魔導変移リリカルプラネット【更新停止】   作:共沈

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Prologue -Entrance-_3

「そこで何をやっているんだ!?」

 

 声をかけ、慌てて集団に駆け寄る。随分と大きな音がしたと思ったら、多数の人間が倒れ、もとい無残な塔を築いていた。皆一様にひどい顔をして気絶しているが、これといって怪我をしている人はいない。それに安堵して恐らく犯人である、小さな少年を見る。年の頃は10歳いっているのかそうでないのか、茶髪の目がくりくりとした可愛げのある……可愛げのある性別不明の子供だ。何処をどう見ても女の子にしか見えないが、そうだとすると気絶した人間を組み重ねるなどという非道をするようには見えず……。

 

「何って、魔力防御の効かない攻撃方法を体に叩き込んだだけですよ。こういう状況はザラにあるのでは?」

 

 確かに無いとは言えない。局で定められている質量兵器禁止の法律とは、実際のところ魔法以外の攻撃を禁止するといったものだ。でなければ、飛行による突進すらも自重を利用した質量兵器とみなされてもおかしくない。

実際かなりアバウトな法律なのでそれを厳密に守る者は少なくく。逆に犯罪者なら尚更、質量兵器を持っている場合も少なくない。スタングレネードも質量を用いたものでは無いが、分類では同じものに区別され、法を犯すことに全力の犯罪者は割と使ってくるのだ。

しかしここにいるのは魔法に希望を持ったまっさらな訓練兵。それが力を持った才あるものなら絶対たる魔法への傾倒に変わる。そうなると、スタングレネードで簡単にくたばってしまうのは当然だった。

 

しかしそれが良いのか悪いのかで言えば、悪いのだろう 。ここは訓練校であり、多数の生徒を昏倒させるのは常識に寄って考えればやりすぎだ。一応ながらも守られる立場にあるのだからできる限りの配慮はしなくてはいけない。

だが少年は気にした風もなく、佇んでいる。

 

「っぐ……は、し、執務官殿!?お願いです!質量兵器なんか使う、あの舐めた魔力の低いガキをどうにかしてください!ハハハ!残念だったなガキ!執務官殿にかかればてめえなんぞ!」

 

どうやら先ほどの原因である、魔力が高い少年は起きたようだ。しかし今だ動けないのか、クロノに気づいて何事かわめいている。

 

 

――虎の皮を借る狐か、こいつは。味方した気はないんだがな、僕は。ついでにいえば、エリートに鼻をかける奴は好きじゃないんだが。

 

 そうクロノは考えながらも、しかし場の体裁くらいは整えなければならないだろう。彼の言っている事はさらっと無視し、面倒な時にぶち当たってしまったものだとわからないようにため息をついた。今回の目的である部下探し、それのNG項目でチェックするならば彼はほぼ全てにおいて✕が入るだろう。

 

 だが、対する少年は別だ。

 この年でありながら質量兵器の怖さを知っている。名称のとおりならば単純に高速で飛んでくる石ころだけでも質量兵器になってしまうが、この中には先のスタングレネードにBC兵器等も含まれる。当然ながらバリアジャケットには閃光を妨害する機能はない。一応の酸素供給機能もついてはいるが、それらのエネルギー変換を魔力に頼っているために長時間ガスの中に晒されれば当然ながら死につながる。密閉の脱出不可能な空間ならなおさらだろう。

 

 次元犯罪者はそれらをお構いなしに使ってくるのだ。元々法を犯しているのだから態々守る理由はない。そのためクロノもさんざん煮え湯を飲まされたことがあるのだ。それを考えれば既にその知識を身に着けている少年は実に有用だ。どこでそれを知ったのかを考えなければ、だ。

 

 加えて先程から何の反応もなく物体が出たり消えたりを繰り返している。どういう原理かはわからないが、多分あれが彼のレアスキルなのだろう。魔力が低い事を考慮してもメリットのほうが大きい可能性がある。

 

 

 しかし、それでも彼は子供だ。

 

