神様、俺を異世界へ! 〜ふと呟いたら異世界へ送り込まれました〜 作:相楽 弥
昼食後。
リリィを家まで送り届けた俺達は、アビヌさん宅で召喚士の男から得られた情報を整理することにした。
「まず、アイツはこの村を襲った賊の一味で間違いないらしい。 蹴っ飛ばした時に懐からこれが出てきた」
そう言ってイリアは1枚の紙を取り出した。
無造作に丸められているそれは、麻紐のようなもの縛ってある。
「この村の地図……ですか?」
「それと、所々にバツ印が付けられてるな」
と、先程から静かに話を聞いていたアビヌさんが口を開く。
「……なるほど。 このバツの付いた場所が賊の入り込んできた場所と一致する、ということですな?」
イリアはこくりと頷くと、続きを話し始める。
「そっから更に問い詰めてくと、奴らの狙いも分かったんだ」
そう言うと、今度は俺の方を向く。
「ヒロト。 村長から受け取った魔法剣って、今どうしてる?」
魔法剣。
リリィの命を救ったお礼に、とアビヌさんから受けとったあの剣だ。
確か今は、馬車の積荷の中に置いてあるはずだ。
と、俺の答えを聞くより先にイリアが話を続ける。
「あの魔法剣。 ……確か、この村に泊まって行った剣士からのお礼で送られたものだったよな」
そういえば、アビヌさんはあの剣をくれた時にそんなことを言っていた。
とある剣士が、一宿一飯の礼に置いていったと。
「も、もしや、あの剣を狙っていると……?」
驚いたように目を見開くアビヌさん。
そんな彼の反応にイリアは頷くと、今度は俺の方を向き直る。
「奴らは、今ヒロトが持ってる魔法剣を狙って襲撃を仕掛けたんだ」
つまるところ、賊はどこからかこの村にその魔法剣があるという情報を仕入れた。
そして、それを奪取するために用心棒のイリアが居ないタイミングを見計らって襲撃。
しかし、その時には既に目当ての魔法剣は俺の元に渡っていた。
「それで、これがまた妙なところなんだけど……。 奴ら、その魔法剣を金目当てで狙ってるわけじゃ無さそうなんだよ」
イリアはさらに続ける。
「賊が魔法剣を狙った理由は、奴らの頭領にプレゼントするためなんだってよ。 ……あの剣には大きな力が宿ってるって言ってた」
ふとあの剣を握ってみた時の事を思い返す。
……あれは、調査に向けて戦闘の訓練していた時のことだ。
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街外れの草原にて、俺とエストは今日も戦闘訓練を行っていた。
ベックとラッカルは依頼を受けるらしく、今日は休みだ。
「よしっ、今日も頑張りましょうねっ!」
「おうっ! ……で、今日はこれを使ってみようと思うんだ」
そう言って、俺は左手に握った剣を見せる。
この間にアビヌさんから貰った魔法剣だ。
……初めてリカント武具店で魔法剣を触った時は、魔力の制御が出来ずに使いこなせなかったが、今はもう魔力に慣れてきている。
魔法だって人並みに使えるし、そろそろ扱えるようになっているかもしれない。
「その魔法剣、どんな魔力が備わっているんでしょうね〜? 早速使ってみてくださいよっ、ヒロトさん!」
ワクワク、と言った感じで目を輝かせながらエスト。
……よしっ!
俺は魔法剣を鞘から抜き、両手で握って構える。
(魔力の流れを感じる……。 これをコントロールして、この剣の力を引き出すんだったな……!)
魔法剣等の魔力を帯びた武器というものは、その武器そのものが強い魔力を秘めており、武器そのものが持つ魔力と使用者自身の魔力の流れをリンクさせてコントロールすることで、その力を発揮する。
そうして、使用者の魔力量がその威力を増大させるのだ。
コントロール出来るかどうかにはある程度個人差もあるらしいが、大体の人間は魔力の扱いに慣れていけば使いこなせるらしい。
(……!? な、何だ、この感覚……!!!)
しかし、この剣は何かがおかしい。
既に俺自身の魔力とこの剣の持つ魔力は完全にリンクしている。
俺の体とこの剣に流れる魔力は一体化していた。
……なのに、まだ魔力が流れ込み続けている。
「ひ、ヒロトさん……? 何だか、顔色が……!?」
隣で見ていたエストが心配そうな声を上げている。
(す、吸われているのか……!? 俺の魔力がこの剣に、どんどん吸い取られていく……!!!)
少しづつ体から力が抜けていくような感覚に陥る。
前に"アイス・バレット"を放った時に感じた、あの脱力感だ。
しかし、そのうち魔力の吸い取られるスピードが落ち着いてきた。
……それと同時に刀身が淡い緑色の光を放ち始める。
「……! なんかヤバいッ! エスト、離れてくれッ!!!」
「えっ、あっ、はいッ!!!」
本能的に危険を感じてエストを逃がすと、俺の意思とは関係なく魔法剣が宿した魔力を放出し始める。
(……ッ!!!)
次の瞬間、辺りを荒々しく暴風が吹き荒れたかと思えば俺を中心にして竜巻が発生した。
「ヒロトさんッ!?」
必死に叫ぶエストの声が聞こえてくる。
……だが、不思議とこの風には恐怖を感じなかった。
動きのイメージが湧いてくる。
無意識的に剣を頭上に掲げ、魔力を集中させると、辺りを吹き荒ぶ風が剣へと収束していく。
(ここで振り下ろすッ!!!)
ゴウッという音と共に。
眩い光を放ちながら放たれた斬撃は研ぎ澄まされた風の刃となって大地を斬り裂いていく。
吹き荒れていた風が収まった頃には、草原は吹き飛び、荒れた大地に大きな亀裂が走っていた。
「……ま、マジかよ……!」
光を失った剣を握りながら、目の前に広がる光景に言葉を失う。
……とんでもない威力だ。
俺自身の魔力量も悪さしたのかもしれないが、それ以上にこの剣の持っている能力が凄まじい。
と、遠くに離れていたエストが慌てたように駆け寄ってきた。
「い、今のがこの魔法剣の……!?」
信じられない、と言った表情で目を見開いている。
(つ、使い所には気を付けないといけないな、これは……」