やはり俺がウルトラセブンなのはまちがっている。   作:断空我

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ウルトラマントリガーの告知がはじまって、色々と楽しみになってきている。




第三十二話:悩みの行方

「単刀直入に聞こう、調査隊の安否についてだ」

 

 長官室。

 

 腕を組みながら竹中は白銀に尋ねる。

 

「コンピューターの計算では絶望的だと……隊員達の報告でゾイガーは人を食らうということから、おそらく」

 

 調査隊は全滅しているという言葉を白銀は飲み込んだ。

 

 これを告げることに少しの抵抗がある。

 

「地球防衛軍内部に不穏な動きがある」

 

「不穏な動きですか?」

 

「一部のタカ派が過激な計画を申請、受諾させようとしている」

 

「それと、ルルイエの関係は」

 

「わからない、だが、人事編成のどさくさに紛れて一部のタカ派がルルイエの遺跡調査を強行していることはわかった」

 

「……まさか、今回の事態は」

 

「調査隊の安否については絶望的とみて、早急に動く必要があるかもしれない……今回の事態は我々、地球防衛軍が引き起こしたものかもしれん」

 

 竹中参謀の言葉に白銀は息を飲む。

 

「今は古橋やほかの参謀が慎重に考えてくれているがそれもいつまで続くかはわからない。ウルトラ警備隊はルルイエのゾイガー殲滅作戦を立案、実行してもらいたい」

 

「……わかりました」

 

 白銀は敬礼して長官室を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「由比ヶ浜さん、どうだった?」

 

「だめ、優美子やみんなに聞いてみたけど。隼人君の姿を見てないって」

 

「一応調べたけれど、家にも帰宅していないそうだわ」

 

 雪ノ下と由比ヶ浜は文化祭翌日から葉山隼人の行方を捜していたのだが、みつからない。

 

 八幡から告げられた彼の手にしていたデバイス、そして相模南を怪獣化させた事件の真相を調べるためでもある。

 

「隼人君、一体、どうしたんだろ?それに、さがみんにあんなことをするなんて」

 

「さぁ……彼に何があったか、それを知るには彼をみつけないと」

 

 ふと、雪ノ下は視界の片隅に何かを見た気がして立ち止まる。

 

「ゆきのん?」

 

「いえ、なんでもないわ」

 

 嫌なものを感じながらも雪ノ下は葉山隼人を捜索するために歩みを始める。

 

「人間の、悲鳴を」

 

 ふらふらと二人の後を男が尾行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、先輩~、探していたんですよ!」

 

 二人と同じように葉山隼人を探していた比企谷八幡。

 

 彼の前に笑顔を浮かべてやってくる一色いろは。

 

 そんな彼女を八幡は無視して歩き去る。

 

「待ってくださぁい!無視していかないでくださいよう!」

 

 問屋はおろさないというように去ろうとした八幡の腕に抱き着く一色。

 

 八幡はため息を零しながらいつも以上に濁った目で一色をみる。

 

「何の用だ?一色、俺は忙しい」

 

「うわ、いつも以上に濁った目をしていますね。何かあったんですか?」

 

「まぁな、酷く面倒で本当に嫌なことだ」

 

 雪ノ下と由比ヶ浜と別れ、葉山隼人の行方を探っているものの千葉にいるかとても怪しい。

 

 もしかしたら日本にすらいないという可能性も。

 

「せんぱーい?無視しないでくださいよぉ」

 

 ブンブンと腕を振りまわしながら一色が抗議してくる。

 

「急いでいるんだが?遊びの誘いなら断るしこれ以上の面倒ごとなら断固拒否したい」

 

「いろは!」

 

 一色を呼ぶ声に八幡は視線を向ける。

 

 手を振りながら笑顔で天真爛漫な笑顔を振りまきながらやってくる女性。

 

 その女性を見た瞬間、八幡の表情がさらに険しくなる。

 

「おい、一色」

 

「実は先輩、相談したいことが」

 

「比企谷」

 

 一色の声を遮って目の前に現れるのは葉山隼人。

 

「葉山……先輩?」

 

 目の前に現れた葉山は一色の知る爽やかなスポーツマンという印象から百八十度反転したように別人だった。

 

「うわ、先輩みたいに濁った目」

 

「俺と同じは余計だ……葉山、お前は何をするつもりだ?」

 

「……俺は世界を滅ぼしたいだが、それを許さないものがいる」

 

「なぜ、世界を滅ぼそうとする?」

 

「なぁ、比企谷、お前はどうしても欲しいものが手に入らないとき、どうする?」

 

「手に入らないとき?悪いが俺の場合、確実に手はいることしかしない」

 

