やはり俺がウルトラセブンなのはまちがっている。   作:断空我

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執筆意欲がマジでわかなくて更新が止まるという情けなさ。

次の話もなるべく早く頑張ります。


第二十八話:魔王の来訪

 

「演劇の題目だけど、話し合いの末、ウルトラQをやることになりました!」

 

海老名の宣言にクラスメイトががやがやと騒ぐ。

 

教室の隅で八幡は話を聞いていた。

 

「ウルトラ、なんだって?」

 

「ほら、最近、映画になっていた奴だろ?」

 

「えぇ、あれって、子供向け番組じゃないの?」

 

「いやいや!あれは子供向け番組じゃないよ!実際に起こった話を基にしているんだから、それに、最近は宇宙人とか怪事件が起こっているから話題を呼ぶこと間違いなし!」

 

力説する海老名の姿に三浦は呆れながらもフォローをする。

 

「主役候補が文化祭実行委員で不在なんだし、急がないといけないから丁度いいんじゃないの?」

 

「やべーし、いいんじゃない?」

 

「だな」

 

「俺たちのクラスだけ何もしないなんて嫌だしな」

 

三浦のフォローが入った影響かあっという間に星の王子様からウルトラQに内容の変更が決定した。

 

それから八幡達のクラスは大忙しだった。

 

予定していた星の王子様のセットなどをいくつか変更しなければならなかったし台本を新しく用意しなければならない事態になった。

 

裏方の八幡も慌ただしくなり、放課後も文化祭のために大忙しな日々。

同じ裏方の由比ヶ浜も忙しく、そして、演じる側にいる三浦のフォローもあった為に話をする暇もない。

 

「はぁ、疲れたぁ」

 

ウルトラQの為に奔放させられていた八幡は自販機で愛用のマッカンを購入して、一口。

 

ようやく休憩ができるほどに落ち着いてきたので裏方の八幡はマッカンを味わう。

 

「これが社畜なのか……」

 

文化祭の準備の忙しさを両親の社畜としての忙しさに当てはめた八幡。

 

ますます、社畜になることを嫌がる。

 

「あれぇ、キミ、そこで何をしているの?」

 

ベンチに座ってマッカンでも味わうかぁと思っていた八幡へ声をかけてくる人物がいた。

 

「はろはろ~」

 

「…………誰ですか」

 

「え、ひっどーい。前にあったじゃないかぁ」

 

「……」

 

少し記憶を探る。

 

「え、もしかして、本当に覚えていない?雪乃ちゃんの彼氏ってかなりドライ?」

 

「……俺は雪ノ下の彼氏じゃないんですが?雪ノ下のお姉さん」

 

「もう、覚えているじゃないかぁ、お姉さんをからかうなんて感心しないなぁ」

 

バシバシと八幡の肩をたたくのは雪ノ下の姉、雪ノ下陽乃だった。

 

彼女に手を引かれて拒否する暇もないまま。八幡はベンチに座らされてしまう。

 

「改めて自己紹介、私は雪ノ下陽乃、雪乃ちゃんのお姉ちゃんでここのOGなんだぁ」

 

「そうですか」

 

ふと、八幡は思い出す。

 

――私は姉の背中を追いかけているだけなのかもしれない。

 

ギャラクシークライシス時に雪ノ下が漏らしていた事を思い出す。

 

「(何でもできるお姉さんって話だったか?)」

 

「もう~、私が名乗ったんだからキミもちゃんと名乗ってよう~」

 

「…………比企谷八幡です」

 

「比企谷君かぁ、覚えたよ」

 

笑顔を浮かべている彼女だが、八幡は警戒を緩めない。

 

大げさに言えば、魔王と対峙している勇者の気持ちというところだろうか?

 

目の前の女性は美しく、そして、気を許せるような空気を出している。けれど、目の奥、心の奥底といえばいいのだろうか?その部分はどす黒く……本心を決して見せない姿を八幡は感じ取っていた。

 

今までの八幡なら気付けないほどに巧妙に隠されている。

 

「それで、雪ノ下のお姉さんが俺に話って何ですか?」

 

「実は、キミに興味があるんだ」

 

「興味?」

 

「そう、あの誰も信じようとしなかった雪乃ちゃんが信じている、いや、信じようとしている子がいて、どんな子で。どんなふうに雪乃ちゃんを絆したのか」

 

ぞくりと背中が震える。

 

ただ、みられただけだというのに寒気が止まらなかった。

 

まるで心臓をわしづかみされたような気分に八幡は唾を飲み込む。

 

「言い方が誤解を招きそうですね。邪推されるようなことはありませんよ。ただ、アイツとは意見を重ねていってあぁいう関係になっただけです」

 

「ふーん、本当に?」

 

探るように覗き込んでくるから下がろうとするも腕を掴まれた。

 

「嘘なんてつきませんよ。まぁ、俺の主観なんで正しいかといわれると怪しいですが」

 

それからしばらく彼女は八幡を見つめる。

 

