やはり俺がウルトラセブンなのはまちがっている。   作:断空我

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川崎さんの次にアンケートで票が多かった小町の話です。


第七話:小町とダークマター

 

「買い物、よろしくね、っと」

 

 放課後、中学生の小町は携帯端末を鞄の中に入れる。

 

 メールの送り先は彼女の兄。

 

 放課後の教師の手伝いで帰りが遅くなるので、兄に買い物を頼むことにしたのである。

 

「いやぁ、三人分の料理というのも中々に大変だなぁ」

 

 比企谷小町。

 

 年齢十五歳。

 

 普通といえばいいかわからないが兄よりも優秀なハイブリッドボッチ。

 

 誰とでも親しくなれるし、独りになろうと思えば、好きになれる。

 

 そんな比企谷小町の周りは普通じゃない人達がいた。

 

 まず、彼女の兄。

 

 一年前に事故で別宇宙を旅して戻ってきたと思ったら宇宙人と一心同体になって生活している。

 

 普段は普通の人としてふるまっているが身近で怪事件が起これば、女の子が惚れこむほどのイケメンになる(尤も、腐った様な目が惚れこむ要素を少しだけ引き下げてしまっている)。

 

 続いて居候のペガ。

 

 ペガッサ星という地球から遠く離れた星から社会勉強の為に旅をしていたのだが、宇宙船が壊れて、様々な理由から比企谷家に居候している。

 

 手先が器用で内職で比企谷家の家計を助けていた。

 

 兄の周りには他にも普通じゃない人はいるものの、毎日、楽しそうだ。

 

「けどまぁ、小町は心配なのです。お兄ちゃんは危ないことに平気で首を突っ込むし」

 

 メフィラス星人事件、キリエル人事件もそうだが、表向きウルトラ警備隊の活躍で解決したことになっているが少なからず、いや、ほとんど兄が関わっていると思われる。

 

「妹としては誰か素敵なお嫁さんを手に入れて幸せな生活を送ってほしいと思うのですが」

 

 周りに美少女がいて素晴らしい物件があるのだが、兄はそれを選ぶ様子はない。

 

 まぁ、宇宙人と一心同体しているし、色々と思うところがあるのだろう。

 

「兄の考えなど、小町はすぐに理解できるのです」

 

 胸を張りながら小町は家へ帰ろうとしていた時、地震が起こった。

 

「え、地震!?」

 

 驚きながら倒れないようにする小町。

 

 地震と共に離れた場所から巨大な塔が姿を現す。

 

「うわぁー、マジですか」

 

 街中に巨大な塔が出現したというのに、周りの人間は慌てる様子がない。

 

 それどころか、さっきの地震は凄かったなぁというだけである。

 

「怪事件の予感がしますぅ~」

 

 同じころ、別の場所で騒ぐ三人の子供がいたとか、いないとか。

 

 

 

夜の比企谷家。

 

 両親は共働きで滅多に家へ帰ってこないから食卓は居候のペガも含めた三人である。

 

「ねぇ、ペガちゃん~、そろそろダークゾーンから出てご飯を食べない?」

 

「えぇ~~!恥ずかしいよう!」

 

「うーん、ペガッサ星人の生活に小町は興味が出てきますなぁ!」

 

「ほとんど大差ないはずだ。ペガは恥ずかしがり屋なところもあるしな」

 

「もう~~!からかわないでよ!八幡」

 

 茶碗をダークゾーンから机の上へ置きながらペガが文句を言う。

 

 一年前は兄妹二人だけの食卓で少し寂しいものを感じたが、居候、宇宙人が増えただけでここまで楽しくなるものなのだろうか?

 

「あ、そうだ、お兄ちゃん」

 

「なんだ?」

 

 ズズズとみそ汁を啜っている兄へ小町は報告する。

 

「今日、小町、怪事件の前兆を目撃しました」

 

 今の発言で漫画ならみそ汁を吹き出していただろう。

 

 だが、ここはボッチエリート?を極めた兄。

 

 この程度で動揺することはなかった。

 

「ごくん」

 

 みそ汁を飲み込んで八幡はお椀を机へ置く。

 

「前兆って?」

 

 おぉ、ここは冷静に尋ねるようです。

 

「えっとねぇ、地震起こって、地面から巨大な塔が出てきたんだけど、周りの人達、地震のことばかりで誰も塔のことを気にしないし、驚きもしないんだよねぇ」

 

