GBD-L_ガンダムビルドダイバーズ Lonely 作:杉村 祐介
「……っ!?」
振り返れば、そこには先ほど交戦したギャプランが、空中からスラスターを蒸して降下してきた。人間にはおおよそ高火力すぎる銃口がこちらを睨んで離さない。
「ヒーローごっこもここで終わりだ。さっさとログアウトしろ!」
生身の人間に対してモビルスーツをけしかけるなんて、とも思ったが、それよりも崖下にいる悪党達が、この騒ぎに気づかないはずもなく。
すぐにそこに隠されていたモビルスーツが飛び出してくる。片方は純白に塗られたリゼルと、もう片方はティターンズカラーのAGE2だ。
「じ、ジャードゥのギャプランが、なんでここに!?」
「ボス直々の連絡だ。『てめぇは道をズレた』とさ」
「……まさかすでに、このことはバレて!?」
AGE2が可変して飛び去ろうとする。だがギャプランが離陸直前でその脚を掴み、地面へ叩きつける。
「往生際の悪い奴だ」
「くっそおおおお!!!」
叫ぶAGE2のパイロット。だが一方で、白いリゼルは悠々と空へ舞い上がる。
「やはり三下を雇うのは失敗だったか! でも、まあいい。僕はログを残すようなヘマはしていない。別のヴィランを探して同じことをやれば、今まで通り……」
そこまで言って、リゼルの目の前に、空間の亀裂が入った。いや、それは亀裂ではなく、ガンプラが転移するゲート。意図的にこの区画へ介入してくるイレギュラー。
ゲートを潜り抜けて現れたのは、白の対になる漆黒のガンプラ。巡航形態のモビルスーツを押し返すほどの推力と加速力で、それは眼前のリゼルを捉えて、ギャプラン達がいる区画へと押し戻す。
今この場所には、虐げられたAGE2とリゼル、そしてギャプランと、土煙が晴れていくことでまざまざと姿を見せた、ストライクフリーダムをベースとしたであろう漆黒のガンプラ。
「おいアズマ、どうする――」
救援主であるアズマに目をやると、そこにいたはずの彼はもうすでに居ない。この状況を省みてログアウトしたのだろうか。クエストも自動的に失敗扱いになっていた。「当然、か」と独り呟く。
敵は複数。手練れのギャプラン、謎の黒いストライクフリーダム。救援主は不在。ここでモビルスーツに駆け出しても、コトノリにとっては何一つメリットは無かった。
だが、たった一件の通知に、僕は身体が突き動かされた。
「引け、黒いモビルスーツ。そこの白いリゼルは俺の獲物だ」
ギャプランが広域回線で警告する。堂々たるその声は、もはやどちらが正義か分からなくなるほどだ。
だが黒いストライクフリーダムは動じない。ただ一言だけ返答する。
「悪を倒す。フリーダムガンダム・ピカロはその為だけに存在する。貴様もまた悪なれば、打倒するのみ」
交渉決裂。お互いは一瞬でそれを悟り、ビームサーベルを抜いて突進した。ギャプランは地面が抉れそうなほどの推力で、フリーダムは風に乗るように軽やかにそして鋭く、二機は1秒も掛からず手が届くリーチまで近づいていく。
その剣撃を僕は――ゲイルシュナイデンは中央に割り込んで、手持ちの大型実剣と腕に仕込んだビームサーベルで受け止めきってみせた。
「コトノリ、ゲイルシュナイデン。新たな救援任務を受注した。これより戦闘に介入する!」