている。ナァーザも忙しそうに頑張っているが、生産が追い付いていない。

 

「しかし、子供達が狙われないかな?」

「狙ってきたら潰せばいいだろう。保険加入者は全て味方だぞ」

 

 まあ、何人かは犠牲になるだろうが、一応は護衛をつけているし、教会の中に居る限りはどうとでもなる。

 

「やぁ、キャロル」

「フィンか」

「どちびぃいいいい!」

「ロキじゃないか」

 

 がらんとしている中、ロキとフィンがやってきた。ヘスティアはロキと遊んでいるので、放置する。

 

「座っていいかな」

「好きにしろ。どうせ、今日はどこも空いている」

「広さのわりに入っている人が少ないからね」

「あくまでも実験だからな。だんだんと人が増えていく」

「そのようだ。それでキャロル。ロキ・ファミリアに来るつもりはないかな?」

「そうやで! キャロルちゃんなら大歓迎や!」

「オレの条件を飲めるならいいぞ」

「ちょっ!」

「条件はなんや!」

 

 ロキがヘスティアを羽交い締めにして聞いてくるので、答えてやる。

 

「まず、オレは好き勝手にさせてもらう」

「「え?」」

「次にオレが稼いだ金は全てオレの物だ。ファミリアには一切入れない」

「ちょ」

「施設を好き勝手に改造する権利をもらう」

「まさか、ドチビ……」

「ふふん、そうさ! ボク自身はまだ貧乏なままだよ! 建物もほぼ全てキャロル君の持ち物さ!」

「うわぁ……」

「そういうわけだ。オレは誰かの下につくつもりもない。ヘスティアがこの条件と他にいくつかの条件を飲んだからオレは眷属になってやった」

「まあ、ボクも結構好き勝手にやってるけどね!」

 

 ちなみにこのせいで、ヘスティア・ファミリアに入ろうとする奴等は皆、止めて行った。当然だろう。かなり羽振りがいいと思ったら、全て団長の個人資産でファミリアとしては旨味がない。

 そもそも、この程度で諦める奴なら、必要ないし、オレが気に入ることもない。気にいれば支援ぐらいはしてやる。

 

「言っておくが、戦争遊戯でオレを手に入れようとしても無駄だ。ヘスティアには受けないように言ってある」

「へぇ、それはなんでだい?」

「決まっているだろう。ルールがありでは勝つのが面倒だからだ。場外戦闘ならオレ達は保険加入者を導入し、ゴーレムを使いながら民を扇動して相手ファミリアを潰せる」

「えげつないこと考えているな……」

「で、用事は勧誘だけか?」

「まさか。遠征が決まった。前に話した通り、ついてきて欲しい」

「いいだろう。オレもそろそろ潜ろうと思っていた。ただ、条件を追加させて欲しい」

「なんだい?」

「遠征の資金は全てオレが出す。だから、ドロップと魔石を全てオレに売れ。ギルドには税金として買った分から現金で支払ってやれ」

「それは、本気かい?」

「本気だ。オレは大量の魔石と深層のドロップが欲しい」

「ロキ」

「嘘はないし、相談してからやな。それにもう色々と買ってしまったし……」

「なら、それも買い取るぞ」

「ドチビ、こいつの資産って」

「ああ、君が思ってるよりも桁が違うよ」

 

 足を組み替えて本を読みながら話す。すでにここの文字は神聖文字も含めて覚えた。大気成分の解析もファルナもほぼ解析が終わった。後はダンジョンの深層と聖遺物の問題を解決するだけだ。

 

「じゃあ、考えておいてくれ」

「ああ、それとこれはロキと団長二人だけの秘密にできるのなら、もう一つだけとっておきのアイテムがある。それがあれば死亡率はかなり減るだろう」

「ほんま、やな。で、そのアイテムは?」

「支払うもの次第だ」

「何が欲しいのかな?」

「ロキの血と髪の毛。唾液など、神の身体のものならなんでもいい」

「ちょっ!?」

「……それは何に使うのかな?」

「答える気はない。ただ、ロキ・ファミリアがオレに敵対しない限り害はないだろう」

「ふむ」

「……つまり、神の身体を素材にするってわけか。ドチビ、こいつはそういう趣味なん?」

「違うよ。むしろ……いや、なんでもない」

「そうか。それならええよ。その程度で子供等が助かるんなら安いもんや。なんなら口移しでやるで」

「オレにそんな趣味はない。こちらが渡す容器に入れてくれるだけでいい」

「ちぇ~キャロルたんとなら寝屋でしっぽりとでき……」

「ロキ、リヴェリアに言うよ」

「すまん」

「で、そのアイテムはなんだい? 言われた通りにしよう」

「本気だよ。教えていいからね。それがキャロル君の大事な事に繋がるのなら、ボクは我慢しよう」

「フィン、こいつだ。他から見えないようにして見たら、ロキにも見せて燃やせ」

 

