戦う炎の料理人   作:ドミネーター常守

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サボの登場。それはサンジにとって良くも悪くも…。

そして未だになんだかなぁ~って疑問符が浮かぶマグマグの実とメラメラの実の上下関係。
熱容量の観点…から言えば、実際にマグマの方が遥かに恐ろしいんですよね?

やっぱり赤犬のセリフが事の発端というかわかりにくいのかな?火を焼き尽くすじゃなくて、火すらも飲み込むって言い方をしてたなら…火に溶岩が被さったらどうなるか的な観点で言ってくれたら…。なんだかなぁ~、まだ理解できたかな?

誰かマグマ博士いませんかぁ!?



未来の麦わらの一味No.2と革命軍No.2

 

 

 マリンフォードにて世紀の大戦争が新展開を迎えているなか、とある島にて───

 

()()()()()()、大丈夫かしら?」

「大丈夫に決まってるじゃない!サンジきゅんはカマバッカ王国に舞い降りた天使!いえッ貴公子よ!!

 カマバッカ王国のアイドルなのよ!!そんなサンジきゅんが敗けるわけないわ!!」

 

 サンジが"暴君"バーソロミュー・くまの能力で飛ばされたカマバッカ王国にて、新人類(ニューカマー)達は、つい数日前に去ったサンジの安否を心配していた。

 

 彼女───いや、彼ら───いや、新人類(ニューカマー)達にとって、共に過ごした時間は短くとも、サンジという存在はすっかりアイドル的な存在となっているのである。

 

 サンジはカマバッカ王国内では、世の女性達を虜にする"海賊貴公子"キャベンディッシュよりも人気の高い存在として───アイドルとしてモテモテだ。

 

「けど、色々と気になる点が多いわよねェ」

「そうねェ。()()きゅんも様子がおかしくなって、任務放棄してマリンフォードに向かったって…サンジきゅんの事、話すべきじゃなかったかしら?」

「大丈夫じゃないかしらァ?だって、あたすの新人類(ニューカマー)の勘が大丈夫だって言ってるもの!!」

「ならきっと大丈夫ね!!」

 

 カマバッカ王国では、女の勘を遥かに凌ぐとされる"新人類(ニューカマー)の勘"。

 その勘が本当に正しいのかはさておき、サンジがまったく知らないところで、そしてサンジが過去に戻り前回の経験と記憶を武器に動いたことで、その影響で少なからず未来は変わろうとしているようだ。

 

「サンジきゅん!早く会いたいわァーーー!!」

 

 ただその想い、サンジに届くだろうか…。

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 背筋が凍る。

 

「うおッゾクっとしたァ!」

 

 マリンフォードにて、ルフィとエースを守る為に赤犬と戦うサンジだが、赤犬からの殺気とは別の類いの悪寒を感じ身震いする。

 

「わしを前にして他に気を取られるとは随分と余裕そうじゃのォ、黒足ィ!!」

「へっ、当たり前だ!(つっても、火と違ってマグマってのは随分と厄介だな!熱容量が半端ねェ!!)」

 

 通常の"悪魔風脚(ディアブルジャンブ)"ではまったくもって相手にならない。炎ごとマグマに飲み込まれてしまうことだろう。

 

 武装色の覇気を鋭利化させ電撃を纏わせることによって、そして速さだけは上回っているおかげでどうにか相手ができている状態だが、決定打に欠け───これではジリ貧だ。

 

「黒足ッ、大丈夫か!?」

 

 海水を操ることのできるジンベエもいるが、マグマと海水───下手をしたら急激に大量の水蒸気が発生し、大規模なマグマ水蒸気爆発が起きかねない。ジンベエも対赤犬に於いては、有効な手段を持ち合わせているとは言えないだろう。

 

「これくらいどうってこたァねェよ」

 

 だが、かと言ってサンジ1人だけでどうにかできる相手でないのは事実。

 サンジ本人もそれをよく理解しており、状況を打破する方法を───赤犬の魔の手から逃れる方法を模索しているところだ。

 

 赤犬の最優先標的であるルフィとエースに共に戦ってもらうのは以ての外。そもそも、ルフィはまだ弱点を突く以外で"自然系(ロギア)"の能力者と戦える唯一の方法である覇気を習得していない。エースに至っても、一見対等な能力に思わなくもないが、熱容量で上回るマグマにサンジ同様に炎ごと飲み込まれてしまうことだろう。