「どんな形の塔だ?」

 

「写真撮ったんだけど、こんなんなっちゃったんだよねぇ」

 

 小町が端末の画面を見せる。

 

 八幡とペガがのぞき込むと画面はノイズが走っていて、塔らしき姿は映らない。

 

「みえないね」

 

「これは、塔そのものをみにいくしかないかもなぁ」

 

「おぉ!お兄ちゃんがやる気出してくれた!」

 

「妹の頼みだからな。兄としてひと肌脱ぐのは当然だろう」

 

「そこは愛しい女の為とかいうべきだよ。小町も嬉しいけれどさぁ」

 

「八幡のシスコンは変わらないからねぇ」

 

 呆れながらも明日、八幡は小町達と一緒に塔へ向かうことが決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝、ウルトラ警備隊司令室に梶とリサの二人が入室する。

  

 腕を組んでいた古橋の前で二人は敬礼した。

 

「早速だが、二人はこれから指定した場所に調査へ向かってもらいたい」

 

「エイリアンですか?」

 

「それはわからん」

 

「わからないんですか?」

 

 叫ぶ梶の傍に竹中参謀が現れる。

 

「実は防衛大臣から要請が入ってね。一夜にして不思議な塔が出現したという話を聞いたらしい。それだけなら天下のウルトラ警備隊に出動を要請する必要はなかったのだが、エリア周辺でダークマターの反応があったのだよ」

 

「ダークマター?」

 

「宇宙に漂う未知の物質だ。それがどうして地球で探知されたのか、もしかしたら侵略者が何か企んでいる可能性がある」

 

「そういうわけだ。梶とリサの両隊員はポインターで調査へ出動!」

 

「「了解!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「調査はわかるけどさぁ、俺達は防衛大臣のパシリじゃねぇんだぞって」

 

 運転席で悪態をつく梶。

 

 ポインターは極東基地からシークレットハイウェイを抜けて市街地を走っていた。

 

 陽の光を受けて輝く銀色の車体は道路をまっすぐに突き進む。

 

「防衛大臣というけれど、実際は防衛大臣の息子さんの友達ということらしいわよ?」

 

「子供が親の権力使うなんて、世も末だな」

 

「悪態をつかない!もしかしたら怪事件の始まりなのかもしれないんだから、まずは調査!調査!」

 

「わかっているって」

 

「あ、あそこね」

 

 リサの指をさす方向、ポインターをみて手を振る子供たちと緊張した様子の警官がいた。

 

「じゃあ、あの塔はいつかあるのかわからないってことですか?」

 

 白い複数のアンテナのようなものがついた塔を指さしてリサが尋ねる。

 

「はぁ……」

 

「あの塔はどういう用途で作られたのですか?」

 

「いやぁ、それがぁ」

 

 梶の質問に対しても警官の言葉はたどたどしい。

 

 本当に白い巨塔がどういった用途で作られたのかわかっていないということだろう。

 

「リサ隊員、周辺住民へ聞き取りをしよう」

 

「了解です」

 

「本官はこれにて!」

 

「あ!」

 

「逃げた」

 

 自転車に乗って去っていく警官。

 

 その後ろ姿を見て、目撃した子供が呟いた。

 

 一人ならともかく、二人以上の目撃者がいる以上、ウソだと断言するわけにいかず、二人は聞き込みを開始する。

 

 開始したのだが。

 

「あの塔?いつからあったかしら?前からあったような気がするわぁ、あ、タイムセールスはじまるからごめんなさい~」

 

「儂が生まれる前からあったと思うなぁ、多分」

 

「さぁ?あんなの気にしているほど暇ではないので」

 

 聞き込みを開始して三十分、思うような成果を得られなかった。

 

「誰も、あの塔がいつからあって、何のためにあるのかわかっていないわけか」

 

「皆、些細なことだと思って気にしていられないのかしら」

 

「さぁな」

 

 リサの疑問に梶は首を振る。

 

 子供たちは不安そうに二人を見ていた。

 

 笑みを浮かべたリサは子供たちと目を合わせる。

 

「大丈夫!私達、ウルトラ警備隊が責任をもって調査するから!」

 

 彼女の言葉に子供たちは嬉しそうな笑みを浮かべた。

 

 梶はVCを起動する。

 

「こちら梶、すまないがこの町周辺の地図を調べてほしい。あの塔がいつからあるのか調べたい」

 

