金色の刃   作:ちゃんエビ

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26 理想

「アンタ‼︎こんな美人なお姉様方に慕われて囲われて今まで優雅に暮らしてたのかよ‼︎格差‼︎圧倒的格差‼︎これが上流階級の日常って訳ですか‼︎」

 

「善逸さん朝から煩いですよ‼︎お兄は強くて優しくてカッコいいから仕方ないじゃないですか‼︎」

 

「あぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

「嫉妬の叫びで始まる四ノ宮家の朝‼︎これもまた日常ってな!ハハハ‼︎」

 

「いや朝から汚い高音撒き散らす日常は普通に嫌ですけど⁈」

 

四ノ宮家の日常は朝から喧しい

 

賑やかな事は悪くないのだが汚い高音を撒き散らされるのはやはり堪えるものがある

 

「炭治郎君、善逸君、伊之助君もそうだけどカナヲちゃんも交えて一緒に朝食を食べれるなんて私は嬉しいわ!今日は辰巳君と春ちゃんも一緒だし煌牙と瑠花も無事に帰って来てくれた‼︎改めてお祝いしないといけないわね」

 

「煌牙ちゃんとカナヲちゃん‼︎好きな食べ物は何?私が持ってきてあげる♪」

 

そんな中お祝いという名の豪勢な朝食が運び込まれ母親としての母性か朔弥が煌牙達の好物を取ってくると張り切りだした

 

「じゃあお言葉に甘えて・・全種類持って来て」

 

「おいぃぃぃぃ⁈アンタこんな幼女に運ばせようとしてるの⁈」

 

「善逸・・その幼女は俺の母さんなんだ」

 

「・・・は?・・はぁ⁈・・・はぁぁぁぁぁ⁈幼女相手に母さん⁈え?何?性癖?うわぁぁ‼︎ないわぁぁぁぁ‼︎柱になれる人は一癖も二癖もある人だと思っていたけど・・そんな幼児愛好趣味の特殊性癖な人はないわぁぁぁぁ‼︎」

 

「ハハハ‼︎煌牙‼︎お前滅茶苦茶言われてんなぁ‼︎ハハハ‼︎」

 

善逸は朔弥が煌牙達の母親と知る由もないのでそう思ってしまうのも仕方ないのだが

 

「ねぇ?蒲公英君・・朝から煩いよ?朝食くらい静かに食べたら?別に食べる気ないなら騒いでも構わないけど外に出て騒いでくれる?」

 

と桜花が真っ当な言い分を静かに言い放った

 

「煌牙が言っている事は本当の事、朔弥さんは煌牙とカナヲちゃんの本当のお母さん‼︎私ね?煌牙の事を馬鹿にされるの嫌いなんだ‼︎炭治郎君も猪っちも覚えておいてね?私は煌牙が馬鹿にされるのが嫌い‼︎だって煌牙を馬鹿にしていいのは私だけだから‼︎」

 

「いや良くないだろ」

 

桜花のオチに逆に冷静になってしまった善逸のツッコミが入る

 

「煌牙さん、さっきは取り乱して酷い事を言ってしまいすいませんでした!まさか朔弥さんが母親とは思わなくて」

 

「おう‼︎絶対誰もがそう思うから気にすんな‼︎まぁ特殊性癖とか?桜花のオチとか?そういった事は稽古の時に思いっきり発散してやるから・・・お前等マジで覚悟しとけよ」

 

「「すいませんでした‼︎」」

 

「あら?煌牙少し変わったかしら?以前は少し遠慮気味というかあまり波風立てないような性格だっだわ」

 

「まぁ色々と吹っ切れたというか思うままにやってみようかなと‼︎強いて言えば今の俺が本来の俺なんですよ師匠」

 

「それは喜ばしい事よ煌牙・・それでも私の事は母さんって呼んでくれないのね」

 

「煌牙の場合母親が二人いてややこしいから朔弥さんを母さん、お母さんの事はママって呼べばいいよ♪」

 

「あら♪それは良い提案ね♪」

 

「最悪の提案じゃねぇか‼︎」

 

「「残念」」

 

「まぁその糞みたいな提案はともかく‼︎師匠は育ての親だし感謝してます‼︎以前は毒親の事もあって両親っていう感覚が曖昧なところがありましたけど・・今なら素直に思えます‼︎ありがとう母さん‼︎」

 

「煌牙・・ありがとう」

 

「煌牙ちゃん私は?私は?」

 

「母さんだろ?ってかどっちも母さんとかややこしいな」

 

「だから‼︎どっちかはママ‼︎」

 

「逆に俺がそれ言ったらお前引くだろ!」

 

「え?うん、コイツ何言ってんの?キモって思うよ?」

 

「ならなんで提案したんだよ‼︎」

 

「私が面白いから‼︎」

 

「黙れ」

 

「煌牙、僕の事はパパって呼んでくれて構わないよ」

 

「アンタも黙れ‼︎」

 

このように四ノ宮家の日常は騒がしく静かな食卓という上品な朝はない

 

まぁ外面は良いので表社会で醜態を晒す事はないのだが

 

「・・・賑やかで楽しい食卓ですね・・・あれ?伊之助が静か・・伊之助⁈どうしたんだ⁈伊之助⁈」

 

「お前も黙って食え‼︎昨日から滅茶苦茶美味い飯ばかりだ‼︎騒いでいる時間が勿体ねぇ‼︎」

 

そんな騒がしい食卓を微笑ましく眺める炭治郎と真の美食に言葉はいらないとばかりに一心不乱に食べまくる伊之助

 

「おう‼︎お前さんは分かってくれるか‼︎美味い飯は黙って食う‼︎この家の連中は黙って食う事がないからな‼︎まぁ瑠花様だけは礼儀正しく食べてくれるが」

 

「あ、貴方は?」

 

「俺か?この家のシェフを務める中山だ‼︎これから毎日お前達に美味い飯を作ってやるからな‼︎遠慮しないで沢山食べろよ‼︎」

 

「はい‼︎ありがとうございます‼︎お腹いっぱい食べさせてもらいます」

 

「おう‼︎」

 

そんな伊之助に共感した四ノ宮家のシェフ中山さん

 

これから毎日炭治郎達に美味い飯を作ってやると力強く宣言すると

 

「お前等‼︎騒いでないで黙って食べやがれ‼︎昼飯とオヤツ抜きにするぞ‼︎」

 

「オヤツ・・皆‼︎騒いでないで静かにして‼︎」

 

割と癖の強いシェフ中山さん

 

昼はともかくオヤツ抜きと言われこれまで沈黙を貫いていたカナヲが必死に叫ぶ

 

以前四ノ宮家で出されたオヤツに味を占めていたのだろう

 

流石に昼飯が無いと言われては黙って食べるしかない

 

その後は皆静かに朝食を済ませ騒がしい朝は終息した

 

 

 

 

 

 

「あっ⁈そうだ!四ノ宮邸の中にはねぇ〜鬼殺隊の隊士を目指す子供達と育手のおじさんがいるんだよ〜‼︎」

 

「育手のおじさんって・・私達の師範なんだけど」

 

「まぁおじさんという点は間違いじゃないな!ハハハ‼︎」

 

四ノ宮邸という広大な土地には本邸や英霊の塔だけではなく様々な施設がある

 

その中には未来の隊士を目指す子供達や師範たる育手が生活する修練場もあり日々修練に励んでいる

 

表では国にも顔が効く大企業、裏では鬼殺隊屈指の名門二つの顔を持つ四ノ宮家ならではの環境だ

 

「俺も師匠の継子になるまでは師範の世話になってたな!」

 

「懐かしいな‼︎」

 

「懐かしいね」

 

と親友同士で昔を懐かしむ煌牙達

 

「あっ⁈修行といえば瑠花とカナヲは総悟と一緒に修行してたんだろ?どうだったんだ?」

 

とカナヲ達の修行の成果を聞いてみる煌牙だが

 

「私達に足りないのは実戦の経験だって言われたから総悟さんとひたすら戦ってたよ?」

 

「うん、私と瑠花ちゃんどうやったら勝てるか工夫して考えての繰り返しで」

 

「私達前より強くなったと思うよ?お兄」

 

そう自信ありげに話すカナヲと瑠花

 

「そうか・・いやしかし総悟も脳筋馬鹿だったのか‼︎俺も修行中何度も死にかけたしな‼︎鬼の血の影響がなかったら確実にあの世行きだったわ.‼︎」

 

そうしみじみ思う煌牙、そんな煌牙の発言に

 

「鬼の血の影響って何?私そんな事聞いてないよ!」

 

と桜花が食い気味に尋ねると炭治郎達も心配そうに見てくるので煌牙は少しバツが悪そうな顔をして

 

「上弦の壱にやられた時にな・・体の傷を早急に完治出来たのは上弦の壱の血を体に取り込んだからなんだよ!まぁ奴の細胞もだけど、そのおかげで傷の治りが馬鹿みたいに早くて二週間ずっと親父と戦ってたわけで」

 

と説明する煌牙

 

「煌牙鬼さんになっちゃったの?」

 

と桜花が心配すると

 

「いや?俺は普通に人間だぞ?鬼に近い体質になってる期間が二週間だった訳で今はもう正常だな‼︎まぁ傷の治りが馬鹿みたいに早かったからこの体質が維持出来てたら便利だったろうなとは思うけど」

 

と少しだけ残念そうに話す煌牙、すると桜花は煌牙の体を執拗に触りながら

 

「・・・ふむ・・なるほど・・・」

 

と一人納得をして

 

「ご馳走様でした」

 

と的外れな感想を言ったので

 

「触られ損じゃねぇか‼︎」

 

と煌牙のツッコミと共に拳骨が桜花に落ちた

 

「お前俺が鬼じゃないか確める為に触ったんだろ?ご馳走様ってなんだよ‼︎欲求不満か?いやそれはそれで反応に困るけども‼︎」

 

「ほう!私が欲求不満と?・・なるほど‼︎煌牙はそう思ってる訳ですか‼︎

なるほど‼︎・・ならばこれから毎晩煌牙の部屋に突撃かまして太鼓を叩いてやる‼︎」

 

「辞めろ‼︎完全なる安眠妨害じゃねぇか‼︎」

 

「だったら謝って‼︎叩かれる予定だった太鼓に謝って‼︎」

 

「太鼓に⁈お前じゃなくて太鼓に⁈」

 

「太鼓に」

 

「・・・太鼓ごめんな」

 

「許すドン‼︎」

 

と反応に困る会話を見せつけられた炭治郎達

 

「これがお兄とお姉の四ノ宮家での日常です!炭治郎さん達早く慣れて下さいね?じゃないと頭がおかしくなります」

 

毎日こんなやり取りを見ていたら瑠花の反応も辛辣になってくる

 

「・・・はは」

 

煌牙のツッコミキャラはこうやって育まれてきたのかと思う一方慣れた方が逆に頭がおかしいのでは?と密かに思う炭治郎であった

 

そんなやり取りを繰り返しながら広大な四ノ宮家の土地を案内する桜花達だが

 

「後はあの山を案内すれば終わりだね」

 

と桜花が言うと

 

「あぁ炭治郎達がこれから修行する事になるあの山だな」

 

と炭治郎達にとって嫌な予感がする事を煌牙が言い出した

 

「え⁈お兄まさか私も一緒に修行・・なんて事はないよね?」

 

と巻き込まれたくない瑠花が懇願じみた事を言うと

 

「あぁ!瑠花はおやっさんが鍛え直すって言っていたぞ?それと伊之助も一緒に面倒見るってさ‼︎派生元が同じ風の呼吸だしおやっさんも二刀流だし通じるものがあると思うぞ」

 

「伊之助さんと一緒・・まぁ汚い高音を撒き散らさないからマシですかね」

 

「汚い高音は悪意ありすぎるだろぉぉぉ‼︎」

 

どうやら瑠花の鍛錬については泰三が引き受けるようで伊之助も呼吸や同じ二刀流という事で学べる事があるかもと煌牙に提案していたようだ

 

「あの?・・その山って前に言っていた地獄の試練とか・・関係ないですよね?」

 

修行と山と聞いて嫌な予感しかしない炭治郎が恐る恐る聞いてみると

 

「むしろそれしかないが?」

 

「ですよねぇぇ‼︎」

 

