林間学校編です。
意外と長くなったので、わけました。
続きは書きあがっているのですが、その次が出来上がっていないので、話ができ次第、進めていきます。
あと、一言、作者は葉山アンチではありませんので。それだけ伝えておきます。
林間学校、それは休みの日などを使って学生が自然に囲まれて、カレーを作ったり、色々なことをする行事の一つ。
都会から離れ、自然のマイナスイオンを沢山、浴びて色々なことを学ぶ。
学校によっては自然に囲まれながらもエアコンのない学校で勉学に費やすという事もあり得る。
そして、ボッチには地獄の行事でもある。
「はぁ、まさかなぁ」
ため息を零す。
目の前で楽しそうに会話をするワンピースに麦わら帽子姿の小町。
ラフな格好をしている雪ノ下や由比ヶ浜。
あと、川、あぁ、川崎もいる。
そして、笑顔の戸塚。
もう一度言おう、笑顔の戸塚(←これ大事)
この日、奉仕部+アルファは平塚先生からの依頼で小学校の林間学校の応援要員として呼ばれていた。
長期休暇でのんびりと休むことを考えていた俺だったが、平塚先生から脅迫という名前のお願いがきた為に仕方なく参加を応じたのである。
『ごきげんよう、比企谷君。今日も気持ち良い天気ですね。実のところ、貴方に先ほどから三十回ほど、電話をしているのですが繋がる気配がありません。寝ているの?寝ているのかな?もし、寝ているのだったら休みだからと不摂生な生活を送らずにそろそろ起きるべきだと思います。起きている?ねぇ、寝たふりなんてしていないよね?メールだから既読が付かないと思って安心していないかな?さて、先日からお伝えしていた通り、奉仕部は近隣小学校の林間学校の手伝いに参加してもらいます。忘れたとは言わないよね?そんなことを言う口は針で塗っちゃうよ?可愛い小学生が沢山います。そこでイケメン教師がいればぜひともお付き合いしたところです。ねぇ、なんで私は独身なのかな?運命的な出会いがないだけなのかな?それとも、既に売れ残りの籠へ片足を突っ込んでいるのだろうか?まだ若いし、まだまだいけるし、そりゃ二十代前半のピチピチには負けるかもしれないですけれど、私は売れ残りではありません、決してそんなことはないのです。話が脱線しましたが林間学校に参加してもらうことに比企谷君は渋々ながら承諾をしました。拒否しようとしたことは忘れていませんよ?学生だからって家で一日寝ているなんて許しません。さて、未だに連絡しても反応がないので迎えに行こうと思います。もし、このメールを見て、逃走を考えたのなら容赦しません。具体的に言えば私に見合った男性を探してもらうまで卒業させないという暴挙に出ようと思います。だから、ニ、ゲ、ル、ナ、ヨ?』
前日の夜に空で謎の怪電波が漂っていて、それを調べる為にウルトラセブンとして宇宙を飛び回ったせいでくたくたで寝ていた俺は小町にたたき起こされて携帯を起動した際にこの一文を見た。
背筋が凍るというのはまさにこのことだろう。
氷の惑星に落下して氷漬けになる瞬間を思い出してしまった程だ。
まぁ、目覚ましのセットを忘れた俺にも落ち度はあるのだが。
「しかし、何で戸塚達がいるんだ?」
「あたしが誘ったの!」
にこにこと笑顔で手を挙げる由比ヶ浜。
「みんなで旅行みたいで楽しいじゃん!」
「旅行とは違うけれど、由比ヶ浜さんらしいわね」
「アンタ、いつもこんなのに振り回されているんだね」
哀れみの目でこちらをみてくる川崎さん。
やめろ、被害者だが、そんな目を向けられると本当に哀れな気分になるから。
哀れみの目を向けられていることに気付かない由比ヶ浜。
平塚先生が宿泊施設について説明をする。
俺達は用意されている宿泊用のコテージ。
幸運なことに俺だけ一人用の場所を利用という事になった。
他のボランティア男子の数が多く参加したということで部屋が足りなくなったらしい。
これは幸いだ。
俺の影には居候の宇宙人がいる。
宇宙人の食事を確保する点においてもこれは助かるのだ。
問題は。
「あれ、ユイ達も来ているのね」
「優美子!」
こういう偶然というのはあるのだろうか?