『東郷だ。了解した。少し時間が掛かる。わかり次第、連絡する!』

 

「頼む」

 

 通信を終えて、梶は塔を指さす。

 

「塔の周辺を調査しよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「近くでみるとデカイなぁ」

 

 子供たちを乗せたポインターは白い巨塔の前に到着する。

 

 窓一つない巨頭はコンクリートらしき素材で作られているが、壁を叩くとガラスのような音が響いた。

 

「窓一つもない。一体、この塔はなんなんだ?」

 

 その時、VCから通信があり、梶は蓋を開く。

 

『東郷だ!頼まれていた地図などを調べてみたがそこに塔の類は存在しない!また、建築予定の記録もなかった!』

 

「つまり……これは一夜にしてできたってことか!」

 

『梶隊員、こちら渋川!その地区周辺でダークマターの収束率があがっている!危険だから一旦、そこから離れるんだ』

 

「了解!あれ、リサ!リサ隊員!」

 

 梶は塔の周辺を調べているはずのリサがいないことに気付いて声をかける。

 

 直後、梶の目の前で眩い光が起こった。

 

 あまりの輝きに目を閉じる梶。

 

 再び視力が回復した時、目の前にいたはずのリサと子供たちの姿がどこにもなかった。

 

「リサ隊員!くそっ!隊長!こちら梶!非常事態!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「梶!」

 

 梶隊員からの要請を受けた東郷隊員と渋川隊員はポインターで応援として急行した。

 

「東郷さん!渋川さん!すいません」

 

「謝罪は後々、この塔の中にいるってことか?」

 

「その、はずです」

 

「じゃあ、このエネルギー探知機を使って!」

 

 渋川がエネルギー探知機を塔へ向ける。

 

 しばらくして探知機か反応を示した。

 

「ここが入口か……」

 

 探知機を置いて、三人はゆっくりと塔の入口へ近づく。

 

 三人が振れた直後、白い輝きを放って三人を塔内部へ誘う。

 

 塔内部は薄暗く、壁や床は全て緑色の輝きを放っていた。

 

「警戒を怠るな」

 

 東郷を先頭に三人はウルトラガンを抜いてゆっくりと通路内を進んでいく。

 

 狭い通路をゆっくりと進みながら順調に彼らは上のフロアにあがっていた。

 

「ジョアァ」

 

「おいおい、東郷隊員、変な声ださないでくれよ」

 

 聞こえた声に身構えるもすぐに静かになったことから渋川が文句を言う。

 

 前を歩いていた東郷が数歩、下がる。

 

「俺、じゃない」

 

 二人は警戒してウルトラガンを握り締める。

 

 東郷たちの前に宇宙人が現れる。

 

 青い一つ目に白い爪のような者を持つ宇宙人に三人がウルトラガンを構えた。

 

 直後、背後から黄色い瞳の宇宙人が姿を見せる。

 

「東郷隊員!渋川隊員!」

 

「くそっ!」

 

 三人がウルトラガンで撃退しようとするが、二体の宇宙人から光線が放たれた。

 

 光線を受けた三人は苦悶の声を上げながら繭のようなものに包まれてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウルトラ警備隊の三人が塔へ突入してから少し。

 

 比企谷八幡は妹の小町、そしてペガと一緒に白い塔の前まで来ていた。

 

 本来なら小町は留守番だったのだが上目遣い+お願い、お兄ちゃんコンボによりあえなく撃沈。連れてくことになったのである。

 

「ありゃ、近くで見るとやっぱりでかいねぇ」

 

「これは……」

 

「この作り、多分、ザム星人のものだよね?」

 

 塔に触れる八幡へペガが問いかける。

 

「間違いないYY星系第9惑星のザム文明の素材が使われている」

 

「でも、確か、ザム星って滅んだんだよね?原因は僕も知らないけれど……」

 

「え、そうなの?」

 

「うん、僕が生まれるずっと前の話だけど、ザム星で何かが起こったって」

 

「ふぅん」

 

 小町とペガが話している横で八幡は意識を集中させる。

 

 彼の両目が輝いて内部を透視した。

 

 塔の内部を探っていくうちに白い繭に囚われたウルトラ警備隊や子供たちの姿を発見する。

 

「ペガ、内部に入るぞ」

 

「えぇ、大丈夫かなぁ?」

 

「ザム星人は好戦的な宇宙人ではない筈だ。話し合いで解決するはず、小町はここで」

 

「小町もついていく!」

 

