GBD-L_ガンダムビルドダイバーズ Lonely 作:杉村 祐介
序:三日月の再会
コトノリが彼を見たのは三度(みたび)あった。
一度目の彼は満月のように目を丸く輝かせて、少年がまさしくゲームで遊ぶ純粋さを写す鏡のように輝いていた。
二度目の彼は半月のよう、欠けた部分に闇を抱え、その瞳は濁り曇りて混濁し、己が楽しみさえ失いながら、ただ任務達成を求めていた。目的を失ったまま目標へ邁進していた。
三度目の彼は、三日月のように鋭く、今にも新月の闇へと消えそうなほど、闇を抱えてさまよっていた。もはや目的も目標もなく、己のあるがままにGBNへと溶け落ちていた。
そんな彼はきっと、コトノリと同じだったのだろう。
【GBD-L】ガンダムビルドダイバーズ−ロンリー
003「三日月の再会」
◇ ◇ ◇
ログインロビーの喧騒はいつものごとく。皆誰かと会話したり、クエストに向かったりと仲睦まじく微笑ましい。そんなプレイヤー達を横目に、今日もボクはログイン直後に整備室へと向かった。
今日も今日とて救援ボードにかじりつき、気が向けばそれを受注する。今日はこれと言った目的もなく、単に流れていく雑多なクエストの中から一つを適当に選んで、それを受注した。
「コトノリ、ゲイルシュナイデン。これより救援に向かいます」
カタパルトから射出されたゲイルシュナイデンが火花を散らしてレール上を走る。タイミング良く解き放たれたそれがゲートをくぐれば、重力のある闇夜へと瞬時にテレポートされた。
三日月の美しい森林地帯、先程までライトで明るく照らされた整備室にいた自分にとっては少々暗い。メインカメラを暗視モードへと切り替えよう、そう思った時――即座に鳴る接近する敵アラートに驚いた。
「早い!?」
ありえない会敵だった。本来なら、救援部隊は戦闘エリア外にワープ、出現する。そこから自力で移動し、クエストのターゲット、つまり救援主の元へと移動するのが常だった。だが今日はなぜか、ワープ直後に敵がいる。
理由はともかく、ボクは操縦桿を折りかねないほどに傾けた。ぐわりと揺れるゲイルシュナイデンは、迫りくる危機を間一髪で避ける。すれ違うのはビームライフルの熱量ではなく、その実、モビルスーツそのものであった。
一瞬だけ敵影によって三日月が隠れる。その後光輝く機体には見覚えがあった。四振りもの実体刀を携えた和風のガンプラ、鬼の面のような胸部装甲、露出したフレームが骨々しさをより一層強調させる。画面に表示される機体名『戦国バルバトス』、それを見て自分の記憶を遡って出たパイロットの名が――
「……イチョウ、お前か!?」
「かはは! やっと出やがった。偽善者さんよぉ!」