ぞろぞろとやってきたのは俺の通う学校のクラスメイト達、付け加えるとトップカーストのメンバー達である。
喜ぶ由比ヶ浜、雪ノ下はいつもより目つきが険しく思えた。
前途多難、そんな文字が頭に浮かんで消える。
ボランティア活動に参加することで生徒の内申点がもらえるということでスポーツ関係の部活に属している生徒はこういう行事に良く参加するらしい。
トップカーストの葉山隼人の爽やかな笑顔付きの説明を聞き流しながら八幡達は川岸の岩に腰かけていた。
既に小学生たちとの挨拶は終わっており、今は川で楽しく遊んでいる。
水着姿で。
生徒達や小町も水着を持参しており楽しそうに川で遊んでいた。
葉山達トップカースト組はきゃーきゃーと小学生女子たちに囲まれている。
イケメンは氏ねばいいのに。
「視線谷君はロリコンなのかしら?」
「誰がロリコンだ、誰が」
俺の隣に雪ノ下が腰かける。
当然のことながら雪ノ下も水着姿だ。
長い髪を左右に結ってビキニタイプの水着。
自身が美少女であることを自覚しているからこそ、どうすれば自分が可愛く見えるかということがわかっているのだが、雪ノ下は自分の好みの水着を着ている。
「ネコ好きは変らずか」
「悪いかしら?」
可愛いネコのプリントがされている水着だ。
「別に、良いんじゃねぇか?」
「あら、褒めてくれるのね。ありがとう」
「べ、別に」
小さく微笑む雪ノ下の言葉に八幡はそっぽを向く。
「はぁ、ペガも遊びたいよぉ」
俺の足元からペガが顔を出す。
「バカ、見つかるだろ」
「うわふん」
無理矢理、ペガを影の中に押し戻す。
「いつかは当たり前のように地球人と宇宙人が仲よく遊ぶ日が来るのかしら?」
「唐突だな」
雪ノ下は流れる川を眺めている。
「だって、別宇宙では共存をはじめている場所があるのに、この星は未だに多くの宇宙人から狙われているのよ?きっと、夢の又夢と思ってしまうかも」
「そうだとしても」
俺は自然と空を見上げる。
どこまでも澄み切った青空。
その向こうに無数の惑星があり多くの命があることを俺達は知っていた。
だが、今の人類の実態はどうだろうか?
防衛のため、兵力を増強、侵略者がやってくる日常。
別宇宙でみたような共存は遠いだろう。
「だけど、信じなきゃ何も進まないってことを俺達は知った」
「……そうね、前と今じゃ、違うわ」
流れる川の景色を見ながら雪ノ下は頷く。
「貴方のひねくれ具合もね」
「むむ」
微笑みながら雪ノ下雪乃は立ち上がる。
「貴方も少しは楽しむべきよ?」
「あー、はいはい、小町達をみて癒されることにしますよ」
「シスコン谷君ね」
呆れながら雪ノ下雪乃は立ち上がって川の中へ足を踏み入れる。
雪ノ下へ由比ヶ浜や小町が駆け寄ってきた。
小町や由比ヶ浜もビキニ姿。
離れたところでボランティアに参加している男子(総武のトップカースト一部)が鼻の下を伸ばしている。
そりゃ、美少女が水着姿で遊んでいれば絵になるというものだ。
「どうして、男っていうのはあぁもバカなんだし?」
「まぁ、仕方ないのでは」
気付けばすぐそばに三浦がいた。
三浦は水着姿だが、上着を羽織っている。
「遊ばないのか?」
「少し休憩、ユイの体力が信じられないくらいあって」
「あぁ」
無邪気に遊んでいる由比ヶ浜は俺達の中で一番の体力がある。
サバイバル技術を宇宙人から学んだだけあるというものだ。
「アンタは変っているし」
いきなりディスられたんだが?
