後半 リヴェリア
「ん……。」
俺はダイダロス通りで過ごしていた癖か夜明けよりも少し前に起きる。
あの後、質問攻めに合いながらも俺を歓迎されてそこそこ食べた後、風呂に入って寝たのだ。
俺には本来睡眠は必要ないけどするとしないでは体のコンディションに大きな差がある。けど、早く起きすぎたな、ちょっと窓の外でも見ようか。
「……ん?」
俺は窓の外、眼下にある中庭を見て、素振りをしている少女……アイズ・ヴァレンシュタインを見て少し奇妙な物を感じる。
あいつ……確か俺が寝る前に見たときも素振りをしていたな。ストイックに体を鍛えるのは別に良いことだとは思うが……行き過ぎた鍛練は体を壊すだけだぞ。
(大丈夫かよ、あいつ……。俺がいくら悪人だろうとも見過ごせないぞ……。)
「……………」
俺が心配して見ているとアイズの膝が急に地面につき、剣を支えにしながら立ち上がろうするも、木剣から手を離して倒れこんだ。
おいおい……くそ、ここからじゃまだ暗いからあまりよく見えないな……。仕方ない。
「『神の力は悪欲に塗り潰される』」
俺は
体の熱が異様に高い。体内を巡る魔力が幾つか歪んでいる。体に必要なエネルギーがあまりない。
もう体がボロボロじゃねぇか……!
「おい、しっかりしろ。」
俺は窓を開け、眼下の中庭に降り立ち、アイズを抱き抱えてもっと性格に体の調子を感じるためにおでこに手を当てる。
体から発熱、瞳孔も片目が僅かに開き具合が違う、魔力の流れもおかしい、体が異様に軽い。
こいつ、どんだけの時間を鍛練に使ってきたんだよ……!殆んど寝てないのではないか?それに、この鍛練は自分の体の不調とかを気にせずにやっているから病状が悪化しているじゃないか。
考え出したらきりがない。こういう時に頼りになりそうな人……フィンやガレスは詳しく無さそうだしリヴェリアさんに頼むのが一番良いか。
「はぁ……仕方ない、行きますか。」
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「ん……。」
私は何時もと同じ時間に起き、日課の朝の瞑想を始める。
昨日入ってきた少年、確かコオウ・クロツキだったか。彼からは少し変わった魔力を感じとることが出来た。恐らく、鍛え上げれば良い魔導師になるだろう。……と、いかんな、集中しないと……
「―――――ドアを破って失礼しまーす」
「ッ!?」
突如、ドアを蹴飛ばして件のコオウ・クロツキが部屋の中に入ってくる。
ここは女子の部屋がある場所なのに何故彼が……?私はともかく他の奴等が起きてしまうのではないか?
何故、どうやって蹴飛ばして入ってきたのだ……?あのドアはそれなりの硬度があったはずなのだが……。
「どうかしたのか、コオウ。」
「中庭で素振りしてたアイズがぶっ倒れたから連れてきた。」
見ると彼の腕にはアイズが力が死んでしまったように力無く腕をおろしていた。
「アイズ!?ッ、酷い熱だ。」
「そう言うわけでさいならー」
「行くな。……少し説教をしておかないとな。」
取りあえず、アイズをベッドに置き、コオウを正座させる。
これでも、私を慕う者たちからの私刑を実行させられるよりかは幾分か軽くなるだろう。ありがたく受け取った方がいいぞ、少年