「え、いや、危ないよ?だから、ここは」

 

「えぇ、お兄ちゃんが可愛い小町のことを守ってくれるんでしょう?」

 

 自らの可愛いとわかってくる角度で見上げられたことでシスコンの八幡にクリティカルヒット。

 

「お兄ちゃんに任せろ!」

 

「八幡、チョロイよぉ」

 

「よし」

 

 超能力を使って入口を発見した八幡と小町、ペガは中に入る。

 

 緑色に輝く通路内を歩いていく。

 

 迷いそうな構造をしている内部を八幡は迷わずに進んでいた。漂うミュー粒子を通して、何者かが八幡を呼んでいるのだ。

 

「八幡、進んでも大丈夫なの?はわわ!」

 

 不安そうにしていたペガが悲鳴を上げる。

 

「おぉ!宇宙人だ!」

 

 彼らの前にザム星人が現れたのだ。

 

「挟まれちゃったよぉう!」

 

 背後に現れたザム星人。

 

「落ち着け、こいつらは番人だ。敵意を見せない限り何もしない」

 

「ほ、本当ぅ?」

 

 不安そうな声を上げるペガ。

 

 男の子なのに、既に涙目なのである。

 

 男の娘にジョブチェンジすべきだ。

 

「俺は比企谷八幡、地球人だ。アンタ達はこの塔で何をしようとしている?」

 

 ミュー粒子を通して相手へ問いかける。

 

 返事は同じくミュー粒子だ。

 

「何て?八幡」

 

「彼らは故郷を失い、再び生き残るために宇宙に漂うダークマターをこの塔へ集めて進化しようとしているらしい」

 

「えぇ!?それって危ないんじゃ」

 

「危ないことだ、そんなことをすれば、体にどんな変化を及ぼすかわからない。なぁ、ザム星人、そんな危険なことをせずに地球への移住を希望すればいい……宇宙の観点からすれば、キミ達は悲しい理由で故郷を失った者達だ。キミ達が望めば、受け入れてくれる者がきっと出てくる」

 

 八幡の意識にふわりと温かい何かに包まれる。

 

 彼の中に眠る宇宙人の感情が八幡の感情と混ざり合う。

 

「だから、無理な進化はしなくてもいいんだよ」

 

 再びミュー粒子を通して返答がやって来る。

 

「ペガ、最上階へ向かうぞ」

 

「え?」

 

「お兄ちゃん?」

 

「連中のトップが会いたがっている」

 

 そういって歩き出す八幡の後を小町が追いかける。

 

 ペガは戸惑って、ザム星人達をみてから、慌てて着いていく。

 

 複数の階段を上りながら到達したフロアは先ほどまでと異なって様々な機材と闇色の天井。

 

 そして、機械から伸びたケーブルに繋がっている赤い瞳のザム星人がいた。

 

「お前がザム星人のリーダーだな」

 

『そうだ』

 

 機械を通してザム星人の声がフロア内に響く。

 

 低いけれど、優しさを感じるような声だなと小町は感じた。

 

『キミ達の星へ無断に入ったことを許してほしい……しかし、宇宙で一番、ダークマターが集まっていたのはここでしかなかったのだ』

 

「どうして、ダークマターで進化しようとするんだ?」

 

『私達の星は悪魔に滅ぼされたのだ。故郷のザム星は奴の力で生まれた怪獣であふれかえり、環境を破壊されてしまった。奴によって我々は故郷を追われてしまったのだよ』

 

「悪魔?」

 

『悪魔から我らの故郷を取り戻すために力が必要なのだよ。そのためにダークマターに手を出すことにした』

 

「地球に……」

 

 ザム星人が地球へ来た理由をきいて小町は思ったことを尋ねる。

 

「地球に住めばいいよ」

 

『…………』

 

「わけのわからないもので進化してもきっと、良いことはないよ。背伸びなんてせずに地球で生活しようよ!文化とか色々と違うかもしれないけれど、互いに理解していけばできるんじゃないかな?」

 

「小町…」

 

「うちだって、ダメなお兄ちゃんに気弱な宇宙人の居候だっている……ほら、貴方達も生活できるかもしれない可能性が目の前にあるんだよ?それを掴もうとしようよ!」

 

「あの、小町ちゃん?ダメなお兄ちゃんって」

 

「気弱な宇宙人って、僕のことだよねぇ」

 

 後ろで外野が騒がしいけれど、無視である。

 