 

 そうなってくると、方法はたった一つ。

 

「これっきゃねェんだよな。武装色の覇気に長けた奴…けど」

 

 サンジはその唯一の方法をぽつりと呟いた。だが、赤犬にダメージを与えられる程の武装色の覇気の使い手はこの場に()()()()()しかいない。

 だが、その人物はというと───

 

「サボォォォ!生きてたァ、良かったァァ!!」

 

 ルフィは涙をぼろぼろと流しながらその人物に抱きついている。

 

「お、お前ッ!生きてたなら生きてたってちゃんと教えろよなッ!?おれとルフィがどれだけッ!ッ、バカ…野郎」

 

 エースは涙を堪えながら───しかし、どうやら堪えきれないのか頬を一筋の涙が伝い震えていた。

 

「うっ、わ、悪かったよ!けどなッおれだって全部思い出せたのはたった今なんだ!エースの公開処刑の事が載った記事をたまたま仲間に教えられて、それを見たら記憶の断片みたいのが頭ん中に流れ込んできて倒れて1日寝込んじまって…それで、目が覚めたら、絶対に行かなきゃ後悔するって思って…それでいてもたってもいられなくて任務ほっぽり出してここまで来て…そしたら…お前達の顔見たら…全部…ようやく記憶が戻ったんだよ!」

 

 そしてその人物───サボという名の金髪の青年は、この10年程の間"記憶喪失"に陥っていたらしく───だが、ルフィ、エースと再会した事がきっかけとなり、完全なる記憶が戻ったようなのだ。

 

 まさか他にも、ルフィに兄が存在したとはサンジも驚きだろう。しかも"革命軍"の幹部候補。

 

 ただ、サンジはサボという人物を一目見た瞬間、自分より強いと見抜いていた。が、10年ぶりの再会に己達が置かれた状況を忘れかけてしまっている三兄弟。

 サンジもそろそろ限界で、再会を喜び合うのは後にしてほしいところだ。

 

「サボ!感動の再会で嬉しいのはわかるッシブルけどいい加減におしッ!黒足ボーイもこれ以上は無理ッチャブルよッ!!」

 

 助け舟を出してくれたイワンコフに、サンジは心の中で礼を言う。

 

「あ、ああ、すまない。そっか…コイツが()の黒足か…カマバッカ王国の"アイドル"」

「んなッ!?お、俺はあんな地獄のアイドルになった覚えはねェぞ!?」

「黒足ボーイがカマバッカ王国のアイドル?どういうことッチャブルよ!?」

「まあ、それはとりあえず後で説明する。イワンコフが言った通り…こっちを先にどうにかした方が良さそうだからな」

 

 まだ泣いているルフィと涙ぐんでいるエースを他所に、サボは鼻をすすりながら前に出る。

 今一つ格好がついてないが、その視線の先の赤犬は殺る気満々だ。再会と記憶が戻ったお祝いをゆっくりするには、当然───赤犬の魔の手から逃れなければならない。

 

「黒足…ルフィを守ってくれてありがとな。エースを助け出すことができたのもお前のおかげだって…本当にありがとう」

「おれはルフィを守る為に行動し、その結果…エースを助けることができたってだけだ。それに、無茶する船長の尻拭いすんのも船員(クルー)の務めだしな」

「ハハハ。あのルフィがもう一端の海賊で船長やってんだなあ。驚きだ。けど、おれにとっては大切な可愛い弟…ルフィには手を焼くだろうけど、これからもよろしく頼むよ」

 

 その言葉を聞き、サンジはサボという青年が本当にルフィの兄である事を理解する。

 何故ならまったく同じなのだ。そう───エースと初めて会った時に───

 

「へっ、エースと同じような事言ってやがる」

「ハハ、そっか!やっぱ兄弟なんだなあ。さて…そんじゃあ、大切な兄弟達を守るとするか!黒足、手を貸してくれ…全力の覇気を赤犬に叩き込むぞ」

「それが一番の方法だからな…ちなみに、俺の戦う手段は足技のみだ」

「だから黒足か」

 

 不敵に笑い合うサンジとサボ。

 

