魔導変移リリカルプラネット【更新停止】   作:共沈

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 もうちっと書こうと思いましたが、筆が遅いのでカット。代わりにプロローグを加筆修正してます。あんな調子でちょこちょこ変えていきますんで申し訳ないですが再読お願いします。下手くそな描写のせいで改善話前後で齟齬が発生するかもしれませんが、そのあたりも同様に徐々に行なっていきます。(内容そのものはほとんど変わってません。おもに描写と心情部分の盛込メインで行なってます。プロローグは狂気度マシマシです。)

以後の変更予定
→ユーノの護衛二人を自衛隊員に。ソレに伴いプロフィール文等を修正。

追記
作品紹介文変更
キャラプロフ予定
時系列表掲載予定


Battlefield of the sea_2

 ターゲットに向かって幾重もの光線が飛び交う。マッハを超えショックコーンを生み出しながら飛び、ホワイトバード四機は魔力砲を連射する。ソレに驚いた鳥、ジュエルシードの怪鳥は即座に旋回をして横に逸れる。通り過ぎたビームはその後ろ、直線上に重なっていたデュアリスにも襲いかかるが、間隔の空いていたそれらはわずかに体をそらすだけで悠々と避けられた。空曹達は予定通りだ、とほくそ笑みエレメント、二機ずつに別れて追撃を開始した。この中で厳しいのは怪鳥に向かったほう、デュアリスも宝石を狙っているためにこちら側に攻撃を仕掛けてくる可能性がある。注意は十二分にしても足りないだろう。

 

「ほう、おもしれぇ。かかってきな」

 

 だが彼はその場に停滞する。どうやら管理世界に無い戦闘技術に興味を持ったらしい。強くなることに執心している彼らしいといえる。

少なくともこれは好機だ。安全に怪鳥を狩ることが出来るなら時間とともに自分たちの有利が確定する。同時になめやがって、と舌をうつのも忘れない。

 

 あっという間に至近まで先行した一機は大型のライフルよろしく、ガンガンガンと魔力弾を単連射した。今度は誘導込みで、相手を撃墜するためだけの攻撃を放つ。しかしそれが直撃することはない。わずかな上昇で魔力弾の位置が変わったのを見て、察知し即座に急加速で翔けた。誘導弾といえどオートであればわずかな慣性がかかる。魔力弾が曲がるだけに要した時間を使って距離をとったデュアリスは、対抗するように大型の魔力砲を用いてまとめて薙ぎ払った。衝突する粒子が弾け相殺する。

 

 その間わずかに数秒。大型魔力砲にしては存外な発動速度に空曹の一人は訝しみコクピット内で眉をしかめた。映像ログを見た限りでは近距離戦がほとんどだったが、射撃戦が苦手と踏んでいたわけではない。それにしても、それにしても早すぎるのだ。

 

 だが考えてる間もない。急激にピッチを上げ上方にブレイク、逃げた相手に追従する。

 しかしその前、量子格納されていたミサイルポッドを展開して二発、敵に向かって発射する。そのミサイルの後ろからはわずかに輝く魔力の光。

 

「魔力弾頭だと!?ありえん!!」

 

 魔法戦だと思っていたら、まさかの質量兵器でした。なんてのは予想の範疇。しかしそれにまさか魔力が篭っているとは誰が思おうか。そんなものは管理世界ではめったにお目にかかれない品だ。しかしおにぎりの具材を何でもかんでも掛けあわせてしまう日本人を、なめないで貰いたい。とりあえずくっつけられる物は何でもくっつけてしまうのだ。

 

 どれだけ魔力が密封されているのか知らないが、あれを喰らうのはマズイ。そう直感がささやいたデュアリスは小規模の魔力弾をばらまくように連射した。高速で突っ込んできたミサイルが破裂する、と同時に魔力爆発が起きる。

 

――はずだった。

 

「ダミー!?」

 

 中に入っていたのは魔力ではなく、ただのスモーク弾。代わりに大量の煙幕が空中に形成され、デュアリスにダメージこそ無かったものの視界は完全に塞がれた。

 

「おおおおおおおおおおっ!」

 

 その中に、煙を引き裂くように飛び込んでくる影。夜の闇に紛れ後方で上空へと遷移していた、もう一機のホワイトバード、そのパイロット。

 加速を味方につけた男は空中でそのまま変形し、片手に抱えた魔力砲の砲身に魔力刃を生み出し突貫していたのだ。これぞ連携プレイの妙。驚きに驚きを重ねたデュアリスの腹部に、魔力刃が突き刺さ

