魔導変移リリカルプラネット【更新停止】   作:共沈

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夢で見た。
「ふふーん、ISはいっくん以外の男には乗れな」
「そんな無理は勇気でこじ開ける!!」
「ISヒュージョン、承認!」
「了解、ISヒュージョンプログラムドラーイブ!」
「よっしゃぁ!」

ガガガッガガガッガオ(ry
→勇気✕→ハッキング○

とか思ってたらガオガイガーFateクロスがランキングにアルでござる。
誰かやらないかなーガオガイガーFINAL×IS(チラッチラッ


大量修正かましました。
H25.02.15
前々回_1を参照、主に変わっているのは結界が張られていること。初手でヘリけしかけたけどムリゲーだったこと。PMCから自衛隊派遣になったこと。ジャケットの防御力の圧倒的性能低下。

ミスってどこか齟齬が出たり、潰し忘れがあるかもしれませんので、もしありましたら容赦なく報告お願いします。

またTea party in tukimuraにおける二人組紹介部分を若干変更。自衛隊派遣になったこととプロフに微修正がかかった程度で基本変化なし。

Let's Paaaa以下略で、傭兵たちのジャケットに対する信頼性の若干の低下

次回修正予定(未定
手を付けることが出来たらプロローグ2,3部分と初版部分、それから魔法システム(考察)に基づいたユーノの結界の受け渡し不可についての修正

時系列TIPS(多分明日投降予定

ところでキャラクターTIPSは要りますか?


Battlefield of the sea_3

「…………え!?」

 

 弾けるように舞う煤の霧から飛び出してきた一つの塊。それを人だと気づくまでに数秒、なんとか怪鳥からジュエルシードを確保したわずかな油断を生んだ時だった。封印をしようと足を止め、自衛隊の全員が疲労困憊していたその隙を突いて少しずつ近づいていたデュアリスが跳ねる。魔力があっても所詮数の前では無意味、いや。防御ができているのだから半ば千日手になりかけていたところを打開するために、彼は策に出たのだ。

 

 すなわち、さらなるジュエルシードの確保。

 

 一個でも十分だと思っていたはずが、思いの外戦える数の多い地球勢に対して彼は苛立ちを覚えた。それは油断していた自分にもそうであるし、出来る他者に対してもそう。

 

 ならばこの状況を即座に打開できるものと言ったら何か?

 

 彼は初めから大量のジュエルシードの確保は諦めていた。サーチャーへの対処は実施済みであるし、デバイスに格納されていたらそれこそわからない。この場にデバイスは一体何個あるというのだろうか。

 

 だとすれば、最後に残るのは確保する瞬間以外あり得ない。自分がJSモンスターに対処出来ないのならば他者にやらせればいい。彼は初めから予備の策を用意していた。

 

 しかし、コレばかりは頼りたくなかったのも事実である。

 

 ジュエルシード一個でも、自分では制御するのに手一杯なのだ。ここで2個目ともなれば一体どんな副作用が出るかわからない。自己の強化を目的とした魔力の使用では、外部で複数を制御するよりしがたく、器が耐え切れない。

 

 だが彼はその懸念をとうとう放棄した。自分より強いものが、たとえ数に頼っていようともいるのが我慢ならない。

 

「そいつを、よこせぇぇ!」

「ぐぁ……!」

 

 加速と魔力を利用した蹴りに、ユーノの上腕がギリギリと悲鳴を上げる。なんとかジャケットの強度をあげて防ぐが、当然の反作用によりユーノは勢いにのって墜落した。

 

 そして、手放されるジュエルシード。

 

「しまった……!」

「あの野郎!」

 

 果たしてそれは誰の嘆きだったか。それすらもわからないくらいに、全員に焦燥の念が浮かぶ。最後のジュエルシードは彼の手の内にわたってしまった。

 

「ユーノ君!」

「高町さん、急いで行ってあげてくれ!」

「はい!」

 