煌牙の返答に嘆きの返しを叫ぶ炭治郎

 

地獄の試練が相当嫌なんだろう

 

「大丈夫大丈夫‼︎俺達なんか鬼殺隊にも入ってない頃にやったんだし‼︎鬼殺隊に入って常中まで習得してる炭治郎達ならあの頃の俺達より遥かに強い訳だしいけるって」

 

と割と他人事のように話す煌牙、確かに当時の煌牙達には比べたらその試練の難易度は低くなるのだろう

 

「というわけで山頂の森の中で零余子に待機してもらう予定だ!元ではあるが下弦のは肆だしそこらの鬼より手強いぞ」

 

「いや‼︎それは全く大丈夫じゃないやつです‼︎」

 

割とガチのツッコミを入れる炭治郎、空気が薄く日輪刀も呼吸も使えない状況で下弦の肆を相手するのは正直なところ難易度が鬼畜である

 

しのぶが煌牙に馬鹿というのも無理はない

 

「というか俺も一緒に鍛錬するからまぁなんとかなるでしょ‼︎」

 

そう話す煌牙に

 

「兄さんが一緒なら美味しい御飯が食べられる‼︎」

 

と御飯でやる気を見せるカナヲと

 

「煌牙さんが一緒なら安心します」

 

と煌牙がいる事で落ち着きを取り戻した炭治郎

 

「勿論私も煌牙に寄生するよ〜♪」

 

と桜花も鍛錬に参加する事を告げ

 

「寄生すんな‼︎というかお前上弦の弐に一泡吹かせたんだろ?お前の方こそ奴に寄生されそうな気がするぞ」

 

「なら尚更私は煌牙に寄生するよ‼︎そうすれば実質アタオカ野郎は煌牙に寄生する事になる!」

 

「なんだその滅茶苦茶な理論は⁈普通に私も参加するって言えば良いだろ?いやマジでお前と漫才じみた会話してると話が進まないんだよ‼︎」

 

「ではこれから炭治郎君達が鍛錬をなさる修行地である白鳳山へ案内します!ここは標高が高く地形の影響も相まって狭霧山のように酸素濃度が非常に薄くなっており息を吸うのも辛いでしょう、故に禁則地となり私達四ノ宮一族が国から管理を任された地でもあるのですが私達鬼殺隊にとってこれほど修行に適した場はありません!炭治郎君達はこの地で基礎体力と肺活量の向上、そして無手での鬼との戦闘を行い総合的な戦闘技術の向上を図りこの先の戦いにおける生存率を高められたらと思います」

 

「・・・・・あ・・はい」

 

ふざけていた筈がいきなり物凄い真面目な口調でまともな事を言ったので呆然としながらも空返事をした炭治郎

 

「・・・この人・・二重人格」

 

そして真面目な側面を知らないカナヲは桜花の二重人格を疑った

 

「いつもこうだったら俺も少しは楽なんだがな」

 

「煌牙お兄様?無駄口叩いてないで早く参りましょう?」

 

「そうだな‼︎じゃ皆んな行こうか?」

 

桜花が真面目になれば話がスムーズになる

 

煌牙と桜花は早速とばかりに歩み始めると

 

「煌牙さんは桜花さんの変わりように驚かないんだな」

 

もう別人格のような桜花に普通に対応している煌牙にある意味感心する炭治郎、そんな炭治郎に

 

「慣れたらいつもの事だって受け流すようになりますよ」

 

と瑠花が冷めた目をするのであった

 

そんなやり取りがありつつ一同は白蓮山へ向かい

 

「今日は案内が目的だから修行はまた後日なんだが・・まぁとりあえず全員この切り立った岩山を登れ‼︎」

 

そう言って急に脳筋になった煌牙は岩山を軽々と登り始め桜花もそれに続くと

 

「よし‼︎あの時は参加してなかったからな‼︎春俺達も行くぞ‼︎」

 

「まぁ私達も隊歴は無駄に長いからね‼︎ちょっとはやれるってところ見せてあげないとね」

 

以前煌牙達が修行していた頃はこの修行に参加していない辰巳達

 

当時は絶対無理と思っていたが今ならばとやる気を見せ

 

「おぉ⁈予想以上にしんどいけど思ったより楽だ‼︎」

 

「いや⁈どっち⁈日本語ちゃんと勉強しよ?」

 

「辛辣だな‼︎ハハハ‼︎」

 

階級が乙と鬼殺隊の中で甲に次ぐ階級もあるが長年鬼殺隊を現役でやっているだけあり岩山を呼吸無しで登るのは難しくないようだ

 

「わぉ⁈辰巳兄と春姉流石だね〜♪」

 

「辰巳と春ならこれくらいやってのけるぞ?」

 

先に登っている煌牙達が余裕で話をしながら岩山を越えると

 

「わぁ〜♪ねぇ煌牙‼︎この景色見るの久しぶりじゃない?」

 

「懐かしいな‼︎半年の修行期間中この景色を癒しにしてたよな!」

 

「うん!ここが私と煌牙、二人が相棒として始まった思い出の地でもあるね」

 

「そうだな!二人で色んな所行ったな!煉獄さんの家に行って修行したら呑んだくれのおっさんがケチつけてきたり桑島の爺さんの所に行って修行したら継子になってくれと土下座されたり」

 

「まぁ今の桑爺には蒲公英君がいるから大丈夫そうだけどあの頃の慎寿郎さんは見てられなかったよ」

 

「はは‼︎お前は才能がないから無駄だ‼︎とかお前如きが牙狼になるとか天地がひっくり返っても無理だ‼︎とか散々言われたな‼︎」

 

「でも結局煌牙は牙狼として認められて慎寿郎さん泣いて土下座したよね」

 

「きっとあの時慎寿郎さんの中で何か変わったんだと思う!正確に言えば柱として活躍していた当時の想いを取り戻したんだって俺は思うよ‼︎まぁおかげで今は暑苦しい熱血親父だけどな‼︎」

 

「慎寿郎さん言ってた、才能がある者とない者とでは努力の結果が変わる‼︎だが諦めない限り道は続きいつか同じ場所に辿り着く‼︎一人で無理なら二人、二人で駄目なら三人と同じ道を歩む仲間を頼れ‼︎それが鬼にはない人間の強み‼︎それこそが鬼殺隊のあるべき姿‼︎そしてその象徴が牙狼‼︎

って熱く語ってたけど・・・牙狼を見たら亡き妻に滅茶苦茶怒られた気がして立ち直らないといけないって一人の時にこっそり言ってたからまぁ本当のところは奥さんの尻に敷かれてたんだろうね‼︎」

 

「あぁ、前に煉獄家と一緒に墓参り行った時あの熱血漢が滅茶苦茶穏やかな顔で優しい言葉を掛けてたぞ?」

 

「そうなんだ・・・って語る思い出修行の話だけか〜い‼︎」

 

「だって桜花との思い出って鬼殺隊関連しかなくないか?」

 

「そうだけど!なんかこうあるじゃん?初めて十二鬼月と戦った時煌牙が私を押し倒して胸を触ってきたとかさ‼︎」

 

「いや!あれは俺の姿を真似た鬼の仕業だっただろ‼︎俺が鬼との戦いの最中にそんな煩悩に塗れた行動するわけないだろ‼︎」

 

「言われてみればそうだった‼︎あの鬼さん私にまな板と言ってきたから反射的に首斬ったんだった」

 

「お前あの時俺が本物か偽物か分かってないのに躊躇なく首斬ったよな?怖っ⁈」

 

「だって煌牙は私にそんな事絶対言わないもん‼︎」

 

「言ったら地獄だからな‼︎」

 

と思い出話をしていると岩山を登り切った辰巳達がやって来て

 

「おぉぉ⁈こりゃ見事な景観だなぁ‼︎」

 

「わぁぁ‼︎凄い景色だね!割とキツイ岩山を登り切った甲斐はあるね‼︎」

 

と見晴らしの良さに感嘆しつつ

 

「二人で思い出話か?」

 

「思い出かぁ、私の中では煌牙が初めて牙狼の鎧を召喚した任務かな?

あの鬼恐ろしく強かったよね?十二鬼月だったよね?」

 

そう話しかけてきた辰巳達に

 

「思ってより早かったな!流石は兄弟子‼︎」

 

「もう兄弟子って威厳は微塵もないけどな‼︎ハハハ‼︎」

 

「そうか?辰巳は俺にとって大事な親友で今でも兄貴分だと思ってるぞ?」

 

「ねぇ煌牙?私は?私は?」

 

「春も親友だぞ?んで常識人だから一番落ち着いてまともに会話出来る人」

 

「評価は上々、だが今のところ脈は無しってか?」

 

「え⁈いきなり何の話?」

 

「煌牙が春姉の事好きかも?って話だよね〜♪」

 

「ちょ⁈」

 

「ん?春も辰巳も桜花も俺は皆んな好きだぞ?というか俺の周りで嫌いな人はいないな‼︎まぁ強いて言えば元両親って奴等と無惨が嫌いだな‼︎」

 

「・・・ハハハ‼︎鬼無辻は勿論だけどその元両親って奴等と再会する機会があれば思いっきり殴り飛ばしてやれ‼︎」

 

「そうだよ‼︎煌牙とカナヲちゃんに酷い事したんだよ‼︎やっちゃえやっちゃえ‼︎」

 

話の流れとしては煌牙と春の仲をイジって面白くしたいところだったが煌牙が両親ネタを挟み込んできたから流石にイジれないし煌牙の過去については辰巳も憤りを感じていたので春と一緒に両親に仕返ししろと焚き付けてきたのだが

 

「う〜ん・・まぁやられたからやり返したいって気持ちは全く無い訳じゃないけどな‼︎ただ魔戒騎士や法師は如何なる理由があれ人を傷付けてはいけないって掟があるし奴等が人間である以上手は出しちゃいけない‼︎誰かを守る為に隊律違反を犯した事もあるし偉そうな事言えないけど守りし者としての信念だけは絶対に揺らいじゃ駄目なんだ」

 

と強く語る煌牙、たとえ元両親がどんなに悪辣な人間だとしても人間である以上手を出してはいけない

 

鬼を含め人を守る為に隊律違反を犯した事もある煌牙だが人を守るという信念だけは貫いてきた

 

故に煌牙は仕返しを拒むと

 

「なるほど!まぁそれくらいの精神性がなければ魔戒騎士はやれないってか!」

 

「でも煌牙だって人間なんだし辛い時もあるよね?一人で頑張る必要はないんだし辛い時は私達にも頼ってよね?」

 

と辰巳と春が煌牙に話していると

 

「あらあら♪そうゆう話ならまずは私を頼ってくれないと!ね?そうでしょ?煌牙君」

 

と今までいなかったカナエが急に現れ

 

「カナエさん⁈え⁈何でここに⁈」

 

「何故って朝1番に煌牙君に会いに行ったら皆んなでここに向かったってゴンザさんから聞いて急いで来ちゃった」

 

「え?それでこの岩山まで登ってきたの?」

 

「あら?呼吸はもう使えないけど日常的な運動なら平気よ?それに元柱なんだし岩山を登るくらいなら何とかなるわ」

 

「だとしても‼︎そこまでして来るって何か急用があった?蝶屋敷で何かあったとか」

 

「そうね、カナヲがいなくて寂しくはなったけど皆元気よ?煌牙君が無事に帰って来たって言ったら葵達も泣いて喜んでたわよ‼︎」

 

「そっか、近いうちに菓子折り持って蝶屋敷に行くよ!きよちゃん達と一緒に遊ぶ約束もしてたしね」

 

「それはきよ達も喜ぶわ」

 

「・・・ん?カナエさんがここに来た理由ってそれだけ?」

 

「それだけじゃないわ‼︎朝起きたら私の体が煌牙君を求めてたの‼︎だから煌牙君を補給しに」

 

「俺からしか得られない栄養素がある‼︎・・ってなるか‼︎」

 

「私煌牙君の事好きって伝えたわよね?」

 

「まぁ・・それは聞いた」

 

「煌牙君は私の事どう思ってるの?」

 

「どうって・・この際だからハッキリと言うけど初めて見た時滅茶苦茶美人だなって思った‼︎普段はおっとりしているしフワフワしてるから掴みどころのない人だけど絶対にブレない信念を持つ強い人って感じ」

 

「すげぇ・・・完全に初見の感想と人間性の感想しか言ってない‼︎」

 

「言ってる事は凄く真っ当な感想だけど解釈違いでこうもすれ違うんだ」

 

「煌牙には回りくどい事しないでハッキリと簡潔に言うんだよ?煌牙大好き‼︎結婚して‼︎ってね‼︎」

 

「ハハハ‼︎それで解釈違い起こしたらもう煌牙には人の心はないな」

 

「恋愛に関して煌牙は鬼の心を持っているのかも?」

 

「オーガだけに‼︎」

 

そんな話を聞いてカナエはもっとハッキリと自分の気持ちを伝えなきゃと深呼吸をし少しの間をおいて

 

「私胡蝶カナエは四ノ宮煌牙が大好きです‼︎この先の人生も貴方と一緒に‼︎貴方の側にいたい‼︎私は貴方にこの想いを託します‼︎貴方は私のこの想いを受け止めてくれますか?」

 

四ノ宮煌牙は魔戒騎士、人の想いを紡ぎ繋げていく彼にこの告白はどう感じるのか?

