やはり俺がウルトラセブンなのはまちがっている。   作:断空我

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遅くなって申し訳ない。

この先の展開を考えて、書いては消して、書いては消してを繰り返し、帰ってきたウルトラマンやウルトラマンタロウをみていたり、ウルトラマンをみたり、そして、ウルトラセブンをみて、ゴジラをみたりと色々やっていました。

今回の話は二番目にアンケート回答が多かった回、果たしてうまくいっているだろうか、

あ、連載形式に変更しました。
よろしくお願いします。



第九話:職場見学(由比ヶ浜ルート)

――アイゼンテック社。

 

 愛染誠が社長として経営する大企業。

 

 町工場だった愛染鉄鋼を社長一代で大企業までなりあがった。

 

 愛染マコトが社長であることから愛染テックと呼ぶ者もいた。

 

 昔の鉄工業などから宇宙開発や新エネルギーの研究などで世界中から注目を集めている企業。

 

 今回、職場見学の許可が下りたことから総武高校の生徒達がこぞってやってきていた。

 

 その中に由比ヶ浜や三浦優美子、そして海老名姫菜達の姿もある。

 

「大きなタワーだし」

 

「アイゼンテックのシンボルともいえる愛染タワーらしいよ?」

 

「へぇ~」

 

 三人がタワーを見上げていた時、何かが光った。

 

「あれ?何か光った?」

 

 由比ヶ浜が首をかしげている中で空から白い影がゆっくりと彼らの前に現れる。

 

 背中に飛行ユニットを背負い、ヘルメットを被り、白いスーツの上下を纏った男性がゆっくりと降り立つ。

 

「皆さん、ようこそ!アイゼンテックへ!私が「愛と善意の伝道師」であり、社長の愛染誠です!」

 

 ヘルメットを脱いで爽やかな笑顔を浮かべる彼こそが一代で町工場だった愛染鉄鋼をアイゼンテックへと進化させた社長である。

 

 彼の登場に生徒達が興奮していた。

 

 戸部が訳の分からない言葉を叫び、葉山も苦笑している。

 

 三浦や海老名も彼の登場に興奮していた。

 

 中にはサインを求める者達もいる。

 

 ただし、由比ヶ浜は普通の反応をしている。

 

 今までにインパクトある宇宙人や怪獣を見てきた影響だろうか?空から人が降ってきても平然としてしまっていた。

 

 愛染社長の登場と共にアイゼンテックの社内案内が始まる。

 

 生徒達の誰もがアイゼンテックで開発されている様々なものに目を輝かせた。

 

 愛染社長が登場する際に背負っていた飛行ユニット。

 

 黒いボディスーツを着る事で体操選手のように自由自在に動ける特殊スーツ。

 

 何よりも生徒が興奮したのはジェットブーツである。

 

 見た目は普通のシューズだが、スイッチを起動するだけで反重力システムによって宙に浮くことができた。

 

 このシューズを体験として生徒達のほとんどが試す。

 

 スカートをはいていた三浦や由比ヶ浜女性陣は遠慮したが戸部達はまるで無重力の中を無邪気な子供のみたいにはしゃいでいた。

 

「あーし、驚いてばかりなんだけど」

 

「アタシも、まぁ、姫ちゃんがさっきから鼻血出しているのはどうなのかな?」

 

「擬態の失敗だし」

 

 幸せそうな表情をしている海老名の視線は愛染社長と共に飛行ユニットで町内を一周している葉山と愛染社長へ向けられている。

 

 彼女の中にある腐女子本能が騒ぎ出していた。

 

 苦笑しながら由比ヶ浜は空を舞う彼らの姿を見ている。

 

「(ヒッキーも来ればよかったのになぁ)」

 

 ヒッキーこと、比企谷八幡はアイゼンテックではなくて地球環境保全委員会が推進しているハイパーソーラーシステム研究所の方を選んでおり、そのために由比ヶ浜達と別行動である。

 

 彼がいればもう少し楽しめただろうと由比ヶ浜は心の中で思っていた。

 

 そんな彼女の姿を見つめている者がいると知らず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 休憩時間になって、アイゼンテックの社員食堂で生徒達は集まっていた。

 

 皆、先ほどまでの空中散歩の熱が冷めていないのだろう。がやがやと騒がしい。社員の人達は気にしていないどころかニコニコと見守るような目を向けている。

 

 空を飛んだ生徒達が談笑している中で由比ヶ浜がアイゼンテックのパンフレットを眺めていた時だ。

 

「隣はよろしいかなぁ?」

 

