魔導変移リリカルプラネット【更新停止】   作:共沈

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(´・ω・`)関西弁わからん。なんかこうしたほうがええよーとか言う人おったら一言お願いします。

※あまりにも八神家両親にバックグラウンドが無いためかなりご都合主義な臭いがプンプンします。とはいえ4歳の子供がいて海鳴の行楽地的な印象が強いため地価が高い(推定)住宅街に一戸建てを持ち、妻もあり、となると父親の仕事って結構いいとこだったんじゃないか、という考えで書いてます。多分職種を違ったもので書いても似たような結果にするのでご了承ください。

話の流れは割と前回と似てます。


Yagami_1

西暦2000年

 

「はい?転勤?」

「そ、転勤。どっちかっていうと年間契約での引き抜きみたいな形らしいけどね」

 

 唐突な社員への転勤命令。上司からそれを受け取った八神迅雷の心境は衝撃と不安で埋まった。終身雇用が当たり前であるこのご時世、いくら次の勤務先があるといえども心配するのも無理は無い。ついでに言えば最近はマイホームを買ったばかりでローンも残っている。4歳になる娘のためにもどことしれない場所へ行くという考えは持てなかった。

 

 八神迅雷。大阪出身のプログラマーでとある大企業の日本支部でソフト開発に携わっている。本社は海外企業で日本らしいブラックな体制ではなく、比較して明らかに好待遇な福利厚生に惹かれて入社した。勤務地は海鳴という行楽地として優れた高級街で、地価は高いが非常に暮らしやすい。結婚してから安定を求めた彼には好都合な場所だった。だからこそせっかく手に入れた場所をやすやす手放すわけにはいかないのだ。

 

「せやけど引き抜きって……。俺はここを離れる気はあらへん!会社にだって恩はあるし、ここは居心地がええですもん」

 

 迅雷はストレートに要求した。何よりも自分という技術者を手放すような真似を上司がするとは思えなかったからだ。だというのに、上司の顔は非常に穏やかで、しかし離れることを喜んでいるような印象でないのが不思議だった。

 

「ああ、それは大丈夫だよ。なんでも特殊なプロジェクトらしくってね、それさえ終わればここに戻ってこれる。私にはよくわからないが、そこで教えてもらう新技術を使ってまたうちに貢献してくれたらいいという話だよ。どうも、君だけでなくあちこちにスカウトをかけていてね。社単一の利益のためでなく、世界全体での大掛かりなものになるらしい」

 

 教えてくれた内容は実に不明瞭極まりなかった。何をするのかもよくわからないプロジェクト。しかも新技術を使って開発をしろ?それこそセミナーを短期で開いてSDKを頒布すればいいだけの話ではないのか?加えてプログラムごときで新技術を語るだなんて、新しい言語だとしても大法螺にすぎる気がする。そのうえ何故俺なんだ?そういったいくつもの疑問が浮かび消えていく。

 

「ちなみに、勤務地はどこです?」

 

 問われた上司はさらに笑みを深めてこう言った。

 

「アメリカだよ」

 

「…………アメリカ!?」

 

 聞いた瞬間、頭のなかが空っぽになった。隣の県とか国内とか、そんなちゃちなもんじゃ断じてなかった。俺はこの時、とんでもなく恐ろしい運命の禍根に飛び込んでいく自分を幻視した気がした。

 

 

 

 

 

「――ということで、なんやよくわからへん内に転勤指示が出とって、アメリカで、プログラミングなんやって!」

「意味はよくわからないけど、栄転ってことじゃないの?」

 

 新築同然の我が家に帰宅後、軽食を取りながら妻の凪紗に報告した。特に危機感を覚えないのか考えていないだけか、彼女は素直に喜んでいる。もしかしなくてもおかしいのは俺だけなのだろうか、と不安になりそうだ。

 

「そのうえ開発担当の方が今日ウチに説明に来るらしい。……なんでこないな一般人にそこまで手厚いサポートをするんかようわからんなぁ」

「それこそ聞いた上で判断すればいいんじゃない?疑心暗鬼してドツボにハマるのはあなたのクセよ?」

「いや、うん、わかっとるけど」

 

 居た堪れなくなって視線をテレビの方に向けた。そこには4歳になる可愛い娘のはやてがいる。関西弁や趣味がどうも似通っておりというより真似たのだろうが、やけにコアだったりオタク趣味な部分がかいま見え始めている。ほら、今だって

 

(ていうか、なんで「俺の屍を○えてゆけ」とかコアなゲームやってるんやあの子は。それも4歳で……あ、風雷の間のボス倒した……ってはやくね?もしかして頭いいんか?)

