やはり俺がウルトラセブンなのはまちがっている。   作:断空我

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今回、短いです。

あと、つなぎのようなものです。
ちなみに私は話の流れ上、アンチな展開もしますが、基本的にそこまでアンチ好きじゃないです。

次の話は小町メイン?になる予定です。


第六話:チェーンメール事件

 

 

「ねぇ、八幡は職場見学どうするの?」

 

 昼休み。

 

 小町特製の愛妹弁当を食べ終わった八幡に戸塚が問いかける。

 

「職場見学、あぁ、そんな時期か」

 

 総武高校は職場見学という行事がある。

 

 進学校として、将来の職業を考えさせる為にという目的であるというのだが、八幡としてはここのところ連続して起こった事件ですっかりと忘れていた。

 

 まるで空想特撮番組のように一週間ごとに怪事件に巻き込まれている――なんて、八幡はバカみたいなことを考える。

 

「もしかして、考えていなかった?」

 

「全く」

 

「何の話ぃ?」

 

 二人で話し合っていると三浦、由比ヶ浜、海老名の三人がやって来る。

 

 続いて、川崎が会話に気付いてやってきて、三浦とにらみ合う。

 

「定番だね~」

 

 文庫本を片手に微笑む海老名。

 

 由比ヶ浜や戸塚は苦笑している。

 

 あっという間に出来上がる摩訶不思議グループ。

 

 その中にボッチである自分がいることに八幡は未だに信じられない。

 

 ボッチ街道からいつの間にか外れてしまっているようだ。

 

「職場見学かぁ、今回は色々とあるよねぇ」

 

「あーしとしては、“愛染テック”が興味あるかなぁ」

 

「複合企業だよねぇ、かなり社長さんがユニークって噂だよねぇ~」

 

 皆がそれぞれの企業の行く先について話す中で、八幡は一つの候補を選ぼうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩~~!」

 

 奉仕部のドアを開いて現れたのは一色いろは。

 

 いつも通りに部活が終わるかと思っていたタイミングの来訪者に八幡はため息を零す。

 

「何の用事だ?一色」

 

「えへへ、先輩ぃ、職場見学、どこへいくんですかぁ?」

 

「別にどこだっていいだろう?」

 

「いいえ!もし愛染テックへ行くなら!愛染社長のサインをもらってきてほしいんです!」

 

「唐突だな」

 

「一色さん、職場見学は将来を見据えた行事であって、遊びではないのよ?」

 

「あー、でも、優美子たちも愛染テックに行きたがっていたなぁ」

 

「そうです!もし、行くなら愛の伝道師っていっている社長さんのサインをくださいよ!自慢できますから」

 

「お前があったわけじゃないだろ……それに、行く先なら俺は決まっているぞ」

 

「え?ヒッキーはどこに」

 

 コンコンと奉仕部のドアがノックされた。

 

「…………どうぞ」

 

 もうまもなく帰る時間というタイミングで新たな来訪者出現に雪ノ下は入室を促す。

 

「やぁ、失礼するよ」

 

 部室に入ってきたのはクラスの人気者、葉山隼人だった。

 

「すまない、サッカー部の課題が終わるのに時間が掛かってしまって」

 

「そちらの都合の話をされても困るわ。こちらはそろそろ帰ろうと思っていたから依頼の話をすぐにお願いするわ」

 

 爽やかな笑顔を浮かべる葉山に対して雪ノ下は厳しい。

 

 普通に謝罪をすれば良いのに言い訳をしてしまったからだろう。

 

「あ、それで、隼人君、依頼っていうのは?」

 

「これなんだ」

 

 困った様な様子で葉山が携帯端末を差し出す。

 

「チェーンメールね」

 

 雪ノ下が八幡と由比ヶ浜へメールの内容をみせた。

 

『戸部はカラーギャングの仲間、ゲーセンで西高狩りをしている』

 

『大和は三股をかけている。美女のより取り見取り』

 

『大岡はラフプレーで相手校のエースを潰している。エースキラー』

 

 上記のような内容の所謂チェーンメール。

 

 こういったメールがクラス内に出回っているらしい。

 

 そして、こういうチェーンメールによってクラス内の空気がかなり悪いとのこと。

 

「そうか?てか、こんなメールこねぇしな」

 

