やはり俺がウルトラセブンなのはまちがっている。   作:断空我

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次の話が出来上がりましたので投稿します。

今回の話は三篇構成になるかもしれません。




第二十話:風来坊

休日。

 

 由比ヶ浜結衣はある悩みを抱えていた。

 

「うーん、これ、どうしょう?」

 

 由比ヶ浜は自室であるアイテムを見ていた。

 

 オーブリングNEO。

 

 愛染誠が拉致した人間の意識を集めて生み出したアイテムであり、ウルトラマンオーブダークに変身する際に使っていたもの。

 

 それがなぜ、由比ヶ浜の手元にあるのか。

 

 ゴーデスに操られて先兵となっていたオーブダークをゼットンと共に倒した時、なぜか由比ヶ浜のところへやってきた。

 

 本当は八幡や雪ノ下へ相談をすべきなのだが、悪いものにも思えなくて悩んでいる。

 

 悩んでいた由比ヶ浜は机に置いていた端末からの着信音に顔を上げた。

 

「あれ、優美子からだ」

 

 親友の三浦優美子からの着信のため、ボタンをタップする。

 

「優美子?」

 

『あ、ユイ?今、いい?』

 

「うん!どうしたの?」

 

『昼さ、暇ならあーしと食べない?暇でさぁ』

 

「良いよ!どこいく?」

 

 話し合いの末、無難にジャンクフードの店に決まった。

 

「ってわけでさぁ」

 

 お手頃価格のセットを食べながら由比ヶ浜は優美子と談笑をしていた。

 

 ありふれた話だが、平穏以外の世界を知っている由比ヶ浜からすれば、この時間はとても大事なものだということを知っている。

 

「そういえば、ユイはヒキオとの関係はどうなったし?」

 

「へ?」

 

 突然のことに目を丸くする由比ヶ浜。

 

「な、ななななな、何を言いだすの!?」

 

「そこまで動揺することないでしょ?」

 

「いや、え、何で!?」

 

「カマをかけてみただけなのに、その反応でバレバレでしょう」

 

 呆れた表情でため息を吐く優美子。

 

 真っ赤になった顔をドリンクで冷やしながら諦めたように肩をすくめる。

 

「隠しているつもりだったのになぁ」

 

「あーしも半信半疑だったけどねぇ」

 

 ニコニコと笑みを浮かべる優美子。

 

 由比ヶ浜が何か言ってやろうとした時。

 

「ねぇ、ユイ、アンタの鞄、何か、光っていない?」

 

「へ?」

 

 優美子に言われて由比ヶ浜は鞄を見る。

 

 鞄から光が漏れていた。

 

 戸惑いを隠せないまま、鞄を開ける由比ヶ浜。

 

 眩い光が鞄からあふれ出して二人を包んだ直後。

 

 店内から由比ヶ浜結衣と三浦優美子の姿が消える。

 

 しかし、誰もそのことに気付かないのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

「あれ」

 

 光が収まると由比ヶ浜と優美子の二人は岩山が並ぶ山岳地帯にいた。

 

「え、あーしたち、何で、こんなところに?」

 

 戸惑いを隠せない優美子と比べて由比ヶ浜は冷静だ。

 

「(えぇ、また、ワームホールか何かぁ?でも、そんな感じなかったし、二回目にもなると冷静になるって、どうなんだろう)」

 

 無言で考えている由比ヶ浜が呆然としていると勘違いしたのだろう。

 

 優美子が肩を揺らしてくる。

 

「ユイ!ユイってば」

 

「あ、ごめん……あ、あれ」

 

 叩かれてハッとした表情を浮かべた由比ヶ浜は空を見た。

 

 空に浮かぶ二つの衛星。

 

「なに、あれ」

 

 震える声で優美子が呟く。

 

 見上げて由比ヶ浜は理解する。

 

 ここは地球じゃない、どこか別の惑星だと。

 

 別の惑星に来たことを理解した時、何かが近づいてくる音を由比ヶ浜の耳は捉える。

 

 音の方へ視線を向けると武装したロボット兵士達がやってきた。

 

 

「優美子、隠れるよ!」

 

「え、なん」

 

 戸惑う優美子を連れて近くの岩の蔭へ隠れる。

 

 やってきたロボットは光線銃を構えながら周囲を警戒していた。

 

「あれ、なん」

 

 

 

「静かに、音を立てると気付かれちゃうよ」

 

「ユイ……あれが、何なのか、知っているの?」

 

「多分」

 

 小さく由比ヶ浜は頷いた。

 

 だが、頭の中に疑問が浮かんでいる。

 

「(星間連盟はもうないのに……)」

 

 かつて惑星O-50で由比ヶ浜やそこに住む村人たちを襲った星間連盟の人型兵器。

 

 彼らは星間連盟が消滅したと同時に全てが機能停止していたはずなのだ。

 

 どういうことなのだろうか?

