今日のウルトラマンタイガ、色々とネタ満載で笑ってしまいました。
BGMも良いし、マンダリン草がらみの自販機もみれて、幸せですなぁ。
今回は戦士の頂に選ばれた少女の話。
話はボイスドラマを参考にしています。
「おーい、ユイ、そろそろ休憩しよう」
「は、はい!」
重たい荷物を倉庫へ入れながらあたしは外に出る。
倉庫を出て、店内へ戻るとファントン星人、ミシュラさんが手を振っていた。
「いつも思うけれど、ミシュラさん、どれだけ食べるの?」
「うん?これくらいファントン星人では普通だ。わしよりもっと食べる奴だっているぞ」
目の前に広がる様々な料理。
このあたりの果実や他の星の食べ物など様々で、見た目はとにかくアウトだけれど、食べられないわけじゃない。
最初は拒絶しちゃったけれど、今はなんとか食べられるようになっていた。
あたしがここ―惑星O-50へ訪れて一カ月が過ぎようとしている。
「サブレもほら、食べて」
愛犬のサブレと一緒に散歩をしていて、あたしのミスでサブレが車道へ出てしまった際に起こったわーむほーる?という現象であたしはこの惑星へ飛ばされた。
右も左もわからず、ならず者達に襲われそうになったところをファントン星人 ミシュラさんに助けてもらった。
それから、色々なことをミシュラさんに教えてもらっている。
宇宙共通言語も、今は普通に話せる。
今、あたしはファントン星人 ミシュラさんが経営しているジャンク屋で働いていた。
ジャンク屋というのがよくわからないけれど、この星へ訪れた宇宙人たちからするとそこそこの知名度はあるらしい。
「そーいえば、あたし、何でこの星に色々な宇宙人が来るのか知らないや」
食事を終えて睡眠に入っているミシュラさんの姿を見ながらあたしはふと、呟いた。
この惑星、O-50というらしいけれど、そこにある唯一の村は必ずと言っていいほど、宇宙人がやって来る。
どうしてくるのか、そういった理由をあたしは知らない。
「サブレ……って、寝ているし」
あたしと同じようにやってきた愛犬のサブレは幸せそうにミシュラさんの膝の上で寝ている。
飼い主のあたし以上にミシュラさんに懐いているんじゃないかな。
そんなことを思いながらあたしは食器を片付けることを始めた。
料理は、その、できないけれど、それ以外のことは不器用ながらになんとかできるようになったし。
閉店と宇宙共通言語で書かれている看板を裏返して空を見る。
薄暗い夜空なのに、どこか幻想的な輝きに見えるのはここが地球じゃないと思うからなのかな?
そんなことを思いながらジャンク屋の中へ戻る。
けれど、あたしは知らなかった。
運命の日がすぐそこに近づいていることを。
「何か、街が騒がしいね」
あたしはいつものように店の前にジャンクパーツを並べていた。
大きな機械で、ミシュラさんの話によると宇宙船の心臓部に当たるパーツらしい。
宇宙船なんてまだみたことないからわからないけれど、宇宙人によって技術が異なるんだって。
「すまない」
機材を置いていたところで、声をかけられる。
「うわっ!」
驚きの声をあたしはあげてしまう。
そこにいたのは二メートルくらいの長身の大男だった。
「すまない、驚かせただろうか?」
「あ、ごめんなさい、えっと、何か買い物?」
「戦士の頂を探しているんだが、知らないだろうか」
「戦士の頂?知らないなぁ」
「そうか。手を止めさせて申し訳ない」
「いえいえ!大丈夫ですから!」
大男は手を振ると去っていった。
あたしは残りの作業を行うことにする。
これを終わらせないと休めないんだから。
「失礼」
振り返ると宇宙人の少年が立っていた。