 

 うぉっしゃー!とバンザイして喜んでる姿はやっぱり歳相応に見えなかった。そばには○がれいじりとかシャド○タワーまで転がっている。まぁかなり耳年増なところもあるし、情報に機敏なのかもしれない。あれ?そうしたらやっぱりうちの娘って天才なんじゃね?明るいところや家事出来そうなところとかは凪紗を継いでるみたいだし。

 

 ちなみに迅雷の知らないことではあったが、最近はパソコンも余裕で扱えるようになっており隙を見てはネットサーフィンしているらしい。色んな意味で末恐ろしい子供である。

 

 過度なまでの娘自慢を脳内で繰り広げて頷いてる姿を見て凪紗がクスクスと笑みをこぼす。気づいてまた顔を背けた。そんなことを繰り返しているとピンポーンとベルが鳴った。どうやら待ち人、もとい不穏の鐘を鳴らす厄介者が来たらしいと迅雷は身を固くした。

 

「あ、お客さんやな!私が出るで!」

 

 ゲームも置き去りにスポーンと飛び出していったはやて。呆れるほどに行動力がある。それとも4歳ぐらいの頃の自分もこんなふうにあれこれ興味を持って動いていたか?と思った時にふと気づく。

 

 よくよく考えたら、アメリカから来た人間をまともに幼女が応対できるのだろうか。

 

「いやいやいや!待て、ストップやはやて!」

 

 普通に外国人だったりしたら初遭遇の相手は異星人レベルの衝撃をうけることになる。それをはやてがどう受け止めるかはわからないが、いきなりの接触は良い影響があるとは思えない。何より先方に失礼だろう。

 

 しかし時既に遅く、走りだした時にはガチャリと重いドアの開く音がした。あぁやってしまった。あの子は自分と違ってなんてせっかちなのだろうか、ほら、開けた先には金髪のガタイのいいオッサンがいるんやろ?ソレに驚いてはやては目を見開いている。そう想像して、しかし自分が見た者はその想像を余裕で超えていた。

 

 背の高さはともかく、まずは紫がかってはいるが決して整髪料では出せない自然で落ち着いた色の髪。スーツはともかく何故かその上に白衣を着ている。何より彼の存在を雄弁に語っているのはあの鋭い目。興味を持ったものを射抜く金色の視線はおおよそテレビでも見たことがない。

 

 一言で言えば奇抜。

 

 しかしそれが彼の当たり前で、日常で、自然体なのだと感じた。それほどまでに似合っている。男に対してそのように思うのはどうかと思うが、そのぐらい格好の良い人間だった。

 

「……なんやそれお兄さん。厨二病でも羅患しとるん?」

「おぃぃぃぃ!?」

 

 なんでそんな言葉知ってるのこの子は!?そして初対面の人にいきなり躊躇なく言ってしまうくそ度胸!ボケにもツッコミにも全力の娘には漫才の才能も有るに違いない!状況を放置して迅雷はこう思った。もう親ばかでもいいじゃないと。

 

「――ハハハハハ!なかなか愉快な子供だ。ふむ、君が八神迅雷か?」

「は、はい……あぁ、いえすいません!うちの娘がとんだご無礼を!」

「いやいや、気にしなくていい。物怖じせずに発言できるのは立派な才能だからね」

 

 それは美点であって欠点ではない。そう思う奴は物事を正しく認識できない奴なのだと彼は言った。恐ろしいまでの懐の深さ、感嘆に値する。

 

「私はジョニー・スリカエッティだ。よろしく未来の同士よ」

 

 

 

 

「えっと、それでその、どうして俺なんや……なんでしょうか。取り立てて大した才能があるとは思えないんですが」

「普通に喋ってもらって結構だよ。ふむ、確かに多くいる人の中で君である必要はさほど多くはないかもしれない。だが論理的に内容を理解し、かつプログラミング以外の分野で必要な才能があったのさ」

「プログラミング、以外の才能?」

 

 ますます意味がわからない。対面に座るジョニーの手元には書類らしいものもなく、プログラミング以外の才能であるならますます自分でなくてもいいだろうと疑い始める。

 

 そして彼の口からとんでもない一言が飛び出した。

 

