やはり俺がウルトラセブンなのはまちがっている。   作:断空我

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第十九話:林間学校の騒動(後編)

「協力だって?」

 

 夜空の下、俺と対峙しているメイツ星人に俺は尋ねた。

 

「そうだ」

 

「いくらここが辺境だからといって優秀な人材が集まっていると言われている宇宙Gメンが正体不明な相手の手助けを借りるのか?」

 

「見知らぬ存在なら力を借りる事は考えないだろう。だが、キミの噂はこの宇宙に広まっているよ。あの邪悪な悪魔を倒した英雄だとね。第三惑星テラ、いや、地球のウルトラセブンと聞けば、知らぬものはいないと言われるだろうね」

 

「……仮に有名だとして、そんな俺に協力を要請するほど、宇宙Gメンは人手不足なのか?」

 

「そうではない。本来なら応援を求めるところだが、時間がないのだよ。緊急を要する。そこでキミに協力を求めたのさ。同じ宇宙人の手助けをしてもらえないだろうか」

 

「勿論、本当に困っているのなら手助けをするのは当然だ。しかし、キミのいう凶悪な生物というのは何だろうか?」

 

 思考が混ざりそうになる。

 

 一瞬、顔をしかめながらメイツ星人と目を合わせた。

 

「そうだな、協力を要請するなら伝えなければならないだろう。この星にギャビッシュが侵入している」

 

「ギャビッシュ……」

 

「キミも聞いたことがあるだろう?凶悪な生物だ」

 

「話だけなら聞いたことはある。見た目は可愛いが、その実態は凶悪で残忍。成長すれば多くの命を食らうと」

 

 俺自身はギャビッシュをみたことがない。

 

 だが、ギャラクシークライシスで俺を助けてくれたアスカ・シンさんから話を聞いたことがある。

 

 別の地球にやってきたギャビッシュはダイス星で大暴れして、多くの命を奪ったという。

 

「凶悪なギャビッシュが三体、地球へ侵入した」

 

「三体だと?なんで、そんなに」

 

「こちらの恥をさらすようで申し訳ないが……」

 

 メイツ星人の話によるとある惑星に現れたギャビッシュ三体を捕縛してブラックホールへ輸送していた時、何者かの襲撃を受けたという。

 

 襲撃によってギャビッシュは奪われ、彼以外の宇宙Gメンは負傷してしまった。

 

「事態は急を要することだ。故に私だけがギャビッシュを追いかけてきた」

 

 メイツ星人が俺へ流してくるミュー粒子の情報にウソはみられない。

 

 緊急性を要することはわかった。

 

「わかった、キミ達の手助けをしよう」

 

「感謝する。ウルトラセブン」

 

「今の俺は比企谷八幡だ。八幡と呼んでくれ」

 

「八幡か、では私のことはビオと」

 

 協力関係であることから握手をしようとする。

 

 しかし、ビオは動かない。

 

「握手は今回の事態が無事に解決してからにしてもらえるだろうか?」

 

「……わかった」

 

 急にビオの感情が伝わなくなったことに疑問を抱きつつも俺は頷いた。

 

「わかった、それで、ギャビッシュの情報は…」

 

「この地まで反応はキャッチできた。私の追跡に気付いたのか、今は身を潜めている。キミにはギャビッシュをみつけたらすぐに私へ連絡してほしい」

 

「あぁ」

 

「では、また、何かあればこちらから連絡しよう」

 

 そういってビオは闇の中へ消えていく。

 

 俺はビオの姿がみえなくなるまでその背中を見続けた。

 

 宇宙Gメンの追跡する凶悪生物、だが、それと別に何か問題が起こりそうな予感が俺の中で燻っている。

 

 そんな気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャビッシュ」

 

 翌日、朝食の席で八幡は由比ヶ浜、雪ノ下、小町を交えてメイツ星人ビオが持ってきた情報を伝えていた。

 

「ゆきのん、知っているの?」

 

「一度だけ、ゼットン星人が教えてくれたわ……見た目で人を騙す凶悪な生物、最初は小さいけれど、その環境がギャビッシュに適応していれば瞬く間に成長して様々な能力を持つと」

 

「雪ノ下の話が事実だとして、時間はあまりないかもしれないな」

 

「ねぇねぇ、お兄ちゃんもギャビッシュをみたことがあるの?」

 

「ない、だが、知り合いから教えてもらったことがある」

 

「えぇ!?お兄ちゃんに知り合いがいるの!?」

 

 小町、ここでディスるのやめてもらえない?