見た目はあたしより下くらいだろうけれど、気をつけないといけない。宇宙では外見は判断材料にならない。見た目が子供に見えてあたしより年上なんてごまんといるらしい。
「何でしょうか?ジャンクパーツを探しですか?」
「いえ、そんなガラクタに興味はありません。失礼ですが、戦士の頂がある山はどちらでしょうか?」
「戦士の頂?さっきも聞いたなぁ」
名前に首をかしげる。
「知りませんか?」
「うーん、知らないかも、あ、でも」
あたしはある方向を指す。
「この村へ来た人達は大体、あっちへ行くよ」
ジャンク屋の手伝いをはじめて少し過ぎるけれど、この星へやってきた人たちは何故か、ある方向をいつも目指す。
ここにいる人もあっちの方へ行くのだろう。
「あぁ、あちらですか、ありがとうございます」
「ねぇ、戦士の頂?そこを目指してどうするの?」
あたしの質問に青年の宇宙人は笑みを浮かべる。
人を小馬鹿にしたような笑みで好きじゃないなぁ。
「決まっています。人を導く光になるんですよ」
「光?」
「えぇ、それでは時間が惜しいので」
そういって、青年の宇宙人は去っていった。
残されたあたしはジャンクパーツの片づけを終えて店内へ戻る。
「何だ?いつもより時間が掛かっていたみたいだが?」
店内でくつろいでいたミシュラさんにあたしはさっきのことを話した。
「はぁ、また、戦士の頂へ挑戦する者がでてきたのか」
「そういえば、さっきの子も話していたけれど、戦士の頂ってなんなの?」
「あぁ、まだ話していなかったかな?」
「うん」
サブレといちゃついているミシュラさんにあたしは頷いた。
近くの椅子へ腰かけたあたしはミシュラさんの話に耳を傾ける。
この惑星 O-50に切り立った崖の上に青白く燃え上がる光の輪がある。そこを戦士の頂といい、たどり着き、輪に選ばれた者に強大な力を与えてくれるらしい。
「強大な力?さっきの人は光といっていたけれど?」
「どうだろうな、戦士の頂へたどり着いた者はいるそうだが、輪に選ばれた者は未だにいないと聞いている。眉唾という話もあるからなぁ」
「ふーん」
「そもそも、ここは戦士の頂に挑戦して失敗した者達が集まってできた村という話らしいぞ」
「そうなの?じゃあ、ミシュラさんも?」
「いいや、わしは各地を旅して落ち着ける場所を探していただけだ」
「落ち着ける場所がここってこと?」
「どうだろうな、もしかしたら資金集めでここにいるのかもしれん」
「そっかぁ」
落ち着ける場所、ミシュラさんは目的があって行動をしているってことだよねぇ。
じゃあ、あたしは?
あたしはどうしたいのだろう。
元の場所へ戻りたい。
それだけの為にここでお金を稼ぐ?
何も定まっていないあたしが少しだけ嫌になった。
「ここ、宇宙なんだよね」
その日の夜、あたしは部屋の外からみえる空を眺めていた。
宇宙飛行士が地球を出ていくけれど、行ける距離に限りがあるって聞く。
あたしみたいに地球から遠く離れた場所へやってきたのは一人だけだろう。
「そーいえば、あの場にいた人達はどうなったのかな?」
わーむほーるに飲み込まれる瞬間、一緒にいた人達はどうなったのだろうか?
サブレを助けようとしてくれた男の子、リムジンに乗っていた女の子。
二人はどうなったのだろう?
そんなことを考えながらあたしは横になる。
明日も一応、慣れてきた日常が続くはず。
あたしはそう考えていた。
間違いだとすぐに思い知ることとなる。
O-50の村は突如、襲撃を受けた。
村を蹂躙するのは人の形をしたロボット。
人たちは悲鳴を上げながら逃げ惑う。
「ミシュラさん!」
「ユイ!すぐに逃げるんだ!」
「何なの、あれ!」
「星間連盟の兵器だ!連中、ここを破壊するつもりだ」
星間連盟?
破壊?
どういうこと!?