 

「ユイィ」

 

 不安に震える優美子が一歩踏み出した時、石がぶつかる音が響いた。

 

 人型兵器が一斉に音の方へ光線を撃つ。

 

「きゃああああああ!」

 

「優美子!」

 

 光線が周囲に次々と直撃して悲鳴を上げながら飛び出す優美子。

 

 少し遅れて岩陰から由比ヶ浜が顔を出す。

 

 二人へ光線銃を突きつける人型兵器。

 

 どうすれば、良いのか?

 

 由比ヶ浜と怯える優美子。

 

 その時、どこからか綺麗な音色が聞こえてくる。

 

 音色に戸惑い、銃を周囲へ向ける人型兵器。

 

 やがて、オーブニカを奏でながら一人の男性が現れた。

 

 テンガロンハットに革のジャケットを纏っている。

 

「感心しないな。レディーにそんなものを向けるなんて」

 

 オーブニカを仕舞うと同時に人型兵器たちの中へ飛び込む。

 

 人型兵器が近接用の武器を取り出すが、男の手によって次々と機能停止させられていく。

 

「凄い、あと、何かカッコイイ」

 

 ぽつりと漏らす優美子。

 

 その頬はうっすらと赤くなっている。

 

 戦っている男性がイケメンということもあるのだろうか?その姿なお姫様を助けるためにやって来た騎士かはたまた王子様か。

 

 しかし、由比ヶ浜はその男性に奇妙な既視感があった。

 

 出会ったことがないはずなのに、まるで何年も共にいたような感覚。

 

 そう、この感覚は似ている。

 

「(あの人、そう、ウルトラマン、ハヤタさんと出会った時と似ているんだ)」

 

 あっという間に人型兵器を無力化させた男は服についた汚れを払う。

 

「驚いたな。こんなところで人に会うなんて」

 

「貴方は?」

 

 オーブニカを懐へ仕舞いながら微笑む。

 

「クレナイ・ガイ、風来坊だ」

 

 にこりとほほ笑みながらガイは挨拶をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「侵入者ですか?」

 

「はい、一人は前から我々の計画を邪魔しているのですが、新たに二人」

 

「どうなっているのですか?侵入できないようにバリアーを展開していた筈なのですが」

 

「そうなのですが……」

 

「侵入者は?」

 

「山岳地帯の方へ逃げているようです。人型兵器を向かわせますか」

 

『待て』

 

 暗闇の中に聞こえた声に響く声。

 

 青いレディーススーツとタイトスカート姿の少女が顔を上げる。

 

 スーツとスカートの隙間からわずかながら臍が覗いていた。

 

 整った顔立ちと青いメッシュが入った髪の美女だが、顔の筋肉は全く動かない。

 

『奴らを向かわせろ』

 

「よろしいのですか?」

 

『外に気付かれるのは面倒だ』

 

 一瞬の沈黙。

 

 何かを含んだ感情の声に少女は頷いた。

 

「わかりました。出動させてください」

 

「わかりました」

 

 青いスーツ姿の男は頷くと暗闇の中へ消えていく。

 

『忌々しい光め』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、ここ、地球じゃない!?」

 

「そうだ……本当なら戻してやりたいところだが、この惑星は今、特殊なバリアーが展開されていて、中から出ることも、入ることもできない」

 

「何で」

 

 ガイから話を聞いてへなへなと座り込んでしまう優美子。

 

 隣で由比ヶ浜が支えながらガイへ尋ねる。

 

「あの、さっきの人型兵器は」

 

「あっちの方向」

 

 ガイはある方向を指さす。

 

「連中の基地がある。あのロボットはそこの護衛だ」

 

「じゃあ、その基地って、ペダン星人?」

 

「いいや、サロメ星人のものだ。ん?」

 

「アンタ達、何の話をしているの」

 

