今回はアンケートで投票の多かった職場見学になります。
かなり難産でした。
太陽エネルギー作戦を何度見返して、話の展開を考えたか……みんな、この話が大好きなんでしょうね。
ちなみに愛染テックについては誤字ではらいませんのでご注意を。
「ほう、でかいな」
バスからみえる巨大なパラボラアンテナがついたシステム、ハーパーソーラーシステムをみて、感嘆とした声を漏らす。
職場見学で俺が選んだのは地球環境保全委員会が計画進行中のハイパーソーラーシステム研究施設だ。
今も地球を蝕んでいる環境汚染、地球温暖化という問題を解決するために従来のエネルギーから新エネルギー候補として太陽エネルギーの使用を目的として作られた試作機、ハイパーソーラーシステムを俺はみている。
「でっかい、アンテナだね」
通路側の席にいる川崎も窓から見えるハイパーソーラーシステムをみる。
「そういえば、何で川崎はこっちを選んだんだ?」
「消去法かな……愛染テックは興味ないし……サイテックコーポレーションは天才肌が集まるイメージで、どちらかにするってところでアンタがいる方を選んだわけ」
「あ、そう」
やめてよ。
聞いたら俺がいるからバイオラボを選ばなかったみたいに聞こえるんですけど?
しかし、ハイブリッドボッチに比べると劣りはするが、エリートボッチである俺は勘違いしない。
中学時代ならともかく、広大な宇宙を旅して多くの宇宙人と出会った俺に死角など、いや、ありまくりかぁ。
「そういや、アンタはなんでハイパーソーラーシステムを選んだわけ?」
「あ、僕も聞きたいかな?こういうところでいえば、バイオラボもあったわけだし」
後ろの席にいた戸塚が身を乗り出して俺に尋ねてくる。
「あぁ、そのことか?太陽エネルギーっていうのに興味があったんだよ、クリーンでいくら使用しても問題がないと言われるエネルギー、それを人類はどういう風に利用するかって……バイオラボの方は何か、あれだ、資金援助を狙っているっていうイメージがしたんだよ」
俺と一心同体になっているウルトラセブンのエネルギーは太陽だ。
元は人のような姿をしていたというM78星雲の宇宙人たちがどのような経緯で太陽エネルギーのみで生きていけるようになったのか、人類もいつかウルトラセブンのようになれるのか?
その疑問をここならわかるのかもしれない。
淡い期待のようなものが俺の中にあったから、ここを選んだのだと思う。
みえてきたハイパーソーラーシステムを大きく迂回するようしながらバスは研究施設の正面ゲートに到着する。
ほとんどの生徒が愛染テックを選んだことからここへやってきた生徒は十人とかなり少ない。
しかも、愛染テックの人数制限にあぶれたから仕方なくここを選んだという生徒もいる。
大滝というメガネをかけた職員の話をまともにきいているのはおそらく俺と川崎、あと、戸塚くらいだろう。
余談だが、俺のクラスで来ているのはこの三人だけだ、由比ヶ浜は三浦に誘われる形で愛染テックへ行っている。
職員と一緒に歩いていると別の方向から制服を着た集団の姿が見える。
普通なら気にしないのだが、中にウルトラ警備隊の制服を着た者がいれば気になってしまう。
「あのぉ、あっちの人達は?」
戸塚も気づいたのがおずおずと質問する。
「あぁ、今日は世界環境保全委員会が開催している会議があってね。そのための視察だよ」
「大丈夫なの?そんな日に学生が来てさ」
「このハイパーソーラーシステムを開発した楠原博士の要望だよ。多くの人に太陽エネルギーの素晴らしさを知ってもらいたいという、ね」
「ふぅん、なんていうか凄いね」
大滝主任から話を聞いた川崎は納得した声を漏らす。
実際のところ、太陽エネルギーは画期的なシステムだと思う。
この先、導入されていけば、環境破壊の危険をはらんでいる化石燃料等、多くのエネルギーが使用されなくなり、オゾン層の破壊という心配すらなくなるのだ。
「さ、ここからは会議で来ている役員の人達も話に参加することになるから静かにしているんだよ?」
大滝さんの言葉に俺達は頷いた。
ウルトラ警備隊の隊長さんがいたということで一部の生徒が騒がしくなるも、事前に静かにしておかないといけないと釘を刺されていたからすぐ静かになる。
多くの偉い人達と一緒にハイパーソーラーシステムの立案者で責任者でもある楠原博士の話を聞いていた。
環境破壊を防ぐこと、地球をこれ以上破壊しないという名目で太陽エネルギーがどれほど素晴らしいものかであるかと語る楠原博士。
「しかし、日本中のありとあらゆる場所にエネルギーを振り分けるという事になるとハイパーソーラーシステムは十二万機以上、必要になります」
新しいシステムを開発することは難しい。
実例がない以上、手探りで行わなければならないし、どんな危険が含まれているかわからない。
しかし、太陽エネルギーはクリーンなものであり、危険はないと力説していた。
それだけ太陽エネルギーに無限の可能性があると信じているのだろう。
直後、事件が起きた。