 

「ぬぅぅ!?」

 

――らない。

 

 デュアリスは特攻された勢いをそのまま移されたように、体をくの字にしたまますっ飛んでいった。弾き飛びこそしたものの、肝心のバリアジャケットを貫けていない。あれだけの速度と質量を伴った特攻。抜けないはずはないと短期で決めるために組んだコンビネーションだったはずなのに。第二打を控えて上昇していた別の自衛隊員も、その様子を見て瞬時に変形して急停止。彼と同線上の軌道から離れる。

 

「――く、はは!残念だったな!今の俺の防御力なら、その程度の攻撃では傷なぞつかんぞ!」

 

 デュアリスは纏っていた莫大な魔力でその刺突を緩めた瞬間、同様に小規模かつ高密度のプロテクションを展開していた。彼のたかぶる戦意が口調を荒ぶらせる。

 

 何かがおかしい。

 

 さしもの彼とてそこまでの能力はない、というのが彼に対する見解で一致している。足りない魔力を(とは言っても多い方であるが)技術でカバーするタイプ、小手先に優れた魔導師だと。

 

「ぬぅらぁ!これでも喰らえ!!」

「ぐ、避けろ高嶺!」

「うぉ!?くそ、なんだよこいつ!」

 

 斧型のデバイスを振っただけで大規模の魔力波が炸裂する。降り始めから終わりまで、扇状に広がった魔力の波はまるで丸鋸。薄く非常に避けやすい攻撃であったが、そこにコメられた魔力を肌で感じとり、戦慄した。桁違い、しかし彼の行動はどこか大きな力を手に入れて昂ぶっている破綻者によく似ている。そこにはログで見た彼の戦い方の面影がない。

 

 そして、魔力光が薄暗い紫のように変化していた。つまりそれは、

 

「こいつ!ジュエルシードを使って底上げしてやがるのか!?」

「嘘だ!あれはそんな簡単に願いを叶えられるようなものではなかったはず!」

 

 対面する男は喜びを隠せないような顔で笑う。

 

「ああ、そうだ。ジュエルシードってのは単純な願いであれば割りと叶うのさ。猫のように、川の魚のようにな。それこそデバイスに組み込めば確実な動力として使えるのさ」

 

 つまり、わかるだろ?そう言う男の目は理解者を欲している。

 そう、単純に「魔力が欲しい」と願えばいい。元より無尽蔵に魔力を生み出すロストロギアだ。間接的に別のものを生み出すより、直接使ったほうが手っ取り早く確実なのは当たり前。それを彼は現れた当初から、そして川でサーチャーで見ていた時からそれを理解しきっていた。実に彼なりの、シンプルな思考。自分がただ強くあり、他者を潰すために必要な物を歪曲せずに望んだ。それだけの話。だがそれこそが単一のジュエルシードの正しい使い方でもあったのだ。

 

 作戦通り行けると思っていたはずだった。しかし一転、現在は危機敵状況にある。彼が最後のジュエルシードを求めに行かないのも、ただの気まぐれにすぎないのだ。反撃により見合わぬリスクをかせられることに、彼らの足が硬直する。

 

 だが、デュアリスに対する第二撃は彼らとは違う方向からやってきた。

 

「来たか!」

 

 圧倒的速度を兼ね備えた桜色の閃光、それが五連。この闇夜で姿も見えない中を、的確に撃ち抜こうとする魔力砲が空を裂いた。回避しようとも、男の進行方向に必ず着弾するそれらは確実に防御を強いる。スターバレル・ショートバスター、機動性と手数を優先したなのはの新技だ。威力こそディバインバスターに劣るものの、足を止めずに使える有用なバースト射撃だ。本来ならコレひとつで並の魔導師なら軽く落ちるレベルであろうそれはしかし、今のデュアリスには防御一つで弾かれる。だがソレでも構わない。

 

「フェイトちゃん!」

「任せて」

 

 答えわずかな足踏みで空を叩いた瞬間、フェイトはデュアリスの後ろにいた。ロード音を繰り返し、リボルバー式のカートリッジシステムが回転、膨大な魔力を練り上げる。驚いて振り返る間もなく、フェイトは巨大化したハーケンを振り下ろした。

 

「っちぃ!」

「っ!――……浅いっ」

 

 しかしそれを横に飛び出すように回避。肥大化した魔力はバリアジャケットこそ裂いたものの、内側にまできちんと浸透していない。好機はこれで潰えたように思えた。

 