 小町はゆっくりと近づいていく。

 

 ケーブルに繋がれたザム星人は後ろへ下がっていこうとするが壁にぶつかってしまう。

 

 ハサミのような形をした手と小町は手を握り締める。

 

「温かいねぇ~」

 

『……』

 

 息をのんだザム星人に小町は微笑む。

 

「無理な進化なんて考えないでさぁ、この星で住むことを頑張ろうよ」

 

『しかし、システムは』

 

「システムはまだ起動していない……地球に漂うダークマターもいずれは拡散していく。時間は掛かるかもしれないだろう、だがザム星人……小町が言う様に無理して進化する必要はないのではないか?」

 

『良いのだろうか?我々がきても』

 

「知っているはずだ。先住民を暴力で追い払って支配することは宇宙の法は認めていない。だが、友好的に、共に歩む者達を邪魔する者はいない」

 

 八幡の姿が一瞬だけ変わる。

 

 その姿はミュー粒子を通してザム星人へ伝わった。

 

 平和を愛するM78星雲の宇宙人としての姿。

 

『ありがとう……キミの言葉に私は自分の考えが如何に危険なことなのか、理解させられたよ……キミの名前は?』

 

「比企谷小町です!」

 

 ザム星人へ笑顔で挨拶する。

 

『小町……』

 

 人間と違い、表情の読めないザム星人だが、不思議と相手が笑顔を浮かべていることがわかった。

 

『どれだけ長い年月がかかるかわからない。だが、この素敵な星、新しくできた友人達となら新しい人生を歩めるだろう』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これだけならハッピーエンドだっただろう。

 

 しかし、悪魔はその結末を認めなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だ!?」

 

 バチンと設備の一つが音を立てて爆発した。

 

「え、なに!?」

 

『グゥゥゥゥゥゥゥウウウウウ!?』

 

「ザム星人さん!」

 

 小町の目の前で苦しみの声を上げるザム星人。

 

『ど、どうゆうことだ!?システムが起動して、私の中にダークマターが!』

 

「え、ウソ!お兄ちゃん!」

 

 小町が悲鳴を上げながら八幡をみる。

 

 八幡はシステムを調べた。

 

「何だ、これ、システムが書き換えられている!?」

 

『悪魔の仕業だ』

 

 体から蒸気を吹き出すザム星人。

 

『このままでは暴走してしまう!』

 

「お兄ちゃん!」

 

「駄目だ、システムは何も受け付けない!」

 

 八幡の言葉に小町はザム星人へ触れようとする。

 

 ザム星人は小町達から離れていく。

 

「ザム星人さん!?」

 

『こうなっては仕方がない……私はダークマターの力を制御する!だが、もし、もしも、実験が失敗して、この星に迷惑をかけてしまうとしたら、その時は……頼むよ、ウルトラセブン』

 

 八幡とザム星人の視線が交差する。

 

 頷いたことを確認してザム星人が塔のシステムの一部を起動した。

 

 一瞬で、八幡達三人、ウルトラ警備隊の東郷、梶、渋川、リサと子供たちは塔からはじき出される。

 

 呆然とする小町の前で塔が爆発した。

 

 爆発する塔の中から巨体が姿を見せる。

 

 ダークマターを自らに取り込んだザム星人だ。

 

 彼は苦しそうに自らの体を揺らしながら町中で暴れだす。

 

「あれは、進化じゃない」

 

 八幡は暴れるザム星人の姿を見て呟いた。

 

「はわわ!あのままじゃ、街を破壊しちゃうよ!」

 

 ペガの言葉通り、暴走しているザム星人によって街が壊滅してしまうのは時間の問題だった。

 

 暴れるザム星人は倒されてしまう。

 

 人類の手によって?

 

 それとも、

 

 動けない小町の頭を八幡が撫でる。

 

「お兄ちゃん?」

 

「ごめんな」

 

 小さく謝罪して八幡は前に踏み出す。

 

「頼まれた以上、ザム星人の暴走は俺が止める」

 

「まっ――」

 

 小町が止めようとする前で八幡は懐からウルトラアイを取り出して装着。

 

 眩い閃光と共に暴れるザム星人の前に現れるウルトラセブン。

 

 ウルトラセブンの存在を脅威と感じたのか、それとも本能のままに敵として認識しているのかわからないがザム星人は声を上げながらウルトラセブンへハサミを動かしながら接近した。

 