 

 視線で訴えるが口から舌をちょろりと出すだけだ。

 

 可愛いけれど、このタイミングでやってほしくなかったなぁ。

 

「小町、話の腰が折れるから勘弁してくれ」

 

「てへ!」

 

 笑顔を浮かべる小町に癒されるけれど、真面目な話の途中なんだよなぁ。

 

「こそこそ、何を話しているし?」

 

「おはよう!八幡!」

 

「おはよう」

 

 話し合っていると三浦や戸塚、川崎たちがやって来る。

 

 どうやら俺達が話しているのは少しばかり目立っていたらしい。

 

 離れたところでこちらをみている葉山グループの姿があった。

 

「なぁ、このあたりで変な生き物、みなかったか?」

 

「ヒッキー!?」

 

「変な生き物って、どんな?」

 

 三浦が川崎を睨む。

 

 え、話しかけたらいけないの?

 

 視線を気にしていない様子の川崎が続きを促す。

 

 この空気を気にしていないって、ある意味、尊敬ものだな。

 

「えっと、ふさふさしていて、青い生き物だな」

 

「え、そんな生き物いるし?」

 

「比企谷君が話をしているのは未確認生物よ。なんでも、このあたりで目撃されたことがあるっていうのを本気にしているみたいなの」

 

「へぇ、八幡ってそういうものを信じるんだ!」

 

 雪ノ下のフォロー?は助けるけれども!

 

 幻想性物がいることを夢見ている男子みたいな感じになっているじゃねぇか。

 

 戸塚から可愛いと言われたことは嬉しいけれども!?

 

 平塚先生や小学校の教師がやってきて、この話し合いはなしになった。

 

 時間を見て、ギャビッシュ探しをするしかないだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「電波の反応は?」

 

 その頃、ウルトラ警備隊は謎の怪電波の調査をしていた。

 

「相変わらず微弱ですが、問題ありません。今度は逃しませんよ」

 

 古橋の問いかけに通信隊員が力強く答える。

 

 梶やユキも加わりながら昨日から発進されている謎の電波の場所を追っていた。

 

 しばらくして、怪電波は千葉の山林地帯であることがわかる。

 

「怪電波の調査を行う。東郷!リサ!ポインターで出動!」

 

「「了解」」

 

 東郷とリサの二人はヘルメットを手にポインターに乗って怪電波の調査の為、出動する。

 

 比企谷八幡達がいる林間学校の場所へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何をしているの?」

 

 昼の食事時、隅っこでチビチビと食べていた俺のところへ鶴見留美がやってきた。

 

 その手にはトレーにのった昼食がある。

 

「一人か?」

 

「みんな、子供なんだもん」

 

 鶴見はそういって対面側へ座る。

 

「俺ならいいのか?」

 

「他の人となんか違う」

 

 そういって鶴見留美はこちらをみてくる。

 

 目は俺に対する興味などの感情が込められていた。

 

「違えばいいのか?」

 

「そういうんじゃないけれど、昨日から貴方達をみていて、普通と違うなと感じた」

 

「なぁ、お前は今の状況に対してどう思う?」

 

「お前じゃない、鶴見留美」

 

「わかった、鶴見、じゃあ、お前は今のハブられている状態をどう思う?」

 

「別にどうでもいい……私が受けているのは唯のスルー、バカみたいなことをしている人達と一緒にいたいとは思わないかな。一緒にいても絶対にうまくいかないと思うし……八幡は周りが餓鬼だって思ったことない?その中にいたくないって感じたことは?」

 

 随分と心を開いてくれているな。

 

 渋るかと思ったら本心をぶつけてきたことに驚いてしまう。

 

 問われている俺は首を振る。

 

「ないな」

 

「他人や周りの餓鬼みたいな考えよりも、やりたいことを見つけた」

 

「やりたいこと?」

 

 不思議そうにこちらをみてくる彼女に今の俺はどう映っているのだろう。

 

「お前も周りが餓鬼とか、居たくないと思うよりも、自分が本気でやってみたいことを探してみるといいかもな。そうしたら新たな発見というのがあるかもしれないぞ」

 

「……わからない」

 

「すぐにどうこうは難しいかもな。だが、周りを気にせずに探してみれば、みつかるはずだ」

 

「経験談?」

 

「ま、そんなところ」

 

 肩をすくめながら昼食をとる。

 

 しばらくちびちびと食事をしていた。

 

「八幡」

 

「なんだ?」

 

「あの騒ぎなんだろう」

 

 彼女の視線に振り返る。

 

 多くの小学生たちは何かを取り囲んでいた。

 

 何だ?