 対面へにこにこと座りながら腰かけたのは社長の愛染誠である。

 

 突然のことに目を丸くする由比ヶ浜。

 

「どうも、愛と善意の伝道師!愛染誠です!」

 

「あ、それは、さっき」

 

「いやぁ、若者は良いねぇ。元気と若さがあって素晴らしい!その熱意で宇宙進出も夢じゃないと思うんだよ!」

 

「宇宙進出ですかぁ」

 

「おやおや、キミはあまり興味ないかい?」

 

「いえ、その、突拍子無さ過ぎて」

 

 実のところ、宇宙へ出て、旅をしていたことがあるなどと口が裂けてもいえるわけがない。

 

 話したところで信じてもらえるかわからないところだろうけれど、由比ヶ浜は心の中で苦笑してしまう。

 

「愛染社長はどうして、アイゼンテックを立ち上げたんですか?」

 

「憧れがあるのさ」

 

 先ほどまで笑顔を浮かべていた愛染誠は何かを思い出すように目元を緩める。

 

「憧れ?」

 

「そうとも!宇宙は夢が詰まっている!冒険、恋愛、まだみぬ未知の惑星!それを探索することが私の夢なのだとも!そして、いつかは……光の巨人に会いたいとね」

 

「光の巨人?それって、今、話題になっているウルトラセブンですか?」

 

「ウルトラセブンかぁ……確かに、それもあるだろう、だが、私が敬愛する光の巨人は別にいる!輝きの聖剣を携えた」

 

「へ?」

 

「コホン!キミは歴史に興味があるかな?」

 

 まるで話題を切り替える様に愛染誠尋ねる。

 

「いいえ、あんまり」

 

 そもそもあまり成績が良くない由比ヶ浜である。

 

 歴史においても少し前に全力で暗記して赤点回避をしていた。

 

 今は雪ノ下雪乃や八幡のおかげでなんとかなっている。

 

「まぁ、ききたまえ!私は世界中を旅したんだがね?どこの国においても古き時代、まだ科学が華を咲かせる前の時代に悪魔や怪物から人々を守ったという光の巨人の伝説がある」

 

 光の巨人と聞いて、由比ヶ浜の脳裏にはウルトラセブンと酷似した赤と銀の巨人の姿が過ぎった。

 

「人類がどうしょうもないくらいのピンチに襲われた時、どこからともなく光の巨人が現れて怪獣や様々な脅威から人類を守る。そんな素敵な存在に私はいずれ」

 

「いずれ?」

 

「あぁ、何でもないよ」

 

 首を振っていた愛染誠だが、ある方向を見て目を見開く。

 

「あれは……」

 

 ダッと走り出した愛染社長の姿に由比ヶ浜はポカンと口を開けてしまう。

 

 愛染社長はカウボーイのような帽子をかぶっている生徒へ話しかけるとどこかへ連れていく。

 

「変な人」

 

 それが由比ヶ浜の抱いた愛染誠に対するイメージである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイゼンテックの社長室。

 

 隠し部屋に愛染誠はいた。

 

「あれがo-50の力を受け継いだ子か」

 

 目の前に投影された映像には友達と楽しくしゃべっている由比ヶ浜結衣の姿がある。

 

「ふざけんなよぉ!なんであんな奴が戦士の頂で力を認められるんだよ!?ありえぬ!認められるかぁあああああああああああ!」

 

 ひとしきり暴れた後、愛染誠は不気味な笑顔を浮かべる。

 

「まずは小手調べ!その力がどれほどのものかぁ、みせてもらおう!」

 

 懐から愛染誠が取り出したのは由比ヶ浜が使う【ジャイロ】と酷く酷似しているもの。

その名もAZジャイロ。愛染誠お手製のアイテムだ。

 

 彼の手の中には二つのクリスタル。

 

「まずはお手並み拝見!」

 

 AZジャイロの中心にクリスタルをはめこんで左右へ引っ張る。

 

【アーストロン!】

 

 眩い閃光と共に町中に怪獣が姿を現す。

 

 爬虫類を連想させる姿に黄色い瞳、そして、頭部へ伸びる角。

 

 怪獣 アーストロンが出現した。

 

 マグマ光線によってビルは倒壊。

 

 街の人達は悲鳴を上げて逃げ惑う。

 

 そして、アイゼンテックも職員や生徒達も避難指示が出ていた。

 

「落ち着くんだ!アイゼンテックには頑丈で安全!そして、大勢の人たちが収容できるシェルターが完備されている!あぁわてずに避難をするのだぁあ!」

 