 振るわれるハサミを躱してザム星人の腹部を拳で殴る。

 

 拳を受けたザム星人はのけ反りながら目から怪光線を放つ。

 

 光線を躱しながら接近しようとするウルトラセブンだが、ハサミを地面へ突き立てる。

 

 連続して地面が爆発を起こす。

 

 破壊弾によって土煙が舞い上がる中、突きぬけるウルトラセブン。

 

 しかし、目の前にいたはずのザム星人の姿はどこにもなかった。

 

 周囲を警戒するウルトラセブン。

 

 直後、地面からザム星人のハサミが両足を掴む。

 

 逃れる暇もないまま、宙に持ち上げられたウルトラセブンは何度も地面へ体を叩きつけられる。

 

 何度か叩きつけられたところで投げ飛ばされた。

 

 地面を転がりながらも起き上がろうとしたところで両手に雷のエネルギーを吸収して放つ。

 

 雷のエネルギーを浴びたウルトラセブンは後ろへ吹き飛ぶ。

 

 倒れたウルトラセブンへとどめをさそうと雷のエネルギーを集めようとするザム星人。

 

 突如、ザム星人の背中が爆発を起こす。

 

 上空に現れるのは二機のウルトラホーク。

 

 ウルトラホーク1号にのる古橋はスイッチを押してブレイカーナックルミサイルを。

 

 ウルトラホーク3号に搭乗しているユキ隊員は機首からレーザー光線を放つ。

 

 二機のウルトラホークの攻撃を受けて攻撃を中断されたザム星人へセブンは額の前で構えて、エメリウム光線を放つ。

 

 一条の光線がザム星人を射抜いた。

 

『―――!』

 

 動かしていた腕をだらりとさせて、大きな音を立てて地面に倒れこむザム星人。

 

 ウルトラセブンはゆっくりと近づいてザム星人の体へ手を伸ばす。

 

 エメリウム光線を受けて息絶えたザム星人の体を抱きかかえる。

 

「あれは……」

 

 ホーク1号の操縦席から古橋は地面から姿を見せる円盤に気付いた。

 

 円筒形の円盤は不規則な動きを見せながらウルトラセブンの前で停止する。

 

 円盤から光が放たれてこと切れたザム星人の肉体を回収するとそのまま空に向かって飛んでいく。

 

「古橋隊長、追撃しますか?」

 

「追撃はしない」

 

 ユキの質問に古橋は首を振る。

 

「相手は敵意がない。追撃の必要はない」

 

「……了解です」

 

 二機のウルトラホークが円盤を追撃しないことを確認したウルトラセブンは光に包まれる。

 

 ウルトラアイをポケットにしまって、八幡は小町とペガの方へ歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイツの墓か?」

 

 翌日、ザム星人が暴れた跡地に小町は小さな石と花束を置いていた。

 

「うん、遺体はないけれど、安らかに眠ってほしいから」

 

 八幡の問いかけに小町は小さく頷く。

 

「お兄ちゃん、ザム星人さんの仲間はどうなるのかな?」

 

「宇宙を放浪する旅を続けることになるだろうな」

 

「せっかく、安住の地を見つけたかもしれないのに、こんなことで追い出されるって納得できないなぁ」

 

「そうだな」

 

 小町は両手を合わせていた手を離す。

 

「さ、帰ろうか」

 

「あぁ」

 

 小町と共にザム星人の墓から離れながら八幡は考えていた。

 

 ザム星人が死ぬ間際にウルトラセブンへミュー粒子を通して伝えてきた警告。

 

 死ぬ間際に理性を取り戻したのだろう。

 

「(悪魔に気をつけろ、か)」

 

 伝えられたメッセージの意味はわからない。

 

 だが、ザム星人ほどの知性や科学力を持つ者が恐れるほどの相手。

 

 それが地球にいる。

 

「(忘れないようにしよう。この地で生きようとしていたのに、それができなかった悲しい宇宙人のことを)」

 

 来るべき戦いを予見しながら八幡は小町と共に家へ帰っていた。

 




二回目の職場見学のアンケート協力ありがとうございます。

その結果、以下の話を書くことにしました。

職場見学(八幡ルート)地球環境保全委員会

職場見学(由比ヶ浜ルート)愛染テック


途中でサイテックコーポレーションも追い上げていたのですが、この二つに届きませんでした。



どっちの作品が好き?

  • 怪奇大作戦
  • ウルトラQシリーズ
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