戸惑いながらもあたしは逃げるしかない。
サブレはミシュラさんが抱えて逃げてくれていた。
村の近くにいると人型兵器に踏みつぶされてしまう危険があるから、あたしは山の方へ逃げることにする。
「ぎゃぁあああ!」
近くの岩場で一息ついたところで悲鳴が聞こえてびくぅと体が震えた。
おそるおそる岩場の角から顔を出す。
近未来的なデザインの銃らしきものを構えた集団が逃げる人たちを次々と撃っていく。
あたしは恐ろしくて一歩も動けない。
勇敢な人なら飛び出して一人でも助けようとするだろう。
その勇気があたしにはない。
死ぬかもしれないという恐怖に一歩も動けなかった。
集団が去ったことを確認して由比ヶ浜はゆっくりと岩から出ようとする。
「むぐ!」
後ろから伸びてきた手によって再び岩陰へ戻されてしまう。
「静かに……連中は離れたがまだ索敵の範囲内だ。動けばすぐにバレてしまう」
冷静な声で言われてあたしは頷く。
しばらくして、手が離れて振り返る。
「貴方……」
後ろにいたのは以前、道を聞いてきた人だ。
戦士の頂へ挑戦しようとしていたことを考えると実力はあるはず。
「お願い!村の人を助けて!」
「そうしたいのは山々なのだが、いかんせん、星間連盟の人型兵器の数が多すぎる」
「人型兵器?」
「あれは人の形をしているがその本質はロボットだ。ただインプットされた指示を行う為に作られた兵器」
「全然、そんな風にみえない」
「それだけ連中の技術が上ということだ」
しばらくして、もう大丈夫だと言われてあたしは岩陰から出る。
人型兵器が出てこないことを確認して振り返った。
手が四本、足が四本という姿で見た目がおそろしいと思ったけれど、さっきの会話のやりとりから、不思議と恐怖心のようなものはない。
「キミは」
向こうもあたしのことを覚えていたのか目を見開いている。
「えっと、村で会いましたよね?」
「あぁ、覚えている。私はジークルトだ」
「由比ヶ浜結衣です。えっと、由比ヶ浜が苗字で名前は結衣です」
「キミはテラ人だな」
「テラ?」
「キミ達の星の言葉でいうなら、地球人だったかな?」
「地球のこと知っているんですか!?」
「昔、とても昔だが、地球へ行ったことがある」
あたしは驚いた。
地球のことを知っている人がいるなんて。
「このあたりに人型兵器が来るかもしれない、上の方へ行こう」
「あ、はい」
あたしが頷いたことを確認してジークルトさんと一緒に山頂に向かう。
山頂は険しいから人型兵器も上がって来ることが難しいというのはジークルトさんの言葉だ。
ジークルトさんは地球から何万光年も離れた星の出身(星の名前は宇宙共通言語でも訳すことが難しいらしいからわからない)で戦士の頂へ挑戦するために惑星 O-50へやってきたのだという。
「どうして、戦士の頂へ?」
「光の力を求めて……ユイ、キミはどうして、この星へ?私の記憶が確かならテラはこの星まで航行する技術を有していない筈だ」
「えっと、実は」
あたしはジークルトさんにファントン星人 ミシュラさんに話したようなことを伝える。
「ワームホールか、それは災難だったな」
「うん、でも、ミシュラさんとか、村の人達のおかげで生活できているから」
「キミは強いな」
「え、そんなことないよ、あたし、逃げるだけで精いっぱいだったし」
さっきのことを思い出して体が震えそうになって腕で抱きしめる。
「……どうして、こんなことになったのだろう」
ぽつりとあたしは呟く。
わーむほーるに巻き込まれて、村で静かに暮らしていたのに、星間連盟とかいう訳の分からない人たちに襲われるなんて。
「理不尽な事というのは広い宇宙で当たり前のことだ。どれだけ足掻いても手に入らない者もあれば、絶望感というのは当たり前のようにやって来る。だから、私は光を求めている」
「光って……何なのかな?」
「キミは知らないのか?」
ジークルトさんの言葉にあたしは頷いた。
「では、キミはウルトラマンのことも知らないのか?」
「ウルトラマン?」
何だろうか?
あたしの言葉にジークルトさんは苦笑しながら話してくれる。
ウルトラマンとは、ここより遠い場所M78星雲にある光の国に存在する超人のことを言うらしい。
彼らは宇宙警備隊という組織で平和の為に自らの超人的な力を使っている。
「そして、戦士の頂に認められた者は強大な光の力を手にすることができるという言い伝えだ」
「言い伝え?」
「戦士の頂が発見されて長い時間、光を手にした者がいないからな」
「そうなんだ」
あたしが驚いているとジークルドさんの長い腕が伸びてきて地面へ伏せさせる。
「な、なに!?」
「追手だ!」
赤い瞳で後ろを睨むジークルドさん。
ぞろぞろと人型兵器が武器を構えてやってくる。
「このままだと」
ちらりとジークルドさんは山頂を見る。
「ユイ」
「な、なに?」
「すまん」
「え、きゃあああああああああああああああああああ!?」
ジークルドさんによってあたしは思いっきり空に向かって投げ飛ばされる。
突然の事態に混乱しながらもあたしはスカートだけは抑えた。
女の子だもん、これくらい当たり前でしょ!?
