魔導変移リリカルプラネット【更新停止】   作:共沈

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遅くなってスマンな、心に矢を受けてしまってな。そう、クリスマスなんてなかったんだよ。だから俺は23日から年賀絵に着手していた。今も書いてる途中さ。

別に振られたとか、そういうのじゃない。単に仕事が引きこもり気味だから出会いがないだけさ。

そんなわけでユーノ振り回し回です。いつも彼が余計な事を言葉の端々から気づくのでプロット修正しまくりです。


Tea party in tukimura_2

「姉さん姉さん!モフモフだよモフモフ!」

 

 少女、フェイトが爛々と赤い瞳を輝かせて喜ぶ。巨大化したネコにうずもれ、ほとんど姿が見えなくなったフェイトは半ば泳ぐようにしてその感触を楽しんでいた。

 

「とっても可愛いわよフェイト!姉さん写真をバシバシ撮ってあげるからね!」

 

 カシャカシャと鳴るシャッター音。フラッシュはネコを驚かせるわけにはいかないので炊いていない。

 左右に動き回る姉らしき人物の足元では、耳としっぽの垂れたアルフという女性が地面にのの字を描いている。

 

「くぅ……!フェイトを猫に取られるなんて……!あたしだって体大きくてモフモフなのに……!あれか、毛質がいけないのか!?」

「アルフの毛はどっちかというと硬めです。子猫の毛にはとても……」

 

 そして諌めるどころか更にダメージを与える猫メイド。アルフの心はぼろぼろだった。

 この光景、一見すれば家族の、非常に和む団欒風景にしか見えない。しかしジュエルシードモンスター(?)となった猫と戯れているのは危機感と良い感じに混ざり合ってとてもカオス。放っておけばいつまでも続きかねないこの日常を、とりあえずは安全だろうと見定めた忍が危機感をわずかに薄め、待ったを淹れることにした。

 

「で、結局何なのあなた達?」

 

 

 

 

 

「申し遅れました。私は使い魔のリニス、こちらは主代理の」

「アリシア・テスタロッサ。よろしくね?」

 

 こちらに気づき、内二人が挨拶を交わした。メイドの方は気にかかる単語があったが、高級感溢れる装いはともすれば聖職者のような装いではあるが、その姿勢は正しくメイドであるようだ。金髪セミロングの少女は中学生ぐらいの年頃になりそうなのか体が女らしくなりつつある最中のようで、しかし表情に見える快活さは幼心を未だ含んでいるよう。白地のキャミソールに薄手のベスト、更にホットパンツと動きやすい格好をしている。

 

「……月村忍よ。それで、どうしてこの森にいたのかしら?一応ココは月村家の私有地、庭なのだけれど」

 

 ムダにフレンドリーな相手に対して気が抜けかけるが、得体の知れない相手なので再び強気に出るのだが。

 

「庭!?ここが!?」

 

 驚きで悲しみから復帰したのか、犬耳尻尾の女性がやってくる。こちらも随分とあけっぴろげな格好をしており、短めの黒マントをつけた胸元の開いた衣装に下着の見えかかっているズボン、指ぬきグローブと地球ではあり得ない格好。加えて額には宝石のようなものがついており、彼女が正しく人間で無いことを示している。

 

「いやぁ、ジュエルシードの反応をたどって降りてきたのはいいけど、まさか庭だったなんてねぇ。こんな広い庭、ウチでも持ってないよ」

「アルフ、まずは挨拶を」

「っと、悪いね。アルフだ、フェイトの使い魔をしてるよ」

 

 片手を上げて軽く挨拶。どうもあちら側のマイペースにイニシアチブを握られている気がして、忍は心のなかで顔をしかめた。

 

「なるほど、使い魔ですか」

「知っているの、ユーノ君?」

 

 ここで知識人、ユーノが声に出した。彼が知っているということはつまり、彼女たちは管理世界の人間という関係性がリンクするということだ。

 

「簡単に言えば、魔導師の使役する魔法生命体です。動物の死亡直後、またはその前の段階で契約を結ぶ事で作成できます。特徴としては、主の魔力キャパの一部を占有し続けること、人と同じ程度の知恵を持てるということ、かな」

「加えて、管理世界ではある程度の人権は保証されていると言えばおわかりで?」

「……ええ、よくわかったわ」

 

 動物だからってナメんじゃないぞコラと言われているようだ。リニスは言ってることはおだやかだが、内容が端的なため威圧しているようにしか聞こえない。

 