 

「カナエさん、貴方の想いは確かに受け取った。だけどその想いに応えるのはもう少し待ってほしい‼︎俺は鬼殺隊の柱として、魔戒騎士として皆の想いに応えなければならない‼︎必ず鬼無辻を倒し誰もが明日を奪われることのない未来を掴めたら・・その時は」

 

「しのぶと一緒に私をお嫁さんにしてくれるのね♪」

 

「・・・・カナエさん」

 

「はい?」

 

「あのね?想いには応えるって言ったけどそれはカナエさんの気持ちと真摯に向き合うって言う意味なわけで‼︎それとしのぶと一緒って何⁈え?この国一夫多妻が許される国だっけ?」

 

「煌牙‼︎音柱様は嫁が三人だ‼︎問題ないぞ‼︎」

 

「まぁ煌牙は四ノ宮家の嫡男だし?国の損得勘定したらその辺りは有耶無耶にしてくれそうだよ?」

 

「おい‼︎そこで政治の闇を利用するな‼︎」

 

「あら♪だったら良いじゃない♪しのぶはいつか普通の女の子として幸せになってほしいもの♪」

 

「嫁が二人いる時点でもう普通じゃないんですけど⁈」

 

「だったらいっそのことお嫁さんもっと増やしたら面白そうだよね〜♪蜜璃ちゃんとか瑠花とか」

 

「面白いって何だよ⁈ねぇ?割と真剣な話だったよね?ねぇ?何でこんなグダグダになってるの?あと何で瑠花まで勘定に入れたの?」

 

「煌牙がしのぶちゃんとカナエさんを嫁にするって即決すればグダグダにならなかったんだよ?あと瑠花は普通に煌牙の事好きだからだよ?家族愛とかじゃなく異性として」

 

「は?」

 

「なんかね?私の当たりそうで実際のところ全く当たらない女の勘がそう言ってたの」

 

「そうでしょうね‼︎だってお前阿保だもん‼︎」

 

「もう‼︎いきなり褒めないで、恥ずかしいよ」

 

「褒めてないよ?恥じて?自分の阿保さを恥じて?」

 

真面目な話だった・・その想いに真摯に向き合うとした

 

だが結局のところ話はグダグダに終わりこれ以上の進展は何も起きなかった

 

「なぁ春?」

 

「何?」

 

「なんだかんだでさ?煌牙と桜花様が一番夫婦っぽいんだよな」

 

「まぁ夫婦というより漫才の相方が一番しっくりくるけど・・まぁ戦いになれば阿吽の呼吸で互いが何を求めてるか確認しなくても理解出来るのは本当凄いよね」

 

「俺達も守りたいな」

 

「うん・・私達ももっと強くなろうね?辰巳」

 

煌牙と桜花のいつもの日常を見て辰巳達はそう誓うのであった

 

その後炭治郎達が登り切り改めてここから見える絶景を目に焼き付け

煌牙達は山頂へと続く森の中に入っていくのであった

 

「え⁈煌牙さんと桜花さん、素手だけで鬼を制圧してる⁈」

 

自分達もこれからこんな事しなくちゃならないのかと遠くを見つめる炭治郎達であった

 

「とまぁこんな感じで頑張って貰うからな‼︎まぁ死にはしないだろうけど油断すると普通に大怪我するから気を抜くなよ」

 

「じゃあ今日の予定は終わったから帰ろう♪帰りに甘味処寄って甘い物食べようよ♪」

 

「あら?だったら私も一緒に行こうかしら?」

 

「カナエさんは帰ろう?じゃないとしのぶまで襲来してくる」

 

「煌牙ってしのぶちゃんの扱い割と雑過ぎない?」

 

「鬼殺隊の中で身内関係除けば一番仲が良いからな‼︎」

 

「わぉ?私の中ではとっくにしのぶちゃんは身内だと思ってたよ‼︎」

 

「・・まぁ・・よく考えればカナヲの姉だし家族といえば確かに」

 

「・・・都合の良い事言って逃げたな?」

 

そんな他愛もない会話をしながら一同は甘味処に寄り四ノ宮邸へと戻るのだった

 

ちなみカナエは甘味処で土産を持たされキッチリと帰らされた

 

そんな日々を過ごし数日が経ち

 

「煌牙見て見て♪大正浪漫を感じるこの衣装♪可愛いでしょ?」

 

「おう!馬子にも衣装だな‼︎」

 

「お兄お兄!私は?」

 

「滅茶苦茶似合ってて可愛いぞ瑠花」

 

「色違いなだけなのにこの扱いの差は何?」

 

「阿保と秀才の差」

 

と衣装の話をしている煌牙達、今日は政府高官を交えた会合があり煌牙達四ノ宮家はその場に相応しい高価な服を着て出発の時を待っていた

 

「カナヲ!ごめんな‼︎出来ればお前も連れて行ってあげたいけど」

 

煌牙としては血縁の妹であるカナヲも一緒に連れて行ってあげたいのだが

向かう先は政府高官と日本有数の大企業の集まり

 

表社会の重鎮達が集結する場に連れていくのは流石に酷というものだろう

 

「寧ろ誘われても絶対行きたくないから大丈夫だよ‼︎」

 

とカナヲも絶対嫌だと断固拒否の姿勢を見せると

 

「煌牙さん‼︎だったら俺が行きましょうか?」

 

と炭治郎が参加する事に積極的なようだ

 

「・・・なんか炭治郎なら普通に馴染んで野獣共から気に入られそうな気がする」

 

参加出来るかはともかく炭治郎の人柄ならば普通に馴染んで権利と地位を狙う淑女や令嬢に気に入られそうだと煌牙は思うのだが

 

「炭治郎が四ノ宮家になるなら参加出来るけど炭治郎は今までもこれからも竈門家として生きていくだろ?まぁ炭治郎のこの先の人生を考えると関わらない方が良い連中ばかりだし着いてくるのは辞めた方が良い」

 

と炭治郎に断りを入れると

 

「煌牙さんがそこまで考えてくれてるなら参加するのは辞めておきます」

 

と素直に応じて

 

「皆様‼︎出発の御用意はお済みのようで、会場へは私ゴンザがお送りします‼︎」

 

と執事のゴンザが送迎車を手配して

 

「出やがったな‼︎この屋敷の守り神‼︎スゲェ唸り声で吠えてやがる」

 

と車を何かと勘違いしている伊之助と

 

「伊之助、守り神なんだから俺達の味方だよ!あんまり警戒しちゃ可哀想だよ」

 

と車を知らない炭治郎の二人だったが

 

「いや、車ですよ?車!人を乗せて走る乗り物です‼︎つい先日列車に乗ってたじゃないですか!走る場所は違えど人の生活をより豊かにする人類の技術の結晶です‼︎」

 

と呆れた眼差しで説明する瑠花

 

「ちなみにこの車は四ノ宮財閥系の自動車製造企業が作った最新の車です‼︎」

 

炭治郎達に説明してもほぼ意味はないであろう自社アピールをする瑠花ではあるがこの手の話をしだすと彼女は話が長くなるので

 

「瑠花、話は車の中で兄ちゃんが聞いてやるから早く乗ろう」

 

と乗車を促す煌牙

 

ちらっと炭治郎達を見ると瑠花の説明はあまり理解出来ていなさそうだった

 

「炭治郎、伊之助!世の中便利になったなぁ〜って位に思えばいいぞ?」

 

そう言って車に乗り込む煌牙と

 

「でも車の中って暑かったり寒かったりで不便だよね〜!なんかこう夏は涼しくて冬は暖かくなるのないかなぁ〜」

 

そう言いながら車に乗る桜花

 

「あぁ、今の時代の車ってエアコン付いてないからね」

 

と見送りに来た朔弥が呟くと

 

「エアコン?もしかして朔弥さんがいた時代は車にそのエアコンってやつが搭載されてるのかい?」

 

「そうだよ泰三ちゃん♪車が普及し始めた今の時代から技術は受け継がれ発展してより便利で快適な車が普及してるんだよ?エアコンもその一つ‼︎

夏は涼しい風が出て車内の温度を下げて冬は暖かい風で車内を温めるの‼︎」

 

「なるほど‼︎それは凄く便利だ‼︎朔弥さん‼︎後日詳しく聞かせてくれないかい?技術革新の匂いがするよ!」

 

「良いけど・・私そっち方面は全くの専門外だから技術云々の話は出来ないよ?」

 

「良いんだよ‼︎時間は掛かるかもしれないけどそういった話を技術で再現していく事が発展に繋がるんだろ?それに朔弥さんがいた時代では実現出来てるじゃないか‼︎だったら僕達も挑戦してみる価値はあるよ‼︎」

 

「泰三さん、未来を熱く語るのは微笑ましいけれどまずは目の前の事を解決しないと・・会合へ向かいましょう?」

 

興奮気味に熱く語る泰三、近代日本の発展に想いを馳せる彼の熱量に朔弥も若干引き気味ながらも承諾し花蓮が出てきた事で四ノ宮家はゴンザの運転で会場へと出発していった

 

「カナヲ、煌牙さんがいなくて寂しくはない?」

 

煌牙達が居なくなりカナヲを気にかける炭治郎

 

カナヲは朔弥をちらっと見て僅かに微笑むと

 

「寂しくないよ?だって私はもう一人じゃないから」

 

そう明るく答えるのであった

 

 

 

 

その後煌牙達は会合が行われる帝都のホテルへと到着、既にホテルには今回の会合に参加するであろう政府高官や各企業の重役達が揃っていて四ノ宮本家の到着は注目も的であった

 

「お久しぶりです!花蓮様、泰三様、桜花様、瑠花様」

 

その中でいの一番に声を掛けてきたのは四ノ宮分家の一人、先代当主である花蓮の父の弟の息子、つまり花蓮の従兄弟にあたる青年が爽やかな笑みを浮かべ四ノ宮本家を丁重に出迎える

 

「他の分家の方々も既にお見えになってます」

 

「えぇ、出迎えご苦労様」

 

他の四ノ宮家は既に到着しているようで花蓮もまた丁寧に対応すると

 

「・・・四ノ宮煌牙様・・・・ご挨拶を後回しにした無礼をお許しください」

 

と丁重どころか土下座をして謝罪する四ノ宮分家の男

 

「えぇ?別に気にしてないから土下座なんてしなくても」

 

「あぁ‼︎なんという寛大なる御心‼︎その懐の広さは果て無く広がる空のよう‼︎偉大なる貴方様を前にしては矮小な私なんぞ炉端に転がる小石‼︎そんな私に貴方様はお声を掛けて下さっただけでなく慈悲まで掛けて下さるとは‼︎あぁ・・尊い」

 

この男、四ノ宮一族の中でも類い稀な才能を持ち表社会では会長たる泰三に次ぐ経営者として名を馳せる非常に有能な男なのではあるが

 

「相変わらず煌牙お兄様への信仰心が振り切ってますね」

 

と表社会の顔を出した桜花のツッコミが入る

 

そう‼︎この男は有能な男ではあるが煌牙への信仰心が振り切っており、最早煌牙信者の筆頭格なのである

 

