もともと俺が、、我がアルバトリオンなのだ!!!
そう意識してから数百年、じっと島にいながら誰かに観察される日々に辟易し、島から遂に飛び出す。積もりに積もったストレスを抱えながら出てきたアルバトリオンは世界をその眼で見て何を起こすのか。それは破壊の力をもった伝説の龍の暇つぶし。
処女作です。書いてみました。
『
現在この島に人間は住んでいない。元々荒れた海の先にあり、島の環境も地獄と称えられるほどの荒れようであるため一部の人間以外は寄せ付けなかった。
空から見渡せば、ある場所では大嵐が舞い、またある場所では大地が凍り激しい吹雪が吹き荒れ、他にも青白い雷が雨のように降り注ぐ場所があれば、炎が一面を覆う場所がある。
環境が環境なだけに、いつ島が爆発し無くなるのか不安になり、調査の為定期的に政府の軍艦船が島の周りを旋回していることがある。他にも島に興味を持った海賊や冒険家、学者などが命をかけて島に入り、多くの者が人生の幕を閉ざした。
この島には古くからある言い伝えが存在する。
大嵐、猛吹雪、落雷、炎の雨 。天災の数々を越えた先にあらゆる天災を操り、あらゆる生の命を奪うとされる、神をも恐れさせる龍 が存在すると。
かの龍の後には死しか残らず、その到来は人類にとって破滅を意味するとされている。
島に入り、かの龍を一目見ようとすれば災害に巻き込まれて命を落とすだろう。
だが所詮そんな龍なんぞ言い伝えだ、と嘲笑するものが多くいた中、
ある日その意見はかんぜんに否定された。
帰港したある船乗りが「真っ黒な、でっけぇ龍が空を飛んでたんだ」と震えながら周りに伝えたことにより、それからは島の中心部上空でかの龍の目撃情報が相次いだ。
真っ黒な鱗に青白い雷が迸っていたや、炎を纏らせていたなどと様々な証言が相次いだが、どの目撃者も龍を目にした瞬間に自らの死を感じたと伝えている。
ある日 かの龍を見た学者が龍に名称をつけたことから世界中にその名が伝わり生きる伝説が広まった。人々はその名を呼ぶ。煌黒龍と。
♢♢♢
「霧が濃い、今日は龍の影は見えそうにないですね。」
「ああ。龍どころか島の影もうっすらとしか見えねぇ。こういう時は注意しとけよ!何が起こるか分からねぇからなぁ!」
荒れた海の上を進み、深い霧の中薄っすらと見える島の周辺に停泊する船が7隻。5隻は政府より煌黒龍を監視し、調査しろと任を授かった調査隊の船団だ。そして2隻は調査隊が安全に任務を遂行できるように守護の役目を全うする世界政府の軍艦である。
「ん…?おい!なんだこの揺れは!?地震か!?全員どこかに掴まれ!!海に投げ落とされるぞ!!!」
「はい!!」
突如、激しい轟音が島の方角から聞こえ、次の瞬間には大きな地震と強烈な衝撃波が船を襲った。船員が船にしがみついている間も揺れや轟音は治らず、島の方角から熱風が船を襲い、濃い霧の中でもはっきりと炎や雷が島に降り注いでいるのが見てわかる。
いくらか時間が経った頃、先ほどの衝撃でか濃霧が晴れこの日始めて伝説の島の全貌を見ることが出来た。だが、その光景を見たものは誰もが自身の目を疑った。
「おい......昨日まで俺たちが研究してた伝説の島ってどんなだった......」
「......言い伝えの通り他の島と比べ物にならないほど天候が荒れていましたが、緑が生い茂る場所もあり、まさに自然が生きているような場所でした……」
「じゃあ俺たちが今見ているあれはなんだ…?」
「......伝説の島です」
「......なんでその島がここまで崩壊しているんだ」
「わ、わかりません......」
世界政府、研究者、海賊、冒険家。数多の人間が伝説を聞き今日まで調査していた伝説の島が、崩壊しかけており、これまでの面影も残っていなかったからだ。島の大きさは本来の半分も残っておらず、火山が噴火し溶岩が流れ、火山弾が彼方此方へと降り注いでいた。
呆然としていた船員たちだったが、次第に現状を理解できるようになり、島の中心だった場所に黒い影があるのを船員が発見した。
「船長!! 島の正面、中心だった場所に黒い影が!煌黒龍です!!」
「...ッわかってる!!お前は世界政府に電伝虫をつなげろ、他の奴は火山弾に注意しろ!」
「「はい!!」」
船員である研究者たちはこの一瞬一瞬を明確に歴史に残すためにばたばたと、急ぎ記録していく。
だが、この環境下においてそんな余裕が許されることはなく、神秘を紐解こうとする愚かな人間に裁きを下すかのように火山弾が調査船に降り注いで——————
「——————
「...ッ!!クザン中将~!!」
——————軍艦から氷の矛が無数に飛び出し、船に向かって降り注ぐ火山弾を破壊することで絶体絶命の危機は免れた。船の危機を救ったのは護衛艦に乗っていた海軍本部中将クザン、後の海軍本部大将青雉である。