「まぁまぁ、これでお互いのことがわかったんだからいーじゃん?」

「アルフ、こちらは他人の敷地に踏み入っているのだから警戒されるのは当然です」

 

 それをアルフが中和するように話しかける。この使い魔組は正反対の性格のようだが、凸凹コンビといえるような仲の良さにあるのだろう。

 

「うん、満足した」

「あ、フェイトぉ~♪ほら、フェイトもあいつらに挨拶しな?」

「え、あ!ごめんなさい!フェイト・テスタロッサです!」

 

 猫から降りてきたフェイトに機嫌を良くしたアルフが催促し、フェイトはかなり自分勝手に行動していたのを今更ながら悟りペコペコしている。アリシアと違って赤い瞳を有しており、長い金髪は黒いリボンでツインテールにまとめられている。着ている服はゴシックドレス気味のワンピースと少女らしい可愛さを持っていた。

 

 

「まあ、名前を名乗られたからには返さないといけないわね。月村忍よ」

 

 先陣を切った忍に続き、それぞれ挨拶を交わす。順番に紹介をし、

 

「た、高町なのはです!よろしくお願いします」

「じーっ……」

「え……?何?」

 

 なのはの番になったとき、フェイトが目を細めながら彼女を見ていた。擬音まで口に出しちゃってアラヤダカワイイとつぶやいていた姉の言葉は幻聴だと思いたい。

 

「ああ、なるほどね。確かに」

 

 何に納得したのかわからないが、無言のフェイトにアリシアは同意した。

 

「うん、すごく似てる。ジェ「ていっ!」――あいたっ」

 

 言うやいなや頭を小突かれ攫うような勢いで移動させられるフェイト。少し離れた位置でアリシアは慌てて注意をする。

 

「こら、フェイト。彼の名前は出しちゃダメって言われてたでしょ?」

「あ、うん。そうだった、ごめんね姉さん」

 

 アリシアいわくフェイトはウッカリ天然娘だそうだ。そのため姉としては彼女の言動に注意しておかなければといつもヒヤヒヤしている。

 

 

「??結局、なんだったんですか?」

「や、ごめんごめん。フェイトがうっかり大人なこっ恥ずかしいアレに似てるとか言い出しそうだったもんで、悪いけど止めさせてもらったよ。ちなみに何だったか、……聞きたい?」

「いぇ!なんでもないです!」

 

 一体何と比較されたんですか私!?と顔を真っ赤にするなのは。

 

「さぁフェイト!今こそあなたの野望を達成するときよ!ここにいるのはあなたと同い年の少年少女たち!勇気を出して言ってみなさい!」

「は、はい!姉さん!」

 

 先の会話を完全に無視して自分たちのペースで物事をすすめる少女たち。同年代と知った地球組はいったい何を言うのかと少しドキドキしている。もちろんさっきのような頓珍漢なセリフを期待してではない。

 

「わ、私と……友だちになってください!」

 

 下げられた頭、伸ばされた手。フェイトには友達がいない。今まで自分の家からほとんど出たことのなかったフェイトには、それを言うだけでも相応の勇気がいる。人生とは挑戦の連続だ、とは誰が言ったのだろうか。少なくともフェイトの人生はまだまだ始まったばかり、彼女にとっては何もかもが新鮮で、未知のことばかりだ。それを知る由はまだ周囲の彼女たちには無い。そのはずだが、何かを感じ取ったなのはが即座に彼女手を取りギュッと握った。

 

「名前を教えあったら、友達だよ!フェイトちゃん!」

「……わかった。よろしく、なのは!」

 

 ここに、彼女たちの生涯に渡る長い縁がつながった。この光景が偶然のものか故意のものか、知る人によっては審議を醸すものがあるが今を生きる人間にとっては何ら関係のないことだ。「友達をつくる」、そんな当たり前の、しかし美しい光景に、知る人達の反応はといえば、

 

「うぅ……よかったねぇ、よかったねぇフェイト」

「はい。苦節二年、ようやくといったところですか」

 

 何やら涙を流してやたらと感動していた。使い魔としてはその感動も一入ということなのだろうか。

 

「……あれ?よく考えたら私も友達いなくね?」

 

 ついでに約7年間もの間ひきこもり気味な生活をしていた姉12歳も、唐突なボッチ判明に危機感を抱いていたのは完璧に余談だった。

 