「そうです‼︎そうなんですよ‼︎桜花様‼︎煌牙様は我が四ノ宮一族の象徴‼︎四ノ宮一族の頂点たる存在‼︎我等が一族の滅亡を御救い下さった伝説の存在‼︎その伝説を体現する煌牙様はまさに我が四ノ宮一族の希望‼︎」

 

「・・もう帰っていいかな?」

 

煌牙に対する激重感情をぶつけられ煌牙は早くも挫折しそうだった

 

その後他の四ノ宮一族達に顔を見せた煌牙達、本家に対する敬意を持って接してくる分家の者達だが煌牙に対する激重感情はこちらも凄い

 

「・・・あの?俺って本来四ノ宮一族とは血縁関係は無いんですよ‼︎その俺が四ノ宮一族の頂点とか象徴ってかなり持ち上げてません?」

 

とこれでもかと煌牙を持ち上げる一族達に疑問を持つ煌牙

 

蔑まされたい訳ではないが血縁関係で除け者にされるなんて歴史ある一族ならば考えられるので聞いてみたのだが

 

「確かに煌牙様には四ノ宮一族の血は流れていません‼︎ですが、それに何か問題があるのかと言われたら全く問題はありませんと答えます。私達四ノ宮一族が今こうして繁栄出来ているのは貴方様の先代が私達の先祖を救ってくれたからこそ‼︎確かに私達の中には以前貴方様に対する拒否反応を示す者達もおりました。ですが貴方様はそんな環境下でも邁進し私達の象徴である牙狼の意思を受け継ぐ立派な方に成長しました‼︎私達四ノ宮一族は諦めずに道を切り拓く者に尊敬の意を抱き共に歩みたいと心から思っております」

 

確かに煌牙は四ノ宮一族の象徴である牙狼を受け継いだ

 

だが四ノ宮一族達は煌牙が牙狼を受け継いだとという分かりやすい理由だけでなくそれまでに至る過程、諦めず自らの道を切り拓くその姿に感銘を受け煌牙という人間を受け入れたのだ

 

「それに私達四ノ宮一族は商人‼︎新たな道を切り拓くには新しい風が必要です‼︎我が一族だけではなく他者と共に道を共有する事こそが次の時代へと繋がると私達四ノ宮一族は信じております」

 

それは四ノ宮一族の家訓とも言える

 

四ノ宮財閥である事から一族経営なのは間違いないが一族だけ成り立つ訳じゃない

 

他者の力を借り他者と共に同じ道を歩んでいく、その繋がる想いこそが人の未来を築きあげていくのである

 

「ですから煌牙様‼︎私達四ノ宮一族は人と繋がっていく想いを大切にしてこれからも邁進して参ります‼︎そしてその想いの結晶、牙狼たる貴方様は我が一族の希望なのです」

 

と熱弁する熟年男性、彼は先代当主である花蓮の父の弟

 

つまり花蓮の叔父が四ノ宮一族の想いを煌牙に告げ

 

「まぁ・・一族が一致団結しているのは喜ばしい事だけど俺を担ぎ上げるのは重い」

 

「煌牙様はそのままで構いません‼︎ありのままに‼︎心のままに‼︎貴方様が正しいと思う道を歩んで下されば良いのです‼︎」

 

煌牙は煌牙のままに、自分の信じた道を歩んで行けば良いと話す花蓮の叔父

 

つまり四ノ宮一族達は煌牙に何かを押し付ける訳でもなく純粋に煌牙の行く末を支援しようとしているのだ

 

「昔は本家や分家といった確執もあったけど煌牙という希望が私達四ノ宮一族を一つに繋げてくれたわ‼︎煌牙、本家当主として改めて貴方に誓うわ‼︎私達四ノ宮一族は四ノ宮煌牙を支えていきます‼︎」

 

それは四ノ宮一族の総意、本家や分家といった垣根を超えた想い

 

「分かりました・・貴方達四ノ宮一族の想いを受け取ります‼︎俺は守りし者として、黄金騎士牙狼として皆に誇れる騎士になると改めて誓います」

 

四ノ宮一族の想いを受け取った煌牙は改めて守りし者として誓い

一族達は惜しみない拍手をするのであった

 

その後四ノ宮一族総出で会合に出席、政府高官と各企業の重役達が談笑という名の腹の探り合いをしている中出席者達の家族達も将来の人脈作りに勤しんでいた

 

「っ⁈四ノ宮一族」

 

「私達も彼等と取引出来れば更なる発展に‼︎この機会を無駄にする訳にはいかない」

 

と普通にビジネスとして取引を成立させたい各企業の経営陣と

 

「桜花様、今日も聡明可憐だ」

 

「瑠花様もまだ幼いながら知性的で美しい」

 

「煌牙様ぁぁぁぁ‼︎」

 

と四ノ宮兄妹を讃える出席者の家族達、煌牙に関しては熱が入りすぎているが次期会長候補なのだから仕方ないだろう

 

「よっ‼︎多分今回の主役になるだろう煌牙」

 

「こんな形で主役になるの嫌だよねぇ」

 

と政府高官側の家族として出席していた辰巳達が煌牙の元に駆けつけ気軽に声を掛けてきた

 

彼等は会合での立場は政府側と企業側、幼い頃からの仲とはいえこのような場では四ノ宮一族を主賓として迎えなければならないのである

 

まぁ口調は砕けてるので周囲の人間達が驚いているが彼等には些細な事だ

 

「よっ!辰巳と春が俺と一緒にいてくれるなら滅茶苦茶嬉しい‼︎」

 

「・・・お前なぁ、そんな笑顔で言われたら断れないだろ」

 

「煌牙の笑顔可愛い」

 

本来ならば社交辞令として敬語で話すべきなんだろうが敢えて砕ける事で三人の輪に入る隙を与えず周囲を牽制する煌牙達

 

これによって煌牙に近付こうと画策している者達も迂闊に話しかける事が出来ず遠巻きに眺めているしか出来ないでいたが

 

「日比谷様と小鳥遊様は四ノ宮様と大変仲が良いのですね。私もお話に混ぜてくれませんか?」

 

と笑顔を振り撒き優雅に歩いて来る一人の少女

 

その美貌の虜になる男性陣は後を絶たず周囲の男性はその少女に目が釘付けだった

 

「初めまして。私、金城鏡華と申します。以後お見知り置きを」

 

そう丁寧にお辞儀をして名乗る少女、金城鏡華

 

「金城・・大東亜重工の創業者一族の・・初めてまして‼︎私は日比谷辰巳と申し訳ます。以後お見知り置きを」

 

「私は小鳥遊春と言います‼︎以後お見知り置きを」

 

そう丁寧にお辞儀をして返す辰巳と春

 

「四ノ宮煌牙です」

 

とお辞儀をして名乗るが内心気乗りのしない煌牙

 

大東亜重工が狙う最大の目的、煌牙と鏡華の婚姻

 

その本人が直接接触してきたのだから多少なり警戒はするだろう

 

「・・・いきなり話しかけて気を悪くしてしまいましたか?申し訳ありません!私、以前から煌牙様とお話ししたいと思ってまして、早計な行動をしてしまいましたわ‼︎心からお詫び申し上げます」

 

「あぁ、いや‼︎気を悪くした訳ではないので!こちらこそ不躾な態度を取ってしまい申し訳ありません」

 

本当に申し訳ない態度で真摯に謝る鏡華に申し訳なさを感じた煌牙も真摯に反省して謝ると

 

「煌牙様はお優しいのですね。もし差し支えなければ私とお話ししてくれませんか?」

 

屈託のない笑みで煌牙に話しかける鏡華、その美貌の圧に呑まれた辰巳と春は

 

「煌牙、俺達は花蓮様達に挨拶しに行くぞ?」

 

「花蓮様達は別の場所に移動しているし桜花様や瑠花様も取り巻き達に囲まれて困っているだろうしね」

 

とその場を逃げ出すと

 

「え⁈嘘だろ⁈」

 

といきなりの掌返しに困惑する煌牙、一緒にいれば安心だと思っていたのに二人が離れると不安になってくる

 

(煌牙悪い‼︎だが四ノ宮家と金城家の二人が一緒にいるなら他の猛獣達は近寄れないと思う)

 

(煌牙ごめんね!鏡華さんの圧倒的な美貌を前に立てないよ)

 

と辰巳達は内心思いながら去っていった

 

「あの?煌牙様?私と二人はお嫌でしたか?」

 

そんな態度の煌牙の顔を不安な表情で覗き込む鏡華

 

「・・・鏡華さん、ちょっと場所を変えて話せませんか?」

 

別に嫌という訳ではないのだが思っている事を正直に話したい煌牙は鏡華と二人になれる場所に移動しようと考えていると

 

「はい♪私も煌牙様と二人きりでお話しがしたかったんです♪良ければ私の借りているお部屋で話しませんか?誰にも邪魔されませんよ?」

 

それは今回の会合で金城一族が借りているこのホテルの一室、孫娘である鏡華の為に借りた最上級の個室に案内しようとしてるのである

 

「・・・分かりました‼︎」

 

一見すると二人が出会い仲睦まじく会場を後にするという展開に周囲の者達は嘆くだろう

 

四ノ宮財閥の次期会長候補と軍需産業の筆頭企業たる大東亜重工の創業者一族の孫娘が結ばれたら他所が付け入る隙がない

 

そう思うのも仕方ないが実情は違う

 

これは煌牙と鏡華の駆け引きなのだ

 

互いに話の主導権は譲らない心理戦が二人の中で始まっているのだ

 

己の自室に招くという大胆な行動も自らの土俵に煌牙を引き摺り込む作戦だが煌牙もそこから逃げ出す訳にはいかない

 

故に鏡華の提案に了承し二人は会場を後にするのであった

 

 

 

 

 

「・・・・・煌牙が・・煌牙が雌に誑かされた‼︎」

 

「ちょっとお姉‼︎口調が戻ってる‼︎雌って言わないで‼︎」

 

「だってあの煌牙ががだよ⁈あの恋愛弱者の煌牙がついさっき出会った雌と仲睦まじく出て行くなんてあり得ないよ⁈」

 

「だから雌って言わないで‼︎あの人は多分大東亜重工の金城鏡華さんって人だよ‼︎まぁ推進派筆頭の一族だから私達とは思想が違うのが懸念点ではあるけども」

 

「じゃあ敵対する群れの雌って事だね‼︎」

 

「なんで野生化してるの⁈お姉もお兄ガチ勢の野獣じゃん‼︎」

 

「美女で野獣って事にしようよ」

 

「阿保の野獣の間違いでしょ」

 

と煌牙達の行動を見て慌てふためく桜花と割と冷静な瑠花

 

家族になってから妹として相棒として一緒にいた桜花からしてみれば煌牙は恋愛弱者であり女性と良い雰囲気で二人になるなんてあり得ないと異常事態に慌てて、元が阿保なので口調も悪くなる

 

対して瑠花は自分の兄という立ち位置は変わらないので煌牙が誰と結ばれようがそれは煌牙が決める事であり口を出す理由もないのだが金城一族と四ノ宮一族は対立こそしていないが強硬派と保守派の関係でありこの接点が今後どんな関係になるのかは気にしていた

 

 

 

 

 

 

 

その頃煌牙は鏡華が宿泊している個室に案内され入室すると

 

「・・・煌牙様、美味しい紅茶があるんです。お淹れするのでソファーでゆっくりなさって下さい」

 

と煌牙を促し煌牙も鏡華に多少の警戒心を持ちつつもソファーに座ると

 

「煌牙様、結論を急ぐ事はないでしょう。私達はまだ出会ったばかりお互いの事を知りそれから考えてみるのも悪くないですよ?」

 

と先手を打ち煌牙の出鼻を挫く鏡華

 

「そうですね。俺は貴方の事を知らない、だから教えて貰いますよ‼︎貴方の目的を‼︎」

 

確かに結論は出してはいない、だが単刀直入に目的を聞くあたり彼の結論は変わらないだろう

 

そう聞かれ紅茶を淹れる手が止まる鏡華

 

「目的・・ですか?・・そうですね・・・では単刀直入にお聞きしますが煌牙様は鬼という人間の敵をどう思ってますか?」

 

「鬼・・確かに鬼は基本的に人を喰らい人間の安寧を奪う生き物です。でもそんな鬼も元は人間‼︎人間だった頃その鬼がどんな過去を持っていたのか?何故鬼になったのか?それは分からないかもしれませんが彼等の陰我を断つ事で救える事もあり人も鬼も等しく心がある‼︎その心に光があるならば俺は鬼も助けたいと思ってます」