「おーい、比企」
「あ?」
何やら不穏な空気が漂い始める。
俺を呼びにやって来たのは川崎さん、
黒いワンピース水着という姿が余計にスタイルの良さを引き出している。
出しているのだが。
「(どうして、ここで二人は火花を散らすのやら!?)」
影の中でペガも小さく怯えている。
近距離でガンを飛ばしあう二人から俺はこそこそと逃げることにした。
逃げた先で川に足をつけている小学生がいた。
長い髪で、雰囲気が少し雪ノ下と似ている気がする。
「なに?」
「いや、そこで休んでいるのか?」
「悪い?」
「別に、良い場所を見つけたなと思って」
少し離れて横へ腰かける。
うん、岩の具合から昼寝にも最適かもしれぬ。
「怒らないの?」
「今は自由時間だ。独りでのんびりすることも問題はないだろうよ」
「……教師とかなら怒るのに」
「ボランティア、ただのお手伝いさんでそこまで干渉する気はない。ただ、言われたことをやることが今の仕事だ」
「変なの」
小さく笑いながら少女はぶらぶらと足を川の中で遊ばせる。
「どうして、貴方はこのボランティアに来たの?」
「頼まれたから」
「そうなの?」
「それ以外に理由があるか?あ、小学生と遊びたいとかそんな欲望はないから安心しろ」
「聞いていないんだけど」
「保険だ。後になって性犯罪者として疑われないように」
「やっぱり、変」
しばらく沈黙が続いた。
のんびりしていたいがカレー作りの時間となったため、俺達は渋々、炊事場へ向かうこととなる。
「はわわ、カレー、いいなぁ」
「後で食べさせてやるから影から出るんじゃない」
頭をひょこっと出してくるペガを押し戻す。
これなら家でレトルトを食べさせていた方がよかったかもしれない。
俺の目の前では雪ノ下、小町によって由比ヶ浜、川崎、三浦が料理の指導を受けている。
小町、雪ノ下の指導によって由比ヶ浜も料理も技術もメキメキ上達していくことだろう。
川崎さんと三浦が火花を散らして料理対決みたいなことが勃発しているけれど、まぁ、そこは良い思い出になると信じておこう。
多分。
「……あん?」
終わった道具を片付けようとしていた時、片隅でぽつんと座っている少女を見つける。
川で俺が話していた子だ。
「あの子」
ボッチとしての経験からあの子も同類であることを察知する。
駄目だな、出会った時に気付かないとは、レーダーが鈍っている可能性がある。今度、特訓すべきだろうか?
「八幡、変な事を考えていない?」
「だから、影から出るんじゃないって!」
ひょこと顔を出すペガを無理やり押し戻す。
「一人で何をしゃべっているの?」
あっぶねぇ。
少女がこっちへやって来る。
あと少し遅かったらばれていたかもしれない。
「独り言だ、お前こそボッチか?」
「お前じゃない鶴見留美って名前がある」
「そうか、俺は比企谷八幡だ」
「……手伝おうか?」
「暇なら」
「じゃあ、やる」
そういって鶴見は手伝い始める。
無言の作業。
一人だと少しは時間が掛かると思っていたのだが、二人だとあっという間に作業が完了してしまう。
「助かった」
「どういたしまして」
それから俺と鶴見は近くのベンチに腰掛ける。
他の班は楽しそうに片づけを始めていた。
本来なら鶴見も班に交じって作業をしているはずなのだが、していない。
導き出される結論は―。
「ま、いいか」
「なに?」
「何でもない」
鶴見留美という少女がどういう状況であれ、この場限りの関係である俺達が手助けをするのが正しいとは思えない。
そんなことを考えていた時だ。
『比企谷八幡』
俺の脳裏にテレパシーで話しかけてくる者がいた。
慌てて周囲を確認してみるが怪しい姿はみられない。
『キミと一対一で話をしたいことがある。今夜、川の近くで待っている。キミ一人で来てくれ』
そういうと相手は一方的にテレパシーを打ち切った。
こちらから問いかけても相手から応答することはない。
「何かいるの?」
俺の見ている方を鶴見が眺めていた。
「いや、変な鳥を見たような気がして、見間違いだったみたいだ」
「ふーん」
どうやらうまくごまかせたらしい。
この時、鶴見留美がジッと俺を見ていることに気付いていなかった。
夕方になるとこのあたり一帯は薄暗くなる。
渡された林間学校のしおりによると早い時間に就寝となるらしい。
俺達は割り振られたコテージでゆっくり休むということになるのだが。
「相談がある、少し良いかな?」
コテージで呼び出した奴のための準備をしようとしたところで葉山に呼び止められる。
渋ろうと思ったのだが、変なところでやってこられても面倒なのでついていくことにする。
焚火を囲む形で奉仕部と川崎、戸塚、そして葉山グループのメンバーと話し合うことになった。
「今日、みていてなんだけど」
葉山の話は予想していたというべきか、鶴見留美のことだった。
小学生のグループの中で一人だけ孤立しており、それを何とかしたいという話である。
三浦を除いた葉山グループは何とかしてやろうとやる気になっている。というより、葉山がなんとかしたいからという感じで自分の考えは放棄しているみたいに思える。
何とか用意しておいたマッカンを一口。
「キミ達はどうしたいのかね?」
話を聞いていた平塚先生が尋ねてくる。
「俺は、何とかしてあげたいと思っています」
葉山の言葉に賛同する三浦を除くグループ。