 

 

 

「やれやれ、これじゃ警戒しすぎてた私達がバカみたいじゃない。ねぇユーノ君?」

「えぇ、まぁ。まさかピクニック気分で地球に降りてきてたというのもびっくりですけど」

 

 心温まる美しい光景に、純粋に物事を見れなくなっていた二人は「イイハナシダナー」と半ば放心状態だった。彼女たちがわざわざやってきてまでやったことは、まさかの友達作りであったのだから。いったい今日は何度呆れればいいのか。いつもの3人娘はフェイトを囲んで和気藹々としているし、内心はタイガー戦車がやってきたかと思ったらやわらか戦車だったみたいな微妙な空気。一体ドコにこの感情を落とし込めばいいのか、疑心暗鬼に走る二人は完全に持て余していた。

 

「で、結局本題は何だったのかしら?」

 

 もうどうにでもなれといった気分で、忍は隣で何故か膝をついてorzしていたアリシアに問いかける。いい加減逸れた道から戻らないと延々とこの光景が続きそうだった。

 

「ああ、えーと。そこの子は管理世界出身よね?なら話はわかるわね?私たちは亡命しに来たのよ!」

「いえ、なんのことだかさっぱりです」

「話の腰を折らないでくれるかな!?」

 

 そこは神妙な顔つきで「ぼう……めい!?」とでも言っておきなさいよーと文句を口にするアリシア。この少女はその場のテンションだけで生きているのだろうか、そんな疑問が浮かぶ。

 

「ゴホン。まぁ、あっちでちょっと問題があってね。私は死んだことになってるし、フェイトにいたっては生まれたことにすらなってないの。あ、別に私達が何かしたわけじゃないのよ?ただちょーっとばかり母さんに罪をなすりつけたいけ好かない奴らに、法的に復讐をしなくちゃいけないんだけど、それには私達がいたらちょっと問題なの。母さんは「娘を失った被害者」として告訴しなくちゃいけなくてね」

「結構重大な問題じゃないのソレ。でも、それがジュエルシード反応を追ってきた理由には何の関係があるのかしら?」

「…………ジュエルシードの捜索手伝いでもしたら亡命認めてもらえるかなーって」

 

「そんな雑把に物事を決められるのは管理世界くらいだよ……」

 

 舌を出しながらてへへと笑うアリシア、かなりいきあたりばったりな理由だった。

 

「へぇ、……そう。ところであなた達、マギテクスに関して相応の知識は持ってるかしら?」

「マギ……?ああ、この世界の魔法のこと?それだったら、私とリニスはあっちの世界でデバイスマイスターって言われるくらいの技術は持ってるよ?もぐりだけど、何で?」

 

「よし、採用よ」

 

「「へ?」」

 

 どういう判断を下したのか、ユーノとアリシアは疑問の声をあげる。

 

「運がいいわねあなた達。ここは月村で、月村は魔法の先進開発企業を持ってるのよ。そこで技術協力してくれるなら、国籍の一つや二つ、いくらでもなんとかしてあげるわ」

「ほんと!?いや、それならかなりありがたいわ!」

「ちょちょちょちょちょっと!?待ってください、そんな簡単でいいんですか!?」

 

 有無を言わさぬ決定にユーノが待ったをかける。

 

「あら、何?疑問でもあるのかしら?」

「忍さんの判断はまぁ、百歩譲っていいとして。僕には彼女たちの行動に看過できない部分があります」

「それは?」

 

「何故、ジュエルシードについて知っていたかです」

 

 ジュエルシードはつい最近発掘されたロストロギアであり、その存在を知っているのは報告を受けた管理局のみのはずである。尤も彼らはそれを知ってか知らずか動いていないのだが。それを一般人(?)であるはずの彼女らが知っており、かつ管理局より先行して動いているというのは不自然なことだ。

 

「単純なことよ。告訴する以上、私たちは勝たねばならない。とすれば、管理局内に味方してくれる伝手を作っててもおかしくないでしょう?」

「いえ、だとすれば尚更おかしいです。管理局はジュエルシードを放っていることになる」

 

 ここで再び、ユーノが懸念していた矛盾が噴出する。ロストロギアを放ってまでしなければいけないこととは何なのか。

 

「君は物事を両極端に考え過ぎだよ。いい?管理局は正義じゃない」

「!」

 

 その懸念はあったが、管理世界の人間に言われると改めて動揺する。

 