 この2人、不思議と波長が合うのだろう。ルフィは持ち前の自分勝手さと無鉄砲さでサンジを──船員(クルー)達を常に振り回すが、エースもエースでその無鉄砲さと一度向き合ったら絶対に逃げないという姿勢、男らしさ───ある意味、死にたがりとも思われてしまう性格で子供の頃に散々サボを振り回していたらしい。

 

 ルフィという船長に振り回されるサンジと、ルフィとエースという兄弟に振り回されていたサボ。高い実力に頭脳面も優れている策士タイプのこの2人は、ルフィとエース兄弟を前にしたら苦労人という共通点を持っているのではなかろうか…。もっとも、この2人も周囲を振り回す時もあるが…。

 

「よし、じゃァおれがまず仕掛ける…タイミングを見誤るなよ?」

「そっちこそ…さっそく殺られんじゃねェぞ」

 

 赤犬を前に構える2人。

 

「死ぬ準備はできたようじゃのォ」

「誰が死ぬか、マグマ野郎」

「兄弟達は守らせてもらう。

【竜爪拳・竜の鉤爪】」

 

 サボは右手の人差し指と中指、薬指と小指を合わせて竜の爪を思わせる形を成し、赤犬のマグマの拳に対し真っ向から勝負に出る。

 

「ぬゥ!?ぐッ、こ、こりゃァ!!」

「もう遅い!黒足ッ!!」

「ああ!

雷霆天使風脚(アンジュ・レミエル・ジャンブ)・"辛味(エピス)"最上級唐辛子(エクストラピマン)】!!」

 

 サボの竜爪拳により、内部にダメージを受けた赤犬が一瞬だけ後退る一瞬の隙に、サンジは全力の覇気を纏わせた電撃の強烈な連続蹴りをサボによって崩された箇所へと全力で放つ。

 

 若さの勢いが大将の力を上回り、赤犬の腕から鈍い、骨が折れる音が聞こえてくる。

 

「ぐおォォォ!?」

 

 赤犬も、まさか"内部破壊"の覇気にまで達している使い手がいるとは思ってもいなかっただろう。

 しかし、サボはこの10年間───革命軍に所属し、しかも総司令官であり、ルフィの父親である"世界最悪の犯罪者"モンキー・D・ドラゴン直々に鍛え上げられているのだ。

 

 ドラゴンや革命軍の手練れ達の英才教育はサボの力を早くに開花させ、より洗練され今に至る。

 

 そしてサンジは、サボがルフィのもう1人の兄である事こそ知らなかったが、前回の人生で頂上決戦後にサボが革命軍の参謀総長として世界に名を轟かせたのを知っていた。サンジがサボが現れた時に驚いていたのはその為だ。

 

 サンジが望んだ決め手とはサボだったのである。

 

「だめ押しだ!!」

 

 そのサボは、苦悶の表情を浮かべる赤犬に背に背負っていた鉄パイプを振りかぶり、武装色の覇気を纏わせ顔面目掛けて振り抜いた。

 

「ぐはッ!?」

 

 しかも、赤犬の顔面に直撃したのは鉄パイプの先端で、それを目の前で見ていたサンジすらも表情を歪ませる。想像しただけで痛そうだ。

 

「ホームラーン…ってか?」

「容赦ねェな」

 

 吹き飛んだ赤犬に一瞬だけ同情するも、その気持ちはほんの一瞬だけ───すぐに消える。

 

「アイツ相手に手加減なんてしてる余裕あるか?」

「…ねェな」

「逃げるなら今だ。エース、ルフィ、行くぞ!」

 

 相手は海軍大将の中で最も攻撃的で残忍、過激な武闘派だ。()()だが、ルーキー扱いのサンジには手加減などしている余裕などあるはずもない。

 

 ただ、吹き飛ばされた赤犬はすぐには動けないだろう。白ひげの不意打ちと強烈な一撃を受けてなおも立っているタフさはさすがと言えるが、今ので負わされた腕と顔面へのダメージも相当に大きいはずだ。

 

 サンジとサボの連携攻撃により危機を脱し、御一行は船へと向かう。

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 マリンフォードに───いや、世界に激震が走る。

 

「ゼハハハハ、手に入れたぜ!全てを無に還す闇の引力!全てを破壊する地震の力!

 これでもうおれに敵はねェ!おれこそが最強…まさしく究極の存在だ!!

