普通の学校生活ってなんだっけ?   作:しぃ君

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 天才チート系のスーパーおばあちゃん(見た目年齢十代後半)が出てきますので、苦手な方はブラウザバックを……
 あっ、ヒロインは別でちゃんと居ます。


panic1「Q.スカイダイビングは課外授業に入りますか?  A.はい、入ります!」

 僕の名前は信濃川(しなのがわ)英人(えいと)

 いきなり自己紹介から入るのは申し訳ないけど、どうか許してほしい。

 僕は高校一年生でこの春、高校に入学したばかりの新入生だ。

 今は暦では四月の一五日、高校が始まって二週間弱。

 なのに……今現在僕は航空機に乗り高度三五〇〇mの空に居る。

 

 

 取りあえず、諸々の事情を説明するために一旦時を二時間ほど遡ろう。

 

 ──────────

 

 お昼休み、それは学生にとってひと時の安らぎの時間だ。

 友達とお喋りしたり、ゲームをしたり、寝たり。

 過ごし方は人それぞれで千差万別。

 僕はそんな時間に学校に登校してきた。

 ……誤解はして欲しくないが、僕は決して不良な訳ではない。

 

 

 今日は朝から体調が悪かったため、お昼からの登校になったのだ。

 学校にも事前に連絡していたし、友人にも一報は入れてある。

 クラスのみんなに「重役出勤か~」「大丈夫~」などの言葉を貰いながら、僕は自分の席に向かった。

 

 

「よっ、調子はどうだ。英人」

 

「朝よりは大分いいよ、勇人」

 

 

 今声を掛けてきたのは浅野(あさの)勇人(ゆうと)、僕の親友であり良き相談相手でもある。

 顔面偏差値は余裕のカンスト勢で、所謂イケメン。

 気さくなお調子者で、クラスでも中心人物なのだ。

 中学からの付き合いで、今も仲良くさせてもらっている。

 僕の家族とも良好な関係を築いている。

 身長も一七五㎝もあり、立っていると少し見上げなければいけないのが最近の辛い所だ。

 

 

「そう言えば、今日の午後は課外学習だとよ」

 

「えっ!? そんなの聞いてないよ……またおばあちゃんか……」

 

 

 言い忘れていたが、僕が通う学校の名前は「私立信濃川高等学校」、場所は東京の品濃区。

 さっきの言葉で分かった人が居るかもしれないが、理事長は僕の祖母だ。

 祖母は僕の育て親であり、唯一の家族。

 名前は信濃川(なつ)

 両親は僕が生まれて間もなく、僕を置いて蒸発。

 借金が原因らしいが、それを見かねた祖母は僕を引き取り育ててくれた。

 

 

 だが、祖母は天才でやることなすことが奇想天外。

 しかも、そんな事を突発的にやるためいつも生徒や先生が被害を被っている。

 結局、終わった後は校長先生やら他の先生に散々説教を喰らっているが反省の色は見えない。

 今回の課外学習もそんな、突発的な行動の一つに過ぎない。

 幼い頃から、そんな祖母が起こす厄介事に巻き込まれる人生を送って来たのだ。

 

 

 今更、何が来ても早々驚かない自信がある。

 

 

「で? 課外学習は具体的に何をするの?」

 

「何でも、スカイダイビングをするらしいぞ。いや~夏さんは相変わらずぶっ飛んでるな~」

 

 

 勇人が軽そうに言う中、僕は頭を抱えた。

 ……ごめん、前言撤回だ。

 流石にそれは予想してなかったし、本当に唐突過ぎる。

 

 

「確か、一週間前は登山じゃなかった?」

 

「だな、でも今回に限っては遭難の心配はなさそうだな……命の保証は分からんが」

 

 

 おい、親友。

 今の言葉は聞き捨てならないぞ、そんなこと言うと本当に命の危険がありそうで怖いじゃないか! 

 一応、先程言った登山の件説明すると。

 一週間前の四月八日、早朝からバスに乗せられて移動。

 向かった先は、東京都青梅市にある御岳山。

 標高九二九mの山で子供でも登れることで知られている。

 

 

 山頂まではケーブルカーの御岳山駅から周遊コースで約二時間半の道のり。

 一見簡単そうに見えるだろうが、僕たちは違った。

 三学年全員で行ったことにより、人数は二〇〇人オーバー。

 一年が三クラス、二年が三クラス、三年が三クラスで一クラス当たり大体三十人弱。

 三学年併せて約二七〇人である。

 

 

 祖母も移動のし辛さは分かっていたのか、クラスごとに分かれて登山をすることになった。

 問題はここからだ、僕たちのクラスは担任が丁度休んでいたこともあり祖母が先陣を切って山を登ることになったのだが……

 如何せん、奇想天外すぎる祖母は獣道を僕たちに進ませ最後には遭難。

 危うく、警察沙汰に発展するところだったが、僕が知恵を凝らして何とか状況を打破。

 

 

 警察沙汰は免れた。

 まぁ、やったことなんて運動神経の良いクラスメイトを木に登らせて周りを探らせた程度の物だったのだが。

 あの時はみんながパニックになってて、そんな単純なことさえ思いつくのは僕ぐらいしか居なかった。

 僕がなんで冷静になれていたのかは……察して欲しい。

 簡単に言うと、殆どが祖母の所為だ。

 

 

「ああ、言い忘れてたけど。課外学習に行くのは一クラスだけらしい。予算的な問題だろうけど」

 

「だろうね、僕の家はそんなにお金持ちって訳じゃないし……」

 

 

 苦笑いが漏れる、何だろう凄く嫌な予感がする。

 きっと大丈夫だ、ピンポイントでこのクラスが当たる確率は九分の一。

 まさか、そんなことが起こるなんて──

 

 

『聞こえてるかい~? 理事長の夏だよ。今回の課外学習に選ばれたのは何と……一年B組! 五限目が始まる時間になったら校庭に出ているように!』

 

 

「やっぱりか~、ドンマイだったな英人」

 

 

 勇人の言葉はもう聞こえない……

 そして、次の瞬間僕の叫び声が学校に響き渡った。

 

 

「あんのクソババア──‼‼」

 

 

 クソババアは言い過ぎたと思ってます。

 ホントだよ? 

