ご都合主義の展開もあり、原作崩壊している部分もあります。
苦手な方はブラウザバックをお願いします
<春樹Side>
「おい、その人を返してもらうぞ。無事でよかった」
鬼の腕を切り飛ばし殺されそうになっていた女性を助け出し、抱きかかえ鬼から距離を取り話しかけた。
「すみません、貴女が助けた子供たちを安全な場所に避難させていた為、助けに来るのが遅くなりました。身体の方は大丈夫そうですね」
「は、はい。ありがとうございます」
女性が顔を紅くして窮屈そうにしていたので、地面に下ろし彼女を背中に庇うようにして前にでた。
「俺の側から離れないでくださいね。貴女のことは絶対守りますんで」
「・・あ。は、はい」
俺は鬼の方に顔を向けると物凄い顔で此方を睨んでいた。
「貴様ぁぁぁぁぁ! よくも私の腕を斬ったね! 鬼の癖に生意気な! 私が十二鬼月だと知っての狼藉か!」
「そんなん知るかよ。お前は、子供達と、この人を襲おうとした。それだけで斬る理由には充分だ」
「貴様分かっておらぬのか? 貴様が守ろうとしているの鬼だぞ!?」
「・・!」
え、マジで? この人鬼なの? この人動揺してるから鬼なのかな? 全然鬼に見えないんだけど。優しすぎる匂いと人間の雰囲気しか感じないから人だと思ってたよ・・・。
でもこの人からは、普通の鬼と違い人をどうにかしようってのが感じれないから良い人で間違いないはずだ。よし、俺は直感を信じるぞぉぉぉぉ!
「だからどうした? この人はお前達や俺を含めた鬼に比べて、天と地ほど差があり人間らしいよ。それだけで守る価値もあるし、子供達から先生を助けてって頼まれたからな。守りきらないと約束を破ることになってしまう」
「鬼が約束を守るだと!? 笑わせるな! 鬼は人を喰らい自分の欲のままに生きていくものだ! 貴様の言い分は鬼である身と矛盾しておる!」
「哀れだな。お前も鬼になる前は人だったろうに・・・・。鬼の流儀なんか知らねえよ。俺は守りたいと思ったものを守るだけだ」
「私を憐れむんじゃないよ! 珠世もろとも死んでしまいな! 血鬼術『遮月』!」
「遅いぞ。日の呼吸 壱の型
技を使用し、鬼の首を撥ねた。鬼は首を撥ねられたことにまだ気付いていない。この技は、光が当たる場所内なら一瞬で移動し敵との距離を詰め切りつける技だ。
日が当たるところ(影がある場所)で使用したら本来の力を発揮する技で、月の光など日の光が当たる時以外に使うと4割ぐらい力が発揮されなくなるが、大抵の鬼を倒すに充分な技だ。
「・・! もう首を撥ねている。貴方はいったい・・・」
背後で化け物を見るような感じで驚かれているような気がするな。やっぱり化け物じみてるかな? 縁壱に教わった型をひたすら鍛錬して鍛えただけなんだけどなぁ・・・
こんな綺麗な人に化け物とか言われたら、もう旅やめて家にひきこもろうかな・・・
考え事をしていると、鬼が首を斬られたことに気づいたようだ。
「どうして私は首を斬られているんだい!? いったい何をした!? くっ、身体が再生できない。上弦の弐であるこの私が負けただと・・・
こんなはずではなかったのに・・・」
鬼を悔しいのか後悔をしておりとても悲しそうな感じがした。鬼に近づいて行った。
「な!? 危険です! まだ近づいてはだめです! 完全に消滅するまで油断してはいけません!」
女性が俺を心配して声をかけた。
「大丈夫だ」
女性にそう答え、倒れている鬼に近づいてしゃがみ込んだ。
「何の用だい? もうすぐ死ぬ私を憐れんでいるのかい・・・ 同情はいらないよ」
「なぜ、悲しそうな眼をして後悔しているんだ? お前の心は悲しみで押しつぶされそうだ」