「あ~らら~大丈夫か、一応任務だからな、それにこの状況でだらける程俺も馬鹿じゃねえ、お前ら!、死にたくなかったらとっとと船を島から離せ!!」
「「ッはい!!」」
クザンの命令に従い海兵と調査員は今起こる現象を記録しながらも船を旋回させ、隕石のような火山弾の被害が及ばない距離まで、島から距離をとることができた。
安心はできないがようやく一息つけるところに来たことに皆は安堵した。脱力するもの、島を呆然と見るもの、龍を凝視し脳に刻み込もうとするもの、そして——————
「——————ッッ!!船長!やっと五老星と電伝虫が繋がりました!!」
「よし!代われ!!」
島の崩壊により磁気障害が起きていたが、島から離れたことにより電伝虫が機能するようになった。通話先は先ほどからかけ続けていた世界政府、そのトップである五老星である。
『......連絡が遅かったじゃないか、なにかあったのか』
「......すみません、自分自身まだ目の前の状況を頭が理解しきれていません、ですが......」
調査団の船長は、自分が見たものを鮮明に思い出しできるだけ事細かに五老星に報告した。実をいうと今回の調査はいつもみたく研究員が独自の研究のため調査に来ているのではなく、世界政府、五老星から直接調査の命令が下されたのだ。——————実際のところは天竜人が龍の姿が見たいがために調査を五老星に要求したのだが、そのことを知るのは現場ではクザンのみである。
だからか、報告するだけでも現場には緊張が走った。口うるさい大柄な船長は慎重に報告しながらも手足は汗でびっしょりである。
『...ッなに!?島が崩壊しただとッ!!』
『煌黒龍はどうなった?』
「崩壊が始まってから時間は経っていますが未だに島の中心だった場所に佇んでいます......初めてですよ、こんなにはっきりとあの龍を見たのは」
噴煙が立ち昇り、本来なら島にいる煌黒龍を見ることは叶わなかったはずなのだが、噴火と同時に起こっている風の奔流が煌黒龍がいる島の中心を囲っていることで火山灰も噴煙も塵一つ通さず、煌黒龍をはっきり見ることができている。その姿は左右に全身を覆えるほどの大きな闇黒の翼、頭部には天をも穿つような角、尻尾には鋭利な棘、血で染まったような真っ赤な瞳、体色は全身が漆黒で覆われている。
だが、何より注目すべきところは全身の鱗が逆立っているところだ。——————それはまるで愚かな生物に激怒し、この世に存在するすべての生物を滅ぼすと決めた怒れた破壊神のようで———————荒れ果てた風景の中心部はそんな神々しい龍だけが存在している。一見歪に見える画だが、煌黒龍以外存在しないことから中心部は宛ら彼の龍の絶対領域であり、目のあたりにしたものはその神秘さに恐怖を忘れ酔いしれている。
世界政府の最高権力者と言われている五老星にとっても予想外の報告であったためか、通信越しでも分かるほど動揺をあらわにしている。
一方、島の主である煌黒龍は周りを気にする事もなく、不気味な程にビクとも動かない。
『クザン、龍と戦って勝てるか......』
「ッ冗談でしょう...遠目から見ることしかできてませんけど、向かってこられたら生き残ることだけしか考えられそうにないですよ」
『......そこまでか...』
クザンはヒエヒエの実を食べた自然系の能力者である。弱点を突くか、覇気を纏わない限り、自然系能力者にはダメージを与えることは出来ない。、それ故にクザンにそう思わせる程の存在は危険視される。
「とりあえず刺激しないようにこのまま監視し続けるけることしかできそうにないですよ」
『ああ、これほどの映像が撮れたのなら天竜人たちも納得するだろう』
「......つぎは捕まえてこいなんて言い出さなきゃいいんですけどね」
『............やめてくれ』
『.........あり得る話だな...』
はぁぁっとクザンと五老星がお互いの近い未来に起こるかもしれない不穏な気配を悟り緊急事態の中でも思わず肩をすくめて嘆息をついた。
遠くからでも分かる煌黒龍の覇気を感じ弱腰の姿勢であったクザンだったが、歴戦の海賊たちとの命の駆け引きという修羅場を渡り歩いてきた経験により彼には余裕が出始めてきた。
だが、いやなことは立て続けに起こるものだ。
『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!』
『「ッッ!!!!?」』
突如、今まで微動だにしなかった龍が、周辺に降り注いでいる迅雷の音をかき消し空の彼方まで轟くほどの咆哮をあげた。
その轟音ともいえる啼き声を聴いたものは耳を全力で塞ぎながら、腰を抜かし船の甲板に座り込んでいる。
咆哮が止むと、もともと非戦闘員である研究者たちの殆どが意識をなくし、海兵までもが襲ってこないことに安堵していたのもあり急に向かってきた明確な死の恐怖により、発狂し震えながら跪き、絶対的強者に許しを請う。