 紙を渡してからテーブルの上に炎を生み出す。二人をそれを見てから即座に燃やす。

 

「マジか」

「確かにこれなら、ボク達は喉から手が出るほど欲しい」

「壊してから使う関係上、多少のタイムラグはあるが……問題なく使える。情報の秘匿と出所を伝えないことで配布できる」

「出口は?」

「オレ達のホームだ」

「なるほど……即座に治療もできるってわけか」

「死亡率は格段に下がるだろう。使用は団長の判断に任せる。だが、大人数用は一つだけだ。使えば数億が飛ぶと思え」

「それは出してくれないのかな?」

「当たり前だ。オレにとってお前達が何人死のうが、知ったことではない。最悪、オレだけ戻ればいい話だからな」

「それは……」

「ロキ。彼女はあくまでも、ギブアンドテイクの関係だ。流石にそこまではもとめられない。ただ、さっきのロキが提供する物で少人数用なら何個かだしてくれるのかな?」

「ああ、それは出す。一つで五人。二十人ぐらいまでならいける」

「それなら、二つを除いて後方部隊に渡すこともできる。よし、ロキ」

「わかってるわい。それぐらい出してやる」

「契約成立だ。では、深層の情報を教えてくれ。必要な物を揃えて万全を期す。オレも無駄な犠牲は出すつもりがないからな」

「了解だ」

 

 フィンと握手をする。すると、ニヤリと笑ったロキが──

 

「おっと、手が滑った」

 

 ──フィンを押しだしてくる。そのまま彼がこちらに倒れてきて、黄金の壁に阻まれる。

 

「これは……」

「なんやそれ」

「キャロル君の防御魔法だよ。彼女は鉄壁だからね。ロキもセクハラできるものならやってみるといいよ」

「ほほう」

「ふう」

 

 フィンが障壁に手をついて反動で起き上がる。それからニコリとこちらに微笑んだ後、ヘスティアを指さす。オレもニヤリと笑って立ち上がる。

 

「あ、あれ、二人共どうしたのかな?」

「ふぃ、フィン?」

「おいたがすぎるね。お仕置きだよ」

「そういうことだ。少し頭を冷やさせてやろう」

「ま、待って、ここ三階!」

「しらん」

 

 ロキとヘスティアを纏めて足を鋼糸魔弦で縛り、三階から放りなげる。二人は叫びながら落ちて行き、鼻の先に地面がつく直前に停止して解放してやった。

 

「じゃあ、深層について教えるからホームに来てくれ」

「いいだろう。だが、その前にテイクアウトしていくぞ。流石に他人のホームを訪れるのに手土産がないと駄目だからな」

「あ、そこはちゃんとするんだ」

「取引相手にはしっかりとする。で、何人だ?」

「それはね──」

 

 大量のケーキを買って、一部はもっていく。それ以外は宅配を頼んだ。そもそも品物がなかったからな。

 何か忘れている気もするが、まあいいだろう。

 

 

 

 

 

 フィンと一緒にケーキを持ちながらロキ・ファミリアのホームを二人でくぐる。すると忘れていた何かを思いだした。

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁっ! お前、だ、団長とで、デートぉぉぉぉっ!」

 

 突撃してくるティオネを鋼糸魔弦で拘束してから入る。厄介な奴だよ、本当に。

 

 

 

 

 

 

 




現在の時間軸はベル君が来る少し前。つまり、キャロルがロキ・ファミリアと一緒に遠征している間にベル君を拾ってくる感じです。
遠征が終わったらオートスコアラー達の作成に入ります。今回の遠征でドロップを買い取るからね。
とりあえずガリィからかな。次にミカにしようかな。でも、ミカの戦闘能力から考えるとアポロン辺りでもいいし・・・・ガリィ、レイア、ファラ、ミカの順番か・・・悩ましい。

ベートは銀髪犬耳尻尾ロリアイズから戻れるかどうか

  • ツンデレ銀髪犬耳尻尾ロリアイズは正義
  • ベート君が可哀想なので正規の方法で戻す
  • キャロルちゃんの気まぐれで直す
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