GBD-L_ガンダムビルドダイバーズ Lonely   作:杉村 祐介

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仕立て屋として

 コトノリは自分に言い聞かせるように言った。火線の跡に立ち尽くすのは、左腕を失ったゲイルシュナイデン。だが、失ったのは左腕だけだ。

 全てを回避する必要は無かった。全ての銃口を「一ヶ所」には集中できても、「一点」に集中するなんて芸当がユウタに出来るはずもない。それを理解していたからこそ、左腕を犠牲にして、ストライクフリーダムの一撃を甘んじて受けたのだ。

 そして、対するストライクフリーダムは、膨大な熱量を放った反動で、一瞬、硬直していた。ノーリスクで撃てるものではないからこそ、「奥の手」なのだ。コトノリはそれを理解していたが、ユウタはそれを正しく理解していなかった。

 直後に駆け出したゲイルシュナイデン。その名の通りに疾風の如く駆け巡り、全てのドラグーンを破壊する。一瞬。ユウタが、何が起きたかを理解するのに、また一瞬。ユウタにとっての二度の「一瞬」は、コトノリにとって――ゲイルシュナイデンにとって、十分すぎる時間だった。

 その後、ゲイルシュナイデンは構えもせず、足を止めた。無防備にも、無謀にも、そこはストフリの目の前だった。

 

 

 

 ユウタは愕然とした。要であるドラグーンを失ったことにも、そして、それ以上の追撃を加えてこないコトノリの行動にも驚き、狼狽える。

 

「何っ、どうして!?」

「ボクは左腕を失った。キミはドラグーンを全機だ。これ以上戦いを重ねるのはクエストクリアにも影響が出るだろうし、そろそろ辞めにしないか」

 

 コトノリは呆れきった口調だった。子供の癇癪には十分付き合った。これ以上、付き合ってはいられない。

 

「はぁ!? まだクエスト諦めてなかったのか!」

 

 ユウタは、コトノリの言動に愕然とした。そこへ、

 

「当然だ、ボクだって少しはクエスト達成率を気にする」

 

 通信から返ってきた意外な言葉に、ユウタはぽかん、と口を開ける。さっきまで理解できなかったコトノリに、初めて人間味を感じて、ユウタの怒りはだんだん萎んでいった。

 

「……でも、どうするんだよ。ドラグーンが無くなったらストフリの意味が無いじゃん!」

 

 萎むと同時、冷静になり、弱気になる。ドラグーンがなければ、オールレンジ攻撃も、切り札のドラグーンフルバーストも使えない。

 

「ストフリはドラグーンだけじゃないだろう。ビームライフルもサーベルもある」

 

 コトノリはため息混じりに告げた。

 

「でも!」

 

 なおも言い返そうとするユウタの言葉を遮り、

 

「ならリタイアすれば良い。ボクは『仕立て屋』として、ボクなりにキミを最適な姿に仕上げたつもりだ」

 

 はっきりと告げる。

 

「最適、って……こんなの……」

 

 ユウタにとって最大の特徴だった「ドラグーン」を失ったストフリは、なんとも言えない寂しさを覚えさせた。頼れる武装は、その手に握られたライフルと、腰のサーベルのみ。

 

「自分の力で、戦えって言うのかよ!」

 

 今さらそんなことを口にするユウタに、コトノリは頭を抱えたくなった。それを我慢できたのは、

 

「最初からそう言ってただろう。大丈夫だ。こんなクエスト、ドラグーンが無くたって勝てる」

 

 ユウタが前を向くまで、もう一歩だと気づいていたからだ。

 

 

 

 ユウタからの返答はなかった。五秒、十秒、その末に。

 

「どうやって戦えば良い?」

 

 ユウタから返ってきた言葉、コトノリの口許がわずかに綻んだ。

 

「……まずはフレンドになろうか」

 

 コンソールの上に指を滑らせ、申請の動作をする。すぐに、承認の通知が来た。フレンド欄には、背を預けるには心許ないが、肩ぐらいは並べてやれる。そんなフレンドが一人、登録されていた。

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