パソコンの画面に【緊急事態発生】という文字が映る。
「博士!」
「どうしたんだ!?」
「熱交換器が異常です!」
「集熱盤の温度が急激に上昇しています!原因は、まるで、わかりません!」
フッと室内の明りが消えた。
「きゃあああああ!」
「な、なんだよ!?」
「ヤバイんじゃないのか!?」
突然のことに多く者達、特に総武高校の生徒達がパニックを起こす。
「危険だ!みんな、ここから避難するんだ!梶!」
真っ先に動いたのはウルトラ警備隊の古橋隊長だ。
彼は学生や政府の役員たちをすぐに避難口へ誘導する。
「博士、早くここから避難しないと!」
「危険はない!太陽エネルギーはクリーンなエネルギーなんだ!事故じゃない!これは事故じゃありませんよ!」
少し遅れて、隊長に同行していた梶隊員がやってきた。
「比企谷!逃げないと!」
「あ、あぁ」
川崎に言われて後を追う様に外へ逃走する。
隙を見計らって俺はある方向へ駆け出す。
偶然だが、ハイパーソーラーシステムの傍を高速で走る人間を発見していた。
あれは人間じゃない。
宇宙人と融合した影響なのかはわからないが、人の姿をしていようと宇宙人としての本質のようなものが感じられるようになっていた。
先回りするようにハイパーソーラーシステムから少し離れたところにある倉庫エリアの前に向かう。
「待て!」
高速で走っていた女性が止まる。
青い服で少し外側に伸びている髪、男性たちを虜にしそうな笑顔を浮かべた。
だが、それはあくまで宇宙人が変身している姿であり、本当の姿ではない。
「お前は何者だ」
「ただの女の子よ?」
「ウソをつくな」
「怖い顔ね……そういう貴方は人間じゃないわね」
ニコリと笑みを浮かべていたが、その笑みは見る者を凍り付かせるほど、底知れない闇が広がっていた。
俺は右手に力を込める。
直後、周囲に赤いガスが広がっていく。
「ゲホッ!な、なんだ!?」
「じゃあね?」
突然のガスに視界が塞がれた隙を突かれて女に逃げられてしまった。
「くそっ、逃げられたか……それにしても、今のガスは一体」
赤いガスを超能力で払いのけた俺は振り返る。
あの宇宙人によって破壊されたハイパーソーラーシステムの姿がそこにあった。
「貴方、侵略者よね?どうして、ライバルの手助けをしたのかしら?」
ハイパーソーラーシステムの襲撃犯である女性は手助けしてくれた黒衣の男へ問いかける。
「ライバルなんてとんでもない。俺はあるお方の使いであんたらに敵意はない。手助けといったが、邪魔者がいてねぇ、そいつに嫌がらせをしただけさ」
「あの男の子ね……何者なのかしら?」
「噂くらいは聞いたことがあるだろう?この星を守るために戦う自己満足の宇宙人」
「……ウルトラセブン」
忌々しいという表情で少女は顔を歪める。
既に地球の守護者ウルトラセブンの名前は宇宙に広まり始めていた。
多くの侵略者から青き惑星を守る者。
強大な相手として、青き星、テラを狙う者達にとっては忌々しい存在として名が広まり始めていた。
「だけど、ウルトラセブンといえど、我々の邪魔をすることは出来ない。こちらには最恐の切札があるんだから」
にやりと笑みを浮かべる少女。
「まぁ、どんな切札なのか知らないが、これからの活躍に期待しているよ……」
男はそういって歩き出す。
「そう、あの方が復活するまでの間の短い支配を夢見ていると良い」
「古橋さんから連絡があった時は心臓が止まるかと思ったわぁ」
楠原家。
その玄関で友里アンヌは楠原に安堵の声をかける。
ハイパーソーラーシステム爆発事件の後、楠原博士をウルトラ警備隊の東郷とリサの二人が家まで送り届けたのである。
そこで意外な人物と二人は出会う。
「アンヌ先輩!お会いできて光栄です!」
敬礼する東郷とリサ。
楠原家に連絡を受けてやって来た女性の名前は友里アンヌ。
第一期ウルトラ警備隊として侵略者と戦ってきた女性であり、今は宇宙飛行士の男性と結婚して一児の母親である。
「これから我々が二十四時間警護任務につきます」
「そのことなんだが、アンヌさん。ウルトラ警備隊が護衛につくことになるし、周りが騒がしくなるから家へ帰った方がいい。キミに何かあれば、火星探査へ向かっている弟に申し訳ない」
アンヌの旦那は宇宙飛行士であり、火星調査の為、宇宙にいる。その間、楠原家でお世話になっていたのだが、今回の事件から再び楠原が狙われる危険性もある為、家へ帰るようにと提案したのである。
しかし。
「あら、私だって元はウルトラ警備隊よ!大丈夫よ!ねぇ?」
問いかけられた東郷とリサは苦笑するしかない。
「だけど」
「それにおばさんがいてくれた方が安心よ!」
楠原の言葉を遮ったのは彼の娘であるトシコだ。
母親のいない楠原家で家事を担っている彼女にとってアンヌがいると何かと助かるのである。
「そうかなら、お願いしようかな、ところで、ダン君は?」
「森よ!」
アンヌの息子 ダンは森の中で写真を撮っていた。
