GBD-L_ガンダムビルドダイバーズ Lonely 作:杉村 祐介
迫るリーオーに対して、ゲイルシュナイデンはつま先で蹴り上げた。リーオーはその間合いを正確に読んで、紙一重のところで避けたつもりだっただろう。
だが最後の手品だ。この機体、ゲイルシュナイデンのつま先には、ビームサーベルが仕込んである――。
縦に真っ二つになったリーオーは、それ以上、動くことはなかった。腕をもぎ取られたゲイルシュナイデンも、正直満身創痍で残存エネルギーも僅かだった。なによりパイロットの疲労がピークを迎えていた。
そのすぐ後、クエストクリアの表示と共に、あの二人が大手を振ってこちらへ来た。
「やったぜ、クリアだ!」
「楽勝だったな」
「おいおい、救援の人が来てくれなかったら負けてただろ」
やけに賑やかな二人を見て、こっちも釣られて笑ってしまったが、画面酔いの頭痛と重なって変な表情になっていたことだろう。
◇ ◇ ◇
「なぁ、俺たちのフォースに入ってくれないか?」
これで何度目だろうか、こうして勧誘されることに慣れている自分がいた。そりゃあ、救援したりされたりの仲だ、相手のプロフィールくらい見るし、もしその人がフォース無所属だったら、勧誘しないという選択肢はないだろう。
こういう時、僕はいつも丁重にお断りするのだ。
「ごめんなさい。フォースには入らないって決めてるんです」
「どうしてさ? 一緒にプレイしたらきっと楽しいよ!」
「やめときなって。あれだけの実力なんだ、きっと引く手あまたなんだよ」
「いやいや。一対一なら、貴方たちの方がよっぽど強いですよ。それに、貴方たちに必要なのは狙撃手か砲撃手だと思いますよ。僕じゃ力不足だ」
二人の勧誘を断って、僕は背中を向けて歩き出した。複数の視線を感じながらも、クエスト終了後に訪れるメインフロアから、いつもの整備場へと移動する。
さっき戦った傷が癒えておらず、ゲイルシュナイデンは右腕を失ったまま立っていた。
ピコン、と通知が鳴る。さっき共闘したビルダーの片割れだ。
『ユーザーネームから探してメールしました、今日はありがとう。どうか一緒にフォースで戦ってくれませんか!?』
僕はそのしつこさに苦笑しながらも、不思議と嫌な気持ちではなかったので、メールの返答はこう記しておいた。
『お誘いありがとう。縁があれば、また救援信号で引き寄せられるかも知れませんね。それでは』
フォースやチームというのは自分にとって華々しいものでもあったが、同時に重苦しい枷に感じられるのだった。だからこうして、独りを楽しみ、独りを寂しんでいる。矛盾しているが、矛盾していることこそが僕のアイデンティティだった。
きっと今日もインターネットの世界は賑わっている。きっと今日も僕の世界は静寂に包まれている。その静寂が、僕は好きだった。
◇ ◇ ◇ 終わり ◇ ◇ ◇
*ビルドダイバーズ・リライズを視聴した勢いで書きました。設定の矛盾などお気づきの点がありましたらご連絡下さい。