 

 気になり立ち上がる。

 

「なっ!」

 

 絶句してしまう。

 

 可愛いといいながら小学生たちが手を伸ばして撫でている青と白の可愛らしい姿をした生き物がいる。

 

 キラキラした瞳を浮かべているが、どこか演技めいた姿は本性を隠していることをより強調させているようにみえた。

 

「こんなところで見つかるのか」

 

 目の前にギャビッシュがいた。

 

 探している対象が見つかったことに驚くとともに小学生たちに囲まれているという問題にどうすればいいか、新たな問題が浮かび上がる。

 

「おいおい」

 

 茂みの中から現れて光線銃を突き付けているメイツ星人ビオの姿がそこにあった。

 

 現れたメイツ星人の姿を見て小学生たちは悲鳴を上げて逃げようとする。

 

 女の子の何人かがギャビッシュを抱えていた。

 

「そいつらを渡せ」

 

 光線銃を子供たちへ突きつけながらギャビッシュを差し出すように要求するメイツ星人。

 

 悲鳴を聞いて、葉山や平塚先生、そして、雪ノ下達がやってくる。

 

 生でみる宇宙人の姿に誰もが動きを止めていた。

 

 怯えている小学生たちに近づくメイツ星人ビオ。

 

『おい、どういうつもりだ。余計な誤解を与えてしまうぞ』

 

 テレパシーでビオへ問いかける。

 

『時間がないのだ。この星の大気はギャビッシュの成長を促進させてしまう。もう間もなく奴らは巨大化してしまう。その前に捕縛するのだ!』

 

 焦りがテレパシーを通して伝わってくる。

 

 メイツ星人は自らを巨大化させる術を持たない。

 

 巨大化したギャビッシュを捕まえるための手段がないのだ。そのために彼が焦っていることはわかる。

 

 だが、

 

「子供たちに手を出すな!」

 

 ビオの焦りを隙とみたのだろう。

 

 葉山が駆け出して足で持っていた光線銃を蹴り飛ばす。

 

 武器が無くなったことと葉山が勇敢な先陣をきったことで彼のグループの男子達もビオへとびかかっていく。

 

「やめろ!離せ!」

 

「うるさい!悪者め!」

 

「いいぜ!隼人君!」

 

「やっべーしょっ!隼人君、まじカッケー!」

 

 子どもたちや事情を知らない者からすれば、勇敢な男子高校生が銃をつきつけている宇宙人を捕縛しようとしているようにみえるだろう。

 

 だが、より事態を悪化させていることを彼らは知らない。

 

「まずい、そいつを捨てろ!」

 

 異変はすぐに起こった。

 

 小学生の手の中にいたギャビッシュがぶるりと体を震わせると徐々に体が大きくなり始めている。

 

 異変を察した俺は走りながら小学生の腕の中にいるギャビッシュ達を突き飛ばす。

 

「何するの!」

 

 抱えていた女の子が大きな声を上げる。

 

「グルァァァァァァ!」

 

 雄叫びをあげて二メートルサイズになったギャビッシュが生えた爪を振り下ろしてくる。

 

 咄嗟に女の子を突き飛ばしたが、背中に熱が走った。

 

「お兄ちゃん!」

 

「ヒッキー!」

 

「八幡!」

 

 小町や由比ヶ浜、戸塚の悲鳴が聞こえた。

 

「邪魔だ」

 

「うわっ!」

 

 葉山達の拘束を振り切ったビオが指先にエネルギーを集めてギャビッシュへ放つ。

 

 念動力による衝撃波がギャビッシュの一体を吹き飛ばす。

 

 しかし、残り二体のギャビッシュが口の端から涎を垂らしながらこちらへ跳びかかろうとしていた。

 

「大丈夫か!」

 

 なんという偶然だろうか。

 

 ウルトラガンを構えたウルトラ警備隊の二人がこちらへやってきている。

 

 彼らはギャビッシュの姿を見るとウルトラガンを殺傷モードにして撃っていた。

 

 光弾を受けたギャビッシュはそれが自らを滅ぼす危険があると察したのだろう。

 

 振り返らずに山の中へ消えていく。

 

「良かった……」

 

 それを確認して、俺の意識は闇の中に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だ、あの怪物は」

 

 ウルトラガンを構えながらギャビッシュの去っていった方向をみながら東郷はぽつりと漏らす。

 

「東郷隊員!」

 

 リサの声に東郷が振り返るとギャビッシュによって負傷した八幡の姿があった。

 

「すぐに手当てを」

 

「こ、こちらで!」

 

 東郷の言葉に小学校教師の一人が慌てて救護スペースを確保する。

 