 

 ──────────

 

 これが二時間前の出来事だ。

 今現在は航空機の中で隣に居る祖母と勇人と会話しながら、ダイブの時を待っている。

 隣に居る祖母の容姿は少し可笑しい。

 髪は銀髪で爪にはネイルアートが施されているし、目にも紅く見えるカラコンが入っているのだ。

 肌は齢六〇歳だと感じさせない程潤っていて、それに加えて体つきもアイドル顔負け。

 僕も一度祖母に聞いた事があるが、その美の秘訣は教えて貰えなかった。 

 

 

「英君英君! 楽しみだね」

 

「うん、まぁ、それなりにね」

 

「夏さん、良かったすね」

 

「うんうん、態々役所に申請を通した甲斐があるよ」

 

 

 本当に、これだから天才は恐ろしい。

 祖母は基本的に大抵のことは何でもこなし、交友関係も広い為今回のような無茶が可能なのだ。

 て言うか、航空機を持っていてそれを運転できる友人が居る時点で普通ではないことが明らかである。

 ああ、何でこの学校に入学してしまったのだろう。

 普通を求めるのだったら、そこら辺にある公立高校に入学すればよかったのに。

 

 

 僕は祖母に負担を掛けたくないあまり、この学校に入学した。

 祖母のお陰でほぼ無償で入学出来た、ちゃんと入試は受けて合格したよ。

 そして、そろそろダイブの時が来た。

 

 

「そろそろ飛ぶよ~、私が出てから一〇分以内に出ないと危ない区域に行っちゃうからよろしく」

 

「ハァっ!? なんで今それを言うんだよ、もっと早く言ってよ」

 

「サプライズ精神が昂っちゃって♪」

 

 

 ダメだ、この人。

 早く何とかしないと……

 

 

 その後は、祖母が降りたのに続きみんな降りて行った。

 運が良い事に、今回も怪我をしたものは居なかったようで一安心。

 降りてから十分もしない内に先生軍団が来て、祖母が連れていかれたのは……当然である。

 

 ──────────

 

 前回のスカイダイビング事件から、また一週間。

 四月も二二日、今日は朝からちゃんと登校していためクラスメイトに朝の挨拶を済ませて席に着く。

 親友(勇人)は来ていないので、スマホを弄りながら暇を潰す。

 そして、朝のSHRギリギリになってようやく勇人はた来た。

 

 

「どうしたの? なんかあった?」

 

「んんや、なんもないよ。ただ……今日も何か起きるんじゃないかって不安で眠れなかっただけだ……」

 

 

 ごめんよ勇人、そんな不安を持たせてしまって。

 身内として謝罪するよ、解決は出来ないけど。

 

 

「俺以外にも、居るぞ。何だかみんな月曜と言う日に、トラウマを植え付けられている気がする」

 

「あんなことがあればしょうがないよ、勇人はまだ少しいい方だろ?」

 

「お前ほどじゃないけどな」

 

 

 そりゃそうだ。

 僕は物心ついた時には既に、祖母の厄介事に巻き込まれてきたんだから。

 SHRが終わり、みんなが一時間目の準備を始めようとした瞬間。

 放送のベルが鳴り、聞き慣れた声がスピーカーから流される。

 

 

『あーあー、全校生徒諸君おはよう。今日から新しいイベントを始める! 題してドキドキクラスシャッフルだ!』

 

 

 クラスシャッフル? 

 クラス替えのことか、それだったったら良い。

 ようやく慣れてきた所だが、もっと酷いことにならないなら大丈夫だ。

 クラス替えで事件が起きるなんて、有り得ない筈だ。

 ……有り得ないよね? 

 

 

『既にクラス替えの紙は廊下に張り出しているから、それを見て移動するように。お話は以上、解散!』

 

 

 その声を最後に、放送は終わりみんなが動き始める。

 

 

「勇人、僕たちも移動しよう。今回のイベントはあんまり面倒くさいことになることはなさそうだし」

 

「おう、同じクラスだったらいいな!」

 

 

 そう言って、お互いのクラスを見つけるために一度別れて貼りだされている紙を見る。

 A組にB組にC組にD組か──

 

 

「え、D組……。いや!? 可笑しいでしょ! うちの学校は全学年三クラスしか──」

 

 

 その言葉の続きは、紙に書かれていた名前を見て驚いた僕が言えるはずなかった。

 信濃川英人に浅野勇人、僕と親友の名前がそこにあったのだ。

 それ以外にも八名、見知った名前がある。

 まだ、四月も終わってないのに全校生徒に名前を知られている者達。

 一癖や二癖もあるような、個性的な人ばかり。

 

 

 完全に僕や勇人が浮いている。

 ……ああ、最悪だ。

 

 

 僕はただ、普通の学校生活が送りたいだけなのに。




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