 心配するなのはをさり気なく敵から引き離すように、隊員が声をかける。アクセルフィンを全開にして堕ちるユーノに追いすがる。他の面々は彼女に追撃が来ないよう、何をするかわからないデュアリスに対してさらなる警戒を見せる。

 

「ふ、ふは。ふはははは!!手に入れてやった!2つ目だ、2つ目だぞ!どうだ、これが貴様らが俺を追い詰めた結果だぁ!!俺はこの力を使って貴様らを滅ぼしてやる!精々後悔するのだなぁあぁあ!!」

「そんなふざけたことを!」

「今更そんなものがきくかぁぁ!」

 

 リニスが放った魔法に対し、彼は斧を振っただけで答えた。消し飛ばされる魔法。もはや膨大と化した魔力にはその程度の軽い攻撃など効きはしないというように。滾るように、湯気のように纏った魔力が蒸気する。

 

「は、はは!すばらしク、カカ!俺がコノ世で一番強……ギャハ!最強な……グギャガ」

「な、なんだいなんだい!?様子がおかしいよ!?」

 

 変色して青くなった魔力が意識と知性を犯す。乱れた彼の顔には焦点の合っていない目と口から垂れるよだれ。とうとう彼は強いことにこだわりすぎてしまったあまり、人であることを捨ててしまった。

 

「制御が出来てないんだ……。もう、戦えたとしてもただの獣だ」

 

 フェイトが青くなった顔でそう言った。その間にもベキゴキと不快な音を立てながら、魔力が外殻を形成していく。それは果たしてバリアジャケットの代わりなのか。黒ずんだ外皮に角を幾つもの場所から生やし、爪は伸び、目は血走る。口元を覆う外皮はまるで長い牙のようなものが生えた。まさに異形、まさに怪物。男を贄とした悪夢はココに顕現し、吠えた。

 

「Gyaaaaaaaaaaaahhh!!」

 

 叫びにより空気が、いや次元が揺らぐ。魔力が暴走に暴走を重ね、怪物は次元震までをも引き起こそうとしていた。もはや一刻の猶予もない。残った全員は一斉に攻勢に出た。

 

 

 

 

「おぉ、やってるやってる。予定通り次元震も起きてるね」

『Is there a No problem?(問題はないのですか?)』

「大丈夫大丈夫。もしも何か有ったら手は出すから。安心してよ」

 

 戦闘区域より更に上空。ほぼ結界の端に位置する場所で、数多の魔力光を眼下に眺める少年がいた。同時に会話しているのは赤い宝石、現在この時間にはあるはずのない、未来のレイジングハートである。ならばその少年は、ジェック・L・高町以外にあり得ない。最初で最後のタイムワープ以来、それをしなくなった彼はそのまま成長し、大体中学生後半ぐらいとなっている。顔立ちはそのままなのはのよう……ではなく、男らしさを持ちどちらかといえば恭也に近い顔立ちに変わろうとしている途中だった。しかし何故魔導生命たるジェックが成長しているのか、コレに関しては本人もわかっておらず首を傾げている。シグナムやヴィータ達、彼女たちのような存在であればプログラムによるエミュレートのようなものなので成長しないのもわかるが。まぁ彼はロストロギアによる奇跡によって生まれてしまったので、何事にも例外はあるのだろう。アリシアと成長タイミングが合致しているのはご愛嬌、といったところか。

 

 結界内にいるにも関わらず、彼ご自慢のレアスキルであちこちと無縁の状態になっているため発見されることはほぼあり得ない。そんな彼の視界に映る光景は、先の戦いよりも更に激しさを増している。狙いの定まっていない野生の暴力のような魔弾がアチコチに飛び、それに四苦八苦しながら避ける隊員と、高速で駆け抜けてそもそも当たらないフェイト。アルフは魔弾を殴って逸らしているが、その強度に不安を感じこちらも回避軌道を取り、リニスはプロテクションに角度をつけながら最小動作で回避。各々に反撃をしてはいるが、大威力の魔法を発動させられるほどの時間を得ることが出来ていない。バインドで貼付けにしても魔弾は飛ぶし、僅かな間を置けば強制的に割られている。しかしコチラ側は徐々に疲労と、被弾しつつある人間が出ていた。どちらが優勢かは明白である。