「ハハッ。よく言うよ……お前は俺の欲しいものを手に入れてしまう、だから、憎い!」

 

 叫ぶ葉山に八幡は沈黙して一色は戸惑いを浮かべる。

 

「キミ、どうして嘘をつくんだい?」

 

 沈黙を切り裂くように一色の傍にいた女性が尋ねる。

 

「嘘?嘘といったのか?」

 

「うん。キミは自分の心に嘘をついている。そんなことをしたら苦しむだけだ」

 

 女性の言葉に葉山は怒りで顔を歪めた。

 

「違う!俺は、嘘なんかついていない!」

 

 懐から黒いデバイスを取り出した葉山だが、その手は動かない。

 

「くそっ!また!」

 

 葉山は腕を動かそうとして顔を歪めている。

 

 様子のおかしい葉山に近づくことを試みた。

 

「葉山……」

 

「やめろ、俺をそんな目でみるな!」

 

「危ない!」

 

 女性が八幡の腕を掴む。

 

 衝撃と揺れで八幡はバランスを崩す。

 

 もし、女性が手を引かなければ飛来した怪獣の手によって八幡はぺしゃんこにされていただろう。

 

「コイツ……」

 

 見上げる八幡の前に現れるのは翼竜のような怪獣。

 

 赤い瞳は敵意に満ち溢れている。

 

 こちらを見下ろす怪獣は八幡達を潰そうとしていた。

 

「逃げるぞ!」

 

「あ、先輩!でも、葉山先輩が」

 

「アイツは大丈夫だ!」

 

「え、でも!?」

 

「あぁ、もう、説明は後だ!」

 

 一色の手を引いて走る八幡。

 

 女性は怪獣、ゾイガーの攻撃を躱すと葉山の手を掴む。

 

「逃げるよ」

 

「お、おい」

 

 戸惑う葉山の手を引いて走る女性。

 

「くそっ、どこまでも追いかけてくる気だな」

 

 八幡はポケットからピルケースを取り出す。

 

 そこから一つのカプセルを手に取るとそのまま空に向かって投げる。

 

「頼むぞ!アギラ!」

 

 眩い閃光と爆発が起こり、ゾイガーの前にカプセル怪獣のアギラが現れた。

 

 アギラは地面を蹴り、ゾイガーの腹へ突撃する。

 

 不意打ちにゾイガーは後ろへ転倒。

 

 覆いかぶさるようにアギラが攻撃を仕掛けようとしたが足蹴によって地面を転がるアギラ。

 

「離せ!」

 

 葉山が叫んで女性の手を振り払う。

 

「俺は敵だぞ!なぜ、助ける!」

 

「違う、キミは自分に嘘をついている」

 

「何を根拠に!!」

 

 葉山は苛立ちながら懐から再びデバイスを取り出すもそこから動かない。

 

「くそっ、なんで!」

 

 苛立ちながら腕を振るうもまるで金縛りにあったように動かない。そのことに葉山は顔を歪める。

 

「キミは闇に誘惑されている。でも、光の立場にありたいと相反する感情がぶつかりあっている」

 

「うるさい、何を根拠に」

 

「私はわかる。私には人の感情がみえるんだ」

 

 女性の姿が緑色の光に包まれる。

 

 光が消えて現れるのは人型の宇宙人。

 

 銀と金の姿をしている宇宙人は葉山へ手を伸ばす。

 

 手が優しくデバイスを握りしめている葉山へ触れる。

 

 その瞬間、葉山の意識がクリアになった。

 

 どこか別の場所、どこかの世界。

 

 金色に輝くピラミッドの中に眠る三体の巨人。

 

 現れる二体の怪獣。

 

 破壊される二体の巨人。

 

 最後の一体が破壊されようとした時、一人の青年が光となって巨人と一体化する。

 

 巨人は光を取り戻した。

 

 光の巨人は怪獣や侵略者と戦う。

 

 そして、最後は強大な闇の支配者と。

 

「っ!」

 

 強烈な吐き気を催して葉山は地面へ座り込む。

 

「俺に、何を、何をしたぁああああああ!」

 

「キミは自身の心と向き合わなければならない。そうしなければ、キミはいつまでも」

 

「知ったような……俺の何を知っているぅぅぅぅううううう!」

 

「わかるとも、ミュー粒子が教えてくれる。葉山隼人、キミは後悔ばかりをしてきた。だからこそ、正しくありたいと願うもうまくいかず、キミは悩み、苦しみ、選ぶことができない」

 

「うるさい、違う!俺は!」

 

 女性の言葉に激昂しながらデバイスを構える葉山。

 

「なら、どうして闇の力を解放しない?」

 