「あぁ、その、キミや結衣達がいるグループはかなり特殊じゃないからかな?えっと、比企谷君」

 

「ふーん、それで、葉山だっけ?お前の依頼はこのメールの犯人を突き止めるという事か?」

 

「いや、それは、できれば、したくない……その、こういうメールがでなくするにはどうすればいいだろうか?」

 

「原因の根絶ではなく、一方的な対処ということね、相変わらずのこと」

 

 ぽつりと雪ノ下が呟いた言葉を八幡は聞いたが反応しないことにした。

 

「出来るかな?雪乃ちゃん」

 

「難しいわね。犯人を特定してやめさせれば一発だけれど、それをしないというのなら、これは止まらない。一時的に止める手段は思いつくけれど、あぁ、もう一つあったわ。原因を取り除くことくらいかしら」

 

「原因?」

 

 葉山の問いかけに八幡が察する。

 

「このメールが出始めたのは何か理由がある。その理由を取り除けば、チェーンメールも回らなくなるってことか」

 

「そう、心当たりはあるかしら?」

 

「……すまない、あまり」

 

「あー、これって、あれじゃない?職場見学の話が出たころくらいだと思う」

 

 首を振る葉山、その直後の由比ヶ浜の言葉に部室内の時が止まった。

 

「あ、あれ?」

 

「由比ヶ浜先輩、タイミング悪すぎですよ」

 

 先ほどまで沈黙していた一色の言葉に由比ヶ浜はみんなをみる。

 

「まぁ、由比ヶ浜さんがヒントを与えてくれたわね」

 

 ため息を吐きながら雪ノ下が言う。

 

「けれど、なぜ、職場見学でチェーンメールが出回るのかしら?」

 

「あの、質問いいですか?」

 

 話を聞いていた一色が手を挙げる。

 

 ちらりと雪ノ下が八幡を見た。

 

「一色、何が聞きたいんだ?」

 

「はい、あの葉山先輩……ここの名前の挙がっている人達って先輩のグループですか?」

 

「え、そうだけど……」

 

「私、分かったと思います」

 

「え、ホント!?」

 

「教えてくれるかしら?一色さん」

 

 驚く由比ヶ浜の横で雪ノ下が続きを促す。

 

「はい、このチェーンメールって、おそらく牽制だと思います」

 

「牽制?」

 

「はい、おそらくですけれど、葉山先輩と職場見学へ行くための……ほら、葉山先輩って大人気じゃないですか、大人気の葉山先輩と一緒に見学へ行けれるように他の人達を蹴落とそうとする……こういうことをする女の子がいるんでわかっちゃいました」

 

「(一色はやっていないだろうけれど、そういうことをやる女子をみてきたんだろうな)」

 

 一色の話の横で八幡は推測していた。

 

「じぁあ、どうすれば」

 

「簡単だ」

 

 戸惑う葉山に対して八幡がある提案をする。

 

「お前が行く連中を堂々と宣言すればいい」

 

「え、宣言?」

 

「あぁ、お前の取り巻きはどこへ行くのかわかっていない。だから、牽制をすることで一番乗りできないようにしたいんだろう?だったら、お前がはっきりと誰と行きたいかを言えばいい、つまり、ここの連中とどこへ行きたいかを考えて決めればいい」

 

「それで、解決するのか?」

 

「チェーンメールをやろうとすることはなくなるだろうよ」

 

「……わかった、やってみるよ」

 

 そういって葉山は感謝を告げて教室から出ていく。

 

「今回は一色さんの手柄ね」

 

「えぇ~、本当ですかぁ?でしたら、先輩に何かお礼を」

 

「はいはい、あざとい、今度、何か駄菓子でも奢ってやるよ」

 

「えぇ、そこはパフェとか、あ、そうだ!」

 

 何か思いついたような表情を浮かべる一色。

 

 嫌な予感が八幡の中を駆け巡る。

 

「先輩、今度の休日、予定はないですよね?」

 

「だったら、なんだ……」

 

 おそるおそる八幡は尋ね返す。

 

「休日にデートしましよう!それがお礼です!」

 

 一色がこの場に爆弾、否、水爆を投下したと八幡は心の底から思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「八幡も大変だねぇ、女の子とデートなんて」

 

「俺はデートと断じて認めない」

 

「相変わらずなんだから」

 

