やはり俺がウルトラセブンなのはまちがっている。   作:断空我

35 / 39
年内最後の投稿です。

つぎの投稿は頑張ります。

今回はガチの賛否両論ありきだと思っています。

文化祭が短い理由?あまり自分が楽しい経験がなくてびょうしゃがきびしいから。


第三十話:闇の足音

 ルルイエという小さな島がある。

 

 もともと、その島に名前はなく、近海を航行する船乗り達がそう呼んでいる場所だ。

 

 小さな島に一隻の船が近づこうとしていた。

 

 地球防衛軍の所有する調査船【ゆうなぎ】である。

 

 調査船はルルイエへまっすぐに向う。

 

 やがて、島から一定の距離というところで停船。

 

 そこから数隻の輸送機がルルイエへ発進する。

 

 ルルイエへ着陸した輸送機から武装した防衛軍隊員、そして作業スタッフが下りていく。

 

 その中に坂本剛一の姿があった。

 

 彼は少し前に発生した無神島の島民を食い殺したレジストコード:ゾイガーの調査の巣があるかもしれないということで地球防衛軍の調査隊と一緒に訪れる。

 

 本来なら民間人である坂本は参加できないのだが、ゾイガーの第一発見者ということや怪事件に遭遇率から何か役に立つかもしれないということで参加させられたのである。

 

「しかし、皆、表情が険しいよな」

 

「それはそうでしょう?人食い怪獣の調査なんですから」

 

 坂本へ声をかけるのは調査隊の隊長である佐伯。

 

 彼は柔和な笑みを浮かべながら防衛軍の軍服の腰にぶら下げている通信機で「これより調査を開始する」と告げていた。

 

 調査を開始して二時間。

 

「まったく現れないなぁ」

 

 島の周辺をぐるりと調査をしてみるもゾイガーの姿はどこにもない。

 

「どっかに飛び立ったのか?」

 

「それはないな。ゾイガーが発見されてから防衛軍が空と海から監視を続けていた。考えられるなら」

 

 佐伯は島をみる。

 

「洞窟の中か」

 

 坂本は知らなかったが地球防衛軍はある計画のためにルルイエへやってきていた。

 

 表向き、ルルイエは何もない無人島とされているが謎の遺跡があることを地球防衛軍のタカ派は秘匿していた。

 

 彼らはある目的のためにルルイエへ訪れたのである。

 

 ゾイガーが島にいないことは謎だが、目的を達成するために次の段階へ調査場所を変えることにした。

 

 調査班の隊長である佐伯は部下達を伴って地下へ繋がる通路を真っすぐに進む。

 

「相変わらず、嫌な場所だ」

 

 何度か調査で訪れた佐伯だが、ルルイエの放つ独特な空気が好きになれなかった。

 

 薄暗い闇の中を手の中の懐中電灯で突き進む調査班。

 

 やがて、彼らの前に広がる壁画。

 

「なんですか、これ」

 

「さぁな、だが、この奥にゾイガーがいるかもしれない。爆破準備!」

 

「え!?」

 

 驚く坂本を他所に作業を開始する防衛軍。

 

 壁画には【四体の巨人】、【巨大な怪鳥】、【暗黒を支配する者】などが刻まれているが佐伯はそれらを目にしない。

 

 気になりつつ、坂本は壁画を携帯端末のカメラで撮影する。

 

 部下に指示をだしてドリルで壁画を削り、爆薬を設置していく。

 

「爆破、開始!」

 

 指示と共に吹き飛ぶ壁画。

 

 土煙を払いながら奥へ用意したライトが一斉に点灯する。

 

「……間違いない、これだ!」

 

 興奮を隠さずに佐伯は叫ぶ。

 

「これって……」

 

 調査班の目の前に広がるそれは石でできた三体の巨人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ」

 

 奉仕部の部室で雪ノ下雪乃が小さなあくびを漏らす。

 

「ゆきのん、眠たそうだね?」

 

「えぇ、文化祭実行委員のサポートのつもりだったのだけれど、色々と問題があって」

 

「問題?」

 

 マッカンを飲んでいた八幡は尋ねる。

 

「相模さんのことよ」

 

「さがみん?」

 

「数日経過した時かしら、予定通りに進んでいるから委員達へ自分のクラスの出し物に集中しようかと言い出したのよ」

 

「マジか」

 

「え?問題あるの?」

 

