「それで、そちらは……」
「えっと、そのう」
「いや、ソイツが宇宙人ってことはわかっている。俺が言いたいのはお前がどうして宇宙人と一緒に行動しているのかという事だ」
葉山隼人を見失った八幡は一色と一緒にいる宇宙人との関係について尋ねることにした。
場所は喫茶ブラックスター。
厄介な話などをするにおいてとっておきの場所である。
今回はカウンター席ではなくテーブル席で八幡は正面にいる一色と宇宙人をみる。
「えっとぉ」
「いろは、私が話そう」
一色を止めて緑色の光に包まれると銀と金の姿をした人型エイリアンへ姿を変えた。
「私はネリル星人」
自らをそう名乗って八幡へ挨拶をする。
「キミがあの赤い巨人……ウルトラセブンだったんだね。いろはが会わせようとすることに納得だ」
「ネリル星は科学が発展していた素晴らしい惑星だと聞いている。その星に住まう者がどうして地球へ?」
「実は」
ネリル星人が告げた話はとても悲しいものだった。
故郷のネリル星が寿命を迎えようとしていたので宇宙飛行士である彼は新天地を求めるために各惑星を飛び回っていた。
しかし、新天地は見つからず、一度、故郷へ戻ったのだがネリル星は既に滅びてしまっていたのだ。
新天地を探すためにワープを何回も繰り返している間にかなりの時間が過ぎてしまっていた。
ネリル星は滅びてしまったが同胞が別の惑星にいるかもしれない。
そう判断した彼は様々な星を旅した。
旅の途中に彼は地球へ訪れたのだ。
「第三惑星テラ、うわさでは聞いていたけれど、とても美しい星だ。宇宙のオアシスと呼ばれている事にも納得してしまう」
「(純心な奴だな)」
ネリル星の話をしている彼に嘘はない。
信じてほしいという気持ちがミュー粒子を通して伝わってくるのだ。
「いろはのところへ訪れたのは本当に偶然なんだ。私は彼女と話をして地球の案内を頼んだ」
「そのぉ、先輩達のおかげで耐性がついたといいますか、慣れたといいますか、最初は驚きましたよ!きゃーこわい!って、でも、悪い奴じゃなさそうだしってことで先輩に相談を」
「あざといな、まぁ、その選択肢は正解だが」
いや、正解なのだろうか?
葉山隼人を見失って新たな問題がやってきただけなのかもしれない。
「ウルトラセブン。彼は迷っている。私は彼を放っておくことができないんだ」
「放っておけない?」
「彼は闇の誘惑を受けている。だが、心の奥底まで染まっているわけじゃない。できるなら彼を正しい道へ導いてあげたい」
「……葉山がまだ戻れると?」
「可能性はある。だから私はルルイエへ向かおうと思う」
「!!」
「え、葉山先輩の居場所、わかるの?」
「ミュー粒子を通して彼の中を覗き込んだ。その際に、ね」
あまりそういうことをしてはいけないんだけど、と言葉を濁すネリル星人。
「ルルイエか……」
場所については少し調べないといけないだろう。
八幡はポケットから携帯端末を取り出す。
メールを簡単に打ち込んで送信する。
送り先は雪ノ下と由比ヶ浜だ。
ウルトラ警備隊作戦室。
資料を手にした古橋参謀が作戦室へ入ってくる。
作戦室で緊張した様子で敬礼するウルトラ警備隊のメンバー達。
「作戦を伝える。ウルトラ警備隊はマックス号改でルルイエへ出動。島のゾイガーを含めた敵対生物を殲滅せよ!」
「参謀!調査隊の生き残りは……」
「会議の結果、生存者はなしと判断された」
「そんな!」
息を飲む東郷。
白銀は静かに古橋へ尋ねる。
「マックス号とはかつて侵略者によって破壊された筈では?」
「竹中長官立案でマックス号を改造した最新鋭艦として新造されたものだ。ルルイエで跋扈しているゾイガーを殲滅できる威力を有している」
「これは凄いな」
「参謀、作戦開始時間は?」
ユキが感心して、渋川が尋ねる。