 今さっき、ランドル教官から聞かされたばかりの話だ。連れて行くのは気が引ける。だが罰が無いのも組織としては問題だ。体裁はどうであれ管理局は軍みたいなものなのだから、違反には相応の罰が必要である。そこで彼は少年の力を見るのを同時にするために一つ提案をした。

 

「言っていることは正しいが、問題外だ。気絶させたら訓練にならないだろう」

「俺は気にしていない。知らないことは罪だからな。彼らが後々重傷を負う可能性を考えれば安いものだと思うが」

「……それでも節度というものがある。よって、本来なら反省文の提出か掃除の罰で終了。だが、今回は僕との模擬戦一回で済ませることとしよう」

「随分と横暴なのだな。局員というものは」

「否定はしないけどね。今回は残念ながら君が招いたことだ。ついでに僕がたまたまここにいたことも、運が悪かったと思っておけばいい」

「そんな縁はご遠慮したいのだが……」

 

「おいゴラァ!てめえ執務官様がお優しい判断を下してくれてるんだ!従うのが当然だろうが、ええおい――ぐはっ!?」

 

 やかましいとばかりにスティンガーレイを一発、額に当てられてエリート少年()は撃沈した。いい加減クロノも鬱陶しかったのだろう。

 

「……人のことを言えないのでは?」

「戦いに集中できなかったら無意味だろう」

 

 さらっと言い訳を述べる当たり、彼も結構黒い。さすがはマックロクロノくんだ。中身もそれなりらしい。せめて未来では宗教組織との癒着なんてしてくれなければよかったのに。

 

「まぁ、いいか。ならこちらも一つ条件を。負けなかったらでいいが、クライド・ハラオウンと面会の機会を取り付けて欲しい」

「なぜだ?」

 

 唐突に出された条件に、心のなかで首を傾げる。クロノはいまだ名前を語っていない。だというのに確認もおろそかに条件が飛んでクライドとの面会ときた。つまり彼は漂流してから数日と経っていないというのにこちらの情報をある程度知っているということになる。コレはいくらなんでもおかしい。一応どういった人物かは、ある程度はランドル教官から提出させた書類でわかっている。

 

ジェック・L・高町、次元漂流者。

思慮深いが突飛な行動を繰り返すこと。

管理世界の常識をわきまえていること。

何らかのレアスキルを所持していること。

魔力が低く攻撃魔法すらろくに使わないこと。

 

 簡単に記されたメモにはその様なことが書かれていた。将来は有望株だとも書かれていたので少しの間とはいえ細かく見ていたのだろう。特に彼はその才覚の無さから攻撃によって勝つことは無いが、対処が上手く負けることも無いと訓練で判断したらしい。

 

 口調は丁寧で寡黙。必要なことだけを淡々と話す。

先の行動と山積みにされた少年少女達を見るにやや倫理観は足りない気がするが、面会させたところでクライドに危害を加えることは恐らく無いのだろう。であるなら、元々部下を作るために来たのだ。面会させること自体はやぶさかではない。

 

「ちょっとした知り合いでね。顔写真でも見せればオーケーを出すはずだよ」

「……いいだろう。許可が出たらな」

 

 それに、負けなければイイ話だ。あちらが勝つにしろ引き分けるにしろ、現役の執務官に抵抗できるのであれば十分な戦力になる。あっさり負けるならその程度だったということ。どちらにしろクロノにデメリットは無い。

 

「ああ、それとハンデはいるか?まだ訓練生なんだからあってもいいぞ」

「なら、2つほど。陸戦主体だから空戦と転移の禁止。試合時間は5分でお願いしたい」

「……その程度でいいのか?」

「十分だ」

「……わかった。それでいこう」

 

 相手側の能力値を考えてオーケーを出す。魔力ランクEだ。どのみちできることには限りが出る。

 

「それじゃあ、私が審判を務めさせてもらおう」

「お願いします、ランドル教官」

 