 瞬時に理解した八幡に比べて由比ヶ浜はわからず首を傾げる。

 

「委員としての活動を始めたっても、まだ数日だ。これから何が起こるかわからない。そこでクラスに集中なんてことしてみろ、これ幸いとサボる奴が現れる。人が少なくなったら苦労するのは委員の方だ」

 

「比企谷君の言う通りよ。だから、止めたのよ。少し油断したら楽な方へ進もうとするからとても苦労するわ」

 

 実際、苦労することが多々あったのだろう。

 

 珍しく雪ノ下が遠い目をしていた。

 

「昔なら彼女がトップだからと遠慮していたかもしれないけれど、あれはダメだわ。徹底的に管理しないと」

 

「ゆきのん、怖いよ?」

 

「冷酷雪ノ下さんは恐ろしいからな」

 

「何か、いったかしら?」

 

「「いいえ!!」」

 

 二人同時に首を振る。

 

 今の雪ノ下に不用意な発言をすれば自分の命が危ない。

 

 それがわからないほど、八幡や由比ヶ浜はバカではなかった。

 

 溜息を吐きながら雪ノ下は外を見る。

 

 先ほどまで明るかった空に分厚い雲が広がっていく。

 

「嫌な天気」

 

 ぽつりと彼女は呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルルイエの遺跡。

 

 広がる遺跡内部にクレーンや運搬用の機材が運び込まれていた。

 

「作業は順調か?」

 

「予定通りに運び出し可能です」

 

 待機している防衛隊員の言葉に佐伯は頷いた。

 

「ちょ、ちょっと、佐伯さん、これは一体、どういうことですか!?」

 

 目の前で進んでいく状況にさすがの坂本も様子がおかしいことに気付いて尋ねる。

 

「俺達はゾイガーの調査できたんですよね?」

 

「計画は順調だ」

 

「え、計画?」

 

 戸惑う坂本に佐伯は話す。

 

「我々は確かにゾイガー探索の任を受けている。同時にもう一つ、ここの調査も目的なのだよ」

 

「まさか、狙いはあの石像?」

 

「鋭いな。その通り、防衛戦力として我々はあの巨人の力を手に入れる」

 

 笑みを浮かべて、見上げる。

 

 地球防衛軍上層部タカ派は最強の地球防衛兵器を求めていた。

 

 侵略者による攻撃は後を絶たない。

 

 少しばかりの休息期間を置けばまた侵略が始まっていく。

 

 地球は防衛のために最強の兵器が必要、そのために今回の計画だ。

 

 タカ派の参謀が密かにはじめたこの計画が成功すれば、人類は最強の力を手に入れても同然。

 

 ウルトラ警備隊やウルトラセブン、あの謎の怪獣の力を借りる必要もなくなるのだ。

 

「無茶苦茶だ、あれが人類の味方になるかどうかもわからないっていうのに!」

 

「輸送船と連絡を取る」

 

 通信機を取り出す佐伯は坂本の話に耳を貸さない。

 

 止めようとするが傍にいた防衛軍隊員に銃口を突き付けられてしまう。

 

「水先案内御苦労、だが、ここからは邪魔をするなら容赦はしない。キミも理解したまえ、我々のこの行動はすべて人類の為に繋がるのだ」

 

「正体が何かわからないものが本当に人類のためになると思いますか!?佐伯さん、あんた、本気でそう思っているというのなら間違いだ!正体不明の存在へ容易に手を出すべきじゃない!」

 

 鼻で笑いながら通信機を起動した佐伯の頭の中では小さな疑問が浮かんでいた。

 

――参謀はこの遺跡の在処をどうやって調べたのだろうか?

 

 佐伯が知る限り、今回の計画を立案した参謀は武闘派で有名で古代遺跡やそういった類に興味はなかった。

 

 では?

 

 そんな疑問を片隅へ残しながら佐伯は通信機を起動する。

 

「こちら調査班、輸送船聞こえるか?もうまもなく輸送機が到着する。受け入れの準備を」

 

 返答がない。

 

 通信機に雑音が響いている。

 

「通信状況が悪いのか?まぁいい、輸送機は」

 

「うわぁあああああああああああああああ」

 

 聞こえた悲鳴に佐伯は顔を上げる。

 

 目の前にこちらをみている、巨人の姿があった。

 

 佐伯の頭が一瞬、真っ白に染まる。

 

 なぜ、巨人が動いている?