「今から七時間後だ」
「では、0600ですね」
白銀の言葉に古橋は頷いた。
「ゾイガーどもめ、殲滅してやるぞ!」
バシンと拳を鳴らす梶達。
隊員達は出撃までの時間、準備とマックス号改の性能について渡された資料の内容を読むことにした。
「まさか、話に聞いていたルルイエがこの世界に存在するなんてね」
合流した八幡は雪ノ下達へ事情を説明してネリル星人と共に敵地であるルルイエへ向かうことになった。
「ルルイエかぁ、ダイゴさんに聞いたときは物語みたいと思っていたけれど、そんなことにあたし達が行くんだね」
ギャラクシークライシスの時に出会ったダイゴという青年から聞かされたことを思い出している由比ヶ浜達の傍にはブラックスターのマスターが用意してくれた円盤がある。
「ところで比企谷君。本当に彼女を連れて行くの?」
雪ノ下の視線は後ろでネリル星人と一緒にいる一色へ向けられている。
一色は目の前に鎮座している円盤を見てぽかんと目を丸くしていた。
「いろはちゃん、大丈夫?」
八幡の影から現れたペガが一色へ声をかける。
「はっ!一瞬、思考停止していました……先輩、円盤ですよ!?円盤が!」
「落ち着け一色」
「落ち着けないです!円盤なんて!?え、円盤に乗っていくんですか!?」
「この円盤、造りはピット星のものだ……旧式か」
驚いている一色に対してネリル星人は平然としている。
「さて、行くぞ。ウルトラ警備隊もルルイエに向かっているみたいだし」
「え、先輩。なんでわかるんですか!?」
「ヒッキー、また、ハッキングしたね?」
驚いている一色の横で由比ヶ浜が呆れた声をだす。
彼らの言葉を聞きながら一足先に円盤へ乗り込んだ雪ノ下が操作をはじめる。
ハッチが閉じて円盤がルルイエに向かって飛び立つ。
その姿をみている者はいない。
「飛んでいるのに浮遊感みたいなのないんですね」
「旧式とはいえ、テラの技術と比べると何倍もの差があるから」
驚いている一色の横でネリル星人が説明する。
一色は周りを見る。
円盤を操縦している雪ノ下。
由比ヶ浜は端末を操作している八幡と話をしている。
「八幡が気になるの?」
「へ!?」
一色の傍へ不思議そうにペガが尋ねる。
「いろは、ずっと八幡をみているね?」
「そ、そ、そ、そ、そんなことあるわけないじゃないですか!」
「いろは、顔が赤い。嘘はよくないよ」
「ちょっとぉ!」
「お前らうるさいぞ」
「先輩!なんでもありません、お願いですからこないでください、ごめんなさい!」
「なんで俺が振られたみたいになっているんだ。それより一色、お前に渡しておくものがある」
八幡はポケットからあるものを取り出す。
「先輩、それ、銃ですか!?」
驚いた顔をしている一色に八幡が渡したのは銃だった。
近未来的なデザインをしている銃に一色は驚いている。
「なんでそんな物騒なものを」
「これから行く場所は危険なところだ。お前の身を守れるように……といってもコイツに殺傷能力はない。バリアシステムが搭載されていて、身を守るための手段ってことだ。一応、ペガやネリル星人がいるとはいえ、何が起こるかわからない。そんな場所へ行くってことをわかっておけ」
「わかりました~」
「比企谷君、間もなくルルイエへ到着するわ」
「ゾイガーは?」
「影も形もない……隠れているのかしら」
「もしくは誘導しているか……海岸に着陸してくれ」
「わかったわ」
円盤がゆっくりとルルイエの海岸へ着陸する。
ゆっくりと円盤が着水した。
ハッチをあけてゆっくりと海岸へ降りる。
周囲を確認して危険なものがないか確認してから八幡は降りるように促す。
「マスターが偽装装置を搭載してくれているおかげで見つかる心配はないな」
全員が降りた後、円盤は設置されていた偽装システムによって周囲の景色に溶け込んだ。