一足遅れてやってきた教官に判断を任せて、お互いが配置につく。

向かい合わせで立った時、ピリリと感じる威圧感が肌をつついた。どうやらクロノはハンデありにしても全力で戦うらしく、――訓練相応の適当な手加減を発揮してくれるだろう。ソレは恐らくジェックが軽くトラウマになる程度の力量に押さえてくれるに違いない。それはジェックが一般程度の思考回路をしているならば、だが。

 

 そしてお互いに構えて合図を待つ。

 

「――はじめ!」

 

 開始の合図とともにクロノはわずかに距離を取り、詠唱を始めている。対するジェックはぷらぷらと手をゆらしたまま開始位置に佇んだままだ。

 

「スティンガーレイ!」

 

 ターゲットにあわせてS2Uを振りかざす。起動した魔法の光弾が三発、加速して槍状に伸びたそれが一直線にジェックに向かう。敢えて声を出すことで彼に対策を取ることを促したが、ソレに対しジェックはシールドを張るわけでもなく避けるわけでもなく、やはり佇んだまま直撃、したかのように思えた。

 

「――――!」

 

 しかし光弾は術者の意に反し、ジェックの目の前にきた途端にネジ曲がったように彼を中心とした円周軌道を取ってあさっての方向に飛んでいった。

 

 あからさまな異常。サークルプロテクション、もしくはオーバルプロテクションでも張っているなら、御しきれない光弾が壁を這うように移動していくのも、無理はあるがならないこともない。しかし彼は魔法を使った様子もない。何よりEランク、殆ど無い魔力でそんなもの強度のあるものを張ったら一分と立たずに尽きることは明確だ。つまりあれも、レアスキルによる自動防御のようなものなのだろう。その正体が全くつかめない。

 

 クロノは言いようのない不安を感じて冷や汗を流す。

 

 あれが斥力や重力といった類のレアスキルならまだいい。十分に科学の範疇だ。魔法の範疇にさえ入っていればとりあえずの理解は出来る。しかしクロノの友人のようにオカルトじみた理解の及ばないレアスキルだった場合は正直手に負えない。何より彼が道具をほいほいと出し入れしていた事の説明が付けられない。

 

 ならば試し、とばかりに誘導性能を持ったスティンガースナイプも複数発放つ。しかし結果は同じ。彼の手前1mほどで不自然な方向にすっ飛んでいく。ある弾は直角に曲がり、ある弾は弾かれたように消滅し、またある弾は制御を失って堕ちていく。やはりどれも効果がない。

 

 相手が動いてないのをいいことについでとブレイズキャノンも打ち込んでみる。彼の身長を優に超える半径を持った砲撃。コレに包まれれば逃げ場もなく気絶するはず。そう思い込んで打ち込んで見るものの――

 

 攻撃は初めから的からそれており、やはり無傷。勿論外すつもりで撃った気はないし、ジェックも動いていなかった。

 

 遠距離では手がない。これではまるで挑戦者と王者があべこべだ。片方は必死に攻撃しているのに、対する方は無敵とばかりに優雅にくつろいでいる。とうとう椅子を出して紅茶を飲みだした。

 

(遠距離では決定打を与える事は出来ないか……しかし、むかつくな)

 

 多くの戦術を持ったクロノ。ならば取るべき手段はまだいくつもある。まずはセオリーとばかりに、遠距離がダメなら近距離で攻撃を打ち込む。おそらくは振動エネルギーによって対象を粉砕するブレイクインパルスならば回避をせざるをえまいだろう。勿論手加減つきだ、そんなものを人間に全力で当てたら死人が出る。

 

 そしていざ、という時に一歩足を踏み出そうとした時、ジェックは思い出したように立ち上がり――、

 

「ああ、そこ。落ちるぞ」

 

 瞬間、一歩地面に叩きつけたら

 

――ズボっと、半径5mの大穴が地面に空いた。

 

「なにぃぃぃぃ!?」

 

 ウワァァとドップラー効果を出して堕ちていくクロノ。飛行魔法を封じているのだから停滞は厳禁だ。地面に付く前に浮遊はするだろうからケガは無いと思うが。その底は深く、ゆうに20mはある。