ウルトラ警備隊として戦ってきた母親と宇宙飛行士の父親の影響か、ダンは空を見上げる事や自然の中に住まう生き物を撮影することが趣味になっている。
薄暗い森の中で彼がカメラを覗き込んでいた時、小さな光が目に入った。
それがわからず、カメラから顔を離すダン。
「怪獣よ」
彼の前に一人の女の子が現れる。
青い衣服を身に纏う彼女は小さな笑顔を浮かべて森の奥を指さす。
「怪獣がでたわ」
「怪獣?」
十代のダンは好奇心旺盛だ。
怪獣が出たというのならその姿を一目見ようと思い、カメラの機材などを担ぐ。
「危ないわよ」
「大丈夫、大丈夫!」
笑顔を浮かべながらダンは森の奥に入る。
季節は春を過ぎたばかりなのだが、ダンの歩く森の中は異様に暑かった。
まるでサウナの中にいるような暑さで、風邪をひかないように温かい格好をしているからか、余計に汗が額を流れていく。
ふと、奥で何かが動く姿をダンは捉える。
正体が何なのか確かめるために彼は脚立を置いて、カメラを覗き込む。
遠目でわかりにくかった姿はカメラを覗き込んだ時、白い怪獣の姿を映しこむ。
「うわぁああああああああ!」
悲鳴を上げながらダンは走る。
「怪獣が出たよ!」
森の中にたたずんでいる少女の手を掴んで逃げた。
逃げる際、少女が何かを見上げていることは気づかない。
必死に森の中を走り抜けたところで眩いライトに照らされる。
「うわぁああああああ!」
悲鳴を上げるダンの前でポインターが急停車した。
「キミ!大丈夫!?」
「危ないじゃないか!」
ダンは車から出てきた人たちがウルトラ警備隊であることに気付くと叫ぶ。
「ウルトラ警備隊のおじさん!怪獣が出たよ!!」
「何だ、この唸るような暑さは」
ダンの話を聞いた東郷とリサの二人は懐中電灯を片手に森の中を突き進む。
二人の後ろには目撃者のダンと一緒にいた少女がいる。
ウルトラガンを片手に森の中を探索していた東郷は真夏を超えるような暑さに顔をしかめていた。
ウルトラ警備隊の隊員服はどんな環境でも活動できるように特殊繊維で出来ていて、多少の熱さで参るようなものではない。
だが、隊員服を着ていても突き抜けてくる暑さに東郷は額から流れる汗を拭う。
「ねぇ、僕、怪獣なんてどこにもいないじゃない」
リサはウルトラガンをホルダーにしまいながらダンへ目線を合わせる。
「本当にみたもん!」
「でも、いないじゃない」
ダンは後ろにいた少女へ尋ねようとした。
しかし、いつの間にかダンと共にいた少女は消えている。
「あれ?」
「あの女の子は?」
リサの問いかけにダンは首を振る。
その間に東郷は足元の地面へ触れていた。
唸るような暑さの影響なのか地面は酷く乾燥している。
「何で、ここだけ、こんな乾燥しているんだ?」
森全体が乾燥していれば気にしなかっただろう。
しかし、東郷達のいる一角だけが酷く乾燥していた。
東郷はそれが酷く気になりつつも、ウルトラガンをホルダーに仕舞う。
「こんな時間だ、怪獣がいる、いないにしても、子供は家に帰らないとな。うちはどこだ?」
肩を叩かれたダンは家の住所を伝える。
それは楠原博士の自宅であることにリサと東郷は互いの顔を見た。
ウルトラ警備隊はハイパーソーラーシステム破壊の原因を探るべく、施設の監視カメラなどを調べていた。
「ちょっと待った!今のところをもう一度、みせてくれ!」
司令室で監視カメラの映像を見ていた古橋はユキに止める様に指示をする。
ハイパーソーラーシステムから少し離れたところにある設備の一角。
そこに青い服を着た女の子が映っている。
「なんだ、女の子か、遊びに来ていたのかな?」
「バカ!カウンターをよくみろ!六十分の一しか映っていないんだぞ!マラソン選手でもこんな速く走ることは出来ねぇ」
「つまり?」
「梶隊員、貴方はそれでもウルトラ警備隊なのか?」
「なっ、どういう意味だよ!?」
呆れるユキ隊員の言葉に梶が顔を赤くした。
「古橋隊長の見立てでは、この少女は人間ではない、おそらくエイリアンと考えているんですよね?」
「その通りだ」
「怪獣とエイリアンのデータを調べます!」
「頼む……それにしても、宇宙人と太陽エネルギーか……一体、どういう繋がりがあるんだ?」
考え込む古橋の横でユキはハイパーソーラーシステムの映像をみていた。
梶はパソコンのモンスター&エイリアンを立ち上げる。
楠原博士はハイパーソーラーシステムの爆破の原因を探るべく、自室のパソコンでシステムのチェックをしていた。
既に時間は夜の十時を過ぎている。
食い入るように画面をみている楠原博士。
その時、彼の部屋のドアの下から侵入してくる白い煙に気付かなかった。
徐々に楠原の室内を包み込んでいく。
煙を吸い込んだ楠原は急に眠気へ襲われる。
眠気に必死で抗おうとしていたが次第にキーボードの上へ突っ伏してしまう。
暗くなる室内。
そんな空間に現れるのは森でダン達と一緒にいた少女である。
彼女は寝ている楠原博士を退かせるとそのままキーボードを叩いて地球防衛軍のネットへ侵入した。