 自室で寛いでいるとダークゾーンからペガが顔を出す。

 

「そういうペガはどうなんだ?女の子とで、デートに誘われたら」

 

「えぇ!?それは嬉しいけど……でもぉ、恥ずかしいよう」

 

 そういってダークゾーンの中に消えた、と思うと再び顔を見せる。

 

「その子は八幡に好意を持っているの?」

 

「は?ないない、アイツはあざとい後輩だ。ただ、お礼として揶揄っているだけだ」

 

「じゃあ、僕も付き合っていいよね?」

 

「は?」

 

 ペガは体を出して本棚から数冊の漫画を取り出す。

 

 ベッドから体を起こして八幡はペガをみる。

 

「着いてくる気か?」

 

「八幡の影から顔は出さないよ。デートというものを知っておきたいからさ」

 

「はぁ、お前の勉強の為か」

 

「いいでしょう~?八幡~」

 

「わかった、わかった、一色の邪魔だけはするなよ?」

 

「やったぁ~!」

 

 嬉しそうにはしゃぐペガの姿に八幡はため息を零す。

 

 休日のデート、何も起きなければ良いのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 当日、八幡は私服姿で駅前へ来ていた。

 

 まるでリア充のような待ち合わせ場所である。

 

 八幡の傍にイケメンの男子が立っていた。

 

 ちらりとこちらをみてフッと笑う。

 

 何を評価したのか八幡は知らないし知りたくもない。

 

「遅れてごっめーん、待った~?」

 

 隣の男の待ち人はやってきたようである。

 

「いやいや、俺も今来たところだぜ!」

 

 まるで八幡へ女性をみせつけるようにしながらニヤリと笑う。

 

 こちらに勝ち誇った様な笑みだが、張り合う気もない八幡は気にしなかった。

 

「先輩~、遅れてごめんなさぁい」

 

「あざといぞ。てか、お前、約束の時間より十分も早く来るんだな」

 

「うわっ、先輩、時間測っているんですか?細かいです、怖いです、残念ですけれど、先輩はあくまで友達という関係であって恋人とかそういうものではありませんのでごめんなさい」

 

「何で俺が告白して振られたみたいになっているんだよ。てか、お前に付き合うだけなんだからな」

 

 呆れながら八幡

 

 女の子らしい薄いピンクを基調とする服装に身を包んで、白いベレー帽をかぶっている。

 

 あざとさ全開の一色の姿に八幡はやれやれと呆れながら歩き出す。

 

「あれれぇ、手をつなぐとかはないんですか?」

 

「遠慮しとく。行くぞ」

 

 一色に行くぞといいながら二人はショッピングモールへ向かう。

 

 休日ということで人ごみだらけの中をはぐれないように一色と一定の距離を保ちながら進んでいく。

 

「プランは一色が決めるという事だったが」

 

「はいはーい!デートといえば定番は映画です!チケットはネットで購入していますので行きますよぉ!」

 

 前に出てきた一色が八幡の腕を引いていく。

 

 抵抗する暇もないまま映画館へ入る。

 

 一色は映画のチケットを購入してからポップコーンとソフトドリンクを購入。

 

 八幡はソフトドリンクを買うことにした。

 

「先輩はポップコーンを買わないんですか?」

 

「ドリンクだけで十分だ。ところで、見る映画は何なんだ?」

 

「これでーす!」

 

 一色が選んだ映画のタイトルは「ウルトラQ」と書かれていた。

 

 

 

 

 

「え、マジ?」

 

 

 

 

 

――ウルトラQ。

 

 航空会社に勤務していた社員が今までに遭遇した怪事件を記したノンフィクションの本を映画化したものである。

 

 数十年前に出版されたものだが、今でも根強い人気を持ち、何より怪事件が再び連発していることから熱を持ち始めたらしい。

 

「ネットの評価で人気だったってことだから選んだんです。先輩も男の子ですからこういうの好きですよね?」

 

「え、あぁ、まぁ」

 

 曖昧に頷く八幡。

 

 その姿に一色は首を傾げながらも映画館内へ入る。

 

 二時間くらい経過して。

 

「いやぁ、面白い映画でしたねぇ!」

 

 有名な映画監督が作ったという事だけあってクォリティは最高だった。

 

 最高だったのだが。

 