「そう、君には――魔法少女になってもらう!!!」

「意味がわからんわ!?」

 

 ババーン!と効果音でも立てるかの勢いで振り上げた手のひらが迅雷に向けられた。冗談にしても程がある。会社の話をしにきたのではなかったのか。

 

「いや、すまない少し言ってみたかった。厳密には魔導師になってもらう、だ」

「どっちも大して変わらへん!ふざけるんなら帰ってください!」

 

 迅雷は自分の将来がかかった大真面目な話だというのに、一体この人は何をしに来たのか。もしもその才能とやらが魔導師になることだというのなら、アニメの見過ぎにもほどがある。ジョニーという人物は極度のアニメフリークではないかと疑った。

 

「嘘、家の父さん童貞?」

「なんでそうなるん!?」

 

 加えてはやてまで意味不明なことを言い出す始末。一体どうしてそういう結論が導かれるのか。本気で将来を危ぶんだ。

 

「はーやーてーちゃーん?あなた自分が何言ってるのかわかってるのかしら~?」

「…………わからへん!ぜんっぜんわからへん!」

 

 首振りブンブンブン。しかし顔がにやけている。ああ、あの顔はまず間違いなく意味を知って言っている。やはり娘の将来は心配だ。

 

「嘘ついてる子はお仕置きしなきゃねぇー。ほら、あっち行きましょうか」

 

 案の定お説教が確定して凪紗に連れて行かれた。あの調子ではいずれネット禁止の罰を食らうかもしれない。

 

「いやぁぁぁ!……お父さんが教えてくれたんや!全部お父さんや―!!」

「え゛!?」

 

 ビカビカ光る凪紗のお目目がこっちを向いた。まるでガンダムに睨まれているドラッツェな気分。一年戦争後のジオン残党はガンダムヘッドを見ただけで恐慌状態に陥ったらしいがまさに似たような状況だ。というかはやてはボケの限度をまだまだ弁えてない様子で周りに被害を出しまくっている気がした。

 

「……あなた?」

「ちゃう!絶対ちゃうぞ!そないな事教えるわけあらへんやろ!」

 

 そして誤解も甚だしく、間違いなく冤罪である。遺憾の意を表明したい。

 

「はぁ、全く。お説教追加ね」

「あぁぁぁ堪忍やぁぁぁ…………」

 

 ドナドナされるはやて、強く生きろ。しかしあれほど怒りにまみれた空気が完全に霧散してしまった。屋内の空気はジョニーの苦笑も相まってだいぶ穏やかになったように思える。もしかしたらはやてはこれを狙ったのだろうか? 

 

「随分面白い子だね彼女は」

「いぇ……騒がせてしまって申し訳ない」

「気にしなくていいさ。まぁ、真面目な話の続きと行こうかな」

 

 聞いたところ福利厚生は恐ろしいほど充実していた。まず日本に戻ってきた際元の職務に戻れる事、自宅のローンも全部受け持ち、ラスベガスでも豪邸とは言わないが一家族が住んでも部屋が余るくらいの家屋を提供する準備が有るとのことだ。仕事の内容に秘匿義務があるらしく、給料もそれに応じてかなりの額。徹底的に好待遇。少し違うかもしれないがぐうの音も出ないといったところだろうか。

 

「職務内容に戻るが、これはもう少ししたら国連で大々的に発表される新技術でね。量子力学を元に、新たなエネルギー源を用いて様々な事が出来るものだ。ただその応用範囲が広すぎるため、便宜上「魔法」と呼ぶことが決まっている。つまりはれっきとした科学技術なのさ」

「は、はぁ、さいですか」

 

 言いたいことはわかるが内容はさっぱりだ。だが日本人的感性からこれだけは突っ込める。

 

「その、もしかして新しいエネルギーって魔力って言ったりするんです?」

「おや、そのとおりだよ。もしかして知ってたかい?」

 

(まじかー!?いやいやそんなこと知らんわ!ていうかありえんやろ!?)