 一体いつの間にそんな穴を開けたのやら。離れてみていたランドル教官も目を丸くしていた。何より先ほどクロノが足で踏んだ時には穴なぞ開かなかったのだ。それも場所はグラウンド。こんなところに大穴が開いているなど誰も思わない。しかもジェックは無慈悲にも

 

「はいはい閉まっちゃいましょうね」

 

と、指パッチンをしたら穴が開いていたはずの地面は、何事も無かったかのように元に戻った。

 

「さて、それじゃあ後は5分経つのを待つだけだな」

 

そう言って再びクラシックチェアに腰を戻して座り込んだ。その間、クロノは出てくることはなく、結局試合は引き分けというしょうもない結果で幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

「一体あれはどういうことだ……」

 

 試合終了後に近距離転移で穴、もとい洞窟から出て、土埃をかぶったままムッスーとした顔で質問するクロノ。心中は出されたハンデにしてやられたと感じている。しかし手段がなかったわけではない。威力の高い砲撃を使えば、それこそ20mの穴を撃ちぬいて作ることくらいはワケはない。しかしここは訓練校。そんな穴を開けてしまったら埋めようがないし、何より脱出の際に崩落の危険性がある。さすがに模擬戦といえど、後々迷惑がかかるやり方は好みではなかった。

 

 だが解せないのは一瞬で消えてしまい、そして戻ってきた土だ。あれほどの質量を一体何処にしまったのか。道具を出し入れできるスキルにしては範囲も規模も桁が違うにも程がある。ヘタしたら自分もろともどこかにすっ飛ばされてしまうのではないか、という妙な不安が膨れ上がった。

 

「内容はわからないが、随分と強力なレアスキルのようだな。管理局には登録しないのか?」

「自身の切り札を登録するバカがどこにいるんです?」

「……そうか。いや、局員としてはやっておいてほしいところなんだが」

 

 仕方ないか、とクロノは思い話を変えることにした。あれほど謎めいたレアスキルだ。他者に悪用される可能性も考えれば伏せておいたほうがいいのかもしれない。

 

「模擬戦の内容はあれだったとはいえ、五分しのいだのは事実だ。一応父には連絡をとっておく。だけど、許可が出なかったら面会はなしだからな」

「オーケー、問題ない」

 

 確信があるのかさらっと流すジェック。余裕の態度がまたカチンと来るが表には出さない。しかし見た目は可愛い顔しているが、中身は妙な性格をしているに違いないとクロノは思った。

 

「それでは教官、お騒がせしました」

「アレだけでよかったのかい?他にも訓練生はいたがね。ま、私としてはあまりひょいひょい子供を危険な場所押し出すのは感心しないからありがたいことだが」

「問題ありません。何より、集団で取り巻いて一人の少年をいじめるような人間が、果たして管理局員を努められるかは微妙だと思いますが」

「やれやれ、痛いところだね」

「僕が言うのもなんですが、やはり思想的にはリベラルであってほしいです。ああいった類は強権を持ったところで、きっと自爆するでしょうから」

 

 魔法こそ全て、と考えるような魔法至上主義はどこかで大体痛い目を見る。力で民衆を抑えようとするなら反発があるのが当たり前だ。先に語ったように質量兵器による奇襲奇策に翻弄されやすいのもある。

 

「では、タカマチ訓練生。許可が取れたら都合のいい日を連絡する。それまで待っていてくれ」

「ジェックでいい。訓練生になった記憶はないし、ここでは住を借りているだけですから」

「……そうか。ならジャック、また」

「ジェックです」

「む、済まない。言い難くてね。では」

 

 謝罪もほどほどに帰り道につくクロノ。その振り返る瞬間にちょっとだけ口元が緩んでいたのをジェックは目ざとく見ていた。

 