 

それは煌牙の守りし者としての信念、本来なら人間の敵である鬼も助けると話す煌牙に

 

「・・そうですか・・では煌牙様、私から提案があります‼︎」

 

煌牙の鬼に対する思想を聞き一呼吸を置いて鏡華は煌牙に自らの意見を話そうとする

 

「鬼を軍の戦力に組み込み戦力の強化を図る‼︎そしてそれとは別に鬼殺隊も政府公認の組織にして軍隊にする‼︎より強固な軍になれば軍備拡張に拍車が掛かり金城一族はより発展する‼︎そして四ノ宮一族と懇意の仲になれば保守派の勢力も弱まり国内の流通も盤石になる‼︎それが貴方の祖父である金城当主の筋書きだろ?」

 

と鏡華が案を言い出す前に金城一族の筋書きを話し鏡華の出鼻を挫く煌牙

 

そこに紅茶を淹れ終わった鏡華が煌牙の対面のソファーに座り紅茶を丁寧に配膳すると

 

「煌牙様の翠眼には感服致しますわ。確かにお祖父様の筋書きは煌牙様の仰る通りです。ですが私の目的はそこではありません」

 

煌牙に目論みを看破されたがそれで動揺する訳でもなく優雅に紅茶を口にして

 

「私は煌牙様に幸せになってほしいのです。煌牙様は現在鬼殺隊の柱として過酷な最前線で戦っています。命の保証もなくいつ終わるのかも分からない戦いに身を投じる煌牙様・・だからこそ私は煌牙様には幸せになってほしい!私と共に有れば幸せになると傲慢な事は言いませんが私は煌牙様を幸せにしたい!その為の努力は惜しみません‼︎私は煌牙様を永遠にお慕いします‼︎子を望めば産みます‼︎金城一族を捨てろと言うのなら捨てます‼︎私は煌牙様の永遠の存在になりたいのです」

 

そう熱く煌牙に語りかける鏡華、熱を帯びたのか顔は赤く火照り肌も若干汗ばんでいる

 

「まぁ⁈私とした事が、端ない姿をお見せしてしまい申し訳ありません」

 

そう煌牙に謝り少し乱れた衣装から手鏡を取り出す鏡華

 

「煌牙様、申し訳ありませんが少し身嗜みを整えますわ」

 

「・・・どうぞ」

 

そう言って鏡華は手鏡で身嗜みを整え始め煌牙もそれを承諾すると

 

『きゃあぁぁぁぁぁぁ⁈』

 

個室の外から悲鳴が聞こえホテル内が騒がしくなっていく

 

「何かあったのか⁈」

 

悲鳴が聞こえソファーから立ち上がる煌牙は

 

「鏡華さんはそこに居てくれ‼︎」

 

と身を案じて状況の確認の為に部屋を出ようとする

 

「煌牙様‼︎」

 

そう叫び煌牙の腕にしがみつく鏡華

 

「嫌です、一人にしないでください」

 

不安な表情で煌牙に縋る鏡華、煌牙はそんな鏡華の頭を撫でる様に触れ安心させようとする

 

「大丈夫ですよ・・・・・・・・アンタなら」

 

そう言って鏡華を振り解き部屋を飛び出す煌牙

 

そんな煌牙を見送る鏡華は

 

「・・・鬼殺隊最強の実力とやらを見せて貰いますよ?四ノ宮煌牙様・・私の理想の旦那様」

 

先程までの不安が嘘だというような無表情でそう呟く鏡華

 

彼女は一体何を企んでいるのか?

 

それは分からないが碌な事にはならないだろう

 

何せ彼女は魔導ホラーなのだから

 

 

 

(人はどんなに取り繕っていても心の奥、精神の核までは誤魔化せない。鬼だってそうだ!陰我を解き放ち精神の核を解放すれば人だった頃の心が蘇る!善人でも悪人でも等しく持つ心、だがあの鏡華という女はそれが無かった・・まるで人の形をした空の器・・・あんな空虚な奴は初めてだ‼︎金城鏡華・・奴は一体何者なんだ)

 

 

鏡華の部屋を飛び出し喧騒の場へと走る煌牙

 

その道中で煌牙は鏡華に触れた際の出来事を考える

 

煌牙は触れた人や物に宿る想いや記憶を聞く特異体質の持ち主だ

 

だが鏡華からは何も聴こえてこなかった

 

不安な表情を見せしがみついてきたというのに恐怖も不安も全く感じない

空虚な存在、人の形をした空の器を相手にしている感覚に煌牙も違和感を感じ縋る鏡華を突き放したのだが

 

(あの女の違和感を突き止めないとな‼︎何か嫌な予感がする‼︎)

 

そう誓い煌牙は騒ぎが起きた現場に辿り着くと

 

「煌牙‼︎このホテルの中に鬼が出た‼︎花蓮様達が皆を避難させているけど鬼が襲ってくるかもしれない‼︎」

 

「目撃者の話だと鏡から現れてまた消えたらしいの‼︎多分その鬼の血鬼術だと思う」

 

「鏡?」

 

「あぁ‼︎だが何故鬼が出たんだ?帝都の中、しかも昼にだ‼︎夜のうちに忍び込んだとしてもこれだけの人がいるんだ‼︎目撃情報くらいあっても可笑しくはない筈だろ?」

 

「・・・・そうだな・・だが今考えても仕方ない、鬼を探して一刻も早く終わらせる」

 

「煌牙ごめん‼︎私達今日非番だったから日輪刀がないの‼︎」

 

「辰巳と春は師匠達に協力して皆を避難させてくれ‼︎俺は鬼を探す」

 

「「分かった」」

 

辰巳達と合流した煌牙は軽く状況の確認と指示を出し鬼を探すべくホテル内を駆け巡ると

 

「あっ?煌牙‼︎大変だよ‼︎皆閉じ込められてる‼︎」

 

「お兄‼︎ホテルの出入り口が全て封鎖されてる‼︎これじゃ誰も避難出来ないよ‼︎」

 

こちらも鬼を探すべくホテル内を駆け巡り煌牙と再会したのだが、このホテルは何故か出入り口が全て封鎖されていて避難している人達がホテルの外に出られない状況だ

 

「どういう事だ?血鬼術か?」

 

「分かんない‼︎とにかく早く鬼を見つけてなんとかしないと」

 

桜花達とそう話すと、ここからは3手に分かれ各々ので対処する方向で再びホテル内を駆け巡る煌牙達

 

だが肝心の鬼の姿は見当たらないどころか気配すら感じない

 

「鏡から現れて消えた・・出入り口は封鎖・・・くそっ!こんな時ザルバがいてくれたら」

 

敵の血鬼術の正体が分からない上ザルバもいない

 

こんな時ザルバがいてくれたら何かしらの解決に導く助言が貰えたかもと

愚痴を溢すがザルバはいない

 

「・・って何時迄もザルバに甘えてたら笑われてしまうな‼︎」

 

そう言って再度奮起しホテルを駆け巡る煌牙は

 

「鏡から現れる・・・鏡に消える・・・出入り口封鎖・・・そうか!鏡だ‼︎鏡が鬼の出入り口なら封鎖してしまえばいい‼︎」

 

何か突破口はないかと思案しながら走る煌牙はこれまでの言動を思い出し鏡を閉じていけば鬼の出入り口を封鎖出来ると閃き

 

「・・・まずは師匠達から」

 

そう、煌牙は一人ではない

 

この広いホテル内の全ての鏡を閉じるには煌牙でも骨が折れる

 

だがロビー、廊下、客室全ての鏡を煌牙一人で閉じる必要はないのだ

 

花蓮と合流すれば泰三や辰巳達、そして桜花達にも連絡が届き効率的に行動出来るのである

 

とすれば避難誘導して脱出するなら一階の正面玄関だろう

 

煌牙は階段を一気に飛び降り一階の正面玄関へと走り出す

 

「・・これは思った以上に地獄絵図だな」

 

正面玄関へと繋がるロビーに到着した煌牙、彼がそこでみた光景とは

 

「出せぇぇ‼︎早く扉を開けろぉぉぉぉ‼︎」

 

「金ならいくらでも出す‼︎早く私を助けろ‼︎」

 

恐怖から半狂乱状態に陥った出席者達の阿鼻叫喚だった

 

この中で実際に鬼を見たという者は少数人だったのだろう

 

だがその恐怖が伝播し実際に何が起きたのか分からぬまま慌てふためき暴徒と化している

 

この中でまだ落ち着いている人間は僅かだ

 

「鬼が何故現れたのか知らんが儂にとっては好都合、四ノ宮本家は鬼殺隊ここで鬼を殺しその有用性を世間が知れば非公認組織ではいられまい」

 

寧ろこの状況を己が利益と考える者達さえいる

 

鬼殺隊は政府非公認組織、鬼を含め世間一般には浸透していないがここには大企業の重鎮達や政府高官達がいる

 

ここで鬼を殺し皆を助ければ鬼殺隊の存在とその有用性が世間に広まる

それも保守派筆頭の四ノ宮が鬼を殺せば保守派の政府高官達も反論出来ない

 

そうなれば鬼殺隊は政府公認組織として閣議が通り軍に組み込む事が出来る

 

そして戦意高揚した軍に兵器を売り利益を得る

 

そんな筋書きを描き不敵な笑みを浮かべる男、大東亜重工の会長にして金城一族の当主、金城憲政である

 

「金城憲政・・あの糞野郎」

 

耳が良い煌牙には勿論それが聴こえる、鬼がいて守るべき人間達がいる状況だからこそ鬼殺隊として守りし者として戦わなければならない

 

だがそれは鬼殺隊全体を危険に晒す事に繋がる

 

どうするべきなのか?何が正しいのか?煌牙一人で判断するにはあまりにも難しい問題だ

 

そんな時だった

 

煌牙の背後から煌牙の肩を叩き歩いてきた男

 

「全く!あの狸爺には参るよね‼︎」

 

やれやれと肩をすくめ煌牙に話しかけてきた泰三が

 

「煌牙、君は何も悩まなくていい‼︎君は君が信じる道を進めば良いんだ‼︎まぁ普通のおじさんだけど?僕もやる時は本気でやらせてもらうから」

 

そう煌牙に話しかける泰三、その眼はいつもの飄々とした表情ではなく歴戦の戦士の眼をしていた

 

「煌牙・・貴方は守りし者、貴方は貴方の成すべきことをやればいいのよ?金城一族?そんなの関係ないわ‼︎四ノ宮一族の恐ろしさを知ればいいわ」

 

そして四ノ宮一族の当主である花蓮もまた煌牙の元に駆けつけ不敵な笑みを浮かべるのであった

 

「・・はは‼︎流石おやっさんと師匠!ありがとう!」

 

二人の後押しもあって煌牙は自分の成すべき事を改めて見定めると

 

「あっ?そこはママよ?」

 

「僕はパパだよ?」

 

と最後はなんとも締まらないオチに

 

「緊張感‼︎」

 

さっきまでの緊張感はなんだったのかとツッコミを入れる煌牙は

 

「ったく‼︎おかげで余計な力が抜けたよ!ホントにありがとう」

 

走りながらそう呟く煌牙、それを見送る花蓮達は

 

「さて・・と・・僕は暴徒と化してる人達を落ち着かせるよ!煌牙はこの状況を突破する手段を見つけたようだし援護頼めるかい?」

 

「えぇ‼︎既に桜花と瑠花、辰巳君達には煌牙と合流して指示を仰ぐように伝令も出したし他の四ノ宮一族にも煌牙達に協力するよう伝えてるわ!」

 

「流石花蓮‼︎仕事が早いね」

 

「貴方程じゃないわ?泰三さん」

 

そう夫婦で互いを褒め合うのだった

 

 

 

 

その頃桜花達は花蓮からの伝令を受け煌牙がいるロビーに集合

煌牙からホテル内全ての鏡を閉じ鬼の出入り口を封鎖するという提案に乗って行動しようとすると他の四ノ宮一族達も煌牙の元に駆けつけ協力すると言ってきた

 

「私達は鬼殺隊ではないし鬼と戦う事は出来ません‼︎ですが人々を守りたいと思う気持ちはあります‼︎四ノ宮一族の誇りに誓い私達は貴方達を支援します」

 