ペガは念の為、円盤へ残り何かあれば操縦して迎えに来るように頼む。
「それで、これからどうするのかしら?」
「向こうからやってきたから気にすることはないだろ」
「え?」
八幡が遺跡の続く入口を指す。
入口の前に葉山が立っていた。
「葉山先輩……」
「葉山君」
「比企谷、それに……雪乃ちゃん」
葉山は懐からクリスタルのデバイスを取り出す。
その目はどす黒い闇色に染まっていた。
「葉山、お前……」
「俺はもう幻影に惑わされない。お前を倒すためにこの力を使ってやる」
「ダメだ!そんなことをすればキミの心が完全に壊れてしまう!」
ネリル星人が葉山に叫んで近づく。
何かに気付いた八幡がネリル星人を突き飛ばす。
少し遅れて巨漢の男が拳を放った。
「ぐっ!」
攻撃を受けた八幡はそのまま近くの裂け目へ落ちていく。
「ヒッキー!?」
「比企谷君!」
「ひっひっひっ!」
助けに行こうとした雪ノ下と由比ヶ浜だが、その前に細身の男が現れて阻む。
「本当に忌々しい女」
遺跡の奥から黒衣の女が現れる。
裂け目に落ちた八幡だが、彼は慌てずに側面を蹴りながら落下する速度を下げていく。
落下して体感としては三十分ほどだろうようやく裂け目の底へ辿り着いた。
「……かなり深いところまで落とされたみたいだな」
問題はどうやって戻るべきか。
あの二人がいるから大丈夫だろうけれど、ここはよくない感じがする。
一色とネリル星人の事が心配だ。
八幡は出口を探すために歩みを始める。
「……誰か呼んでいる?」
ミュー粒子を通して何者かが八幡を呼んでいる。相手はネリル星人ではない。
別の者が八幡、否、ウルトラセブンを呼んでいた。
「わかった」
頷いた八幡。
彼が再び顔を上げた時、その顔は別のものになっていた。
モロボシ・ダン。
別宇宙にて、命がけで地球の平和の為に戦ったウルトラセブンの地球人としての姿。
彼はミュー粒子を通して呼びかけてくる者の正体を探るために暗い洞窟の中を進んでいく。
「(何者かが私を呼んでいる。この世界にいる比企谷八幡ではない。ウルトラセブン、モロボシ・ダンとしての私を……だが、一体、何者が私を呼ぶのだろうか?)」
己を呼ぶ者の正体を探るために彼へ頼み込み、表へ姿を現す。
この姿になるのは久しぶりだった。
体の感覚を懐かしみながらも警戒してダンは奥地へ進む。
しばらくして、ダンは開けた場所へ辿り着いた。
「これは……街か」
目の前に広がる滅びた街。
今の地球人類が築いたものと大きく異なる文明。
だが、どことなく今の人類と似通った起源をダンは感じた。
「お待ちしておりました」
聞こえた声にダンが振り返る。
「キミだね。私を呼んだのは」
「はい。お待ちしておりました。別宇宙の英雄様」
自らを記録者と名乗り、彼女は微笑む。
「ここは……」
「はい、貴方の予想している通り、ここはかつて栄えた文明の慣れの果て。闇の巨人達によってすべてが滅ぶことになったはじまりの場所」
「教えてくれ、なぜ、滅んだんだ?そして、葉山隼人はなぜ、闇に魅入られている?」
ダンは記録者へ問いかける。
「お話します。すべては三千万年前、一つの願いからはじまったのです」
三千万年前。
人が地球上に君臨してそれなりの時が過ぎた頃。
発達した科学や文明へ警鐘を鳴らすように最大の脅威が姿を現す。
怪獣である。
次々と現れる怪獣達を撃退しようとする人々だったが強固な皮膚や炎によって滅びの一途をたどるばかりだった。
誰もが絶望に染まっていく中で、諦めない者がいた。
一人の少年が最後まで絶望せずに立ち向かおうとする。
そんな少年の願いに応えるように遠い宇宙の彼方から光が現れた。
光と少年が一つになり、巨人となった。
巨人は怪獣と戦う。
少年に続くように諦めない意志を持った者達が光と一体になって巨人となる。