「まずひとつ、管理局というのは魔法という技術体系を持ってソレを制することで、他者を蹂躙する利権組織よ」

 

 管理局において腑に落ちない点があった。それは「魔法を知った管理外世界がどう対応されるか」という無意識のほころび。正義を体現するはずの管理局が他世界を滅ぼすという、強引なアプローチをしかねないと考えてしまった自分。それはつまり、管理局がそうしかねない、というイメージが自分の中で先行しているからだ。無意識にでもそう思っているということは、そう思わせるだけの何かを管理局が持っていたということだ。中立だったはずの組織はいつの間にか管理世界の鍋の蓋に変わっていたということか。利権組織と言われてユーノの心にストンと落ちるものがあった。例えば、レアスキル等は誰がどんなものを持っているかを申告する必要性がある。質量兵器を排除し、地球のような導力銃を持たせないことで能力のない人間の抵抗力を削ぐ。リンカーコアを持つものにエリート意識を持たせ、手厚く保護することで管理局へ従属させる。何もかもが管理局に有利になる内容である。

 

「ふたつ、組織である以上そこには派閥が存在する。大きいのは、利権を重視する保守派と対する改革派。母さんに協力してくれているのは後者よ。加えて第97管理外世界に科学者を送り込んだのも、地球の現状を隠し通しているのも、改革派のやったことよ。頭のよさそうなユーノ君なら、これだけでわかるかな?」

 

 与えられた情報にギュンとユーノの頭がフル回転する。彼女の言ったことと自分の推察を合わせるとつまり、

 

「地球を利用してるってことか!?ジュエルシードを落とした僕のことまで計算に巻き込んで!」

 

 直結した知識にユーノが憤慨する。改革派はつまり、魔法を知った地球を、ジュエルシードが落ちることで何らかの形でその状態がバレることを含めて、保守派に対する試金石にしようとしているというのだ。恐らくはこういうことだろう。ジュエルシードをキッカケとして、地球が魔法が使えることがバレる。そうすれば保守派はそれに対応するために行動し、地球は従えないと反抗する。すると保守派は地球を攻撃できる大義名分を得ることができるが、改革派は同時に保守派に対する倫理に基づいた抑止を入れられる。しかしそれは自分たちの組織の内紛に他所の世界を巻き込む、それこそ悪ではないのかとユーノは憤っているのだ。

 

「ドコの誰が言ったか覚えてないけど、――悪があるとすれば、それは人の心だ。――だったかな?いい言葉だよね。君の言っていることは正論だし、改革派の行動は確かに内輪もめは関係ないところでやってくれと言いたくなるだろうね。だけど、プリズムが角度によって色を変えるように、悪という価値観も見る人によって変わる。改革派からすれば、自分たちのやっていることは間違い無く正義で、保守派は悪。その逆もまた然り。でもねユーノ君?その改革派に、地球は協力しているんだよって言ったらどう思う?」

「……なんだって?」

 

 巻き込まれることを許容している。首相の三雲連次も「知っていてやっている」と言った。それはつまり、地球にとっても保守派は邪魔だということだろう。そんな彼らが、味方だと言った人物がいる。それはつまり、

 

「新庄甚吾、彼は管理局員ということか!」

 

「どう思う?って聞いてそっちに飛び火するのはどうなの?まぁ今回の構図がわかってスッキリしたとは思うけど」

 

 とどのつまり、アリシアはただの亡命希望の一般人どころか、地球の現状をすべて知ってまで来ているズブズブの関係者だったというわけだ。しかしユーノはごちゃごちゃした感情に、自分の答えを出せないまま。

 

「つまり、これって必要悪ってことでしょ。新庄さんが何者か、は置いとくとして、改革派とやらに地球側が同意を示しているなら、既に話は終わってるってこと。それで?結局のとこあなた達は私達に迷惑をかけるのかしら?」

「私たちは迷惑をかけないわ。それと、長期的に見ればあなた達の立ち位置は将来きっと他世界に対して有利になるわね」

 

 煮え切らないユーノに変わり、声をかけたのは隣で聞いていた忍だった。彼女の問いはきっぱりとした分別がされており、迷惑をかけるかそうでないかというアッサリしたものだった。

 