 おれの前にひれ伏し、恐怖し崇めろ!これからの未来は決まった!そう、これからは…この黒ひげの時代だァ!!」

 

 世界最強の海賊"白ひげ"エドワード・ニューゲートに止めを刺し、更には白ひげの"グラグラの実"の能力を奪い取ってしまった"黒ひげ"マーシャル・D・ティーチ。

 

 悪魔の実史上最も凶悪とされる能力と世界を滅ぼす程の最強の破壊力を手に入れてしまった黒ひげの誕生は、世界をより一層混沌とさせる事態となってしまった。

 

 白ひげという抑止力を失った世界はいったいどうなってしまうのか───それはもう誰にもわからない。

 

 

 *

 

 

 その頃、この戦場から逃げるサンジ達御一行は───

 

「ど、どうしてッ、オヤジは死んだはず!」

「どうやってかはわからねェが…どうやら白ひげの悪魔の実の力を得た奴がいやがる」

「なっ!?」

 

 島ごと、近海ごと揺れるマリンフォード。

 

 これが"グラグラの実"の能力である事に気付いたエースは、白ひげが死んだのにどうしてなのかと驚きを隠せずにいた。

 

 サンジはそれを説明するが、その人物が黒ひげである事をここで話すべきなのかと思案する。

 

「エース!今のお前にはどうすることもできない!とにかく逃げる事だけに専念しろ!!」

「ッ!」

 

 エースはその黒ひげに敗北を喫し、それがきっかけとなり今回の大戦争へと発展した。

 黒ひげが白ひげの能力を得たと知れば、エースは止まらないだろう。だが、今のエースでは勝てないのも事実だ。

 

 サボの言葉に、己の無力さを指摘され苦虫を潰したような悔しい表情を浮かべるエースだが、それは最もな言葉。

 

「逃げる事は必ずしも恥というわけじゃねェ。逃げるが勝ちって言うだろ?」

 

 サボはエースを落ち着かせるべく、そう口にする。

 

「そうだな。お前が逃げ切る事は海軍の敗北を意味する。つまり…白ひげの勝ちって事だ。言っただろ。お前が逃げ切れなかったら…それは白ひげの敗北を意味するって。マグマ野郎の言葉通りに白ひげが敗北者になるって」

 

 サンジが言葉を続け、エースに再び冷静さを取り戻させ、前を向かせた。

 

 ただ、その瞳にはもう迷いなど一切なく、激しい炎が燃えているかのように輝いている。

 エースは決してこのまま、やられっぱなしでは終わらない。やられたらきっちり倍にして───いや、白ひげの意志をその炎に乗せて万倍にして返すだろう。

 

「エース、行こう!!」

 

 命懸けで助け出してくれた大切な弟の為にも、その弟の前でこれ以上は無様な姿も見せられない。

 

「ああ…逃げよう」

 

 その言葉を聞き、サンジとサボは顔を見合せ、そしてエースとルフィの前に立つ。

 

「俺とサボが先陣を切る」

「エースとルフィはおれと黒足に続け。イワンコフと"海侠のジンベエ"は2人の護衛を任せた」

「逃げる船は別々がいいな。追ってくる海軍の戦力を分断した方がいい。エースの方には白ひげ海賊団傘下の奴らもいるだろうし…」

「そうだな。海に出れば魚人族の土俵だ。エースの方にはジンベエが回ってくれ。ルフィの方にはもちろん黒足、それからおれとイワンコフ達…"革命軍"が回ろう」

 

 足から電撃を迸らせ、同時に炎を燃え上がらせるサンジと鉄パイプを持つサボが前に進み道を開く。

 

 前回のサンジの人生では見られなかった2人の共闘だ。

 

 






能力者は海水に弱いけど、ジンベエが赤犬に海流一本背負い放ったらどうなるのだろうか…。

マグマ水蒸気爆発起きるのかな?と思って、ちょっと書いてみた。

一応、このサンジはホールケーキアイランド編を生き残ってないので、革命軍参謀総長サボの存在は知ってますが、ルフィの兄なのは知らなかった事にしてます。ゾウ編でも、ルフィ達が到着した時すでにいなかったサンジ。原作では、サボのこと知ってるのかな?知らないのかな?なんだかなぁ~。
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