 戸塚や平塚が八幡を抱えて運んでいく姿を鶴見留美や小町はみているしかない。

 

「どうして、ウルトラ警備隊がここに?」

 

 周りを警戒している東郷へ雪ノ下が話しかけてきた。

 

 幾分か冷静にみえた雪ノ下へ東郷は事情を話す。

 

 この地域で謎の怪電波が発生していたこと、その調査の為にポインターでやってきたところにモンスターレーダーに反応と悲鳴が聞こえて彼らはかけつけてきたのだ。

 

「怪電波?」

 

「ギャビッシュのものだろう」

 

 メイツ星人ビオがゆらりと立ち上がったことで東郷がウルトラガンを構える。

 

 銃口を向けられているというのにビオは平然としていた。

 

「どういうことかしら?」

 

 東郷の横に立ちながら雪ノ下は問いかける。

 

「ギャビッシュはずるがしこい生き物だ。自らを助けてくれるだろう存在をみつけると弱者のふりをする。その怪電波は自らを助けてくれるだろう愚か者を呼び寄せるための餌だ」

 

「餌だって……」

 

「もう守ってもらう必要もないから、電波の発信も止めているはずだ」

 

 肩をすくめていたメイツ星人がぐらりとバランスを崩した。

 

 身構える東郷だが、メイツ星人ビオは弱っているようにみえる。

 

「貴方、体の調子が悪いの?」

 

「この星の大気は穢れている。その穢れが我々メイツ星人とは合わない。それだけのことだ」

 

 顔をしかめながら告げるビオ。

 

 どうするかと悩んでいた時、一人の少女が前に出る。

 

 鶴見留美である。

 

「キミ!危ないぞ!」

 

 東郷が叫ぶも留美は振り返ることなく膝をついているビオへ近づいた。

 

 留美はビオの額から流れている汗を持っていたハンカチで拭う。

 

「何の真似だ」

 

「八幡を助けてくれてありがとう……それと体調が悪いなら休んだ方がいいよ」

 

「……」

 

「キミ!危ないから」

 

「どうして?どうして、助けたらダメなの?彼は八幡を助けてくれたよ?助けたらお礼をしなさいといつも大人は言うのに宇宙人じゃ、やってはダメなの?」

 

 振り返る留美は疑問を東郷や大人たちへぶつける。

 

 そこから先の言葉を東郷たちは何も言えなかった。

 

 しかし、彼は無言でウルトラガンをホルダーへ戻す。

 

 それが答えだというように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 東郷隊員からの報告を聞いた古橋隊長はキャンプ地周辺の人達を避難させてギャビッシュ捜索のため、防衛軍の部隊を出動。

 

 古橋、渋川、梶、ユキの四名もウルトラホーク1号で現地へ急行する。

 

「いってぇ」

 

 意識を取り戻した八幡だが、背中に走った痛みに顔をしかめる。

 

「目を覚ましたか」

 

「うぉ!?」

 

 横を見るとベッドで寝ているビオの姿があり、驚きの声を漏らす。

 

「何で寝ているんだよ」

 

「この星の大気が体に合わなかったのさ……父と同じように」

 

「父?」

 

 ビオの言葉に八幡は怪訝な表情を浮かべる。

 

「今より二十数年前の話だ」

 

 メイツ星人ビオの話によると、恒点観測員であった彼の父親は地球へ訪れたことがあった。

 

 その際に超能力で暴れていた怪獣を封印したが、環境破壊が進んでいた時代であった為にビオの父親の体は病魔に襲われ、母星へ戻ることができなくなり、地球にとどまり、そして、命を落としたという。

 

「そして、私は調べた。父は、私の父は、地球人の手によって殺されたのだ」

 

 感情を押し殺そうとしているが強い憎悪が沸き上がっていた。

 

「そうか」

 

「驚かないのか?」

 

「キミがいうのなら事実だろう」

 

 融合しているウルトラセブンの記憶が八幡の中で浮き上がる。

 

 別宇宙においてもメイツ星人は地球へ来ていた。

 

 メイツ星人は老人の姿で地球人の子供と一緒に暮らしていた。

 

 しかし、彼を宇宙人恐れる民衆の手によって暴動が勃発。

 

 静観しようとしていた当時の防衛チームMATの前でメイツ星人は民衆によって命を落とした。

 

 それと似たような出来事がこの地球において起こったのだと推測できる。

 

「ビオ」

 

 八幡は静かに問いかける。

 

「今のお前は宇宙Gメンのビオか?それとも、地球人を恨むメイツ星人ビオか?それだけは答えてくれ」

 

 見つめられたビオは小さく首を振る。

 