 

「しかしここまで苦戦するとは……なかなかやるもんだねあの怪物も。ちなみにレイジングハートから見てどう思う?」

『She is weak(彼女は弱いですね)』

「え、誰が?なのはのこと?」

 

 そう、と肯定された。確かに未来の彼女と比べたらそうかもしれないが、恐らくレイジングハートは同時期の頃のなのはと比べているのであろう。御神の剣術も学び体力も付き、魔法を学び始めたのは3年より前。工夫は随所に見られるが、これで弱いとはどういうことなのだろうか。恐らくは多分、彼女の最大の特性を生かせていないことにあるのだろう。

 

 「高町なのは」といえば砲撃魔導師である。これが前史における一般的な見解だ。それは彼女が収束砲撃を得意とし、移動砲台として戦艦もびっくりな超威力の砲撃を行うことにある。距離をとってさえいればチャージが出来るために圧倒的なアドバンテージを誇り、堅牢な防御を持って発射までの時間を稼ぐ様はまさに要塞と言わんばかり。一撃必殺を信条とした魔法の使い手であった。

 

 しかし現在のなのははどうであろう。自身の特性に気づいているものの、剣術を学んだことにより機動性を重視し火力の高い砲撃は捨てている。代わりに収束剣が一撃必殺となってはいるが、全体で見れば近距離中火力といった有様でフェイトとキャラかぶり。様々なものを取りこぼさず生きてきた弊害であった。なるほど、それは弱いかもしれない。とはいっても将来性はかなり未知数であるが、現状を打破出来ないのでは意味がなく。その事にレイジングハートは憤慨しているようだ。

 

「うん、それはどうしようもない。っと、通信だ……はいはいもしもし」

『やっほ、ジェック。今ドコ?戦場?』

「当たりだよ、無縁だらけにしてるのに何でわかったんだ?」

『うーん、……女の勘?』

「オーケーそれは止めようがないな。で、用事は?」

 

 相手は陸地で待機しているはずのアリシアだった。どうやら他者の目が他所を向いている隙を見てかけてきたらしい。

 

『んー……特に無いと言えば無いんだけど、計画の方は順調?』

「おおまかな部分は予定通りだ。あとはこれを管理局が探知してくれればいい。そろそろサーチャーが降りてきてる頃だろう」

『そ。じゃぁ任せる。……せめて、怪我人が出ないように祈りたいわ。地球は半ば私たちの巻き添えを食らったようなものであるし』

「仕方ない、とはいえないが。高町なのはを中心とした騒動はどのみち起こるんだ。今の管理局にとって地球は必要な存在だよ。損得で見れば間違い無く地球も得をすることだから、被害だけ見て情に走るのは良くないな」

『……ジェックってどこか機械的よね。まぁ、あまり裏ボスみたいな行動するのは慎みなさい。見てるこっちもハラハラするし』

 

 心配そうな声で彼女はつぶやいた。アリシアにとってジェックは幼い時からの恩人であり友人である。そんな人間が悪巧みしている姿はあまり座りが良くないらしい。

 

「肝に銘じとくよ」

『なら、代わりに一つ善行を積んでおきなさい。窮地を助けるのはヒーローの役目でしょ?それじゃね』

 

 プツンとウィンドウが途切れる。仕方ない、といった様相でジェックはため息をひとつ。ならばここで積める善行とは一体何であろう。現状自身の存在がバレるのはご法度だ。レアスキルによるバックカバーこそしているものの、ソレ以外となれば……。

 