「・・・! アンタに何が分かるんだい? 家族と生きたい為に、鬼になり愛していた家族を喰い殺した私の気持ちが分かるっていうのかい!」
「・・・! そんな・・・」
貴女も私と・・・」
「・・・そうか。守ろうとしたものを自分で壊してしまったか。それが辛くて鬼として人を喰い続けた訳か・・・」
「そうさ。鬼として生き続ければ記憶は次第に薄れていき家族の記憶も無くなっていったってのに、アンタとそこにいる珠世のせいで苦い思い出を思い出しちまったよ」
「今のお前に聞きたい。お前はどうしたかったんだ?」
「私は・・・ ただ家族と生きたかった。みんなで笑って暮らしたかっただけさ・・・!」
「鬼になったとしてもそれを守れたのではないのか? それなのにお前は、逃げてしまいたくさんの関係ない人達の人生を狂わせた。自分と似ているというだけで
そこにいる女性まで巻き込んだ。この人とお前の違う点は、鬼ということを受け入れた上で人を守り生き続ける、人を襲い生き続ける行動をしたという対局的な生き方を
してきたということだ。この女性も同じように家族を殺したかもしれない。それでも前を向いて生きようとしているんだ。お前や俺と同じ鬼ではなく、この人は間違いなく
人だと思うよ」
「・・・ぐすっ」
「ははは。敵わないねぇ。私は悪人らしく逝くとするかね・・・! 何をしてるんだいアンタ」
鬼の頭を抱きしめたことにより、鬼は驚いていた。
「黙ってきけ。お前は確かに許されないことをした。だけどな、お前はちゃんと後悔し反省している。次生まれてくる時はきっと幸せになれるはずだ。なんて言ったって俺の勘がそういっているからな!」
「・・・全く、なんなんだい、その根拠の自信はどこから来るんだい。アンタみたいな奴がいると私の人生も変わったのかね。こんな暖かいのは久しぶりだよ・・・。あのお方と戦っても絶対に死ぬんじゃないよ。
私の名は桔梗だ。最後にアンタの名を聞かせておくれ」
「桔梗、良い名だな。俺の名は天羽春樹だ」
「春樹か。アンタこそ良い名じゃないか。ありがとう、これで私も・・・・」
桔梗は満足した顔で消滅した。
それを見届け安心した瞬間、技の反動がきて倒れてしまった。
「大丈夫ですか!? しっかりしてください! お願い!」
女性が泣きながら、かけよってきた。この人を守ることができたんだと安心し気を失った。
<春樹Side out>
<珠世Side>
私は気を失った彼を屋敷に運び、いつの間にかできていた傷の手当と看病を行った。
彼が気を失ってから三ヶ月もたった。ちゃんと呼吸し容態も安定している為死ぬことは無いが、ここまで目覚めないと不安になってくる。
手当をしている時に、身体を調べたら私と同じ鬼という存在ということが分かった。ただ、彼は鬼舞辻の呪いを外しているし、鬼の体でも人に近い存在だ。
それに、鬼狩りと同じ刀を持っているのは何故なのだろうか? 知らないことばかりで、彼のことをもっと知りたいと思ってしまった。
「がらにもないですね。年端もいかない乙女じゃあるまいし、私は何を考えているのでしょうか」
彼の言った言葉が頭の中から離れたことは一度もない。こんな私を鬼ではなく人と言ってくれたあの時の暖かさわ心の奥底に残っている。
彼の言葉のお蔭でちゃんと前を向いて歩いて生き続けようと誓いました。こうすることであの人とあの子も喜んでくれますよね。
「こんなおばさんを口説いているのかと思いましたよ、目覚めたら話を聞かないといけませんね、ふふっ。貴方が助けた子供達も待ってますよ。
もちろん私も待ってます。早く目を覚ましてくださいね」
ニコリと笑い、彼の手を握り目を覚ますのを待ち続けた。
更に二ヶ月がたった頃、彼が目覚めた時私は泣きながら抱きつくのだった。
<珠世Side out>