「今の私は宇宙Gメンとしてギャビッシュを追っている。復讐などは考えていない」

 

「その言葉を信じるぞ」

 

 ビオから返事はなかった。

 

「ところで、ここはどこだ?」

 

「近くの仮設テントだ。お前はギャビッシュの攻撃を受けた為に手当てを受けていた。私は大気が肌に合わなかった為に、ここで休んでいた」

 

「説明ありがとうよ」

 

「……あ、八幡、起きたの」

 

「お前、何でここにいるんだ?」

 

「お前じゃない、留美!」

 

 頬を膨らませながら八幡へ水を差しだしてくる鶴見留美。

 

 感謝しながら容器を手に取った。

 

「そっちの人も大丈夫?」

 

「あぁ、少し良くなった」

 

 水を受け取ったビオも留美へ返す。

 

「キミ達、いつの間にか仲良くなっている?」

 

「その子は私達から離れないとダダをこねたのだ」

 

「ダダじゃないし、心配だったもの」

 

 留美からの話によると葉山達や小学生たちは教師と共に避難。

 

 この場に残っているのは身内の小町、平塚先生、それと奉仕部の二人だという。

 

「……ねぇ、八幡」

 

「なんだ?」

 

「八幡は何者なの?」

 

 探るように見上げてくる留美。

 

 その目はウソをついたら許さないと語っていた。

 

「はぁ……ペガ、出て来い」

 

「えっと、はーい」

 

「うわっ」

 

 八幡の足元の影からひょこっと顔を出すのはペガッサ星人のペガだ。

 

 現れたペガに留美は驚く。

 

 ペガは八幡の後ろへ隠れて僅かに顔を出す。

 

「えっと、はじめまして、鶴見留美ちゃん、僕はペガ、八幡の家で居候させてもらっている宇宙人なんだ」

 

「よろしく」

 

 差し出された手を留美はおずおずと握り締める。

 

「まぁ、こういうわけで宇宙人と接点があってな、ビオもそれが関係で俺に協力を申し込んできたんだよ」

 

「……すごい」

 

 留美は目を見開いて、八幡をみつめる。

 

「そんなすごいことじゃねぇよ、偶然と奇跡が合わさった結果に過ぎない」

 

「でも、凄い」

 

 キラキラした眼差しを向けられて居心地が悪そうな顔を浮かべる八幡。

 

 おろおろしているペガ。

 

 その光景を見てビオは笑みを浮かべる。

 

「お兄ちゃん!」

 

 変な空気が漂い始めていた時、小町が慌てた様子でテントの中にやって来る。

 

「怪獣が出たって!」

 

 小町の言葉に痛む背中を押しながら外に出る。

 

 すぐそばで防衛軍隊員がライフルで発砲していた。

 

 ギャビッシュは巨大な怪獣へ変貌している。

 

 小さかった時の可愛い姿はどこへいったのかというほどに瞳は鋭く、口からは数本の鋭い牙、手の爪も鋭くなっていた。

 

「退避だ!キミ達もすぐにここから逃げるんだ!」

 

 やって来た防衛軍隊員に言われて八幡達は避難を始める。

 

 今のままでは防衛軍が全滅してしまうだろう。

 

「仕方ないか」

 

 体が癒えないままウルトラセブンへ変身しても万全に戦えない。

 

 もう少し傷が癒えるのに時間がかかる。

 

 腰のピルケースから一つのカプセルを取り出した。

 

「行け!アギラ!」

 

 眩い閃光と共にギャビッシュの前に現れるのはカプセル怪獣アギラ。

 

 アギラは唸り声をあげてギャビッシュへタックルする。

 

 タックルを受けたギャビッシュは標的をアギラへ向けた。

 

 口の端から涎を垂らしながら襲い掛かる。

 

 アギラは逃げる様に躱してがら空きの胴体へ自らの角を突き立てた。

 

 悲鳴をあげるギャビッシュ。

 

 そのまま、アギラが優勢になると思っていた瞬間。

 

 山を飛び越えてもう一体のギャビッシュが現れる。

 

 現れたギャビッシュはアギラの尻尾を掴む。

 

 抵抗する暇もないまま、ギャビッシュによって振り回されるアギラ。

 

 もう一体のギャビッシュが口から光の針をアギラへ放つ。

 

 体に針が突き刺さり、悲鳴を漏らすアギラ。

 

「アギラ、戻れ!」

 

 このままではアギラが倒されてしまう。

 

 そう判断した八幡はカプセルへアギラを戻す。

 

 避難しようとした時。

 

「やめて!」

 

「やめてよ!」

 