本来なら何重ものプロテクトがされているネットに侵入を果たした少女はそのまま過去の出現した怪獣や宇宙人のデータが収められている【モンスター&エイリアン】のファイルへアクセス。
検索エンジンを用いて「エレキング」を検索した。
少しして表示されたエレキングのデータを少女はそのまま削除する。
削除を終えるとロープを取り出して寝ている楠原博士の首へ巻き付けた。
そのまま首を絞めようとした時、少女の耳は接近してくる車のエンジン音に気付く。
外を見るとウルトラ警備隊のポインターが停車している。
ため息を吐いて少女はそのまま屋上へ出て、そのまま姿を消した。
「キミが楠原博士の甥っ子さんだったんだ!みんな、心配していたんだよ?」
森で保護したダンへリサがいう。
「本当はすぐに帰るつもりだったんだよ」
しょんぼりしているダンの肩へ東郷は手を置いた。
「森でターザンごっこをするのも良いが、夜遅くまで遊んで迷惑をかけるのは感心しないな」
「うん……ターザンって?」
「ターザン、知らないのか?」
東郷は固まる。
頷いたダンの姿を見て、東郷はリサをみた。
「よ、よし!ターザンっていうのはぁ!森の王者で、えっと、あと、なんだっけ?リサ」
「えぇ!?そこで私に振らないで」
「あぁあああ!」
ダンが家の屋上を指さす。
その声を勘違いした東郷は手を叩く。
「なんだぁ!知っているんじゃないか!そう!あぁああああ!って雄叫びをあげるのが……って、どうしたんだ?」
「屋上に女の子がいた」
「なに?」
東郷やリサが屋上を見るがそこに誰もいなかった。
「義兄さん!ウルトラ警備隊の人達が迎えに来たわよ?」
朝、楠原博士の自室へ入ってきたアンヌに体を揺らされて目を覚ます。
「ん、あぁ、すまない。すぐに準備をするよ」
アンヌに揺らされて起きた楠原博士は着替えなどの準備に入る。
着替えを終えて、パソコンの画面をみた。
そこには【削除しました】と書かれて空白になっている何かのファイルがある。
首を傾げながら楠原博士は準備を始めた。
しばらくして、アタッシュケースを片手に楠原博士とウルトラ警備隊の二人はポインターでハイパーソーラーシステム研究所へ向かうことになる。
昨夜のダン少年が写真撮影をしていた森。
そこに宇宙人の円盤が隠されている。
円盤の中に二人の少女がいた。
少女の一人は緑色の液体の詰まったカプセルを眺めている。
「エレキング、さぁ、暴れなさい」
にこりと少女がほほ笑んだ直後、カプセルの中で激しいスパークが起こっていく。
光が収まるとカプセルの中にいた“エレキング”の姿が消える。
カプセルの中のエレキングが消えたことで笑みを浮かべていた時、もう一人の少女が声をかけた。
「あの子が来るよ!」
「処分して」
片方の少女へもう片方の少女は冷たい声で告げる。
応えない少女へ念を押すように少女は伝えた。
「処分して!」
頷いた少女は宇宙船の外へ出ていく。
宇宙船から少し離れた場所でダンはカメラを片手に森の中を歩いていた。
昨夜、見た物の正体を確かめるため、何よりウルトラ警備隊の役に立ちたいという気持ちがあった。
楠原博士の迎えにやって来た東郷隊員からもらったウルトラ警備隊のマークのバッジをポケットの中で握り締めながら森の中を歩く。
「随分と好奇心旺盛なのね」
森の中で木霊する声。
その声は森でダンが聞いた少女のもの。
「キミなのか?昨日の女の子だろう?」
確かめる様に森の中で叫ぶダン。
後ろから現れた少女によって視界が塞がれてしまう。
「明日、この世界は真っ暗闇になるのよ」
「やめろよ」
少女の手を払いのける。
「急にいなくなって心配したんだよ?」
揶揄う笑みを浮かべる少女の姿にダンは少し怒りながら訴える。
「優しいのね……」
少女から笑みが消える。
「でも、優しさは何の役にも立たないわ。優しい心はね、身を滅ぼすのよ」
「早く森から出ないと怪獣から食べられちゃうよ、ほら、行こう」
腕を掴んだダン。
直後、腕から流れた電気がダンを襲う。
体を焼かれるような痛みに悲鳴を上げながら後ろへ吹き飛ぶ。
吹き飛んだ際に手からカメラの機材などが地面へ落ちる。
「あぁ、うわぁああ」
怯えた声を出しながら後ろへ下がろうとするダン。
にこりと笑みを浮かべながら少女が近づいていく。
下がろうとするが痺れて、動きが鈍っているダンの顔へ覆いかぶさるように手を伸ばしていく少女。
「やめろ!」
視界がぼやける中で響く声を聴きながらダンは瞳を閉じた。
「また、お前か」
冷笑を浮かべる少女を前に八幡は無表情で対峙する。
侵略者がハイパーソーラーシステムを破壊して終わりとは考えられない。
本来ならこういう社畜みたいなことは嫌いな八幡だが、興味のある施設が破壊されて侵略者が関わっている場合、無視することは出来ない。何より、彼の中にいる宇宙人が許さないだろう。
対峙している相手が人間ではないことは既に理解している。
ちらりと八幡は横を見た。
先ほど、少女によって電撃を受けた少年が倒れている。