女性、外見は恐ろしいほど美しい人に見つめられること数分。

 

「キミ、面白いね」

 

「は?」

 

笑みをさらに深めた表情で告げる彼女の言葉に八幡は一瞬だけ、理解が遅れてしまう。

 

「雪乃ちゃんが一緒にいようとする気持ちがわかった気がする……比企谷君、また、会いましょうねぇ?」

 

ひらひらと手を振って彼女はベンチから立ち上がる。

 

去っていく雪ノ下陽乃の姿を目で追いながら八幡はベンチに置いていたマッカンを手に取ろうとした。

 

「あれ?」

 

しかし、その手は空を切る。

 

置いていたマッカンがない。

 

「落とした?いや、ない……?マジか」

 

マッカン紛失事件に八幡はショックを受けながら足元の影をにらむ。

 

「まさかと思うが」

 

「えぇ、ペガじゃないよ!ペガは欲しかったらちゃんと言うからね!」

 

「……じゃあ、どこいったんだ?本当」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、暴れて頂戴」

 

黒いローブ姿の人物が笑いながら総武高校の男子生徒へあるアイテムを渡す。

 

渡された男子生徒は虚ろな表情でこくこくと頷く。

 

「じゃあ、よろしくぅ」

 

頷きながら男子生徒は細長いアイテムにソフビ人形のようなものをスキャンさせる。

 

【モンスライド!ゴメス!】

 

どす黒いもやもやしたものに男子生徒は包まれて上空へ浮上する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれは……」

 

街中に出現した怪獣の姿に人々は恐れて逃げ惑う。

 

怪獣が出現した場所は総武高校に近く、窓から怪獣を一目見ようと野次馬が集まっている。

 

現れたゴメスは雄叫びを上げながら破壊活動を起こす。

 

事態を察知した地球防衛軍やウルトラ警備隊が行動を起こすのは時間の問題。

 

八幡の瞳が輝いてゴメスを透視する。

 

超能力によってゴメスの中で叫んでいる総武高校男子生徒の姿が映された。

 

「……」

 

このままでは男子生徒が危ない。

 

八幡の意識が切り替わって伸ばした手は懐からウルトラアイを取り出した。

 

ウルトラアイを八幡は装着する。

 

眩い閃光と共に比企谷八幡はウルトラセブンに変身する。

 

ウルトラセブンは破壊活動を起こそうとしていたゴメスに正面からぶつかりあう。

 

ゴメスは出現したウルトラセブンを敵と認識したのか、唸り声をあげて鋭い爪を振り上げる。

 

振るわれる爪を躱して距離をとる。

 

「(膨大なマイナスエネルギーだ。このままではあの少年が危ない)」

 

ウルトラセブンは短期決着を試みる。

 

ゴメスは地面を揺らしながらウルトラセブンへタックルした。

 

勢いを利用してウルトラセブンはゴメスを投げ飛ばす。

 

宙に投げ飛ばされたゴメスに向かってワイドショットを放つ。

 

ワイドショットを受けて空中でゴメスは大爆発を起こす。

 

ウルトラセブンは超能力で球体を作って呼び寄せた。

 

掌を覗き込むとモンスライドしていた少年が倒れている。

 

「ガハッ、うぅ……あぁ」

 

戦闘によるダメージが体に残ってしまったのだろう、苦悶の表情を浮かべていた。

 

ウルトラセブンは掌にエネルギーを集めて少年の治療を行う。

 

ヒーリング能力によって苦悶の表情を浮かべていた少年の呼吸が落ち着いていく。

 

様態が落ち着いたことを確認してウルトラセブンは少年を地面へそっと下す。

 

ウルトラ警備隊が駆け付けた時、既に怪獣もウルトラセブンもいなくなった後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒッキー!」

 

「由比ヶ浜か」

 

「さっきの話、本当?」

 

八幡は手配した救急車に搬送されるのを見送りながら頷いた。

 

「あぁ、ゴメスに俺たちの学校の生徒が変身していた」

 

「どういうこと?もしかして、オダブのアイテムとか?」

 

「わからない……だが、マイナスエネルギーのような邪悪さを感じた」

 

ふと、八幡は雪ノ下の姿がないことに気付く。

 

「雪ノ下は?連絡するように頼んでおいただろう?」

 

「あ、それなんだけどぉ」

 

ばつが悪そうに由比ヶ浜は話す。

 

怪獣騒動で文化祭の実行委員会が混乱しており、すぐに迎えそうにないということだった。

 

「文化祭どうなるかなぁ?」

 

「怪獣出現で現場検証、原因究明がありえるだろう……そこは学校と防衛軍で相談して判断ということになるだろうな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何があろうと文化祭は実行するよ……そう、絶対に中止はさせない」

 

八幡達の姿を遠くからみている者が呟く。

 

「あぁ、その日がとても待ち遠しいぃ、なぜなら、その日が」

 

風が揺れてその人物の手の中に漆黒のクリスタル状の装置が握られていた。

 

 

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