GBD-L_ガンダムビルドダイバーズ Lonely   作:杉村 祐介

7 / 35
終:縁があれば、また

 迫るリーオーに対して、ゲイルシュナイデンはつま先で蹴り上げた。リーオーはその間合いを正確に読んで、紙一重のところで避けたつもりだっただろう。

 だが最後の手品だ。この機体、ゲイルシュナイデンのつま先には、ビームサーベルが仕込んである――。

 

 縦に真っ二つになったリーオーは、それ以上、動くことはなかった。腕をもぎ取られたゲイルシュナイデンも、正直満身創痍で残存エネルギーも僅かだった。なによりパイロットの疲労がピークを迎えていた。

 そのすぐ後、クエストクリアの表示と共に、あの二人が大手を振ってこちらへ来た。

 

「やったぜ、クリアだ!」

「楽勝だったな」

「おいおい、救援の人が来てくれなかったら負けてただろ」

 

 やけに賑やかな二人を見て、こっちも釣られて笑ってしまったが、画面酔いの頭痛と重なって変な表情になっていたことだろう。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

「なぁ、俺たちのフォースに入ってくれないか?」

 

 これで何度目だろうか、こうして勧誘されることに慣れている自分がいた。そりゃあ、救援したりされたりの仲だ、相手のプロフィールくらい見るし、もしその人がフォース無所属だったら、勧誘しないという選択肢はないだろう。

 こういう時、僕はいつも丁重にお断りするのだ。

 

「ごめんなさい。フォースには入らないって決めてるんです」

「どうしてさ? 一緒にプレイしたらきっと楽しいよ!」

「やめときなって。あれだけの実力なんだ、きっと引く手あまたなんだよ」

「いやいや。一対一なら、貴方たちの方がよっぽど強いですよ。それに、貴方たちに必要なのは狙撃手か砲撃手だと思いますよ。僕じゃ力不足だ」

 

 二人の勧誘を断って、僕は背中を向けて歩き出した。複数の視線を感じながらも、クエスト終了後に訪れるメインフロアから、いつもの整備場へと移動する。

 さっき戦った傷が癒えておらず、ゲイルシュナイデンは右腕を失ったまま立っていた。

 

 ピコン、と通知が鳴る。さっき共闘したビルダーの片割れだ。

 

『ユーザーネームから探してメールしました、今日はありがとう。どうか一緒にフォースで戦ってくれませんか!?』

 

 僕はそのしつこさに苦笑しながらも、不思議と嫌な気持ちではなかったので、メールの返答はこう記しておいた。

 

『お誘いありがとう。縁があれば、また救援信号で引き寄せられるかも知れませんね。それでは』

 

 フォースやチームというのは自分にとって華々しいものでもあったが、同時に重苦しい枷に感じられるのだった。だからこうして、独りを楽しみ、独りを寂しんでいる。矛盾しているが、矛盾していることこそが僕のアイデンティティだった。

 

 

 

 きっと今日もインターネットの世界は賑わっている。きっと今日も僕の世界は静寂に包まれている。その静寂が、僕は好きだった。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ 終わり ◇ ◇ ◇




*ビルドダイバーズ・リライズを視聴した勢いで書きました。設定の矛盾などお気づきの点がありましたらご連絡下さい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。