「お前達は何を企んでいる」
「あら、言わなくても理解していると思っているけれど?ウルトラセブン」
自らの正体がばれていることに八幡は驚かない。
あの時の遭遇した時のやりとりで自分がただの地球人ではないことがバレていてもおかしくはなかった。
「俺の正体を知っているならそちらも名乗るべきじゃないのか?」
「ふふふ、無駄よ。貴方はここで死ぬのだから」
「?」
少女の言葉の意味を理解しようとした直後、八幡の足元で爆発が起こる。
土煙で視界が覆われる中、隙を突いた少女がダンを確保して消え去ってしまう。
あっという間の出来事に八幡は追跡することすらできない。
「くそっ……」
周囲に漂う赤いガス。
見上げると赤いガスを放つ怪獣の姿がそこにあった。
唸り声を上げながら襲い掛かって来る怪獣。
八幡は走りながらウルトラアイを取り出そうとした。
それよりも早く怪獣の放った息吹によって八幡は地面を転がる。
転がっていた時にウルトラアイが手から離れてしまう。
「仕方ない……」
八幡は腰のベルトに下げているピルケースから一つのカプセルを取り出す。
「行け!ミクラス!」
放り投げたカプセルから閃光と爆発を起こしながら姿を現すのは巨大な角に筋肉の塊ともいえるボディを持つ怪獣、ウルトラセブンの頼れる仲間の一体、カプセル怪獣ミクラスだ。
ミクラスは雄叫びを上げながら赤いガスを放つ怪獣へ突撃する。
突撃を受けた怪獣は正面から受け止めながらミクラスを押し戻そうとした。
しかし、ミクラスのパワーの方が怪獣よりも上だったことから角によって宙へ持ち上げられる。
投げ飛ばされた怪獣は悲鳴を漏らしながら体中から赤いガスを出し始めた。
警戒を強めるミクラスの前で赤いガスに包まれて姿を消す怪獣。
ガスの中へ突撃するミクラス。
煙が晴れた時、そこに怪獣の姿はなく、ミクラスは勢いよく地面へ体を打ち付けた。
「ミクラス!戻れ!」
八幡が手を伸ばすとミクラスは光の渦に包まれてカプセルの中に戻って八幡の手の中へ戻る。
「逃げられたか……しかし、あの怪獣は一体」
カプセルをケースの中に戻しながら八幡は警戒を強める。
同時刻、ウルトラ警備隊がエレキングと戦っていることなど、八幡は知る由もなかった。
閃光と共に現れるエレキング。
「か、怪獣だ!」
「逃げろ!」
森の中に現れたエレキングにキャンプをしていた人間達が悲鳴を上げて逃げようとする。
腕を前に構えたエレキング。
その先端から放たれた白いガスのようなものが噴出された。
ガスは周囲へ広まり、逃げようとしていた人間達は激しくせき込みながら倒れて動かなくなる。
「エレキングだ!」
ポインターでハイパーソーラーシステム施設へ向かっていた東郷とリサ隊員の二人はエレキングの出現に気付いた。
「エレキングだ!」
「隊長!T167地区にエレキングが出現しました!」
VCでエレキング出現の報告をしたリサ隊員。
隊員の連絡を受けた古橋と梶隊員はウルトラホーク1号で現場へ急行した。
「隊長!」
「うん」
ホーク1号の中でエレキングの姿を目撃した古橋隊長は梶隊員へ攻撃の指示を出そうとした。
エレキングがホーク1号に向かって白いガスを放つ。
ガスを回避したホーク1号だが、機内はかなりの高温だった。
「あぁ、くそっ、何だこりゃぁ」
「隊長、こりゃ、耐えられないっすよ」
「ホーク1号の中がこれだけの熱さだと、地上の人間達が心配だ」
「ピット星人が盗んだんだ!エレキングのデータを!隊長!これじゃあ、作戦をたてられません!」
過去の怪獣のデータはピット星人によって削除されている。
そのため、エレキングの対策は過去に戦った古橋隊長の頭の中にしかないのだ。
「そうか!」
地上。
安全な場所まで離れている楠原博士は声を漏らす。
「バリアの正体がわかったんですか?」
エレキングから周囲へ広がるバリアのようなものを楠原博士は調べていた。
「あぁ、エレキングの発射しているものの正体が分かった」
「なんです?」
「エレキングが放出しているのは高熱と二酸化炭素です」
「「なんですって!?」」
東郷とリサが驚きの声を上げる。
VCの蓋を開けて東郷は慌ててウルトラホーク1号の古橋隊長へ連絡を繋ぐ。
『なにぃ、高熱と二酸化炭素だとぉ?』
「古橋隊長、あのバリアの中こそ、三十年、いや、二十年後の地球の姿です。化石燃料を燃やし続けて、地球を温暖化させた未来があそこにあるのです」
侵略を狙うピット星人が送り込んだ怪獣エレキングは地球の環境悪化を促進させるため、改造したエレキングが放つ高熱と二酸化炭素の増加によって地球温暖化を加速させようとしている。
その状況下で飛行するウルトラホーク1号の機内もかなりの熱気に包まれていた。
「参ったなぁ、このままじゃ、俺はエレキングに倒される前に肉まんになっちまう」
古橋隊長は額から流れる汗を拭いながら悪態をついた。
「隊長!攻撃の指示を!」
「あぁ、うるせぇ、いま、考えている!」
「エレキングの弱点は!」
「うっせぇっての!」