 悲鳴を上げる生徒達だが、颯爽と現れた愛染誠の言葉に安心した表情を浮かべて慌てることなく進んでいく。

 

 逃げる生徒達から少し離れた場所で由比ヶ浜は鞄からジャイロを取り出す。

 

 此処のところ、連続して発生している事件からもしかしたら必要になるかもしれないと念を入れて持ってきていた。

 

「ヒッキーやゆきのんがいないんだ。だから、私が」

 

 ジャイロを構えて中心へクリスタルをはめ込む。

 

【グルジオキング】

 

 クリスタルの輝きと共に由比ヶ浜はグルジオキングへ変身する。

 

『わっ、ととぉ!?』

 

 変身したものの、アーストロンの目の前へ出現してしまったことで正面からぶつかりあってしまう。額を押さえるグルジオキング。

 

『いったいなぁ、もう!』

 

 頭をぶつけたアーストロンは悲鳴を上げながらマグマ光線を放つ。

 

 光線はグルジオキングの強固な皮膚に直撃。

 

『わわって、あれ?そんなに熱くない』

 

 ぺちぺちと手で皮膚を叩くグルジオキング。

 

 アーストロンは今の攻撃が通用していないことに目を丸くしている。

 

 慌てながらも近くの瓦礫を次々とグルジオキングへ投げていく。

 

『わっ、こら!いい加減にしないと怒るよぉ!』

 

 隙を突いて近距離で熱戦を放つアーストロンの体を掴みながらそのまま投げ飛ばす。

 

 アーストロンは頭から地面へ落下しながらもふらふらとその体を起こす。

 

 哀れ、アーストロンとグルジオキングには圧倒的な力の差が存在していた。

 

『行くよ!ギガキングキャノン!』

 

 グルジオキングに搭載されている砲台から必殺の光線が放たれた。

 

 光線を受けたアーストロンは爆発を起こして消滅する。

 

 怪獣が消滅したことを確認してグルジオキングは一息つこうとする。

 

 その時、上空から怪獣出現の報告を受けた防衛軍の空軍部隊が向かってきていた。

 

 ウルトラ警備隊がハイパーソーラーシステムの護衛で不在であったため、スクランブルしたのである。

 

『わっ、ヤバッ!』

 

 不用意な争いを避けるためにグルジオキングは光に包まれる。

 

 光が消えるとアイゼンテックの建物の近くに由比ヶ浜が降り立った。

 

「ふぅ、びっくりしたぁ……みんな、大丈夫かな?」

 

 由比ヶ浜は鞄の中にジャイロを仕舞うと避難所にいる三浦たちのところへ向かう。

 

「結衣!アンタ、どこにいたし!?」

 

「あははは、道に迷っちゃって」

 

「もう!心配かけるなし!」

 

「良かったよぉ~、現れた怪獣も後から現れた怪獣に倒されたみたいで、その怪獣もどっかいっちゃったし」

 

「うん、ごめんね、二人とも」

 

 心配してくれている三浦と海老名の二人に由比ヶ浜は謝罪する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄暗い闇の部屋。

 

 そこで愛染誠は地団駄を踏んでいた。

 

「何で怪獣なんだよ!O-50で戦士の頂に触れたんだろう!?光の力を手にしたんだろう!?それなら怪獣のクリスタルじゃなくてウルトラマンのクリスタルだろう!しかも何だい何だい!登場から怪獣と激突するとかふざけている!カッコよく登場するものだろう!キメワザはともかく!もっと苦戦して苦戦して苦戦してぇ、最後の逆転劇だろう!?平然と怪獣を倒しやがってぇ!」

 

 地団駄を踏みながら机に拳を叩きつけた。

 

 その拍子に机に置かれている複数のクリスタルが地面へ落ちる。

 

 クリスタルが落ちたというのに愛染は気にしない。

 

 荒い息を吐きながら彼は懐から取り出した一つのクリスタルを眺める。

 

 聖剣を構えている光の巨人のクリスタル。

 

 にやりと愛染誠は不気味な笑顔を浮かべる。

 

「必ずなるんだ。私が光の巨人に、ウルトラマンオーブに!!」

 

 不気味な表情を浮かべながら愛染誠は自らの企みを実行へ移すためにクリスタルを握り締めた。

 

「だからこそ、利用させてもらうぞ?お前を」

 

 愛染は机に置かれている街中に設置された監視カメラ。

 

 ノイズ交じりの中に映されている黒衣の男の姿がそこにあった。

 

「私がウルトラマンオーブとなって人類を導く栄光ある伝説のはじまりだぁああああああ!」

 

 

 

 

 

 

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