悲鳴を上げて、あたしは暗雲を一時的に突き抜けると、そのまま重力引かれて、落ちていく。
「い、いったい」
何とか着地は成功しました。
けれど、足や腕とか滅茶苦茶痛いぃ。
服についた土や汚れなどを払い落としてまわりをみる。
薄暗い空の下、宙に輝く丸いわっか。
輪は炎のように白い輝きをゆらゆらと放っている。
「何だろう?あれ?」
魅入られる様にあたしは光の輪へ手を伸ばす。
手を伸ばした時、輪が強い輝きを放つ。
驚いて下がるあたしの前で輪の中心から光り輝く何かが形成される。
光で作られたアイテムがあたしの手の中に握られた。
「えっと、どういうこと?」
突然の事態に困惑しているあたしの前で光の輪がまた輝く。
輪から小さな光があたしの手の中に入る。
握った手を開くと複数の丸いメダルのようなものがあった。
「そうだ、ジークルドさんは」
「動かないでもらいましょうか」
いつの間にか後ろに一人の青年の姿をした宇宙人が立っていた。
「おや、村の生き残りですか」
「貴方、戦士の頂へ挑戦しようとしていた」
あたしの言葉に男の子の顔が歪んだ。
浮かび上がる感情は怒り。
手の中にある光線銃をあたしの足元へ向ける。
「何するの!?」
「うるさい!拒絶するものなどいらない!邪魔する奴も、こんな風になぁ」
彼が指を鳴らすと人型兵器がどさりと何かを投げ捨てる。
目の前に転がっているものをみて、あたしは目を見開く。
「ウソ……まさか、ジークルドさん!」
すぐに駆け出したかったが、光線銃を向けられて動けない。
「ここを破壊しようとしたら邪魔をしてきましてねぇ、コイツのせいで数体の兵器が破壊されましたが、所詮、一人だ。できることなど限られている」
倒れているジークルドさんを蹴り飛ばす。
「やめて、そんなこと!」
「うるさい!」
足もとに光線が直撃して石の破片が飛び散る。
びくっと怯えて後ろへ下がってしまう。
「どいつもこいつもバカにしやがって!僕が星間連盟のトップの子なのに、見下したような目をしやがって!戦士の頂の力を手にしようとしたら、弾かれた。ふざけんなよ!どいつもこいつも!」
げしげしとジークルドさんの体を蹴り飛ばして悪態をつく姿はとても恐ろしく思える。
出会った時は笑顔を浮かべていたけれど、これが本性なんだろう。
「さて、貴方を排除して、ここを破壊する。まぁ、可能ならこの星を丸ごと爆破することくらいしたいのですがねぇ、持ってきた超獣で星を破壊することができないのが酷く残念ですよ」
青年が指を鳴らすと目の前で武器を構える兵器たち。
「ユイ!!」
倒れていた筈のジークルドさんが起き上がり、両手を広げてあたしの前に立つ。
放たれる光線が次々と彼を撃ちぬいていく。
あたしはそれを見ていることしかできない。
「グフッ」
口から血を吐いて膝をついたジークルドさんの姿を見て、ようやくあたしは走り出した。
「ジークルドさん!ウソ、えっと、これは」
「ユイ!」
伸びてきた手があたしの肩を掴む。
「ジークルドさん、血、血がぁ」
「私は戦士の頂へ挑戦した。けれど、認められることがなかった。この醜い容姿のせいなのかはわからない……だが」
ジークルドさんの目があたしの手の中にあるクリスタルとアイテム、ジャイロへ向けられる。
「キミは、とても優しい子だ。それでいて、強い……その強さをなくさないでくれ、そして、出来れば、出来れば」
ゴフッと吐いた血があたしの服にかかる。
「すまない、私をキミの重荷にしたくはなかった。だが、叶うなら……もし、キミがいつか、私の故郷へいったら仲間に伝えてほしい――」
――力は手にできなかった、だが、光は正しい者の手に渡るだろう。
「え、なに?」
聞こえないよ、ジークルドさん?