暑さで苛立ちながら古橋はエレキングをみる。
エレキングの腕、尻尾、口元、そして回転する頭部の角。
「あぁ、思い出したぞぉ!角だ!角を狙えぇ!」
「了解!」
エレキングが体を回転させながら尻尾を振るう。
ウルトラホーク1号は上昇して尾を回避した。
空中で旋回しながらウルトラホーク1号は回転するエレキングの角へ狙いを定める。
「今だ!ブレイカーナックル、発射!」
「了解!」
梶は発射スイッチを押す。
ウルトラホーク1号から放たれたブレイカーナックルミサイルがエレキングの角へ命中。
角が爆発を起こして火花を起こす。
悲鳴のような鳴き声を上げるエレキング。
片側の角を狙ってミサイルを放とうとした時、エレキングの姿が消える。
「くそう!逃げやがったなぁ!」
姿を消したエレキングに古橋は顔をしかめた。
地上では荒廃した大地の侵攻が止まっていない。
「エレキングがいなくなったのにバリアが消えない!」
「二酸化炭素が生んだ温暖化現象を戻すには並々ならぬ努力が必要なのです」
「エレキングめ……また、現れるな」
リサはエレキングの放ったガスによって荒廃した大地をみて困惑する。
楠原はあることに気付いてパソコンで計算を始めた。
「そうか、そういうことか?」
「何か良い方法が?」
「ハイパーソーラーシステムですよ」
「ハイパーソーラーシステムでエレキングの熱を吸収できるんですか?」
「おそらく」
「ピット星人はそれを知っていて……」
「だからハイパーソーラーシステムが狙われたのか」
「えぇ、そしてピット星人に教えてもらいましたよ。ハイパーソーラーシステムのもう一つの使い方を」
「可哀そうにぃ」
ピット星人の宇宙船。
カプセル型の水槽の中で傷だらけのエレキング。
頭部の角が破壊されて痛々しい姿にピット星人の少女は悲しい声を出す。
「本当に地球人って乱暴なんだから」
呆れているピット星人の少女。
その時、船内にもう一人のピット星人の少女がやってきた。
片手にダンを抱えている。
「何で処分しなかったの!?」
ダンが生きていることに気付くと片方のピット星人が咎めた。
「だって、可愛い子なんだもん、ペットとして買おうと思って」
「……まったく」
片方の少女の趣味に呆れてしまう。
こうして他所の星で興味を示したものを何でも収集しようとする。
コレクターのような趣味に相方は辟易していた。
「エレキングは治療しないといけないから、まずは太陽おじさんの抹殺をはじめましょう」
「わかったわ」
宇宙船からハイパーソーラーシステム研究所へ小型のスパイカメラが飛び立った。
二人のピット星人の少女は中央に設置されているシステムを起動する。
システムからエレキングのカプセル型の水槽へエネルギーが注がれていく。
眩い光と音にダンが目を覚ます。
「あら、お目覚め?今、エレキングに太陽エネルギーを与えているところよ」
「太陽?」
「エレキングだけじゃないわ、私達も、この宇宙船もすべてのエネルギーが太陽なのよ。そして」
「ウルトラセブンを倒すために用意した必殺兵器もね」
「何だって!?」
眩い光を放ちながらカプセルの中のエレキングの角が修復される。
ハイパーソーラーシステム研究所。
その入口に二台のポインターが停車している。
ピット星人の侵略兵器として用意されたエレキングの対策としてハイパーソーラーシステムの必要は不可欠ということで昼夜問わず修理が急がれているため、渋川とユキの二人も応援として施設に来ていた。
ふわぁぁと欠伸を漏らす渋川隊員を無言でユキが咎める視線を向ける。
「あ、こりゃ、失礼……しかし、立ったままっていうのもなぁ」
「侵略者はどんな手段で攻めてくるのかわからない。我々も警戒はしておくべきだ」
「まぁな、しかし、何でこうも眠いのか……」
「昼にあれだけカツ丼を食べたからでしょう」
地球防衛軍の食堂で渋川隊員がどんぶり五杯くらい食べている姿を偶然にもユキは目撃していたのである。
しかし、今の呟きは渋川に聞こえていなかった。
そんな彼らの頭上を静かにピット星人のスパイカメラが通過していく。
施設内に侵入したスパイカメラはゆっくりと進んでいた。
目的は太陽おじさんこと、楠原博士の抹殺。
スパイカメラが通路を過ぎ去った時、別の部屋のドアが開く。
資料をまとめていた大滝主任は視界の片隅を何かが通過したことに気付いて、通路の方へ向かう。
電子音と共にスパイカメラが大滝主任の方へ向けられるとともにエネルギー弾が放たれた。
エネルギー弾が大滝主任を撃ちぬいて爆発を起こす。
資料をまき散らしながら床に倒れる大滝主任。
大滝主任を抹殺したことを確認したスパイカメラはそのまま目的の部屋に侵入する。
天井に浮遊しているスパイカメラはゆっくりと周囲を調べた。
室内には楠原博士と職員数名、そしてウルトラ警備隊の東郷とリサの二人がいる。
楠原博士はリサのVCを通して極東基地の古橋隊長と話をしていた。
「そうです、ハイパーソーラーシステムは明日になれば修理が完了します」
