「……おい、起きろ小僧。」
「ん……。ガレスさんですか。」
俺は知識の中で知っているとある男の名前を言い、ベッドから降りる。
ガレスとはロキ・ファミリアの幹部の一人のドワーフで闇派閥の奴等も警戒していた人物の一人だ。闇の反対は善だと言わないがこいつもまた、俺の正体に気づきかねない存在。警戒に越したことはないだろう。
「む……儂と会ったことがあったのか?」
「……いや、予想しただけ。」
「こやつ……中々剛胆か性格をしておるのう。気に入ったわい。」
「なら結構だ。」
俺とガレスはそのまま歩き、食堂に向かう。
おおよそ、俺をファミリアの仲間たちに伝えるためだろう。……念には念を入れて使っておくか。
(『神の罰を受けよ、悪竜。【ゾロアスター】』)
俺は念じることで魔法を発動させ自らのステータスを一般的なLv1冒険者の状態に変える。
Lv6のガレスに小声で言えば高められた聴力で魔法がバレる可能性もある。なら、少し魔力の消費が多くなるけど念じて魔法を使ったほうがバレる心配もないだろう。
最も、魔力その物は消せないからLvの高い魔導師なら一発で分かるだろうが。
「おい、フィン。連れてきたぞ。」
「来たか。皆、食事の前に新たなファミリアの仲間を紹介しよう。」
「……どうも、コオウ・クロツキです。フィン団長に連れてこられて入った孤児です。産まれは極東、育ちはダイダロス通り。一応ダイダロス通りでは『案内人』をしていました。これからよろしくお願いします。」
俺は幾つか爆弾発言をしたあと適当に空いていた席に座る。
ちらりと団長たちの方を見てみるとフィン団長は少し苦笑いをし、リヴェリアは疑わしい目でフィンを見ており、ガレスは大笑い、ロキもまた不敵な笑みを浮かべていた。
やれやれ、早く飯にしてもらいたいのだが……。
(………………?)
俺は前にいる骨と筋肉、皮膚しかないまるで剣のような金髪の少女を見て僅かに妙な気配を感じる。
こいつ……精霊と人間の魔力を持っていやがる。しかも、神の悪意すら凌駕するとんでもない憎悪の炎が目に宿っている。なんなんだ、こいつは。少し話して見ようか。
「……なぁ、お前の名前はなんだ?」
「………………。」
無視か……致し方ない。後でロキかフィン団長に聞いておこうかな。
「……アイズ。アイズ・ヴァレンシュタイン。」
ポツリと少女は自分の名前を言う。
ヴァレンシュタイン……?あぁ、傭兵王『ヴァルトシュテイン』の名前を借り受けたのか。
となると、この少女は……いや、無駄な詮索はよそう。
取りあえず、今は飯を食おう