何を言おうとしたの?
ねぇ、聞こえないよ?お願いだからもう一度、教えてよ。
あたしに、何を伝えようとしたの?
「ねぇ、ジーク」
「死んだか、まぁいい」
あたしの声を遮って青年が冷めた目であたしとジークルドさんをみる。
「このまま銃殺してやってもいいかもしれないが、これだとつまらない、どうせだから」
青年が指を鳴らすと唸り声をあげて巨大な怪獣が現れる。
「ミサイル超獣 ベロクロン。全身ミサイルの怪獣に戦士の頂諸共、存在を消し去るがいい」
唸りながら口や体の突起物から無数のミサイルが放たれる。
「消え去れ」
ミサイルが由比ヶ浜へ迫る中、彼女は手の中に握り締めていたクリスタルの一つ、強い輝きを放つものを握り締める。
片手に持っている【ジャイロ】の中心へクリスタルをはめ込む。
そのまま由比ヶ浜は左右のハンドルを掴んで横へ引っ張る。
数回、引っ張るとジャイロの中心から輝きが広まっていく。
【グルジオボーン】
由比ヶ浜は光に包まれて、赤い骨のようなものに全身を覆われた怪獣【グルジオボーン】へ変身する。
全てのミサイルを叩き落したグルジオボーンはそのままミサイル超獣 ベロクロンへ拳を振るう。
ミサイル超獣 ベロクロンは宇宙怪獣と珊瑚によって作られた生命体であり、その力は自然発生する怪獣よりも強力でおそろしいものになっていた。
今は亡きヤプールの手によって体の至る所にミサイルが存在しており、地球の防衛軍の戦闘機部隊を全滅させたほどの威力を持っている。
その相手にグルジオボーンは尾のボーンテイルを振るう。
連続で繰り出されるボーンテイルによってミサイルを撃つ暇がないベロクロン。
振るわれる攻撃の隙をついて、ベロクロンが口から火炎放射を放つ。
攻撃を受けて怯んだグルジオボーンへ両手からリングを放って体を拘束する。
両手の自由を奪われたグルジオボーンへ次々とミサイルを発射する。
とどめとばかりに口からカタパルト式中型ミサイルを放った。
二発のミサイルがグルジオボーンへ直撃して、地面へ倒れる。
『セレクト!クリスタル!』
叫びながら由比ヶ浜はジャイロの中心のクリスタルを入れ替える。
【ホロボロス!】
グルジオボーンが光に包まれて、その中から青い体皮、白い毛皮に覆われたライオンを連想させる怪獣、豪烈暴獣 ホロボロスが現れる。
姿が変わったことに動揺したベロクロンの口の中へ爪を押し込む。
唸りながらホロボロスは力任せにベロクロンの口からミサイルのカタパルトを引き剥がす。
悲鳴を上げて逃げようとするベロクロン。
追撃するホロボロス。
不意を突くように背中からミサイルが迫る。
だが、既にホロボロスはその場にいなかった。
ベロクロンの前に回り込んだホロボロスの両手の爪がエネルギーに包まれる。
『メガンテクラッシャー!』
頭の中に浮かんだ必殺技を叫びながらホロボロスがベロクロンを細切れにする。
「ば、バカな!超獣だぞ!?ベロクロンだぞ!それが、あんなわけのわからない怪獣に倒される!?そんなことがあっていいわけが、あ、あぁあああああああああああああ」
ベロクロンが倒されて動揺する青年。目の前に迫る爆風によって崖から真っ逆さまに落ちていった。
「ジークルドさん……」
ホロボロスから人の姿へ戻った由比ヶ浜はふらふらと彼の亡骸を探す。
さっきの爆風によって彼の亡骸もどこかへ姿を消していた。
「なんで……何でなの」
由比ヶ浜は戦士の頂の中心で輝く光の輪へ叫ぶ。
「なんで、あたしなの!?どうして、あたしがこんなものを手にしているの!?これなら、ジークルドさんにあげてよ、どうして、どうして、こんなことに……最低だよ!」
光の輪が強い輝きを放つ。
手の中にあるジャイロが共鳴して由比ヶ浜の前に光の文字を形作った。