『一刻も早くハイパーソーラーシステムの復旧を急いでください。敵は環境破壊という力を利用して地球を支配しようとしています。唯一の対抗策はハイパーソーラーシステムということになります』
「わかっています。ですが、こういう形でハイパーソーラーシステムの力を利用することになるというのは酷く残念で仕方ありません」
『博士の仰ることは理解できます。今回の事件が解決した時に再び平和利用としての研究を進めましょう』
「そうですね、古橋さん」
「大変です!大滝主任が倒れています!」
通信が終わった室内に職員が慌てた様子で入って来る。
「なにあれぇ!」
リサは天井に浮いているスパイカメラに気付いた。
「伏せろぉぉお」
怪しい音を放ちながらスパイカメラから光線が放たれる。
東郷の叫びで伏せた直後、光線が床に炸裂して爆発を起こす。
光線の二発目を躱しながら東郷とリサの二人がホルダーからウルトラガンを抜いた。
二発の光弾がスパイカメラに直撃。
爆発を起こしたスパイカメラが地面へ落ちた。
スパイカメラがバラバラに砕け散る。
「太陽おじさんの抹殺に失敗したみたい」
「大丈夫……エレキングが全てを破壊してくれるわ」
ピット星人の少女が修復を終えたエレキングのカプセルに触れる。
「それに万が一、ウルトラセブンが現れたとしても最強の兵器が抹殺してくれるわ」
にこりとほほ笑みながらピット星人はエレキングへ指示を出す。
「エレキング、ハイパーソーラーシステムを粉々に破壊してくるのよ」
カプセルの中から閃光が迸り、地上にエレキングが姿を現す。
ウルトラ警備隊の司令室で待機していた古橋のところへ梶が報告へやって来る。
「隊長、東郷隊員達が破壊したのはピット星人のスパイカメラだったようです」
「つまり、我々の作戦が奴らにバレたということか」
「連中、エレキングを使ってハイパーソーラーシステムを破壊しにくるかもしれませんよ!」
「それは十分にありえるな。ウルトラホークで現地へ飛ぼう」
「了解です!」
『フォースゲートオープン、フォースゲートオープン』
誘導アナウンスと共に管制塔の窓に特殊合金の金網が下りていくのと同調して、カタパルトの漆黒の天井が細く割れて青い空が見えてくる。
巨大なレールに載って、二子山の斜面がスライドされてウルトラホーク1号が地下からその姿を現す。
『オーケー!レッツゴー!』
管制塔からゴーサインが出たことを確認してウルトラホーク1号のエンジンが点火して夜空へ飛び立つ。
古橋達の予見した通り、早朝にエレキングが姿を現す。
エレキングは修復中のハイパーソーラーシステムを破壊しようと徐々に近づいていた。
施設内で待機していたリサや渋川、ユキの三人が屋上でウルトラガンを構える。
三人のウルトラガンから放たれた光弾がエレキングへ命中した。
しかし、エレキングは止まる様子を見せない。
リサはVCを開く。
「隊長!もう間もなくエレキングにハイパーソーラーシステムが破壊されます!誰も、避難しようとしないんです!」
『わかった!梶、ホーク1号でエレキングをけん制しろ!』
『了解!』
上空からウルトラホーク1号がエレキングへ攻撃を仕掛ける。
しかし、エレキングは与えられた指示を忠実に果たすべくウルトラホーク1号など眼中になかった。
もう間もなく、エレキングがハイパーソーラーシステムへ到達するという瞬間、上空からウルトラセブンがキックを放つ。
攻撃を受けたエレキングはハイパーソーラーシステムから遠ざかった。
着地したウルトラセブンはエレキングへ突進するように攻撃を仕掛ける。
エレキングの自慢の尾による打撃を躱しながら懐へ入り込み、アッパーを放った。
仰け反るエレキング。
追撃しようとした瞬間、エレキングの両手から二酸化炭素のガスが放たれる。
眼前で二酸化炭素ガスを受けたセブンの動きが鈍った。
動きが鈍ったところでエレキングに殴られる。
連続して殴られてふらふらになるウルトラセブン。
仰け反ったところでエレキングの尾によってウルトラセブンは上空へ投げ飛ばされる。
地面に倒れたウルトラセブンがふらふらと起き上がろうとしたところで再びガスを吹きかけられた。
ガスによって動きが完全に鈍ってしまったウルトラセブンをエレキングは長い尾で捕獲する。
動きを完全に封じ込まれたウルトラセブンへエレキングは尾から電流を流す。
全身を覆う電流にセブンは苦悶の声を上げて膝をついた。
ウルトラホーク1号が援護しようとした時、上空からピット星人の円盤が現れる。
ピット星人の円盤から放たれた光線によってウルトラホーク1号が爆発を起こして緊急着陸した。
円盤の中でウルトラセブンがエレキングによって追い詰められているところを見ていたピット星人は彼を抹殺するために用意した必殺兵器の準備に入る。
大気圏外に設置している衛星から太陽エネルギーを吸収、そのエネルギーを円盤の上部に設置されている吸収装置へ集めていく。
膨大なエネルギーが注入されたことを確認してピット星人が船内の装置を動かす。