「そう……、ならこうしましょう。とりあえず戸籍は用意してあげるわ。あなた達が向こうの世界で死人で、同意があるとはいえ拉致とか言われても大変だしね。年齢的に見れば日本ではまだ義務教育期間だから、学校に行ってもらいながら外部アドバイザーとしてこっそり家の地下で支援してもらいましょ。後はほとぼりが冷めたら考えればいいわ。それまでは家に泊まりなさい」

「オッケー!恩に着るわ」

 

 危害が加えられる可能性があってもなおかつ地球がこのような行動に出るということは、何らかの高い勝率を持っているということだろう。おそらくはとてつもないジョーカーでも引いたか与えられたか。妥当なのはジョニー・スリカエッティあたりか。いや、もしくは人ではなくジュエルシードという物騒な「災害」のはずなのに一切出ない重傷者という不思議な光景こそが、ジョーカーかもしれない。そう忍は直感から感じ取った。人に害が出ないなら、躊躇う理由もなく改革派とやらに地球側も協力できるだろう。

 

「ちょ~~っと待ったぁぁあ!」

 

 乱入するのはいつの間にやら姦し娘組から離れてこっちに来ていたアリサ・バニングス。彼女はズビッと指を忍にさせて言い放った。

 

「話の内容はさっぱりだけど、月村だけが独占するのは許せないわね!うちも噛むわよ、その話!」

「あら、うちとパイを分け合おうっていうの?後から出てきて言うわね」

「経済成長に競争は必要だって言ってるのよ!」

 

 さすがに騒がしかったらしく、この話はアリサの耳にも届いていたようだ。もしこの話を持ち帰れば彼女にとっても有益だろう。もちろん忍は分ける気がありさらには相互協力体制も踏む算段だったが、思いの外小学生らしからぬ高度な物言いに、少しばかり言い争いに興じていた。

 

 

 

 

「さて、話がまとまったところで」

「……うん?まとまったの?」

「まとまったのよ」

 

 フェイトのコテンと首を傾げるリアクションに悶えるアリシア。今日も妹愛は爆発中である。

 

「……ユーノ君、元気?」

「ははは、なんというか。やっぱり雲の上の出来事に振り回されてるような気がしてきたよ。僕は何にもできないんだ」

「え、ええっと、その。そ、そうだ!封印、封印が出来るよ!結局猫ちゃんにダメージを与えないようにする方法を聞いていないんだけど」

「……ああ、砲撃じゃなくて直接封印を選べばいいんじゃないかな。それもレイジングハートに願えばやってくれるさ。ハハ、アハハ」

「し、しっかりしてぇーユーノ君!」

「へぶっ!?」

 

 壊れたときは斜め45度からのチョップ振り下ろし、コレに限る。優しく背中をさすってケアしてたはずのなのはの渾身の一撃はユーノの意志を取り戻すには十分だった。手痛いダメージも同様にもらったが、自業自得だろう。

 

「あれ?えーと、何してたんだっけ。そうだ、封印だよね封印。さっさとやっちゃおう」

「そうだよユーノ君!頑張って!」

 

 

「いいのかしら、あれで?」

「いいんじゃないかなぁ?」

 

 傍から見れば、リストラした夫を気合で立ち直らせる妻といったところだろうか?微笑ましいような、どこか物哀しいような。アリサとすずかの二人は一瞬だけ彼らの将来を幻視したような気がした。対峙する猫はまた少し離れた場所で気ままに転がっている。乱立する木に体をこすりつけるのが気持ちいいのか、少し眠たげだ。

 

「……あん?ちょっと待ちなよ。なんか……クサイ臭いが近づいてくるんだけど、ソレもたくさん」

「臭い?」

 

 アルフは狼が素体の使い魔だ。彼女のそのよく効く鼻が、この場に現れた異臭を嗅ぎとる。全員が疑問に思っている中で、木々の中から慌てるようにして恭也が飛び出してきた。

 

「お前たちっ、守りを固めろ!!」

 

 果たして反応できたのは一体何人いただろうか。この瞬間、空気を劈く号音とともに、幾重もの魔力弾が彼らの居た場所に、容赦なく降り注いだ。




今年もお疲れ様でした。多分次回は年明けです。当SSはランキング最高8位(確認した時点で)、お気に入り登録数600越え、平均6.68点と想像以上に得難い評価をいただきました。ほぼ処女作に近いのでネタが受ければ中堅以下くらいかと考えてましたが、思ったより楽しんでいただけで光栄です。遅々として進まないSSではありますが、定期更新を来年も続けていきたいので頑張ります。
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