指令である。
「知らない!」
由比ヶ浜はその手で文字を払いのける。
「あたしはこんな力、欲しくなんかなかったよ!」
ジャイロを地面へ叩きつけようとしたところで彼女は地面へ座り込んだ。
「おぉ、ユイ!無事だったか!」
あの後、由比ヶ浜はどうやって戦士の頂から村へ戻ってきたのか覚えていない。
彼女が気付いた時、目の前に笑顔で手を振ってやってくるミシュラとサブレの姿があった。
「うぅ、うえぇえええええええん!」
「お、おぉ!?どうした!一体、どうしたんだ!?」
恥も外聞もない由比ヶ浜の泣いている姿にミシュラは戸惑いながらあやすことにする。
しばらくして、落ち着いた由比ヶ浜を連れて、店の地下深くに隠されている格納庫へ移動していた。
「ここに、何があるの?」
「宇宙船だ!といっても……地球人が事故か何かで捨て去ったものを改造したものだがな!」
バチンと照明が灯ると目の前に黄色の巨大な飛行機型の宇宙船がそこにあった。
「ジャンクドラゴン!元はなんとかドラゴンっていう名前だったのを改造したんでな!なぁに、ジャンクパーツの寄せ集めとはいえ、この星を脱出することくらい造作もないぞ」
「脱出?」
戸惑う由比ヶ浜へミシュラが真剣な表情で見つめてくる。
「ユイ、お前さんがO-50の戦士の頂の力を手にしたことと、星間連盟が関わっている以上、この星へ長居することは危険につながる……」
「だったら、あたしだけが出ていけば」
「宇宙のことに詳しくないお前さん一人を放り出す?そんな無責任なことができるか、ここであったのも何かの縁……安全な場所にたどり着くまで手助けするとも」
ミシュラの力強い言葉に由比ヶ浜は少しだけ救われた気持ちになった。
「さぁ、出発だ!コイツの運転をする日がくるとはわくわくしてきたぞ!」
騒ぐミシュラに同意するように吠えるサブレ。
「ありがとう、ミシュラさん」
彼らに感謝の気持ちを由比ヶ浜は呟いた。
ファントン星人 ミシュラ
惑星 O-50にあった村で宇宙船関係のジャンク屋を営んでいる宇宙人。
元々は各惑星を放浪していたらしい。
ファントン星人らしく食欲旺盛である。
由比ヶ浜が戦士の頂に選ばれてからは地下に隠していた宇宙船ジャンクドラゴンで光の輪からの指示と彼女の帰るための方法模索に協力した。
噂では、ファントン星人グルマンと友人の関係にあるとか、ないとか。
ジークルド
人の形をしているが昆虫の特性を備えた宇宙人。
戦士の頂へ挑戦するべくO-50へやってきた。
彼の住まう惑星は巨大昆虫が生息しており、弱肉強食の世界。
平和を望み、光の力を求めるも拒絶されてしまう。
出会った由比ヶ浜が光に選ばれたことを知り、彼女を守るために奮闘するも星間連盟の人型兵器の攻撃によって命を落とす。
裏設定で、地球へ訪れたことがあり、坂田という男性と出会い、救われたことがあるという。
星間連盟
宇宙人によって作られている連盟。
きな臭い噂が絶えず、裏で侵略の為に各惑星を掌握しようとしているのではと囁かれている。
青年
星間連盟トップの息子。
見た目は優しく、人を導くといっているが、それは偽りであり、本性は自分を見下す全てを支配することを考えている。
戦士の頂へ挑戦、失敗後、その事実を抹消するために村を襲撃。
ミサイル超獣ベロクロンと人型兵器を連れていくも、グルジオボーンに変身した由比ヶ浜の手によって失敗。
生き残ることに成功するものの、自分に辛酸を舐めさせた由比ヶ浜を狙って、行動を起こす。
最終的にある宇宙人によって怪獣に改造されて、倒されてしまう。
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