「(まぁ、本物をみたことがあるからなぁ……面白いと言えば納得なんだが)」

 

「さぁ、次は買い物です!荷物持ち、お願いしますね!」

 

「……荷物持ち確定なんだな」

 

 ため息を吐きながら一色とショッピングモール内を行き来する。

 

 服に拘りを持たない八幡はあっさりと選んで買い物は完結するのだが、一色は試着を重ねて服を選んだ、かと思えば……買わなかったり、買ったりということを繰り返していた。

 

 興味のない八幡にとっては苦痛に等しい時間だ。

 

 夕方ごろにようやく八幡は解放された。

 

「死ぬかと思った」

 

「大袈裟過ぎますよ、女の子の買い物は長いんです!先輩が彼女をできた時はこういう苦労を味わうんですからね!」

 

「へいへい、俺にそういう機会がくればな」

 

 ため息を吐きながら荷物を持つ八幡に一色は尋ねた。

 

「先輩は奉仕部の二人とお付き合いとか考えないんですか?」

 

「ないな」

 

 八幡は考えるそぶりを見せずに答えた。

 

「えぇ?あの二人、美人じゃないですか、私より劣るかもしれないですけど」

 

「そういうことを言えるお前は凄いと思うわ」

 

 自信満々なのは悪いことではないが、あの二人は美少女だと八幡は思う。

 

 一色もまた別方向の美少女であるけれども。

 

「美少女とお付き合いとか考えないんですか?」

 

「さっきもいったがない……」

 

 脳裏をよぎるのは別宇宙での出来事。

 

 泣きながらバトルナイザーを構える雪ノ下と傷だらけになりながらジャイロを握り締める由比ヶ浜の二人の姿。

 

「本当にぃ?」

 

 疑う様にこちらをみてくる一色に八幡はため息を零す。

 

「さっきからなんだ?」

 

「何でもないですぅ」

 

 頬を膨らませながら先を歩く一色。

 

「先輩は職場見学、どこに行くか決めたんですか?」

 

「まぁな」

 

「そうですかぁ、お土産、期待しますね!」

 

「勉強の一環だってこと、忘れるなよ」

 

「何ですかぁ!ケチィ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 チェーンメール事件の後日談というかオチ。

 

 葉山隼人が愛染テックへ仲間達と一緒に行きたいと昼休みや休憩時間に堂々と宣言したことが功を成したのかあれからチェーンメールがクラス内を飛び交うことはなかったらしい。

 

 ちなみにこの情報は葉山から伝えられた。

 

 本人は今の関係を崩すことがなく解決できてとても喜んでいた。

 

「(いつまで続くかわかんねぇ関係だけどな)」

 

 人間関係など些細なことで壊れやすい。

 

 勿論、本物の絆といえる関係ならやすやすと壊れることはないだろう。

 

 彼の知る宇宙人と地球人による強い絆をみてしまえば、よくわかる。

 

 葉山隼人が告げたが果たして本当にチェーンメールは起こらないかと言われると今後もありえる。

 

 今回は葉山が率先したことで解決したけれど、実際、悪化する可能性もあった。

 

 賭けに勝っただけである。

 

「さてと」

 

 八幡は席から立ち上がり後ろの黒板をみる。

 

 そこには複数の企業の名前が記されていた。

 

 

 

 

 

 世界環境保全委員会が管理する太陽エネルギーの発展を目的とした【ハイパーソーラーシステム研究施設】。

 

 日本における複合企業においてナンバーワンということと社長が有名過ぎる【愛染テック】。

 

 自然と人類の共存を目的として試験的に開発が進められている大学の研究施設、【バイオ空間】。

 

 宇宙開発に力を入れている企業であり、社長が最年少で博士号をとったといわれる文字通り天才が一代で築き上げた【サイテックコーポレーション】

 

 学生が滅多に立ち入ることのできない企業や施設に行けるということで多くの生徒が楽しみにしている中で八幡は一つの項目に自らの名前を書き込んだ。

 




本当は一色登場する予定はなかったのですが、一話から全く出てきていないので、ここで活躍してもらいました。


どの企業に行くかで起こる事件が違う……なんてことがありえるかもしれない。

職場見学、どこが良い?

  • 地球環境保全委員会
  • 愛染テック
  • バイオラボ
  • サイテックコーポレーション
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