多くの巨人達によって怪獣という災害は撃退された。
「ですが、それで、終わりではないのです」
「終わりではない?」
「巨人が現れたことで人類は怪獣という災害から乗り切ることができました。ですが、滅びの前兆がはじまってしまったのです」
「滅びの前兆だって?」
記録者は告げる。
滅びの前兆、それは一つの花だった。
花がまき散らす花粉は人々を夢の世界へ誘う。
幸せな夢の世界に訪れた人間達はその世界から抜け出す事ができなくなる。
やがて、花粉は世界中に広がり人々から争いが消えた。
怪獣がいなくなり、争いがなくなったことから光は役目を終えたと判断して、自らの故郷である星雲へ去っていく。
残された者達は夢の世界でそのまま朽ちるはずだった。
しかし、強い意志を持つ人間はいる。
支配欲、野心、言い方は様々だがそういう強い意志を持つ者達が巨人の力を手に入れていた。
巨人の力を用いて支配をしようとする者達同士によって争いが始まった。
その中で闇に魅入られた巨人達が現れる。
彼らはほかの巨人達を滅ぼし、最後は世界すべてを闇へ包み込んだ。
こうして、文明は滅び、わずかばかりの生き残りは星を去った。
これが三千万年前に起こった滅びの記録。
「今は別の文明が生まれている……ですが、彼らも同じ道をたどるでしょう」
「人間はそこまで愚かではない」
記録者の言葉をダンは否定する。
「キミの言う通り、人間は楽をして、力に溺れてしまう弱い生き物だ。だが、他者を労り、愛することもできる素晴らしい生き物だ。過去に失敗をしたからと同じ過ちを繰り返すほど人間は愚かでないと私は信じている」
「…………本当に過ちを繰り返さないと思いますか?あの少年は闇の誘惑を払いきれない。おそらく、彼は闇の力を解き放つでしょう。そして、このルルイエを覆っている結界は解除され、世界は闇に包まれる」
「私は葉山隼人という人間を詳しくは知らない。だが、彼のすべてが闇ではない。悩み葛藤している彼の中にほんの僅かばかりでも光があるのならば、闇を払いのけることだって不可能ではない」
ダンは知っている。
自分達の世界の人間たちの強さを。
強い意志で光を手にした者達を。
この世界の人間だってきっと、他人を労り、手を取り合って困難を乗り越えられる。
今、融合している少年のように。
「……貴方の言葉を聞いているとまだ、可能性があるかもしれないと思えます」
「信じてほしい。人間を、彼らを」
「わかりません。ですが、私は記録します。この出来事も、すべての事を、そして、いずれはア――」
大きな音が洞窟内に響いた。
音を立てて地面に崩れ落ちる記録者。
目を見開いて駆け寄るダン。
しかし、襲撃者の姿はどこにもない。
「大丈夫か!」
倒れた記録者を抱きかかえるダン。
しかし、記録者の体にぽっかりと穴ができていた。
「…………この先に人間が一人います」
「喋るんじゃない」
手当を施そうとするダンの手を記録者が掴む。
「彼も、貴方ほどではありませんが人間を信じてほしいといっていました。三千万年前とは違う結果が待っているかもしれない……ですが、その記録を私はできそうにない」
震える記録者。
「ですから、彼に託しました……そして、葉山隼人は完全に闇へ堕ちたわけではありません。ですが、彼は受け継いでいるのです。三千万年前、世界を滅ぼした闇のティガの……超古代の英雄戦士のDNAを」
「そうか。だから、彼に」
「もし、彼が超古代の英雄戦士のような強さがなければ、闇に堕ちる……ティガは世界を闇へ染めました。ですが、ユザレと出会い、光へ戻った……別宇宙の英雄様、彼を、導いてあげてほしいのです。闇の戦士ではない、光をつぐものへ」
「……わかった」
ダンが頷くと記録者は小さな笑みを浮かべる。