 下がる防衛軍隊員と入れ替わるように避難したはずの小学生の少女達がギャビッシュへ訴えていた。

 

 少女達をみて、ギャビッシュが動きを止める。

 

「マズイな」

 

「あぁ」

 

「え?」

 

 ビオと八幡は鋭い目でギャビッシュを睨む。

 

 留美が理解できず戸惑いの声を漏らした。

 

 ギャビッシュは見た目に反して狡猾でずる賢い。

 

 今、動きを止めているのは彼女達の有用性を考えているのだろう。

 

「すぐに彼女達を下げるんだ!」

 

 防衛軍の部隊長の指示で隊員達が駆け出そうとする。

 

 その姿を見てギャビッシュが不気味に笑う。

 

 直後、少女達はギャビッシュの瞳の中へ吸い込まれる。

 

 悲鳴を上げる暇もないまま少女達はギャビッシュの手に落ちた。

 

「状況は悪化したな」

 

「そうだな、ギャビッシュの瞳の中には囚われた子供がいる。今のままだと防衛軍はおろか、ウルトラ警備隊も手を出せないだろう」

 

 その時になってギャビッシュの頭上をウルトラホーク1号が通過する。

 

 ギャビッシュ出現の報告を受けたのだろう。

 

 しかし、少女達が囚われている以上、迂闊に攻撃できない。

 

「ビオ」

 

「なんだ?」

 

「お前の超能力で子供たちを助け出すことは可能か?」

 

「出来る」

 

「俺が気を引くから助けてくれないか?」

 

「私の任務はギャビッシュを捕縛することだ。現地人の救助は任務にない」

 

 冷たいビオの言葉に小町やペガは何とも言えない声を漏らす。

 

 ビオは地球人を憎んでいる。

 

 だが、彼は宇宙Gメン。

 

 任務という鉄格子を作ることで彼の中にある復讐心を必死に抑え込んでいるのだ。

 

 彼の判断を八幡は責めるつもりはない。

 

「わかった」

 

 八幡はそういうと懐からウルトラアイを取り出す。

 

「キミの地球人を憎む気持ちはわかる。だが、いつまでも憎しみに囚われないでほしい」

 

 

 ウルトラアイを装着して眩いスパークと光を放ちながらウルトラセブンへ変身する。

 

 ウルトラセブンは不意を突く形で一体のギャビッシュをなぎ倒して、少女達を捉えているギャビッシュへ迫ろうとした。

 

「っ!?」

 

 手を伸ばそうとしたところで地面から手が現れてウルトラセブンの足を捕まえた。

 

 三体目のギャビッシュが現れたのだ。

 

 動きを封じられたウルトラセブンへ二体目のギャビッシュが尻尾から雷撃を放つ。

 

 雷撃によってダメージを受けるウルトラセブン。

 

 少女を閉じ込めているギャビッシュが口から針状の光線を放つ。

 

 動きを封じられているウルトラセブンは攻撃を受けるしかない。

 

 ウルトラホーク1号が二体目のギャビッシュへミサイルを発射する。

 

 ミサイルを受けたギャビッシュの動きが鈍った隙をついてウルトラセブンはエメリウム光線を撃つ。

 

 光線を口に受けたギャビッシュ。

 

 直後、ギャビッシュが笑みを浮かべて、口から光線を返した。

 

 倍の威力になった光線を返されて地面に倒れるウルトラセブン。

 

 地面から出現したギャビッシュが笑いながら倒れたウルトラセブンを足蹴にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「酷い……」

 

「はわわ、一方的だよう」

 

「お兄ちゃん……」

 

 小町達はギャビッシュによって一方的にやられるウルトラセブンの姿を見ているしかできない。

 

「そうだ、雪ノ下さん達に連絡を」

 

 避難させられた雪ノ下や由比ヶ浜へ伝えることができれば手助けしてもらえるかもしれない。

 

 小町が携帯を見た時、画面には「圏外」という表示。

 

「えぇ!?さっきまで」

 

「ギャビッシュだよ!アイツがきっと、連絡できないように邪魔をしているんだ!」

 

「そんな……」

 

 鶴見留美はギャビッシュ三体に足蹴されているウルトラセブンをみる。

 

 拳を握り締めていた留美はビオへ振り返った。

 

「お願い!」

 

 ビオの服の裾を掴んで留美は訴える。

 

「お願い、お願いします!ウルトラセブンを助けて!」

 

「……私の任務はギャビッシュの捕縛だ」

 

「もう、捕縛はできないんじゃないの?」

 

 留美の指摘にビオは言葉を詰まらせる。

 

 実際、彼一人だけでギャビッシュの捕縛という任務の完遂は不可能だ。

 