彼等は鬼殺隊ではないので鬼と戦う事は出来ないがそれでも誰かの為に、人々を守りたいと思う守りし者としての気持ちは持っている

 

それは四ノ宮一族の誇りであり彼等は今この場の人達を守る為に動く煌牙達の指揮下に入ると

 

「四ノ宮一族が本当の意味で一つになった」

 

「一枚岩では無かったけど人々の為に事を成すっていう信念は揺るがなかったからね」

 

「・・・ありがとう‼︎・・では改めて指示を出す‼︎このホテル全ての鏡を閉じ鬼の出入り口を封鎖する‼︎このホテルは6階層!桜花、瑠花、辰巳、春は各階層を周り鏡を閉じてくれ!閉じれない鏡は破壊して構わない‼︎俺は5階と最上階を受け持つ‼︎四ノ宮一族は各自別れて俺達の指揮下に入ってくれ!身の安全は俺達が絶対に守る‼︎」

 

と柱として指示を出す煌牙

 

「じゃあ辰巳兄には私の日輪刀、春姉には魔戒銃!」

 

と桜花は辰巳達に自分の日輪刀と魔戒銃を渡すと

 

「私は本来魔戒法師だし魔導筆があれば大丈夫」

 

と愛用している魔導筆を掲げ自信ありげなな顔を見せると

 

「日輪刀渡して大丈夫か?と聞こうとしたが野暮だったな」

 

自分の武器を渡して大丈夫か?と思うが桜花は本来魔戒法師、自信ありげな顔を見て心配はいらなかったと悟る辰巳

 

非番という事もあるがホテル内で帯刀する訳にもいかないので日輪刀を持ってこなかった辰巳達には有難い

 

「桜花様有難う!じゃあ私は4階を担当するね」

 

と桜花に礼を言うとロビーを抜け階段を登り始めた春

 

作戦が決まり武器もあるのでこれ以上ここで話す必要はないといの1番に行動した辺り彼女は判断力に優れているのだろう

 

そんな春に四ノ宮一族達も分散し五人の男性達が春の跡を追うと

 

「俺達も行動開始だ」

 

と煌牙の発言で各自動きだし、瑠花が一階、桜花が二階、辰巳が三階を担当し各々で鏡を閉じていく

 

(屋内とはいえ昼だから日光は差し込む、鬼もそれを分かって鏡から出てこないのか?だが出入り口を封鎖していけば出てこざるを得ないだろう)

 

階段を登りながら鬼が現れない理由を推察する煌牙はまず五階のフロアの鏡を一緒に来てくれた四ノ宮一族達と共に閉じ最上階に登ろうとしていた

 

「はぁ・・はぁ・・なんだんだ⁈これは一体なんなんだ⁈」

 

すると最上階のフロアから狼狽える声が聞こえ

 

「鬼か・・やっと出てきたな!皆んなは階段を降りて師匠達の元に戻ってくれ!ここからは命の奪い合いだ‼︎」

 

鬼の気配を感じ煌牙は四ノ宮一族達に花蓮の元に戻るよう指示を出すと四ノ宮一族達も素直に応じ急いで階段を降り始めた

 

それを見送った煌牙は最上階へ振り返り階段を登り始めると

 

「か、鏡だ!そうだ!鏡を見た瞬間俺は何故かここに⁈一体何がどうなってる?」

 

と未だ狼狽える鬼の姿を捉え

 

「何言ってるんだ?お前の血鬼術だろ」

 

そう言いながら鬼に話しかけた煌牙、そんな煌牙に気付き振り向く鬼は

 

「鬼狩り⁈まさかこの奇妙な仕掛けはお前の仕業か?」

 

焦りと動揺を隠せていない鬼の発言に違和感を感じた煌牙は

 

(この鬼は弱い、壬の隊員でも相手に出来るだろう。そんな鬼が血鬼術を使えるか?しかも鏡から出入りするような高度な血鬼術なら尚更だ)

 

鬼の気配と態度から鏡から出入りする奇妙な仕掛けは鬼の血鬼術ではないと考える煌牙は

 

「さあ?俺も困っていてな!お前の血鬼術だと思っていたがどうやら違うらしい!他にも鬼がいるのか?」

 

と鬼に返答すると

 

「違う‼︎他に鬼はいない‼︎俺は一人だった‼︎俺は藤の牢獄の中にいたんだ‼︎年中咲く鬱陶しい山に閉じ込められてた‼︎そうだ・・あの女だ!あの女の持つ鏡を見た瞬間俺は気付いたらここにいた‼︎」

 

「女?鏡?」

 

「そ、そうだ‼︎煌びやかで上品なっ」

 

この鬼は嘘は言っていないのだろう、そんな余裕もないし煌牙に嘘をつくメリットもない

 

その鬼は煌牙の返答に答えようとした瞬間突如鬼が目の前から消え失せてしまった

 

「あの鏡か‼︎」

 

鬼が消える瞬間、ほんの一瞬だが鏡から波紋が立つのを見た煌牙は即座に鏡を蹴り砕き

 

「鬼の仕業じゃない・・他に何かいる・・・」

 

と鏡の破片を拾い鏡に残る記憶を聞くと

 

「駄目だ・・手掛かりに繋がる記憶はない」

 

その鏡から得られた情報はこのホテルの日常、手掛かりに繋がる記憶がないと破片を置き立ち上がると最上階のフロア、鏡華がいる個室の扉が開かれ

 

「煌牙様‼︎」

 

と今にも泣きそうな鏡華が煌牙の元に走り出して煌牙に抱き付いてきた

 

「先程鬼のような声が聞こえ怖くて仕方ありませんでした」

 

そう言って肩を震わせる鏡華、誰もが羨むであろう美貌を持つ鏡華の儚げな姿に世の男はそのまま抱きしめ返すだろう

 

「アンタ本当に怖いのか?」

 

「え?」

 

「アンタの表情や仕草は確かに怖いんだろうと思わせる・・がアンタの内心は何も感じてないだろう?」

 

「・・・どうしてそう思われるのですか?」

 

「さあ?アンタにそれを教える必要あるか?」

 

「煌牙様・・私は」

 

「今はアンタよりも鬼・・いやその裏にいる黒幕を突き止めるのが先だ!」

 

「黒幕・・その正体に心当たりは?」

 

「・・・さあ?鬼の血鬼術じゃないのなら別の何かだろ?」

 

「別の何か・・ですか」

 

(別の何か・・あの鬼は藤の牢獄にいたと言っていた!恐らくは藤襲山、そしてそこに居た女と鏡を見た瞬間ここに居た・・・つまり黒幕はその女!

そしてその女の正体こそ・・魔導ホラー)

 

鬼の発言から鬼は魔導ホラーに喰らい尽くされた藤襲山にいた鬼だと考えた煌牙、そこから導き出す答えは魔導ホラー

 

それは魔戒騎士である煌牙にとって絶対に討滅しなければならない敵

 

だがホラーの気配を発しない魔導ホラー相手にこれまでホラーと対峙した事のない煌牙が人間に扮した魔導ホラーを見極めるには情報がまだ足りていない

 

空虚な存在である金城鏡華に違和感を感じてはいるものの彼女を魔導ホラーと判断するには何か決定的な証拠がいるのだ

 

(これは少し予想外でしたわね。煌牙様なら突破口を見つけ出し鬼を殺すと踏んでいましたが、あの鬼がこうも簡単に口を滑らすとは。鬼殺隊最強の煌牙様の実力を見るつもりだったのに私達の存在に気付き始めてるのは少し厄介かも)

 

煌牙が魔導ホラーの存在に気付き始めている、これまでの人間の失踪は鬼の仕業だと認識している鬼殺隊に魔導ホラーの存在を知られると少し厄介になると考える鏡華

 

人間は鬼に喰われるという認識だからこそ魔導ホラーは人間態で夜を徘徊出来ている

 

だがその認識が変われば夜に徘徊する人間は怪しまれる、勿論一般人も夜に徘徊するだろうがこれまで無警戒でいれたのに鬼殺隊を警戒しなければならなくなる

 

とはいえ脅威になるとは考えておらず、とりあえず正体がバレなければ大丈夫だろうと考えていた

 

だが彼女の考えとは裏腹に煌牙達は正体こそ判明していないが既に魔導ホラーという存在を知っている

 

そして彼女の隣にいる煌牙こそ彼女達魔導ホラーにとって最凶の存在

 

彼女が駈音から牙狼の存在を知らされていたらもう少し慎重になっていただろう

 

だが彼女は何も知らされていない

 

駈音自身もまだ四ノ宮煌牙という男が牙狼だという事実を知らないのだから

 

彼が知っているのは鬼となった魔戒騎士"吼狼"のみ

 

先代黄金騎士は既に他界して継承者もいないのだから系譜が途切れたと思うのも無理はない

 

その認識のズレがどんな結果になるのか

 

それはまだ鏡華には分からない事だった

 

 

「煌牙様、その黒幕とやらの目的は存じませんが鬼は確実に人を襲います。まずは鬼の排除を優先しましょう」

 

そう言って鬼の排除にやる気を燃やす鏡華

 

彼女にとって鬼はもう自らの疑いを逸らす為の道具

 

煌牙に協力する事で敵ではないという思考に誘導したいのだろう

 

そんな鏡華は煌びやかな衣装の袖口を捲ると

 

「私こう見て護衛より強いんですよ?」

 

と彼女が護身用として携帯している仕込みトンファーを手に取り

 

「我が大東亜重工が開発した銃器内蔵型トンファーです」

 

そう言って両手のトンファーを器用に回し煌牙にアピールする鏡華

 

煌牙は鬼との戦いに一般人が参加する事を良しとはしないが彼女の違和感を確かめる為に敢えて何も言わず共闘する事に妥協したのだが

 

 

「うわぁぁぁぁぁ⁈化け物だぁぁぁぁ⁈

 

 

と一階から叫び声が聞こえ煌牙と鏡華は鬼が居る一階へと走り出すのだった

 

 

 

 

 

「くそっ‼︎一体なんなんだ⁈」

 

そう狼狽えながら鏡から放出された鬼は辺りを見渡すと

 

 

「人間⁈人間がこんなに沢山」

 

人間は鬼にとって餌、その認識だが今の状況下で喰らうという余裕までない鬼は

 

「邪魔だ‼︎人間共‼︎」

 

あまりにも数が多すぎる人間に余裕のない鬼は殺意を覚え邪魔者であるホテルの人間達をその鋭利な爪で引き裂かんと飛び掛かる

 

それを機に悲鳴を上げ逃げ惑う人達、だが出口の閉じたホテルという檻に詰め込まれた人達に充分な逃げ場などある筈もなく

 

ーー雲の呼吸 陸の型 雲乗竜変ーー

 

「そうはさせないっ‼︎」

 

まるで雲の上に乗っているかの如く軽い足取りでホテル内の壁や天井を縦横無尽に駆ける瑠花、その俊敏な動作に捻り回転を加え日輪刀の切断力を上げていく

 

 

「本当は人前で使いたくなかったけど‼︎そんな事言ってられないよね‼︎」

 

このホテルには鬼や鬼殺隊の存在を知らない人、或いは存在は知っているが見た事が無い人達がいる

 

本来ならばそれが当たり前なのだが、今はその当たり前の日常が当たり前では無くなっている

 

そして呼吸法による身体強化と型による常人を一線を超える戦闘技術を前に一般人達はどう思うだろうか?

 

単純に驚くだけならまだいい

 

だがここにいる一般人達は軍需産業の重鎮や政府関係者もいる

 

鬼殺隊の戦闘技術を目の当たりにしてその有用性を見出さないか?

 

そうなれば強硬派の勢いに加担する事になる

 

だが人が目の前で鬼に殺されそうになっている

 

鬼殺隊の未来と目の前の人達の未来

 

二つを天秤に掛けた時どちらを優先すべきか?

