GBD-L_ガンダムビルドダイバーズ Lonely   作:杉村 祐介

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他人に命令するだけで

 ユウタが何気なく口にした言葉に、チリッ、とコトノリの脳裏を掠めるノイズ。嫌な記憶を思い出して、それを打ち消して。コトノリは淡々と返す。

 

「前衛後衛の役割分担は、信頼できる仲間とやるものだ。ボクはさっき戦っていた時、全く戦う意思を見せなかったキミを信頼していない」

 

 背を預けるに足ると判断できなければ、コトノリでなくとも前衛を買って出たりはしないだろう。

 

「だって、前衛が居ないのに後衛が前に出ても――」

「元々このクエストを受けたのはキミ一人だ。キミが前衛も後衛もやらなきゃならないはずだったんだよ」

 

 なおも戦おうとしないユウタに、いい加減付き合いきれない、というのは思考がユウタの頭を過ったが、

 

「何だよさっきから、うるさいなぁ!」

 

 思い通りにいかない子供が癇癪を起こすのが先だった。

 

 

 ピリッ、通信越しに伝わった殺気。ゆらり、と挙動を変えたストライクフリーダムに、嫌な予感がした――刹那。

 

「もういいよ! 消えろ、使えない奴!」

 

 ストライクフリーダムの背から抜け出した青い羽根――ドラグーン。直後、ドラグーンは迷うこともなく、一斉にコトノリのゲイルシュナイデンの方向を向いた。

 救援機は一応、友軍としての扱いになるが、それでも「第三勢力」である。同じフォースに所属しているわけでもなければ、フレンドの間柄でもない――つまり救援機を誤射しても、フレンドリーファイアのカウンターは回らないのだ。

 

「ボクと戦うのか? クエストを放ったらかして」

 

 コトノリは恐れるそぶりも見せず、淡々と問いかける。ドラグーンをただの威嚇と踏んでのことか。

 

「ちょっとだけだよ。ストフリの強さが分かれば、お兄さんもすぐボクが正しいって分かるはずだから!」

 

 笑みを浮かべたユウタは、その機体性能に慢心していた。八基のドラグーンによって繰り出されるオールレンジ射撃は、『ガンダムSEED DESTINY』作中で複数の敵に対して猛威を振るった通り、そう簡単に回避できるものではない――だが、それは一流パイロット、一流コーディネイターが扱えばの話だ。

 

 GBNにおいて、ただのオートで動いているドラグーンの回避など、レーダーの指示に従って動いていれば造作もないこと。ゲイルシュナイデンはストフリから距離を開きつつ、ただ計器だけに従って、次々に疾る火線を掻い潜る。

 

「ドラグーンが、当たらない!?」

 

 その機動に、ユウタは信じられない、とばかりに目を見開いた。今までのミッションでは、二、三度避ける機体はいても、数秒で宇宙の塵になったからだ。

 

「それだって他人に命令して飛ばしてるだけだろう。そんなもの、コンピュータ相手ならともかく、プレイヤーに当たるはずがない!」

 

 コトノリが告げながら、回避の動作を止めることはない。

 

「この、この、このっ!」

 

 ユウタの焦りを表すように、ストフリは手持ちのライフルもやたらめったらに打つが、ゲイルシュナイデンは水が流れるように軽やかに身を翻してことごとく回避して見せた。なんで、なんで。ユウタの頭がズキリ、と痛んだ。ドラグーンだって、黒いあいつだって、僕の言うことを聞いていれば、僕の思う通りに動いてくれればいいだけなのに!

 

「もう頭に来た、あの敵に使うはずの技だったけど使っちゃえ!」

 

 ストフリがドラグーンを並べ立て、全ての砲門を展開。照準を一ヶ所に絞り、退路を断つようにドラグーンの火線が延びる。さながら籠を織るかのように繰り広げられた、「ドラグーンフルバースト」だ。無数の光軸を前にしては、さすがのゲイルシュナイデンも躱しようがなかった。

 火線の熱量に耐えきれず、ゲイルシュナイデンの左腕が爆砕した。

 

「やった! はは、ざまぁみろだ!」

 

 命中。待ち望んだ命中に、ユウタは勝ち誇る。これまでの焦りの分、その喜びは大きかった。

 

「ああ、ざまぁみろ。だ」

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