「俺は反対です」
俺の言葉に全員の視線が集まる。
「比企谷、なぜだ?」
「なぜって、俺達は何の為に此処へ来ているんだよ?ボランティアだろ。向こうと日常的に関わるというのならなんとかしたいというのはわかる。だが、俺達はあくまで部外者であり、今回、なんとかしたとしても、それは一時的な効果しかないかもしれない。そもそも、前提として、大事なことをお前は忘れていないか?」
「何を」
「その少女が助けを求めているかどうかということね?」
雪ノ下の言葉に俺は頷く。
「葉山君、貴方はそれを確認しているのかしら?」
「いや、それは……」
「まずはそこを確認するべきよ。あくまで私達は部外者、本人が望んでもいないことをするのは偽善であり、ただの自己満足にすぎない」
「けど」
「そうやって、貴方はまた同じことを繰り返すのかしら?」
絶対零度の眼差しで雪ノ下が淡々と告げると葉山は沈黙してしまう。
今のやり取りでなんとなくだが、葉山と雪ノ下の間に何かがあった様子だ。
葉山の取り巻きも雪ノ下の剣幕で沈黙している。
「じゃあ、この話はひとまず終わりってことでいいんじゃない?あーし、喉が渇いた、ユイ!何か買いに行こうよ!」
「いいよ!あ、サキサキとサイちゃん、ゆきのんも行こうよ」
そういって女性陣?が離れようとしていることに気付いて俺も立ち上がる。
「俺も疲れたからコテージに戻るわ」
平塚先生からも許可をもらったので俺達は離れる。
コテージに戻ったところで影からひょことペガが顔を出す。
用意しておいたカレーをペガに差し出した。
「はわわ!おいしい!」
カレーをダークゾーンの中で放り込んで味わうペガ。
俺はペガに出かけることを伝える。
「わかっていると思うが俺はこれから出かける。三時間くらいして戻ってこなければ、雪ノ下達にも知らせてくれるか?」
「うん、でも、大丈夫?」
「何ともいえないな、向こうは俺を名指ししてきたことから少なくとも周りを調べている可能性もある。まぁ、対策はいくつか用意しておくかな」
「無理しないでね?何かあればペガもすぐに駆け付けるから!」
力強く答えるペガ。
「頼りにしているよ」
「任せて!」
コテージを出て、俺は約束の場所へ向かう。
現代の技術がない為、川の周囲は薄暗い。
川の水が流れる音、月の光だけが俺を照らしている。
「待っていたよ。比企谷八幡君」
川の向こう岸、そこからゆっくりと俺を呼びだした人物が現れる。
夜闇に溶け込む様な黒衣とフードで素顔を隠していた。
しかし、ウルトラセブンと融合してからの経験から相手が普通の人間ではないことを感じ取る。
「それとも、話題の赤い巨人、ウルトラセブンと呼べばいいかな?」
そういって相手はフードを取る。
フードの中から現れたのは黒い髪に白いミイラのような顔。黒い瞳がこちらをみていた。
「アンタ、メイツ星人か?」
「あぁ、そして、宇宙Gメンでもある」
メイツ星人が身分証明書のように宇宙Gメンの証を見せる。
宇宙Gメンとは、M78星雲、光の国の宇宙警備隊とは別に宇宙の平和を守る団体だ。
今は亡きL85星人のように宇宙怪獣を専門としている者もいれば、密売人や犯罪者等、様々な犯罪分野を追いかけている組織。
しかし、ウルトラセブンの知識としてある宇宙Gメンのマークとしては少し形が違う。それに、ウルトラセブンを知らない様子からして、おそらくこの宇宙に存在する宇宙Gメンなのだろう。
「その宇宙Gメンがこんな太陽系第三惑星へ何の用事なんだ?」
「凶悪怪獣を追いかけて私は第三惑星テラ、地球へやってきた」
「……凶悪怪獣?」
「そうだ、その怪獣を捕縛することでキミに協力を要請したい、ウルトラセブン」
どうやら林間学校でも厄介ごとが起こるようだ。
メイツ星人からの要請を聞いて、俺はため息を漏らしそうになった。
軽い説明
宇宙Gメン
出典はウルトラマン80から。
本文の説明であったように怪獣などを捕まえるお仕事。
細かいことはわからないが、M78星雲のウルトラマンも知っているからかなり有名な組織だと思える。
この世界での役割も同じようなものだが、未開拓惑星に関しては不用意な接触は控えることが原則と鳴っている。(←この分に関してはオリジナル設定)
メイツ星人ビオ
出典は帰ってきたウルトラマン&ウルトラマンメビウス
内容は原典と同じ、唯一の違いは宇宙Gメンという役割があるということ。
キャラクター情報、更新しました。
林間学校が終わったら何をしようかなぁ?
平成シリーズからウルトラマンが出るとしたら、どういうのが好み?
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ウルトラマンティガ
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ウルトラマンゼロ
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ウルトラマンネクサス
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ウルトラマンジード
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平成シリーズよりも、ウルトラ兄弟をだせ