「こっちを向きな!!」

 

 間髪入れず入るアルフの右フック。視線がそれた瞬間に近づいていた一撃は男の鼻を潰そうとする。

 

「うぇ!?なんだいこのねばっちぃ魔力は!」

 

 ジュエルシードによって変質しているソレは何故か妙な弾性を持っていて、威力が吸収された。やはりこちらもわずかなダメージしか通らない。

 

「お前ら……好き勝手やりやがって!」

「まだ終わってませんよ」

「!」

 

 周囲には数多くの帯電したスフィア、その数20。

 

「ですが、これで終わりにさせて頂きます。フォトンランサー・ファランクスシフト!」

 

 アルフが下がった瞬間を計り、リニスはスフィアに発射を命じた。全天を覆うように魔力弾が一斉に吐き出される。マシンガンのごとく吹き荒れ計560発が4秒間、デュアリスに叩きつけられていく。リニスの容赦の無い攻撃は連鎖的に爆発を生み男は煙の中に消えていった。その初めて見るような大規模魔法に、自衛隊員達は度肝を抜かれている。

 

「は、はは……。こいつぁすげえ」

「子供や女を頼るのはアレだったが、これを魅せつけられるとな」

「まだ油断しないでください。敵、健在です」

 

 その一撃は軽くデュアリスを捻り潰したように見える。しかし彼はまだ落ちていない。魔法が行使できている程度には戦闘能力を保持しているということだ。

 

「ぬぉらぁぁぁ!」

 

 煙の中から殺気の伴った叫び声とともに強大な魔力波が発せられる。とっさに全員避けようとするものの、運悪く自衛隊員の一人が被弾した。

 

「っく!バーニアが大破した!」

「下がれ!そのままでは役に立たん!」

 

 落ちかけていたホワイトバードが自動的に安全プログラムを発動し、陸地に戻っていく。エレメントを組んでいた隊員はあんな偶然のようなもので、と歯噛みした。

 

「さぁて、どうするかな……」

 

 戦力はある。しかしこの即席のチームでは確実な連携は求められない。何しろ半分は子供、そして皆女だ。いくら近接が出来る人間が多いとはいえ、矢面に立たせたくないのは人間の男として当たり前の心情。ならば

 

「私が突貫する!君たちは援護を!」

「「はい!」」

 

 自らが率先して立つ。その事に誰も異議は唱えない。展開した魔力刃を持って、再び敵と相見える。煙が晴れ、姿を見せたデュアリスは全身が煤けていた。バリアジャケットもボロボロになっているが、構造を崩すまでには至っていない。プロテクションでしのいだがわずかに貫かれたのだろう。いくら魔力が多かろうとも、やりようはあるということだ。再び銃剣のように突きに来るのを見て取ったデュアリスは斧を持って反撃する。大型の魔力砲を用いた魔力刃は非常に大きいため、側面を拳で逸らす事によって回避が可能となる。それを実践して隊員の顔面に斧で切り裂こうとするが、展開されたプロテクションに防がれた。その間を使い、それた魔力刃で逆袈裟に切り込む。

 

 避けて距離を取れば、今度は四方から様々な色の魔力砲が降り注いだ。形成される弾幕にまとわりつかれ、すこしずつ逃げ道を無くしていく。強くなったはずの力は集団の前に意味をなくし、デュアリスは防戦一方となった。

 

「らぁぁ!」

 

 バリアブレイクを纏ったアルフの一撃が迫る。叩きつけられたプロテクションがガゴンと衝突音を立てる。それはアルフの切り札であり、シンプルでありながら抜ききれば多大なダメージを与えられる。しかし、デュアリスがニヤリと笑い返す。直感的にマズイ!と判断するが、既に遅い。

 

 プロテクション自体が盛大に爆発をした。

 

「ぐぁ!?」

「アルフっ!!」

 

 ガラスが吹き飛ばされるように魔力が飛び散り、アルフに直撃する。焼かれるような痛みと共に苦しげな声が漏れた。非殺傷の乗っていない魔法はそれだけで致命的になりうるのだ。そして、それを行ったデュアリスも爆発の余波を受けてか背面に吹っ飛んでいく。だが、それは妙だとなのはは感じ取り、気づいた。

 

「ユーノ君!避けてぇえ!」

 

 




戦闘シーン中って、どうやって長台詞喋らせたらいいんでしょう。話す前にやっちまえ!的なノリが先行するのでどうしても叫び声ばかりになってしまいます(汗

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