たった一度の咆哮であの龍には絶対に逆らってはいけない存在だと、人間の中に眠っていた生物の本能が警告をならしたのだ。
すべての音をかき消した後に残ったのは精神を壊した海兵たちの醜い慈悲を請う声である。研究者たちのように意識をなくしたほうが救いがあったものだ。
「......ッ!!い、いやだああああ!!!しにたくないいい!!」
「ごべんなざいいいいいい!!!!ゆるしてくださいいい!!!」
『ッ!!なんだ!!なにがあった!!!』
「......おいおい嘘だろ、奴の咆哮で部下たちの気がやられました、それに今のは覇王色の覇気ですよ......」
『そうか......天候を操るほどだ、もっていてもおかしくはないとわかってはいたが......お前以外にだれが残っている』
「......部下の記録係たちも気絶していますが私はまだ大丈夫です」
五老星にとって煌黒龍が選ばれた王の力を持っていたことは許容範囲だったが、海軍本部で鍛えられた海兵たちがただの咆哮でつぶれてしまうとは想定外だった。
残ったのはクザンと調査隊の船長だけである。軍艦と調査船にはこれといったダメージはないものの、船員の意識が戻るまでは船を動かし逃げることができなくなってしまった。
「逃げることもできなくなってしまいましたな」
『龍はどうしている?』
「……翼をはためかせてますよ」
『ッ止めろ!!』
『
クザンが自身の半身を凍らせ、今にも飛び出しそうな煌黒龍に向かって腕を突き出し自らの能力を行使する。突き出した腕から氷でできた巨大な雉が飛び出しその翼を羽ばたかせながら島にいる煌黒龍に激突し、そのまま巨大な氷雉は触れた場所から龍の身体を氷像にしようと凍らしていく。
「やったのか!!」
「バカを言うな、まだだ……」
先ほどから溢れて止まらない汗を拭いながら、クザンは煌黒龍から目を離さない。できればこのまま動かないでくれと願いながらも、そんな願いが裏切られることは分かりきっていた。
『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
全てに恐怖を与えるその咆哮は瞬く間に身体を覆っていた氷を吹き飛ばした。
自由になった煌黒龍は両翼をまた羽ばたかせ、空高く飛び上がる。
クザンや船長は警戒するが煌黒龍を止める術もなく注意深く見ていることしかできない。
「島から出てどこに......!?」
上空に飛び上がった煌黒龍はどこかへ行ってしまうかと思われていたが、闇のように黒く染められた翼を広げながら二人がいる船の方へと真っ直ぐに飛んできた。
(何をする気だ......)
煌黒龍はクザンの目の前まで飛んでくると空中で止まり、じっと二人を見つめている。
一秒がとてつもなく長く感じてしまう中、周りの音も気にならないほどに煌黒龍のその眼から意識をそらすことができなかった。
船長はクザンほど身体を鍛えていなかったため、手を伸ばせば触れてしまえる距離にいる龍に恐怖のあまり腰を抜かし震えていた。
いくばくかの時間が経ち、興味が失せたのか将又何かに満足したのか煌黒龍は二人をそのままに、上空高くまで急上昇し闇夜に紛れ空の彼方へと飛び去ってしまった。
「ッはぁ......はぁ...」
「五老星......あの龍は島から飛び出してどこかへ行ってしまいましたよ」
『......わかってる』
『......写真は撮れているが、世間に知らせるかどうかだな』
『発表すれば騒ぎになるぞ』
『人間のいる場所に煌黒龍が現れたらどちらにせよ騒ぎになる。』
電伝虫の向こうではこの事態をどう治めるか五老星同士が話し合いを続けている中、今回の元凶である煌黒龍はこの場にはおらず、すでに島の半分が先の衝撃で消し飛んでおり、今なお火山が噴火しマグマが海に放出されている。
『クザン、そちらに応援を行かせた。』
『一度マリージョアに来て今回の報告を改めて頼む。』
「......りょうかいです」
先ほどまでの緊張感には前線で戦ってきた海兵であるクザンにとっても堪えたのか、気だるげな返事だけを返しその場に腰を落とす。
今日この日、長い間語られてきた伝説の島は、伝説の龍が姿を現し、原因不明の事態により崩壊した。
実在した煌黒龍は今もなお、星々に照らされながらどこかへ向かって大空を飛んでいる。
♢♢♢
クエェェェェェェェェェェェ
水兵帽を被り、首から新聞の束を入れた赤いカバンをぶら下げて空を飛んでいるカモメ、新聞配達のニュースクーは空からそこかしこに新聞をばらまいている。
号外であるその新聞を受け取った人々は皆、記事の内容に驚愕し、心躍り笑うもの、平穏が脅かされるのではないかと不安になるものがいた。
風に流され開いた新聞にはこう書かれていた。
『号外!!伝説の島崩壊!!!煌黒龍は空の彼方へ!?』
ワンピースの映画を観てからいまだにその余韻に酔いしれています。。