 

 科学なのに魔法とはこれ以下に。ツッコミどころ満載すぎてその名称を考えた奴も決定した奴も頭のネジはずれとるんちゃうか?と迅雷は滝のような汗を流す。国連は おかしく なってしまった!!そう考えても無理なかった。

 

「それじゃあデモンストレーションといこう」

 

 そう言って彼が見せてくれたのは光の乱舞と言える魔力弾やショートジャンプ、重量を軽くするフローターフィールドに飛行魔法。そのどれもがアニメや書物の中で夢見て、しかし不可能だからこそ夢だと言われていたものが確かに現実に飛び出していた。もはや魔法を妄言と憚ることは出来なかった。いつの間にか戻ってきていたはやてに至っては目を輝かせてすごいすごいと連呼していたくらいだ。浮き出ていたたんこぶが気にはなったが、そんな痛みを忘れるほどのめり込んでいる。

 

 魔法はデバイスを介して現象を起こすというものらしい。OS上でしか実行できなかったソフトウェアが現実に飛び出すということ、それは現実がOSと変わらなくなるのと同じ意味だ。だから迅雷は魔法そのものより、むしろその端末であるデバイスに興味が惹かれたのは開発者として当たり前だった。現行の最新型のスパコンを置き去りにした処理能力を備え、魔力さえあれば他に動力を必要としない最小媒体。容量さえあれば量子変換で様々なものを収納できるなど出来る事は無闇矢鱈と広いといった感じだろうか。インテリジェントデバイスというものに至っては独自にAIが搭載されており、マスターの望んだ魔法を自動的に組み立ててくれる機能を備えている。

 

 まさに万能。だからこそ、ジョニーは迅雷が必要なのだと語った。

 

「見ての通りインテリジェントデバイスを使えば魔法そのものを組むのは簡単だ。だがこれはマスターの魔力波長に合わせているものだから他人がそのまま使おうとしても普通は出来ない。そのうえ思考という非常に煩雑で曖昧な命令で出来ているために、術式は暗号化しているし復号化してもスパゲティコードだったりダミーの記述が多かったりと出来そのものはそれなりにひどい。だからこそ、魔力を扱うリンカーコアを要し、プログラミングという術式改変に最も適した技術者の存在が必要だった」

「それが俺いうことですか……。というか、魔力があるなんていつ調べたんです?」

「この前健康診断があったと思うが、このへんの医療関係は既に抑えててね。こっそりリンカーコアの有無も調べさせてもらっていた。ランクでいえばB+といったところかな。可もなく不可もない程度の魔力持ちの人物は傾向的に最適化や工夫をこらす場合が多いからね」

(プライバシーはどこいったんや……)

 

 聞けば魔力持ちというのは結構貴重らしい。一体その傾向とやらがどこから出てきたのか気にはなったが、それを計り知ることは情報が足りず出来なかった。いずれは使用出来る人間が限定されないよう魔力を精製する機材を作る予定では有るらしいが、現状は要求を満たしたものが出来上がっていないとかでどうしてもリンカーコア持ちの人間が必要ということだった。

 

 確かに、これをPC代わりに用いれるとしたら現状のグラフィカルユーザーインターフェースは必要なくなる。思考制御とタッチ操作の組み合わせを利用し、直接的で圧倒的な速度の作業ができるようになるだろう。外部機器が必要なくなれば例えばペンタブレットのような外付けデバイスを買う必要はなくなるわけだ。まさしくデバイス一つでオールインワンが実現できる。

 

 そしてその開発を受ける理由が迅雷には有る。ジョニーは迅雷に新世代PCに対応したソフトウェアを開発する先達になれと言っているのだ。

 そこまでようやく理解したことで、迅雷の心は震えた。考えが反対にぐるりと回り、現金な話ではあるが新しいものに彼は挑戦してみたくなった。後の事も完全に保証されているのだからむしろやらない理由はないと言ってもいい。後は、

 

「凪紗。俺はこの仕事を受けてみたい。せやから、俺はアメリカに行くことになるけどお前はどうする?」

 

 妻がどうしたいか、だ。しかし彼女は一切の迷いなくこう言った。

 

「もちろんついていきます。あなたは私がいないとすぐ弛むんだから。ね、はやてもアメリカ行ってみたいよね?」

「せやなぁ、ラスベガスで豪遊すんのもええやろ」

「こら、子供が何言ってるの」

「あいたっ」

 

 まったくこの子ときたら、と呆れる凪紗。一も二もなく賛成してくれたのにはとても嬉しかった。やはり妻に反対されたら心苦しいものが有る。全員の賛成を得て迅雷は将来を、新たに開拓される荒野を見つめる気分になれた。そこには無限の可能性があるとばかりに。

 

 だがそんな思いも虚しく罅を入れる存在を知ってしまったのは、ジョニーの何気ない質問だった。

 




(´・ω・`)そして残念ながら一旦ココで分割。書ききれんやった。
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