 今の彼にできるのは他のGメンの応援を待つこと、そして。

 

「お願い、ウルトラセブンを助けて」

 

「……お前は同じ地球人を助けてと言わないのだな」

 

「わからない、本当はクラスメイトだし、助けてって言わないといけないと思うんだけれど、それより、それよりも、ウルトラセブンを、彼を助けてほしいと思っているの」

 

「私は地球人を憎んでいる。助けると見せかけて殺すかもしれないぞ?」

 

「貴方はそんなことをしない」

 

「なぜ?」

 

 留美の断言するような言葉にビオは尋ねる。

 

「貴方は宇宙Gメンなんでしょ?さっき八幡に聞いた。宇宙の平和を守るために戦っている人だって、そういう人はとてもお人好しだって、だから、信じる。私達を憎んでいるのだとしても……目の前で困っている人を見捨てるなんてことをしないんじゃないかって」

 

 真剣な留美の言葉にビオはため息を吐く。

 

「地球人は憎い……だが、そのすべてを憎んでいるわけではない」

 

 ビオは歩き出す。

 

 テレポートでビオの姿が消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『聞こえるか?ウルトラセブン』

 

 倒れているウルトラセブンへビオがテレパシーで語り掛けてくる。

 

 ギャビッシュ達の攻撃で動けないウルトラセブンはぴくりと反応した。

 

『私が今からテレポートして、ギャビッシュの瞳の中の地球人を助ける。キミは奴らを引き付けてほしい。五分で彼らを助けて見せよう』

 

『信じていいのか?お前は地球人を憎んでいるのだろう?』

 

『憎んでいる。だが、それ以前に私は宇宙Gメンとしての使命を果たさなければならない。そのついでに地球人を助けるだけだ』

 

『……わかった、攻撃に耐え続ける』

 

 ウルトラセブンの言葉にビオは頷いた。

 

 ギャビッシュ達は自らの勝利を信じて疑わないのか、動かないウルトラセブンを踏みつけていた。

 

『今だ!』

 

 合図とともにウルトラセブンはギャビッシュ達から抜け出して頭頂のアイスラッガーを投げる。

 

 超能力で回転しながら二体目のギャビッシュを真っ二つにした。

 

 驚く残りのギャビッシュの隙をついて、ビオはテレポートで目の中に囚われていた小学生たちを救出する。

 

『地球人は助けた』

 

 ビオからのテレパシーに頷きながら戻ってきたアイスラッガーを構えて走る。

 

 三体目のギャビッシュが振るう尻尾を躱して懐へ入り込み、アイスラッガーを心臓部へ深く突き立てた。

 

 悲鳴を上げるギャビッシュへさらにアイスラッガーを突き立てて、とどめを刺す。

 

 仲間が倒されたことで怒りに染まるギャビッシュは口から針の光弾を放った。

 

 光弾を躱しながら迫る電撃を纏った尻尾をアイスラッガーで切り落とす。

 

 尻尾を切り落とされたことで悲鳴を上げるギャビッシュ。

 

 両腕をL字に組んでワイドショットが発射される。

 

 ワイドショットを吸収する暇もないまま、ギャビッシュは全身を光線で焼き尽くされて消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の役目は終えた。地球を去る」

 

「いっちゃうの?」

 

 クラスメイトの女子たちを助けたビオはそういって留美の前に現れる。

 

 別れを惜しむ様な留美の言葉に彼は小さく笑みを浮かべた。

 

「地球人というのは全て悪いというわけではないのだな」

 

「え?」

 

 ビオの呟いた言葉が聞き取れず、留美が尋ねようとするが一陣の風が吹いた時。

 

 そこに、ビオの姿はない。

 

「行っちゃったのか」

 

 留美は寂しそうな表情でビオが居続けた場所を見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前はツンデレか何か?」

 

「言葉の意味はわからないが、失礼なことだというのは理解できるぞ」

 

 離れた森の中で俺とビオは向き合っている。

 

 今の彼は宇宙Gメンとしての役目を終えている。つまり、メイツ星人ビオとして地球へ復讐をするかもしれない。

 

 まぁ、昔の俺ならそういうことで警戒をしていただろう。

 

「どうだった?地球人と話をしてみて」

 

「少し」

 

 ぽつりと呟いてビオは視線を逸らす。

 

「少しだけだが、父がなぜ、地球人を助けるなんてことをしたのか、わかった気がする」

 

 メイツ星人ビオの父親は地球人に殺された。

 

 憎しみの炎はまだ彼の中にあるのだろう。

 