その光景を見ていたダンは気づかれないように手錠を後ろから前へもっていこうとしていく。
『博士、修理が完了しました』
報告を聞いていた東郷が博士をみる。
「博士!」
「準備が整いました」
「では!太陽エネルギー作戦の開始ですね!」
「はい、ハイパーソーラーシステムを起動」
楠原博士の指示でパソコンを操作している職員がハイパーソーラーシステムを起動させる。
「エネルギー変換ブースター作動!」
「集熱盤角度を南南西へ修正」
「ハイパーソーラーシステム作動!」
楠原博士の指示と共にハイパーソーラーシステムがエレキングのエネルギーを吸収する。
エレキングは自らの力が抜けていく感覚に気付いてハイパーソーラーシステムを睨む。
ウルトラセブンがエレキングの尾から脱出しようとした直後、背後から膨大なエネルギーの奔流が襲い掛かる。
ピット星人の必殺兵器による光線だ。
「あぁ!」
ウルトラセブンが光線に飲み込まれる姿を屋上でみていたリサ達が悲鳴の声を漏らす。
「このぉお!」
その頃、ピット星人の円盤内では小さな反抗が起こっていた。
手錠を胸元まで移動させたダンが装置を操作していたピット星人の少女を突き飛ばす。
「何しているの!」
「やめろぉ!離せぇ!」
もう一人が後ろから羽交い絞めしようとするがダンのタックルを受けて壁にぶつかる。
その間にダンは船内の中央のシステムを操作する。
今はウルトラセブンを撃退するために操作されているがダンはエレキングにエネルギーを補充していた機能へ切り替えたのだ。
ウルトラセブンを襲っていた膨大なエネルギーが攻撃ではなくなる。
直後、爆発にウルトラセブンが包まれる。
ウルトラ警備隊や大勢の人達が目を開く中で煙の中からウルトラセブンが姿を現す。
「よし!」
ウルトラセブンが復活した姿に東郷たちが歓喜する。
復活したウルトラセブンはエレキングの振るう尾を回避しながら頭頂のアイスラッガーを投げた。
光に包まれたアイスラッガーがエレキングの尾を切り裂く。
アイスラッガーを戻したウルトラセブンはエメリウム光線を放つ。
光線を受けたエレキングは爆発を起こす。
ウルトラセブンは構えをとくと宙に浮いている宇宙船へ視線を向ける。
両目が輝いて二人のピット星人によってダンが電撃を流されている姿をみつけた。
「デュワ!」
ウルトラセブンは瞬時に人型サイズまで縮小するとピット星人の円盤内に出現する。
『ピット星人、エレキングは倒した。お前達の侵略もここまでだ』
「ふふふっ」
不敵に笑う少女。
その姿がピット星人へ変わる。
「うわぁああ!?」
少女がピット星人へ変わったことに悲鳴を上げるダン。
もう一人の少女も笑いながらピット星人本来の姿へ戻った。
ダンを突き飛ばして二人のピット星人がウルトラセブンへ襲い掛かる。
ウルトラセブンは一人を殴り飛ばす。もう一人が後ろから攻撃を仕掛けてくるけれどもいなしながらキックで脇を狙う。
戦闘能力がないに等しいピット星人達が動けないことを確認したところでダンのところへ近づく。
『ダン、大丈夫か?』
テレパシーでダンに安否を尋ねるウルトラセブン。
ダンは頷いたところで後ろをみた。
ふらふらと起き上がったピット星人の姿に気付く。
「セブン!後ろ!」
振り返ると同時にウルトラセブンは念動力を放つ。
念動力は船内の中央に置かれていたシステムを破壊して大爆発を起こす。
爆発の余波で吹き飛ぶピット星人達。
炎からダンを守りながらウルトラセブンは円盤から脱出した。
地面へ降り立ったウルトラセブンは掌の中にいるダンを下す。
「ダン君!」
「お姉ちゃん!」
リサ隊員がダンを保護したことを確認してウルトラセブンはワイドショットでピット星人の円盤を破壊した。
ウルトラセブンはそのまま大空の中へ消えていく。
「一昨日の職場見学した場所、あの後、怪獣が現れたらしいね」
事件が解決した翌日、八幡は総武高校の教室で戸塚や川崎達と話をしていた。
「けど、ウルトラ警備隊とウルトラセブンが撃退したってニュースで言っていた」
携帯端末をみて、川崎が言う。
端末から目を離して川崎が思っていた疑問をぶつけることにした。
「アンタ、今日はやけに元気よくない?」
「そうか?」
「うん!八幡、何かいつもより生き生きしているようにみえるよ」
「心なしか、肌がツヤツヤしていない?」
「そんなことはないって」
首を振る八幡だが、いつもより生き生きした様子である。
昨日の戦いでかなりの太陽エネルギーを取り込んだおかげなのか、いつもの気怠さがウソのようにない。
肩をすくめながら八幡は空を見る。
青空の向こうで太陽がキラキラと輝いていた。
次回は続けて、職場見学。
遅れた理由としては前書きに書いてあったことと、別の小説を熱心に書いていたことが原因である。
次回からは気をつけようと思います。
感想欲しいなぁ。
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