 

「そ、そんなバカなぁ!」

 

 情報によれば器がない限り石像のままだ。

 

 どうして?

 

 戸惑う佐伯の前で巨人の体が闇に包まれていく。

 

 闇が佐伯の顔や目、いたるところへ入り込む。

 

 抵抗することができず佐伯の意識は闇の中に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルルイエの遺跡内は阿鼻叫喚だった。

 

 突如、蘇った闇の巨人達。

 

 巨人達に調査隊は発砲を試みるも、蘇った巨人達に通用しない。

 

 拳や足で踏みつけられる隊員達。

 

 ルルイエから脱出しようとする隊員達だが、そんな彼らを巨人達の配下であるシビトゾイガーが襲い掛かる。

 

 ゾイガーの群れによって遺跡の出口を目指していた隊員達は貪りつくされた。

 

 暗闇の中であがる悲鳴の三体の巨人の一人、カミーラが楽しそうに笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「八幡、どう似合うかな?」

 

「すっげぇ似合う」

 

 八幡は目の前で星空航空のコスプレをしている戸塚に感想を言う。

 

 クラスの劇、ウルトラQの準備は順調だった。

 

 主役をまさかの男装した川崎という事実に驚きつつも、後輩戸塚。女性カメラマンを三浦という構成になっている。

 

「てか、あっちはなんでメンチきってんの?」

 

 互いににらみ合っている三浦と川崎。

 

 元から仲が悪いことを知っているがここのところ悪化しているように思える。

 

 ちなみに、彼らの衣装は海老名さんが仕立てたらしい。

 

 三日三晩でやりあげたそうなので目元のクマがすごいことになっている。

 

 劇は当日を迎えるのみだ。

 

「っていいつつ、当日なんだけどな」

 

 文化祭ということで外からの来客が始まっている。

 

 準備までが担当の八幡にとって後は舞台で活躍する面々の頑張り次第。

 

 八幡はのんびりと文化祭を過ごすのみだったのだが。

 

「失礼、比企谷はいるかな?」

 

 教室のドアを開けてやってきたのは葉山隼人。

 

 笑みを浮かべながら呼びかける姿に八幡は不思議と嫌な予感がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何の用だよ?学校の屋上で告白でもするのか?」

 

 呼び出された八幡は場所を変えようと言われて教室から学校の屋上へ場所を変えていた。

 

 男に屋上へ呼びされるということに辟易としながらも応じた八幡は珍しく冗談を交えながら尋ねる。

 

「告白、そうかもしれないね」

 

 振り返らずに答える葉山はいつも通りに見える。

 

 しかし。

 

「告白と言えば、告白かもな、比企谷、いや、ウルトラセブン」

 

 振り返ると同時にクリスタル型のデバイスをみせる葉山。

 

 それをみた八幡は目を細める。

 

「お前、それをどこで手に入れた?」

 

「……手に入れたというか、渡されたということが正しいかな」

 

 いつもの柔和な笑みを浮かべている葉山だが、その目は全く笑っていない。

 

「なぁ、比企谷、お前は思ったことがないか?人間が醜いって」

 

「結構、思っているが?」

 

「その割には人間を信じるようなことばかりしているじゃないか、俺も人間を信じている……でも、俺はそういう醜いものを見て見ぬふりをしてきた。けど、これが教えてくれるんだ」

 

 デバイスを触りながら葉山は笑みを深める。

 

 その目を八幡は知っていた。

 

「闇に魅入られてもよいことはないぞ?」

 

「そうかな?魅入られたことのない癖に……」

 

 デバイスを強く握りしめて葉山は八幡を睨む。

 

――ダメ。

 

 葉山がデバイスを前に突き出そうとした時、白い手が腕を掴んだ。

 

「ま、た、かぁ!」

 

 顔を歪めながら葉山はデバイスを握りしめている腕を睨む。

 

 伸びている手は幻想的で素顔は見えない。

 

「あぁ、くそっ!」

 

 葉山はその腕を振り払うと指を鳴らす。

 

 直後、空が暗雲に覆われていく。

 

「これは……」

 

 暗雲の中から翼を広げた怪獣が現れた。

 

「ゾイガー、壊せ!文化祭を台無しにしろ!」

 

 葉山の叫びに現れたゾイガーは雄叫びを上げて高校へ迫る。

 

「お前、自分が何をしようとしているのかわかっているのか!」

 