「それは、雪乃ちゃんが……」

 

「違う。キミは本能的に闇の力を拒絶しようとしているんだ。危険な力であることをわかっているから拒んでいる」

 

「違う、違う違う違う!」

 

 頭を振りながら叫ぶ葉山の姿に遅れてやってきた八幡はゆっくりと声をかける。

 

「葉山、お前は何をしたいんだ」

 

「なんだと……」

 

「俺からみるとお前は大きな力を前にしてどうすればいいのかわからない子供にみえる」

 

「子供だって!?俺は違う!この力があれば、なんだってできる!この世界を好きにだって!大暴れすることも」

 

「……本当にそう思っているのか?俺はそうみえない」

 

「黙れ!お前にだけは、お前にだけはぁ」

 

 葉山の叫びと共にアギラを圧倒したゾイガーが現れる。

 

 ゾイガーは口から火球を放つ。

 

 火球は一色と女性を飲み込もうとする。

 

「きゃああああ!」

 

 悲鳴を上げる一色。

 

 一色を守ろうと葉山から視線を外して庇う女性。

 

 迫る火球だが、横から伸びた赤い手が掴む。

 

 ウルトラセブンはゾイガーの放った火球を掴むと投げ返す。

 

 火球を受けたゾイガーが地面に倒れる。

 

「デュア!」

 

 ウルトラセブンは指を伸ばす。

 

 地面に倒れているアギラが光に包まれてセブンの掌に吸い込まれる。

 

 カプセルを収納しているセブンへ起き上がり翼を広げたゾイガーが奇襲を仕掛けた。

 

 頭頂のアイスラッガーを抜いて振り下ろす。

 

 アイスラッガーはゾイガーの片翼を切り落とした。

 

 ゾイガーは片翼が切り落とされた事で地面に頭から突っ込む。

 

 ウルトラセブンは一色と女性の無事を確認する。

 

 片翼を切り落とされたゾイガーは怒りに染まった雄叫びを上げると切り落とされた翼へ手を伸ばして引っ張る。

 

 苦悶の声を上げながら翼を引き抜く。

 

 驚くセブンの前でゾイガーはもう片方の翼を引き抜いて投げ飛ばし、鋭い爪を構える。

 

 飛行能力を奪われた事で邪魔になった翼をなくすことで地上における戦いの不利をなくしたのだ。

 

 地面を揺らしながら走るゾイガーと正面からぶつかりあう。

 

 振るわれる爪を躱しながらパンチを放つ。

 

 固い皮膚にセブンのパンチを受けたゾイガーだが攻撃の手を緩めない。

 

 連続で繰り出される爪の一撃がとうとうセブンの肩を切り裂いた。

 

 苦悶の声を上げるセブンの体は次々と降り注ぐゾイガーの火球を受けてしまう。

 

 地面に倒れたセブンへとどめを刺そうと迫るゾイガー。

 

 その時になってスクランブルした地球防衛空軍の戦闘機が攻撃する。

 

 地球防衛空軍の攻撃によってゾイガーの動きが鈍った。

 

 怒りの声を上げながらゾイガーは口から火球を放とうとする。

 

【ホロボロス!】

 

 光と共に出現したホロボスの爪がゾイガーの背中を切り裂く。

 

 攻撃を受けてバランスを崩したゾイガーの火球が地面を焼いた。

 

『ヒッキー!大丈夫!?』

 

『あぁ、後は任せてくれ』

 

 頷いたセブンはドロップキックをゾイガーへ放ち、距離を取る。

 

 ゾイガーは地面を蹴り、セブンヘ接近しながら鋭い爪を繰り出す。

 

「デュア!」

 

 雄叫びと共に繰りだした正面から拳でゾイガーの爪を砕いた。

 

 驚き、仰け反るゾイガーへセブンは額のビームランプからエメリウム光線を放つ。

 

 光線を受けたゾイガーは炎に包まれて消失する。

 

 ウルトラセブンが一色達の方を見るも、そこに葉山隼人の姿はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう一度、いってくれ」

 

 地下の洞窟。

 

 坂本は記録者の告げた言葉に目を見開いていた。

 

「頼む、もう一度!」

 

 震える声で坂本は尋ねる。

 

「何度でもお伝えしましょう」

 

 記録者は静かにうなずいた。

 

「この世界は一度、滅んでいます。闇の巨人達によって。そして、あなた方の世界も同じ運命をたどる」

 

 告げられた言葉に坂本は目を見開いて言葉を失ってしまう。

 

 

 




ギャラクシークライシス編って、やった方がいいかな?

一応、話の筋はまとまっているから、ところどころとばしなら書けるとは思うけど。

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