 そんな思考をしているときに、何やらチカチカ光るレイジングハートの姿があった。

 

「……ちょっと待て。お前は一体何をしているんだ」

『A good deed(善行です)』

「いやいや、具体的にどういう事なのか聞きたいんだが?」

『I've added a certain magic. To Raging Heart of there(とある魔法を書き加えました。あちらのレイジングハートに)』

「おいぃぃぃ!?今存在がバレるような事はしないようにしてるのにどうしてそういうことするかな!?」

『In the current situation is appropriate behavior(現状では適切な行動です)』

 

 こ、この野郎!なんてことしやがる!という文句も華麗にスルーするバカ宝石。マスターである人物をとにかく「勝たせる」ためであれば自らもマスターすらも顧みず危険を犯すのがこのデバイスだ。基本、この宝石に撤退の二文字は無いということをつくづく思い知らされる。こうなったら、もはや成り行きを見守るしかないだろう。再びジェックは大きなため息を吐き。

 

「……紅茶でも飲むか」

『Most are you too rude(あなたも大概失礼ですね)』

 

 水筒からタパタパ紅茶をつぎ観戦に徹することにした。

 

 

 

 

「……ゲホッゲホッ」

「大丈夫、ユーノ君?骨折れてない?」

 

 海へと落下したユーノを追って、なのはは彼を支えた。水から引き上げたもののその姿は当然びっしょり濡れている。軽く触診した後、ネームレスを取り出して簡易ではあるが治癒魔法を発動させた。レイジングハートでは自身の魔力特性で発動できないのでその代用である。

 

「ヒビは入ってるかも……。ごめんね、私じゃこれくらいしか出来ないから……」

「ううん、ありがとうなのは。……とりあえず一旦回復出来れば自分で何とか出来るから」

 

 未熟であろうとも全力で出来るだけの手段をとるしかない。そんな二人の上空で飛び交う魔力弾は、まるで流れ星のように様々な表情を見せている。ここが戦場でなくて、魔力弾にも殺意や害意が載っていなければそれはそれは美しい光景なのだが。遠い昔に自分に似た少年が見せた魔力弾の光景とは似ても似つかない。そんな思慕に駆られた時、奇妙な合成音声を上げ始める何かがいた。

 

『$%$’&W"%"%%&'((3#$#!?』

「ちょ!?どうしたのレイジングハート!?」

「え、何?まさか壊れたの?」

 

 お前はHDDのアクセスランプか、と思うほど点滅しまくるレイジングハート。今まで見せたこともないほどに光りまくるだけあってその光景はなんとも不気味なものがある。唖然としたまま黙って見ていると、ようやっと落ち着いたのか点滅を抑えていつもどおりのレイジングハートが答えた。

 

『is not a problem. However, there are no abnormalities in operation(問題ありません。いえ、ありますが動作に異常はありません)』

「結局、何がどうなってたの?」

『It is a hacking forced from the top. Someone is unknown, was written the magic of two types(上位からの強制ハッキングです。何者かは不明ですが、 2種類の魔法を書き込まれました)』

「……よくわかんないけど、それは現状を打破できるものなの?」

『This is the best means(最良の手段です)』

「……わかった。じゃぁ、それ使ってみよう!」

「いやいやいやちょっと待って!?そんな出自不明な魔法を使うって、大丈夫なの!?」

 

 危険性を考えてユーノが待ったを入れる。今のこのタイミングで、どうにか出来る魔法が託されるなんてあまりにも都合が良すぎる。それこそ罠ではないかと疑ってしまうぐらいに。しかしなのはは微笑みながらそれを否定した。

 

「ううん、きっとだいじょうぶ。この魔法、軽く精査してみたけどものすごく洗練されてるの。そう、多分コレは」

 

――知らない誰かが、全力で駆け抜けた証なんだ。

 

 そう感じる。だから、大丈夫。漠然とした理由だけど、まるで「私」に誂えたように構築されているプログラムにある意味尊敬を感じてしまったのだ。まるで魔法そのものに念が篭っているように。

 

「そっか……。じゃぁ、もしもの時は止めるから。気をつけて」

「うん、任せて」

 

 自信に満ちた声で頷く。次いでなのははフェイトに念話を入れた。

 

(フェイトちゃん、あの人の足止め、できる?)