 

そんなの決まっている‼︎

 

守りし者としての意志を受け継ぐ四ノ宮ならば迷わず人を助ける

 

それが四ノ宮家としての誇り‼︎

 

ほんの一瞬の気の迷い、葛藤の先に本来の役目を見出す瑠花

 

「今だ‼︎」

 

そんな彼女は天井から素早く蹴り出し鬼の頭上へと急降下

 

回転と落下速度を合わせた強力な一閃が鬼の頸を通り過ぎる・・筈だった

 

その直前突如鬼が目の前から消え瑠花は慌てて型を止めて着地すると

 

「消えた・・・鏡は全部閉じた筈・・・・・まさか⁈」

 

何故鬼が消えたのか?このフロアの鏡は全て閉じた筈

 

そう考えていると一つだけ見落としていた点がある

 

それはこのフロアにいる人間、高貴な淑女ならば当然持っているであろう手鏡だ

 

それを媒介に鬼が出入りしているとなれば想定以上に厄介な事になる

 

「そもそも鏡を閉じたのに鬼が現れた時点で疑うべきだった」

 

そう悔やんでもどうしようもない

 

何か方法はないかと考えていると

 

「手鏡を持っている方は今すぐ破壊して下さい‼︎鬼は鏡から現れます‼︎」

 

皆に聴こえるよう大きな声で通達する煌牙が階段を飛び降りると

 

「皆様‼︎煌牙様の指示に従って下さい‼︎」

 

と煌牙に続き鏡華も大きな声で通達する

 

するとパニックになりながらも鬼への恐怖で手鏡を割り出す者が増えていき

 

「いい加減にしろぉぉ‼︎」

 

何度も鏡から出入りさせられる鬼が怒りを露わにして再び現れると

 

「煌牙様‼︎ここで見ていて下さい‼︎」

 

とトンファーをクルクルと軽快に回して階段を飛び降りた鏡華

 

「瑠花様‼︎加勢します‼︎」

 

「え⁈え〜と・・」

 

迷いなく鬼へと突っ込む鏡華に戸惑いを隠せない瑠花は煌牙に判断を仰ごうと視線を向けると煌牙も同意なのか瑠花に頷き

 

「何か考えがあるみたいだけど・・良いのかな?」

 

煌牙に何か考えがあるのだろうと理解はするが鬼殺隊でもない鏡華に戦わせて良いのか悩みながら再び鬼に向かって行く瑠花

 

「瑠花様・・私なら大丈夫ですよ?御心配なく」

 

そう言いながら鏡華は鬼に突撃し

 

「この女⁈貴様‼︎」

 

「まぁ?貴様だなんて下品な言葉、あまり使うものじゃありませんよ?」

 

鏡華を見て激昂する鬼に注意する鏡華、鋭い爪が鏡華に迫るが鏡華は右手のトンファーで鬼の攻撃を受け止め

 

「お喋りさんにはお仕置きが必要みたいですね」

 

そう言って左手に持つトンファーに仕込まれている銃口を鬼へと向け

 

「大東亜重工謹製の特殊炸裂弾です」

 

そう言って左手のグリップの引き金を引き

 

ズガンッ‼︎

 

弾が鬼の顔面に着弾すると同時に鬼の頭部が破裂して返り血を浴びる鏡華

 

だがそんな事など構う事なく素早く回転を掛け鬼の背後に回るとその勢いを利用して右手のトンファーで鬼の殴り飛ばす

 

「瑠花様!後はお願いします」

 

とても良家の令嬢とは思えない豪胆な体捌きに面食らっていたが気を取り直し

 

ーー雲の呼吸 参の型 乱れ雲ーー

 

刀の軌道が読めない乱舞で殴り飛ばされて来た鬼を切り刻んだ瑠花

 

その刃が鬼の頸を断ち鬼は灰と化して散って行く

 

「お見事です瑠花様」

 

そう言いながら笑顔で拍手する鏡華に

 

「・・・返り血を浴びながら笑顔はちょっと怖いです」

 

と鏡華の言動に引いていると

 

「鏡華‼︎無事じゃったか‼︎」

 

と鏡華の元に慌てて駆けつけた来た祖父金城憲政は

 

「まぁお前さんはそこらの軍人より強いからの‼︎心配はあまりしとらんかったがまさか鬼と戦うとはの」

 

とまさか鬼と戦うとは思いもしなかった憲政が鏡華にそう話すと

 

「えぇ・・鬼殺隊である煌牙様に相応しい女だと証明する機会でしたので

それに大東亜重工の兵器の有用性を宣伝する事も出来ますので」

 

「フハハハ‼︎流石は我が孫よの‼︎やる事に抜け目がないわい」

 

そんな会話をする鏡華と憲政だが

 

(煌牙様の実力を確かめるつもりでしたのにあの雑魚鬼が余計な事を話したので予定が変わったじゃないですか‼︎鏡の能力はあの雑魚の血鬼術、そう思わせて始末してくれたら良かったのに煌牙様は私達の存在を疑っていた。おかげで私が直接鬼と戦う羽目になってしまいましたわ‼︎まぁ大東亜重工の兵器と鬼殺隊の有用性を宣伝出来る良い機会になったので良しとしますか)

 

と内心考えていた

 

そう、この騒動は最初から鏡華に仕組まれた罠だったのだ

 

当初の目的としては煌牙の実力を確かめる為だったが鬼が意外にも口を滑らしてしまった

 

人を見境なく喰らう下賎な道具程度にしか考えていない鏡華には鬼が人間である煌牙にそこまで喋るとは思っていなかったようだ

 

そのせいで黒幕の存在を疑われ、煌牙の態度から自分が怪しまれていると悟った鏡華は自ら鬼と戦う事で身の潔白を証明しようと考えた

 

だが想定外な事に煌牙の妹である瑠花が既に鬼の頸を斬ろうとしていた

 

このままじゃ身の潔白を証明出来ないと鏡華は鏡に写る生物を鏡の中に引き摺り込む能力で鬼を鏡の中に引き摺り込み時間を稼いでいたのだ

 

本来なら鏡の中に引き摺り込んだ鬼はそのまま捕食してしまえば始末は簡単だがそれでは意味がない

 

鬼は自分の疑いを晴らす道具なのだから役に立って貰わなければ生かしている理由がない

 

だが人間として振る舞っている以上鬼殺隊でもない自分が鬼を殺すのは悪手であるが今ここには鬼と戦っている煌牙の妹がいる

 

彼女に鬼を始末して貰い自分はその助力となれば嫌疑は晴れ有用性も示せると考えた

 

上手くいけば大東亜重工の兵器と鬼殺隊の有用性を今ここにいる政府高官や企業に示す事が出来る

 

それに瑠花という少女が目立てば保守派の勢いも下がり流れは強硬派により傾くだろう

 

あらゆる状況を利用して自分の利益となるよう画策する鏡華、そんな彼女の本心は誰一人として理解出来ないだろう

 

彼女は人ならざる怪物"魔導ホラー"なのだから

 

 

 

 

「金城鏡華・・・このまま放っておく訳にはいかないかもな」

 

そんな彼女達のやり取りを見ていた煌牙、鬼と戦う姿を見たが確かに一般軍人より多少は強いのだろう

 

正確に言えば一般軍人より多少強い程度に見えるよう手加減していたと言ってもいい

 

これまで鬼と戦い続けてきた煌牙の勘にはなるが彼女にはまだ余力がある

もしかすると下弦の鬼にも抵抗出来る可能性があるとさえ思っていた

 

確かに彼女はこちらに協力してくれた、だがそれだけで疑いが晴れた訳ではない

 

彼女は果たして本当に人間なのか?

 

その真偽がはっきりするまで鏡華から目を離せないと煌牙は考えていた

 

「おや?煌牙は金城のお嬢さんが気に入ったのかい?」

 

「煌牙も男の子だもの」

 

と煌牙の両隣にやって来た泰三と花蓮の二人

 

「なんで瑠花の加勢をしなかったんだ?って顔してるわね」

 

「あの子はまだ幼いとはいえ立派な鬼殺隊だし彼女がこの二週間でどれだけ成長したのか見るいい機会だから見守っていたんだよ!」

 

「それに桜花が周りの人達を助けられるよう待機してたしここは現役の隊士に任せようって思ったのよ」

 

と煌牙に告げる泰三達は

 

「あの鏡華って娘、なかなかに大胆だね。煌牙を見つけるや真っ先に話しかけたり今といい・・随分と気に入られてるみたいだね」

 

「えぇ、二人で出て行ったからちょっと驚いちゃったわ」

 

そう話しかけてくると

 

「あぁ‼︎鏡華はこのまま放っておけないな‼︎」

 

そう断言する煌牙だが鏡華の事をまだ何もせず知らない二人は煌牙が随分気に入ってるのだと思うのだが

 

「二人ともあの女には注意していてくれ!俺の勘違いだったら良いんだがあの女は普通じゃない‼︎」

 

まだ確信がないのでハッキリとは言えないがとにかく鏡華は普通じゃない

 

二人にそう告げると二人も真剣な顔付きに

 

「煌牙、その話を今ここで話すのはあまり得策ではないだろうね。恐らく彼女も君が警戒しているのは分かってる筈だ」

 

「あぁ、鏡華が俺の疑念を晴らそうとしたのならそれに乗って友好的に接するのが良いかもしれない」

 

と会話する煌牙達、煌牙がそこまで言うのなら彼女は恐らく普通の人間ではないだろう

 

鏡華の正体がなんなのか?それは分からないが最悪の可能性も十分に考えられる

 

だからこそ正体を突き止める為に友好的に接し彼女の正体を暴くという作戦に泰三と花蓮も頷き煌牙達は金城一族に囲まれた鏡華の元に歩き出すのであった

 

その後封鎖されていたホテルの出入り口が解放され逃げ出していく出席者達

 

鬼が出た事で会合は急遽中止となりホテルに残ったのは四ノ宮本家と金城家の者達だけになってたのだが

 

「折角の会合じゃったのに鬼が出るとは災難じゃの‼︎四ノ宮殿、ホテルも慌しいようじゃから少し場所を変えて話せんじゃろうか?」

 

「えぇ、こちらとしても話したい事があるので願ったりですよ」

 

そう会話する金城憲政と泰三の流れで両家は近くの料亭で改めて話し合いをする事になり

 

「お祖父様、私は煌牙様と御一緒したいです」

 

と鏡華が憲政に煌牙と同じ送迎車に乗りたいと言い出し

 

「金城さん、折角の機会です。僕達は僕達で、子供達は子供達で交流を図ればと思い鏡華さんの提案に賛成したいと思います」

 

と泰三が鏡華の案に乗ると

 

「まぁそうじゃのう!四ノ宮殿の倅と鏡華の仲が深まれば儂としても良い事じゃし許可しよう」

 

と憲政の許可も出たので

 

「あの?・・煌牙様。私と一緒にいてくれませんか?」

 

と煌牙に上目遣いで懇願すると

 

「うわーあざとーい」

 

と桜花の棒読みブーイングが入り

 

「桜花様、私は桜花様とも是非仲良くなりたいです。宜しくお願いします」

 

桜花のブーイングもなんのその、丁寧なお辞儀をする鏡華だが

 

「ほう・・私と仲良くなって富士山頂まで一緒に走りたいと‼︎・・素晴らしい‼︎なら早速明日から私と富士山に行こうよ‼︎」

 

「え?・・・あ、それはちょっと遠慮したいかなぁ・・なんて」

 

「桜花それは流石に無茶振りだぞ?鏡華さんが困ってるだろ?」

 

「もう!煌牙はどっちの味方なの?」

 

「どっちって言うか常識的に考えてまたお前が阿呆な事言ってるなぁって」

 

「私から阿呆を取ったら私に何が残るの?何も残らないよ?」

 

「それ自分で言う⁈いや!流石に何も残らないはないだろ!だってお前可愛いし思い遣りがあって優しいじゃん!阿呆な言動で忘れがちだけど地頭は良いし誰かの為に頑張れる桜花は絶対に無価値なんかじゃない‼︎俺はお前が相棒である事を誇りに思ってるぞ‼︎」

 

「はわぁぁぁ⁈」

 

「あっ?お姉が壊れた」

 

普段から阿呆過ぎて煌牙に褒められない桜花は煌牙に本気で褒められた結果どうやら壊れたようだ

 

「ふふ♪煌牙様と桜花様は大変仲が良いのですね。・・ですが桜花様は大丈夫なのでしょうか?今の桜花様は良家の御令嬢とは思えないくらい・・・失礼しました」

 

「あぁ・・いやコレがコイツの素だからな!桜花と仲良くなりたいのは構わないが付き合うなら常識と非常識の狭間に身を置かないと着いていけないぞ?」

 

「ふふ♪煌牙様は聡明なだけでなくお茶目な一面もあるのですね」

 

「そうか?まぁそう思うんならそうなのかもな」

 

「ふふふ♪」

 

「あ、お姉がきっかけで二人の仲が良くなった!」

 

そんな会話をしつつ煌牙達は送迎車に乗り込み料亭へ向かうのだった

 

その後料亭での会食は両家共に踏み込んだ話はそこそこに腹の探り合いを展開しつつ煌牙と鏡華の進展を見守っていた

 

 

 

 

 

 

その夜、金城邸では

 

「お祖父様、ちょっと夜の散歩に出掛けてきますね」

 

「うむ・・じゃが鬼にはくれぐれも気をつけるのじゃぞ‼︎」

 

「えぇ!勿論」

 

会食を終え屋敷に戻って来た金城家の者達、会合の疲れもあって早めに就寝といったところだが鏡華は日課の夜の散歩に出掛けると言ってきた

 

彼女は下手な軍人よりも強いのであまり心配はされていないがそれでも鬼には気を付けるよう言われ頷くとそのまま夜の世界へと歩き出した

 

そのまま暫く夜道を歩き人気の無い路地に行き着くと

 

「昼の喧騒も悪くはないのですがやはり静寂な夜は落ち着きますね」

 

と静かな雰囲気に安らぎを感じながら路地を歩いていくと

 

バリッ!ゴキッ‼︎グチャグチャ!