「やれやれ、あいつわざと言い間違えましたね」

「ハハハ、まぁ奴も悔しかったんだろうさ。試合結果はイマイチだが、逃げることや生存性には確実に特化していたからな君は」

「そういうあなたは、どっちが勝つと思ってたんです?」

「んん。さて、帰ってメシを作らないとな」

「露骨に話をそらすなオイ。あと、あなたの家はここだ教官」

「世知辛いね。仕事がお友達と化してる今は実家が懐かしいよ。……で、あれで良かったのかい?」

「ああ」

 

 今回の一件、これはジェックが仕込んだものだ。ある意味クロノがここに来たのは偶然であるが、ジェックの情報をある程度流したのは彼自身の判断だ。それに教官が乗ったに過ぎない。さすがにわずか数日では、大した隙も出さないジェックを判断するのは難しい。まるで大人のような子供を目にしているようだ。

 

 そしてどうしてこんなことをしたのか。それはクロノの父、クライド・ハラオウンに穏便に接触する機会を得るためである。彼は「縁結び」という技を使える関係上、高町なのはの記憶にあり、かつ縁が繋がっている誰かが接触していればそれをたどって転移でクライドの元に辿り着ける。

 

 しかしそんなことをすれば目立つばかりか管理局員にお縄になる可能性が高く、面倒になるのでしなかっただけだ。転移反応くらいさすがにお膝元だからチェックくらいはしているだろう。レアスキルによる転移が純粋に反応を示すかは疑問だが。

 

 ついでに言えば今回の模擬戦ではそのほとんどが「縁切り」を利用していた。自身に対する攻撃の縁を切ることで方向を逸らし、地面と世界の縁を一時的に切り離すことで大穴を開けた。その際に土が何処に行ったのかはぶっちゃけ彼にもわからない。もしかしたら収納箇所が虚数空間あたりだったりするのかもしれないが確認は出来ない。そういう感じで、彼は対象と対象の何がしかの繋がりが概念的に確認できてさえしまえばぶった切ることが出来るのである。

 

つまりコヤツ、縁を確認させなければいいのだから奇襲にはめっぽう弱い。

 

 遠距離からスナイパーライフルでバッスンと撃ちぬかれてしまえばそれまでだ。概念的能力に寄って立つ彼はその魔力の制御をそちらに回しきっているために物理的には脆いのだ。ぶっちゃけ内蔵するジュエルシードとレリックの無駄遣いである。特に高町なのはの記憶にない縁は自身でつけるか確認を取らねばならず、相応に不便な点も多かった。

 

 加えて攻撃手段も持ち得ない。千日手に持ち込むか、相手を世界そのものから縁切りしてすっ飛ばすか、転移で逃げ切るかしないと彼は生き残る手段がないのだ。故に彼は目立たないように行動してきた。ソレは後々語る苦労の一つになるのだろう。そして今更悪目立ちする理由も勿論ない。今回の件は随分とケチがついたが、まぁどれが危機管理が出来るかといえばこちらなので安い買い物だったと思うしか無い。

 

「それで、君はどうするんだ?管理局に入るのかね?」

「いえ、今回の目的は面会だけですから。表に出て面倒になるより裏でアレコレ行うほうが楽でしょう。そうすれば、おそらくはあなたの望みうる世界に辿り着ける可能性が産まれる」

「それは……なるほど。確かに、君なら何かをしでかすかもしれんな。その時を待っていようか」

 

 このランドル教官には子供の労働に関する部分など、思う将来性に一致する部分もあったのか自身が計画する一部を話している。だからこそクロノに対する情報の横流しに協力を入れてもらえたのだ。そしてこれは、これからクライド・ハラオウンに話すことでもある。

 

「さて、それでは食事にしましょうか。きっとPXのおばさまがフライパンをお玉で打ち鳴らしてますよ」

「アレは随分と響くからねえ。食事の合図には持って来いだよ。見れば段々凹んでる気がするが」

「……おばさまの腕力が末恐ろしいな」

 

 会話内容は随分とのほほんとしたもので、未だ平和を甘受できていた。そう、今はまだ。

 




ごひ、閣下……教えてくれ……!どうしてそんな短文でしっかり説得力ある言葉を吐けるんだ……!
次回はちょっと修正多めになりそうなので水~金の間。

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