 困惑している優美子の前で由比ヶ浜とガイ同時にある方向をみた。

 

「え、なに?」

 

 轟音と共に地面へ降り立つ複数の影。

 

 その姿を見て、由比ヶ浜は目を限界まで見開く。

 

「サロメ星人め、やはりというべきか、なんていうものを!」

 

 ガイが怒りで顔を歪める中、現れた存在を睨む。

 

 赤と銀の人の姿をした巨人。

 

 その数五人。

 

「ウルトラ兄弟」

 

 銀河の平和を守るために戦い続けているM78星雲の光の戦士。

 

 それを模したロボットが彼女達を見下ろしている。

 

「ちょっと、何なの、一体、何なのよ!」

 

 ウルトラ兄弟のロボット達に見下ろされて悲鳴に近い声を上げる優美子。

 

「お前達は隠れていろ!ここは俺が」

 

「ガイさん!」

 

 駆け出していくガイへニセウルトラマンエースが己の拳を振り下ろす。

 

 衝撃と爆発で彼の姿が消える。

 

「オーブ!」

 

 暗闇の中でガイが叫ぶ。

 

 眩い光と共にニセウルトラマンエースを弾き飛ばすようにして一人のウルトラマンが現れた。

 

 胸にアルファベットのOを象ったカラータイマー

 

 額に縦長のクリスタルがあり、紫色の輝きを放っていた。

 

『俺の名前はオーブ。闇を照らして悪を撃つ!』

 

 現れた者はウルトラマンオーブ。

 

「オーブ、でも、前に見たのと何か違う」

 

「ううん」

 

 優美子の言葉を由比ヶ浜は首を振る。

 

「きっと、あれが、本物のオーブなんだ」

 

 ほとんど直感的なものだが、光の輝きを放つあのオーブこそが、本物のウルトラマンオーブなのだと、察する。

 

「優美子、隠れるよ!」

 

「あ、ユイ!」

 

 二人が岩陰に隠れると同時にウルトラマンオーブとニセウルトラ兄弟の戦闘が始まる。

 

 多対一だというのにオーブは光線技を使いながら互角の戦いを行っている。

 

 ニセウルトラマンジャックがウルトラランスを使えば、持ち前の速度で回避して、反撃を試みる。

 

 ニセウルトラマンが八つ裂き光輪を使えば、スペリオン光輪で相殺させた。

 

 ニセウルトラセブンとは正面からぶつかりあう。

 

 しかし、ニセウルトラマンエースのウルトラギロチンで視界が隠れた直後、ニセゾフィーのM78光線がオーブを捉える。

 

 光線を受けたオーブは近くの岩山へ体を打ち付けた。

 

「不利だし!あんな大勢いたら!」

 

「……優美子、ここにいて!」

 

「え、ちょっ、ユイ!?」

 

 驚く優美子を置いて、由比ヶ浜は鞄からジャイロを取り出す。

 

 ジャイロにクリスタルをはめ込む。

 

 眩い光と共に由比ヶ浜はグルジオキングへ変身する。

 

 雄叫びをあげながらグルジオキングがオーブに攻撃しようとしたニセゾフィーとニセセブンをなぎ倒す。

 

『キミは……』

 

 驚くオーブだが、ニセジャックとニセウルトラマンの攻撃で考えることを後回しにして戦いに意識を向ける。

 

 グルジオキングへニセウルトラマン達は攻撃を仕掛けるが強固な体皮と力技によって圧倒されていく。

 

 五体のウルトラマンを一か所にまとめたところで二人は必殺技を放つ。

 

『スペリオン光線!』

 

『ギガキングキャノン!』

 

 光線技と砲撃によって五体のニセウルトラマン達は大爆発を起こした。

 

 周囲へ飛び散るロボットの残骸。

 

 それを前にウルトラマンオーブとグルジオキングが向かい合いながら光に包まれる。

 

「キミは……」

 

 ガイは由比ヶ浜へ問いかけた。

 

「あたしは……どこにでもいる女子高生です!」

 

 由比ヶ浜は笑顔を浮かべる。

 

 

 

 

平成シリーズからウルトラマンが出るとしたら、どういうのが好み?

  • ウルトラマンティガ
  • ウルトラマンゼロ
  • ウルトラマンネクサス
  • ウルトラマンジード
  • 平成シリーズよりも、ウルトラ兄弟をだせ

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