 

路地裏へと続く方向から何やら不穏な物音が聞こえ

 

「誰かいらっしゃるのですか?」

 

そう言いながら路地裏へと歩き出した鏡華

 

そこで鏡華が見たものは

 

「・・・・見なかった事にしましょう」

 

そう言いながら路地裏を静かに引き返えそうとした鏡華

 

彼女が見たのは鬼が麗しい女性を貪り食う凄惨な光景だった

 

「やぁ?こんな人気の無い所にやって来て一体どうしたんだい?俺が話を聞いてあげるよ」

 

だが振り返ると目の前には気付かない内に鬼が回り込んでいて鏡華を値踏みするかのような目で話しかけ

 

「ひっ⁈」

 

と怯え尻餅をつく鏡華

 

「そんなに怯えて可哀想に、俺が君を救ってあげるから安心しなよ」

 

そう言いながら笑みを浮かべる鬼、上弦の弐である童磨は鏡華に近付いて手を差し伸べると

 

「だ、大丈夫です‼︎自分で立てますから」

 

と手を取らずに自分で立ちあがると

 

「今のは見なかった事にしますので私はこれで失礼しますね」

 

と童磨の横をすり抜け逃げようとすると

 

「そんなつれない事言わないで少し話すくらいいいじゃないか!」

 

そう言いながら鏡華の腕を掴み鏡華を逃さない童磨

 

「やめて下さい‼︎人を呼びますよ?」

 

嫌がりながら童磨の手を振り解こうと抵抗するが鬼の膂力は強く振り解けないでいると

 

「何をそんなに嫌がるんだい?」

 

と何食わぬ顔で問いかけ童磨だが

 

「どうして?どうして手を離してくれないんですか?」

 

今にも泣き出しそうな顔でそう言う鏡華

 

「俺は優しいから君を放っておけないんだ!今にも泣きそうじゃないか?ほら?話してごらん?俺が聞いてあげるよ」

 

自分のせいだというのに全く意に解しない童磨は穏やかな笑みを浮かべ鏡華の眼前に顔を近付けると

 

「・・・・今日はとても素敵な日でした。私の理想の殿方に出会い私はとても気分が良かったんです。ですが貴方と出会い今はとても虫の居所が悪いんです!・・・今宵はただの散歩だけで済ませるつもりだったのに・・貴方が悪いんですよ?私は辞めて下さいと言ったのに全く取り合ってくれないんですから?」

 

そう童磨に話す鏡華、その表情は恐怖や怯えといった感情は一切なく無機質な眼で童磨を眺めていると

 

「・・・あれれ?極上の当たりかと思っていたけど・・もしかして・・とんでもない外れを引いちゃった?」

 

この時童磨は悟った、今目の前にいる少女は明らかに人間ではない

 

人間という脆く儚い脆弱な仮面を被った異質な存在なのだと

 

「外れですか?まぁそうですね、私達は鬼さえも喰らう魔導ホラー‼︎人間も鬼も等しく私達の糧に過ぎませんからね‼︎」

 

そう言って袖口からトンファーを出し右手側の銃口を童磨に向け

 

「あら?警戒されてましたか」

 

だが鏡華を警戒していた童磨は鉄扇で反撃の態勢に入っていて鋭い一撃を鏡華の首に目掛け振るう

 

その素早い攻撃に防御が間に合わず鏡華の首が斬り落とされ

 

「人外とはいえ流石に首を斬られたら死んでしまうよね」

 

鬼の首が弱点であるように人外の存在も首を斬られたら死んでしまうだろうと斬り落とした童磨

 

転げ落ちた鏡華の頭部を見て

 

「・・・死んでるよね?これで死ななかったら俺驚いちゃうぜ」

 

そう言って落ちた頭部を観察していると

 

パリン!

 

落ちた頭部が硝子細工のように砕け散る

 

「え?硝子?」

 

童磨が驚くのも無理はない

 

生物というのは血があり肉がある

 

だが砕け散った鏡華の頭部からそんな破片は出なかった

 

それは割れた硝子の破片だった

 

「全く!いきなり頸を斬り落とすだなんて‼︎随分と失礼な方ですね‼︎」

 

そう聞こえ童磨は砕けた頭部から胴体に視線を移すと

 

「あれ?君どうやったら死ぬの?」

 

そこには完全に復元された鏡華が全くの無傷ままいたのである

 

「残念ですが貴方では私を殺す事は不可能です。例え私を殺す術を持っていたとしても私の本体に辿り着かない限り絶対に不可能です」

 

そう話す鏡華だったが

 

「そこまでにしておけ鏡華!」

 

「駈音様・・来てらしたのですね」

 

「あぁ、ちょっと散歩してただけだが・・まさかこのような所で童磨に会うとはな!」

 

そう話す鏡華と駈音、そのやり取りを見ていた童磨は

 

「あれ?君何で俺の名前を・・・もしかして・・覇羅剛殿かい?いやぁ!分からなかったよ‼︎だって見た目も気配も人間だし名前を呼ばれなかったら気付かないままだったね」

 

笑いながらそう話す童磨だが

 

「そのように変化する薬があるのだ!まぁ効果故に貴重な代物だが・・童磨よ、この時代に魔戒法師は存在しているか?」

 

「魔戒法師?・・・あぁ、奇妙な術を使う奴等の事だね!いるよ?四ノ宮桜花っていう癪に触る女の子が」

 

「え?四ノ宮桜花ですか?・・まさか桜花様がそのような能力を持っていようとは」

 

「知り合いか?鏡華?」

 

「えぇ、本日の会合で懇意になった四ノ宮家の御令嬢です」

 

「そうか・・四ノ宮か・・童磨、貴様が言っていた猗窩座を倒した鬼狩りも四ノ宮という名だったな」

 

「うん、四ノ宮煌牙っていう名前だったね!多分兄妹なんじゃないかな?」

 

「丁度いい‼︎四ノ宮桜花を奪うついでにその四ノ宮煌牙という鬼狩りとも手合わせしてみたいものだ」

 

「あら?煌牙様は私の大切な愛しい獲物ですよ?殺すような真似は駈音様でも許しませんよ?」

 

「それは肝に銘じよう!そうか四ノ宮煌牙はお前の獲物か‼︎奴も不運だな」

 

「不運だなんて失礼です‼︎煌牙様は私が幸せにするんです‼︎そして至福に満ちたその極上の魂を喰べ煌牙様は私と永遠に一つとなるのです‼︎むしろ幸運ですよ?」

 

「分かる!分かるよ‼︎その気持ち‼︎君と俺は同じ考えを持つ仲間だよ!」

 

「いえ‼︎貴方は気持ち悪いので遠慮します」

 

「はっはっはっ!振られたな童磨!」

 

「まぁそれは別にいいんだけど覇羅剛殿、君は四ノ宮桜花をどうするつもりだい?彼女は俺が直接殺したいんだけど」

 

「その法師に私の変化薬を作らせるつもりだが?従わないなら殺す!用が済んだらお前の好きに・・いや、こちら側にも魔戒法師は必要だな!私の配下に喰らった者の能力を取り込む者がいてな?そいつにその法師を喰わせれば何かと融通が効くだろう」

 

「う〜ん・・あの娘が死ぬ事は別に良いんだけど俺の手で殺してやりたいんだよねぇ!・・あはは!覇羅剛殿どうしたら良いと思う?」

 

「私に聞いたところで貴様の納得のいく答えは出ないだろうな‼︎法師が死ぬという事実以外が折り合わないのでな‼︎」

 

「だよねぇ!参ったなぁ‼︎俺なんかじゃ覇羅剛殿には勝てないし・・・あ!魔戒法師はその娘以外にも二人いるの忘れてたよ‼︎ねぇ?覇羅剛殿?その法師は辞めて別の法師にしない?鬼と人間の両面性を持つ面白い法師がいるんだよ」

 

「ほう・・それは興味深い!」

 

「あぁ、覇羅剛殿なら問題ないと思うけど四ノ宮煌牙は少し気を付けた方がいいよ?彼は黄金騎士牙狼という金色の狼の鎧を纏うからね」

 

「・・・黄金騎士・・牙狼だと⁈」

 

「ん?牙狼を知っているのかい?」

 

「そうか、この時代に牙狼の称号を受け継ぐ魔戒騎士が存在したか‼︎フハハハ‼︎これは面白い‼︎」

 

「駈音様、黄金騎士牙狼って何ですか?」

 

「お前達魔導ホラーを討ち滅ぼす天敵にして私の因縁の宿敵だ」

 

「そう・・ですか・・煌牙様が・・なら以前私達を変えたあの御方は煌牙様・・の先代が滅ぼしたと?」

 

「それはないだろう!私の知る限りではもう一人魔戒騎士がいるのでな‼︎そいつとそこにいる胡散臭い鬼達が共謀して始末したのだろう」」

 

「あら?そうなんですの?ですが例え煌牙様が私に牙を向いたとしても私を殺すのは不可能です‼︎」

 

「おや?それはどうしてだい?さっきも鏡のように割れたし普通じゃないのは分かるんだけど」

 

「貴方は先程私に危害を加えようとしたので教えません‼︎」

 

「はっはっはっ‼︎またしても振られたな童磨‼︎」

 

「それについては謝るよ!人間だとしか思わなかったんだし、というか人間にしか見えないって!鬼にとっては博打もいいところだよ」

 

「弱き者は強き者の糧になる!古から続く世の掟です」

 

「・・う〜ん・・なんかやりづらい娘だなぁ〜」

 

「ですがそうなると少し厄介な事になったかもしれません」

 

「ほう?」

 

「煌牙様は昼間の騒ぎで鬼よりも私を警戒していました。もしホラーの存在を知っていたとしたら私は煌牙様にホラーであると思われているかもしれません」

 

「別に構わないのではないか?仮にそうだとしてもお前を倒す手段がないのも事実だろう」

 

「そうですけど‼︎そうじゃないんです‼︎私は煌牙様に嫌われたくないんです‼︎駆音様には乙女心が分からないんですよ‼︎」

 

「あっはっはっ‼︎君のような化け物が乙女心とか面白い事言うね」

 

「・・・貴方は少し黙ってくれませんか?殺しますよ?」

 

「おっと‼︎それは困るな」

 

「二人ともそれくらいにしておけ」

 

「どうやら俺が喋ると嫌われるみたいだ!機嫌を損ねないうちに俺は退散するよ」

 

「もう損ねてますけど?早く消えてください」

 

そう話すと童磨は早々に場を立ち去り

 

「・・・はは‼︎黄金騎士牙狼‼︎また合間見えようとは‼︎これも宿命か」

 

「ふふ♪またお会いするのが楽しみです♪煌牙様」

 

そう話し闇夜へと消えていく駈音達

 

そして新たなる脅威が煌牙達へ牙を剥くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

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