GBD-L_ガンダムビルドダイバーズ Lonely 作:杉村 祐介
戦国バルバトスが握っていた、モビルスーツの丈ほどもある黒鉄の刀を振るう。相棒であるゲイルシュナイデンは同じく実剣の、ライフルと剣の複合兵装でその刃を受けた。自分の意図せずして接触回線が開く。モニターに大きく映し出された鬼面のようなバルバトスに重なって、さらに睨みを利かせた青年の顔が歪んで笑う。
「久しぶりだなぁ、コトノリさんよ。オレはお前が救援に来るのをずっとずっと待ってたんだぜぇ!」
「イチョウ、お前……!」
空中でもつれ合った二機はバルバトスを上に、ゲイルシュナイデンを下にしたまま落下していった。ガンプラの加工技術はほぼ互角、ともあれば機体スペックを機動性より出力に多く振った方が勝つ、当然のことだ。自機がこの武者に力勝負で敵うはずがない。
さらに地面にぶつかる数瞬前、戦国バルバトスはゲイルシュナイデンを踏みつけるように飛び上がる。蹴り落とされた衝撃と、地面に叩きつけられた衝撃をまたたく間に浴びて、コクピットの中でボクは意識を失いかけるほどの衝撃を頭に受けた。
「あがっ――」
「こんなんで気絶するんじゃねぇぞ、こっから楽しい楽しいパーティの始まりなんだからよぉ!」
休む間もなく、ゲイルシュナイデンの脚部を掴まれたアラートが鳴り響く。戦国バルバトスはその腕力をもって無理やりに持ち上げて、地面へと叩きつけた。三度目の衝撃に耐えかねず目眩がして、操縦桿から手が離れる。
左手で頭を抑えながら、指の隙間からモニターを見た。その画面、メインカメラには確かに見たことのあるモビルスーツが立っている。威嚇するような鬼のような面を胸につけ、紅と白で彩られた和装のバルバトス。悪魔の名を冠しているその機体はまさしく、パイロットも含めて鬼だった。
機体に追従するように表示されるダイバーネームは「ハチロウ」とされていたが、彼は自分が確かに知っている男、イチョウという存在で間違いないようだ。
「イチョウ、イチョウなんだろ。剣を下ろせ、こっちに戦う意思はない!」
「お前に無くてもオレにあるんだから、戦う理由は十分だよなぁ!」
ゲイルシュナイデンを蹴り飛ばした戦国バルバトス。接触回線が切れてメインカメラの映像だけになる。武者のように鎧を着込んでいるバルバトス。肩に白銀の刀を二本、背中に黒鉄の刀を二本。合算して四本もの刀を扱うそれはまさしく鬼武者、悪魔の名にふさわしい。
どうやら救援を出したクエスト受注者はこの男ハチロウ、いやイチョウらしい。
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