 だが、それと別の感情が彼の中に宿った。

 

 そんな気がするのだ。

 

「これからどうするつもりだ?」

 

「私は宇宙Gメンとしての使命を果たす。次の任務がある」

 

 ビオはそういって自らの宇宙船を呼び出す。

 

 宇宙船の光が彼へ降り注ぐ中、思い出したようにビオが振り返った。

 

「忠告しておこう。ウルトラセブン、ゴーデスを倒して脅威が去ったと思っているようならそれは間違いだ。厄介な奴が地球へ向かっているぞ」

 

「厄介な奴?」

 

「まぁ、お前達ならなんとかできるかもしれないな。では、これで失礼するよ。比企谷八幡」

 

 ビオはそういって宇宙船に乗って去っていった。

 

 俺は宇宙船の姿が完全に見えなくなったことを確認して森を抜け出す。

 

 森を抜けたところで俺は葉山に出会う。

 

「比企谷、ここで何を?」

 

「帰る前に周辺の散歩だよ」

 

「そうか」

 

「ところで、葉山」

  

 俺は一つ確認したいことがあって葉山へ視線を向ける。

 

「お前、何であの子達をギャビッシュへ向かわせた」

 

「それは」

 

 今の反応でわかった。

 

 葉山はギャビッシュと関わっていた子達に何かを話した。

 

 話を聞いたあの子達はギャビッシュを説得しようと思ったのだろう。

 

「それは、あの生き物が悪くないと思ったから」

 

「無知は罪だ。お前が何も考えずにあの子達を促したから怪獣に囚われて、事態は悪化した」

 

「それは結果論に過ぎない。もしかしたら暴れることをやめた可能性だってある」

 

「だが、暴れるという危険性をお前は考慮していなかった。もし、宇宙人が助けてくれなかったらあの子達は今頃、怪獣に殺されていたかもな」

 

「そんなことは!」

 

 俺の言葉を認められないのだろう。

 

 葉山は顔を歪めていた。

 

「しかし、結果は出た。あの怪獣は凶悪で防衛軍に倒されたってな、ただ、善性を信じればいいってことじゃない」

 

 そういって俺は葉山と別れる。

 

 後ろで葉山がどんな表情をしていたのか知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、八幡」

 

 帰りのバスへ小学生たちがぞろぞろと乗っている中で鶴見留美がこちらへ気付いてやってくる。

 

「帰るんだな」

 

「うん、そっちは?」

 

「俺達も、まぁ、あれの事情聴取が終わったらだけど」

 

 本来ならすぐに帰る予定だったのだが、ウルトラ警備隊から事情聴取を受ける必要がある為、もう少し残らなければならない。

 

「そっか、じゃあ、お別れだね」

 

「まぁな」

 

「……そうだ、八幡の連絡先、教えてよ」

 

「なんで?」

 

 メモ帳を差し出してきた留美に俺は首をかしげる。

 

「何かあったらすぐに相談できるから」

 

「相談?」

 

「宇宙人とかおかしな出来事に遭遇したら」

 

「そうそうあるかよ」

 

 今回の事件は偶々、巻き込まれただけに過ぎない。

 

 そうそう、厄介な出来事に巻き込まれることなどないのだ……それを考えると今の俺の状態でかなり異常ではあるんだよなぁ。

 

「そんなことわからないじゃない。何かあったために連絡したいの。それ以外でも話をしたいし」

 

 留美の目は梃子でも動かない。

 

 そんな強さが感じられた。

 

「はぁ、わかったよ」

 

 渡されたメモに連絡先を書く。

 

 まぁ、小学生だし、いずれ無くしたとか捨てたとかで忘れるだろう。

 

 一回限りの出会いだ。

 

「ありがとう」

 

 それなのに、メモを受け取った留美は嬉しそうにほほ笑んでいる。

 

「あ、それと、八幡のおかげでやりたいこと、見つかったかも」

 

「そうか」

 

「そろそろ、行かないと……ペガも元気でね」

 

「うん!」

 

 だから、影から出るんじゃない!

 

 無理矢理、押し戻している間に留美はバスへ向かった。

 

「ったく、散々な林間学校だったな」

 

「でも、お兄ちゃん、満更でもなさそうな顔をしているよ?」

 

 やってきた小町からの指摘に俺は何とも言えない表情を浮かべた。

 

 え、マジですか?

 

平成シリーズからウルトラマンが出るとしたら、どういうのが好み?

  • ウルトラマンティガ
  • ウルトラマンゼロ
  • ウルトラマンネクサス
  • ウルトラマンジード
  • 平成シリーズよりも、ウルトラ兄弟をだせ

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