(……何か、手があるの?)

(うん、秘策だと思う)

(わかった。じゃぁ全員でバインドを掛けるから、その間にお願い。それでも数秒しか持たないかもしれないけど)

(それだけあれば、とりあえずはなんとか。最初に発動させた魔法の後に、念のため重ねがけを)

 

 それだけを言って、増えた魔法の内一つを待機させる。情報が伝わり、瞬く間に上空の全員が動きを変えた。バインドを覚えていない隊員は射撃で行動を制限し、トラップ地帯へ誘導する。フェイト達はその場に大量のライトニングバインドを行使した。そして獲物を追うようにして突っ込んできたデュアリスを捕縛。幾多のバインドが彼を絡みとりその場に拘束させる。ギチギチと張り詰める魔力の輪が、今にも壊れそうな音を鳴らしている。

 

「、なのは!」

 

 男の真下に陣取るなのはに呼びかける。唯一のチャンスを漏らさないように手を伸ばし、即座に待機させていた魔法を発動させた。

 

「――レストリクトロック」

 

 声に応じ、ガチリと男の手足にハマる枷。それは集束させた魔力により相手の動きを封じる上位魔法。通常のバインドとは比較にならないほど硬く、何者も逃しはしない。あれだけ多くのバインドをかけているにもかかわらず、そのたった一つの魔法の方が強度は圧倒的に高い。その証拠に男は完全に封殺されていた。アレほどのバインドをいつの間に。そうフェイトは思いつつも、慌てて更にバインドを上書きする。

 

 そして、次なる魔法。

 

 なのはの周囲に変化が起こる。展開した魔法陣を中心に、まるでゴウと幻聴が聞こえた気がした。周囲に拡散した余剰分の魔力が明滅し、次から次へと彼女に集まっていく。

 

 その姿は、まさしく台風。

 

 なのはという目を中心に、時間を巻き戻すように高まり続ける魔力。それは決して一個人が成せる筈のない奇跡のよう。その姿に、フェイトは身震いすら覚えた。

 

 答えるように、海が揺れる。その波動が持つ脅威に結界が慄いた。直感的に察したのか、デュアリスにも焦りが浮かぶ。いかに知性がなくなったといえども、彼の直感が激しく訴えるのだ。アレはあたってはいけないものだ。ニゲロ、ただニゲロと!!

 

 しかし、なのはの心は反して非常に穏やかだった。

 

「……ふしぎだね、レイジングハート。不思議なくらい、私によく馴染む」

 

 体を駆け巡る大量の魔力がギチギチと体を軋ませる。しかし非常に洗練されたその流れは、己を極致へと高めても自己を崩壊させることはあり得ない。処理されるプログラムも滞り無く、儀式魔法以上の威力を想像できるのにソレ以上の速さで読み込まれる。

 

 カチャリ、とレイジングハートの先端を上空に向ける。狙いは月を背負う怪物と化した狂人。

 

――その魔法は、星を穿つという究極の傲慢を持った一筋の流星。

 

 ドクン、と魔力が鼓動を鳴らした。

 

 それは歓喜。この世に生まれ出て大命をなすための、復活の旋律。杖の先端で形を成し始めた魔力の球体が、更に鼓動を鳴らしながら巨大化していく。全てを蹴散らす孤独の砲の光景が、なのはに一瞬感情のうねりを巡らせる。

 

「――、」

 