「これで、ユザレ様との約束を果たすことができそうです。貴方ならきっと……」
記録者は瞳を閉じる。
直後、スパークが起こりダンの腕の中には銀色の土偶のような存在が横たわっていた。
本当の姿だろう。ダンの手の中で灰となって散っていく。
ダンは僅かばかりに残った手の中の灰をみる。
「約束するとも」
「本当に忌々しい女」
カミーラは冷たい瞳を雪ノ下へ向ける。
「私の記憶では初対面のハズだけど?」
「そうでしょうね。貴方は受け継いでいない。地球星警備団団長ユザレの遺伝子を」
「それは……」
告げられた名前に雪ノ下は驚く。
その存在を知っていた。
一度、たった一度だけ、雪ノ下はユザレと会っている。
ここではない別の宇宙。
ギャラクシークライシス時に。
「受け継いでいなくても知ってはいるのね。だとしても、私はお前が気に入らない。お前の顔はあの女と同じ顔をしている。邪魔だ」
ユザレが電撃を放つ。
電撃が雪ノ下へ直撃する瞬間、懐から飛び出したバトルナイザーが守る。
バトルナイザーから放たれた衝撃波が雷撃を打ち消す。
舌打ちをするカミーラ。
「本当に忌々しい女……まぁいい、ハヤ~ト」
今までと別の笑みを浮かべてカミーラは葉山の腕へ抱き着いた。
「貴方の強大な闇の力をあの二人へみせてあげて」
「……それは」
「大丈夫よ。貴方を阻むものはここですべて消える。ユザレも、貴方を認めず受け入れることをしなかったユキノシタユキノも」
見つめられた葉山は懐からクリスタル型のデバイスを取り出す。
「ダメだ!」
デバイスを構える葉山へネリル星人が叫ぶ。
「なんだ、お前?」
カミーラはそこでようやく雪ノ下以外の存在、ネリル星人達に気付く。
「お前、地球人じゃないな?宇宙から来た者か」
葉山へ声をかける存在が気に入らないのかネリル星人をみて目を細める。
「そうだ」
「他所の星の者がなぜ、この星の問題へ肩入れする?」
「確かに、私は他所の星からきた。だが、苦しんでいる者を放っておくことはできない。私のしていることを宇宙正義も許すだろう」
「フン、お前なんかにハヤトのことを理解できるものか、彼は誰よりも素敵な闇の力を宿している。私達と同じ闇の戦士になるのよ。それがハヤトの運命」
「運命?それは違う。彼に闇の戦士へなるように誘導をしているんじゃないか」
ネリル星人はカミーラが原因であることを見抜いていた。
葉山隼人の心を歪めて闇の力を求めるように誘導しているカミーラ。
そんな彼女の行動をネリル星人は許せない。
「彼は正しくあろうと」
ネリル星人は最後まで言葉を紡ぐことができなかった。
カミーラの放ったエネルギー弾がネリル星人の体を貫く。
「あぁ!」
一色が悲鳴を上げる。
「うるさい奴ね。お前みたいなよそ者にとやかくいわれはない!」
叫びと共に続けて闇色の雷撃が迫る。
一色が前に出て光線銃を構えた。
トリガーを押した瞬間、銃口から傘状のエネルギーバリアが展開されてカミーラの雷撃を防いだ。
しかし、衝撃までは殺しきれず一色はネリル星人の傍に倒れてしまう。
「いろはちゃん!」
「葉山君、貴方はこんな連中と共にいるというの?」
雪ノ下はデバイスを握りしめている葉山へ叫ぶ。
「俺は、俺は……」
「ハヤト、あんな女の言葉なんか気にすることはない。貴方は誰よりも強い闇の力を持っているの。さぁ、その力を解き放つのよ!」
「ダメだ、そんなことをすれば」
叫ぶカミーラ。
止めようとするネリル星人。
二つの声に葉山は顔を歪め、そして、デバイスを空に向けて掲げた。
眩い光、直後に広がる巨大な闇。
闇は葉山隼人を包み込み。
闇を切り裂くように漆黒の巨人が現れる。
「あぁ」
悲観の声を零すネリル星人。
雪ノ下は自分を見下ろしている巨人を見て呟いた。
「ティガ」