「あぁ、文化祭を壊す、そうしたらたくさんの人が絶望する。今までの努力が水の泡になるって、どんな絶望だろうなぁ?」

 

 狂気に顔を歪め叫ぶ葉山。

 

 八幡はポケットからウルトラアイを取り出そうとする。

 

「葉山君?呼ばれたけど、一体」

 

 その時、屋上のドアが開く。

 

 八幡が振り返ると相模南が書類を手にやってきた。

 

 正体を知られるわけにいかず、ウルトラアイを隠す。

 

 ニタァとデバイスをしまって葉山は怪しい笑みを浮かべる。

 

 彼は懐から別のデバイスを取り出して、相模へ投げた。

 

 デバイスは吸い込まれるように相模の中へ吸い込まれる。

 

 虚ろな表情になった相模の右手にデバイスが出現。

 

 もう片方の手に現れるのは怪獣の人形。

 

「モンスライブ!クレッセント!」

 

 首元に三日月の模様を持つ怪獣 クレッセントへ姿を変える。

 

「どうする?比企谷!ゾイガーとクレッセント相手に文化祭を守れるか?お前は何もできないことを知って絶望してしまえ!」

 

 スポーツ万能、成績優秀のイケメンとは思えない葉山隼人の叫び。

 

 見るものがみれば驚くだろう。

 

 だが、八幡は既に葉山から意識を外して二体の怪獣をどうするか考えていた。

 

 ゾイガーが校舎へ腕を振り下ろそうとしていた。

 

「ゼットォォォォォン」

 

 ゼットンがゾイガーの腕を掴んで投げ飛ばす。

 

 クレッセントは地面から出現したグルジオキングに驚いて後退する。

 

「何をしているのかしら?」

 

 屋上のドアが開いてバトルバイザーを構えた雪ノ下が現れる。

 

「雪乃ちゃん……」

 

 雪ノ下の姿に葉山は動揺していた。

 

「どうして」

 

「相模さんを探していたのよ。文化祭の資料を持ち出してどこかにいっていたから由比ヶ浜さんと一緒に……そうしたら、怪獣騒ぎ、元凶は葉山君といったところかしら?」

 

「それは……」

 

 淡々と告げられる言葉に葉山の目が泳ぐ。

 

「(雪ノ下の姿に動揺している?どういうことだ)」

 

 八幡が戸惑っている間にゼットンとグルジオキングによって追い込まれるゾイガーとクレッセット。

 

「ゼットン、とどめを刺しなさい!」

 

 ゼットンが一兆度の火球を放ち、グルジオキングが必殺の砲撃を放つ。

 

 必殺の攻撃を受けて大爆発を起こす二体。

 

 ゾイガーは消滅して、クレッセントがいた場所に倒れる相模の姿。

 

「バカ、な」

 

 信じられないという表情で葉山が目の前の光景を見た。

 

「さて、こんなふざけたことの説明をしてもらおうかしら?」

 

 バトルナイザーを構えたまま、雪ノ下が静かに問いかける。

 

 近づこうとした雪ノ下の足元に光弾が直撃した。

 

「その必要はないわ」

 

 葉山を守るように現れたのは黒衣を纏った女性。

 

 光を映さない漆黒の瞳は雪ノ下へ敵意を向けていた。

 

「貴方……」

 

「私のハヤトはお前に渡さない」

 

 カミーラが手を動かすと闇色のオーロラが現れてそのまま葉山ごと包み込む。

 

 オーロラが消えると二人の姿はどこにもなかった。

 

「雪ノ下……すまん、助かった」

 

「いいえ、もう少し早く来られれば」

 

 雪ノ下の視線は地面に倒れている相模へ向けられていた。

 

 彼女は文化祭の実行委員長としての役割がまだ残っている。

 

 気絶して目を覚ますまでに少しばかりの時間がかかるだろう。

 

「プランを考えないといけないわね」

 

「あー、俺にできることがあれば、少しなら手伝うぞ」

 

 八幡の言葉に雪ノ下は小さく笑う。

 

「そうね、頼りにさせてもらおうかしら?」

 

 尚、気絶していた相模を抱えて戻ってきた由比ヶ浜は二人の様子を見て不機嫌になり、八幡へ「二人でハニトーを食べる」という約束を取り付けた。

 




闇落ち葉山ですが、このまま救済なしということはしません。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。