夢を見る主人公は4444回目に何を見るか?
ハーメルン初投稿でテストです。是非感想などお待ちしてます。
今度から渋からこっちにいこうかな・・・?

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4444回の夢

10000m

 

 

 

ここはどこだ。いや、考えずともわかる。ここは空。空のど真ん中。

 

 

 

9000m

 

 

次に考えるべきは、なぜ私はここにいるのか。いいや既にわかっている。

 

 

8000m

 

 

夢だ。これは夢だ。でなければ私はここにいるはずが無い。

 

 

7000m

 

 

いきなり人間が空のど真ん中に現れるわけが無い。

 

 

6000m

 

 

 

だがいくら夢のなかとて安心できるわけがない。

 

 

5000m

 

こうやって考えている内にも私は落ちている。

 

4000m

 

夢だとわかってても怖い。早く覚めて欲しい。

 

3000m

 

下を見るのが怖い。でも否応なしに地上は近づいてくる。

 

2000m

 

怖い。怖い。怖い。だが恐怖の感情はこの空の中では無駄だ。

 

1000m

覚めないとはわかっている

900m

でも覚めてと願っている

800m

この瞬間にも

700m

私は落ちていく

600m

淡い期待と

500m

共に堕ちる

400m

夢よ

300m

覚めて

200m

そして

100m

私―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢。それは睡眠中に見えるモノ。あるいは願望、願いという意味だったりする。

 

私の見ている夢はもちろん前者だ。

 

今度は森の中。

 

私は鹿になっていた。

 

夢の中ならば何だってなれる。そう、猫とか犬とか他の動物にさえも。  「………」

 

だが、こんな鹿にはなりたくなかった。

 

罠に嵌った鹿には。

 

トラバサミが細い足に食い込んでいる。              「・・・・・・・・・・・・」

 

痛みを堪えつつ必死に抜け出そうとする。だがその度に痛みが増していく。

 

私の悶える息に混じり、何かの息が近づいてきた。        「・・・・・・・・・」  

 

狩人。なぜか私は直感でわかった。               「・・・・・・・・・」

 

今目の前に現れた狩人は、きっと私を食らうつもりだ。      「・・・・・・・・・」

 

ナイフを取り出した狩人に、なぜ私を食らうのか聞きたかった。  「・・・・・・・・・」

 

だが食料に対して答える筈が無いし、私は言葉を話せない。    「・・・・・・・・・」

 

狩人は黙々と皮を剥ぎ始め痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛「・・・・・・・・・」痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛「・・・・・・・・・」痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛「・・・・・・・・・」痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛「・・・・・・・・・」痛い痛い痛――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢は一夜で5回くらい見るらしい。たまたま小耳にはさんだウワサである。だが私にとってそれは嘘である。何故か。だってこれは4443回目の夢だから。連続4443回目。これで888日くらい・・・いや、睡眠時間が普通8時間とすれば300日程度は寝ているだろう。でもこんだけ寝続ければ今頃死んでいる。事実、私は夢の中で『死に続けている』前の夢のように、前の前の夢のように。そして夢を見た回数、つまり死んだ回数が嫌でも分かってしまう。そんなの忘れれば気が楽なのに。こうやって誰かに見せるような日記を想像して冷静を保っている。今の話をすると、私はガムテープで目隠しをされている。口もガムテープで塞がれている。腕も足も、椅子に固定されている。そう、動けない。分かることと言えば、ずっとサイケデリックな不協和音が流れている。血の匂いと腐ったモノの匂いが混じったような強烈な匂いも鼻に流れる。もしこれが死体の匂いだと聞かされても疑わないだろう。とにかく、耳と鼻を延々と責められ気が狂いそうだ。いや既に狂っているのかもしれない全身が痒くなってきたかきたくなってきたが何も動かせない辛うじて体をよじってねじって暴れまわるけどもそれではからだのうずきがかゆみがとまらないああたすけてだれかたすけてきょうふときょうきとうずきがまじったかんじょうがわたしをうちがわからこわしてこわしてこわし

 

突然音が止まった。

匂いは相変わらず。

ドアが開くような音がする。

助けか?いいや、私に助けなど来ない。分かっている。

入ってきた何者かの足音がコツ、コツとゆっくり近づいてきた。

私のちょうど後ろで足音が止む。無言で、しかしゆっくりと殺意のこもった呼吸をしながら、鋭い物を出すような音を響かせた。

その刃物できっと私を殺す。分かっている。だが怖い。いつ死ぬか分からない、どこを刺されるか分からない、首を刎ねられるかもしれない。わからない、怖い、怖い、こ―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記念すべき第4444回目の夢。

 

ああ、何でだ。

 

この夢は見たことがある。

 

夢を見る前に体験した、最後の出来事。

 

学校の屋上、一寸先は空中。足裏が冷たい。月が雲に隠されている。風が弱く吹きつける。全部、あの時と同じだ。

 

やっと理解した。

 

私はもう一度、選べるようになった。

 

今までの夢は、4443回目までの死は不可抗力だった。

 

だが、今回は生きるか死ぬかを選べる。

 

運命が変わるかもしてない。

 

だが、私が自殺するまでに味わったことは、死ぬよりもつらいことだった。

 

どんどん思い出してくる。涙が出てくる。

 

そう、私がやることは最初から決まっていた。

 

私は

 

 

 

私は

 

 

 

私は

 

 

 

 

 

涙を頬に流し、その足を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

引いて、空中から遠ざかった。

 

死にたくはない。もうこりごりだ。

 

死ぬのは夢で十分だ。

 

 

 

 

その瞬間、私は勝った。

 

私は克った。

 

チャンスをくれて、ありがとう。私は愚かだった。死のうとするなんて、愚かだった。

 

 

 

 

 

ていうか、早くおうちに帰ろう。早く寝よう。

 

靴を履いて、階段へと向かう。そのまま急いで下る。

 

はやく帰らないと・・・・・・親が起きない内に。

 

 

 

 

 

 

 

4444回目の夢は、なんだか楽しくなりそうです。

 

 

 


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