 そこにあったのは、寂しさと悲しみ。ただ一人でこれほどの魔法を使わざるを得なかった誰かの慟哭。不意に、懐かしさを感じた気がした。その感情を持ったのはいつだったろう、まだ更に幼い時の、……父親がケガをしたときだったか。その理念には共感が持てる。きっと、この人も原点は同じだったのだろう。しかし今はソレを持ち得ない、「私」には無い思い。ならばこれは、この人だけが持ち得るものなのだろう。思いが駆け抜けるだけ駆け抜けて、サラリと心から消えた。

 

 カッ、と目を開く。

 

 極大サイズにまでなった卵は、今にも生まれたそうに喚いている。ドクン、ドクン、ハヤクハヤク。

 

「レイジングハート、充填率は」

『170%』

 

 うん、なら大丈夫だね。

 せり出したグリップを握りしめ、トリガーに指をかける。後はそっと引いてアレを撃ち落とすだけ。「行こう」と、なのははつぶやく。果たしてそれは誰に対する語りかけであったのだろうか。本人ですらわからない。

 

 

「スターライト、ブレイカー!!」

 

 

 

 

 

「なんて、威力だ」

 

 まるで天を貫く御柱のような佇まいを見せた極太の咆哮は、ターゲットの男を巻き込みわずかな時間で消失した。

 なのはが魔法を唱えた瞬間、ゴボリとバケツから水があふれだすように魔力が飛び出した。果たしてその魔力は一体ドコまで飛び上がってしまったのか、全く判断ができない。周囲一帯からかき集められるだけ集めた魔力は、男のプロテクションに当たり、一瞬あちこちにはじけ飛んだ。しかしそんなのは些細なことと言わんばかりに、プロテクションをまるでチョコレートか何かのように溶かしてしまう。あっという間に光に埋もれた男の外皮は削れ、剥げ、徐々にその形を失っていた。バリアジャケットも失った男は気絶して落下。慌てて回収、捕縛を行う。ジュエルシードが2個とも無事だったのがある意味奇跡に思えるやられ具合だ。なんて恐ろしい、あんなのは食らってなくとも金輪際お断りします。と両手を前にして後退るレベルです。

 

 ついでに結界も破壊されていたが、今回はそれが功を奏しヘリがやって来ることが出来た。さすがに抱えて移動するのは困難なので、デュアリスを収容して帰路につく。

 

 あれが本当の魔法戦、か。自衛隊員達はそこに時代の移り変わりを感じた。弾薬も貴金属も消費しない、環境を汚すこともない新たなスタンダード。現状でも各種兵装は効くために全てが全て役立たずになることはないだろう。が、ここには激しさこそあったが、しかしあれほどであっても誰も死んでいないことに安堵を覚えた。これが世界にとって吉と出るか凶と出るかはまだ彼らにはわからない。

 

 しかし今回は、無事に終われたことをただ祈ろうではないか。

 

 

 

 

 

「お疲れ様です、それと報告が」

「聞こう」

 

 今回の指揮を任された男が傾聴する。

 

「ジュエルシードはこれで全部集まりました。それらはユーノ・スクライア、アリシア・テスタロッサ両管理世界人による監修の中で分かる範囲で研究が行われるようです。また高町なのはによる魔法の弁解も必要でしょう。容疑者のデュアリスが乗っていたと思われる次元航行艦は、こちらもアリシア・テスタロッサ指示の元デバイスから転移先を絞って回収するようです。ああ、それと」

「他にまだ何か?」

 

 大凡予想していたとおりの報告に頷き、次の報告を促す。

 

「帰りがけにサーチャーを発見したので破壊したそうです。どこのものかまでは不明ですが」

「……噂の管理局のお出ましかな?やれやれ、まだ事は終わりそうにないね」

 

 自衛隊、彼らの夜明けは未だ遠い。

 




いやはや、ようやくここまで来ました。
しかし流れがスマートでないので、本来やる予定だった過去ネタバレ編は全部A's編に回すことにします。ご了承ください。とりあえずは一旦地球のイザコザをささっと片づけます。
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