耳が痒い。夜の11時大学寮のベッドで横になり明日に備えて寝ようとした矢先。突如現れた耳の痒みにうなされ私は眠れずにいた。
一応指で耳をほじくってみるが効果はなし。寧ろこのもどかしい感じが不快感を与え痒みが増す一方だ。
「やっぱり、耳かきで掻いた方がいいか……」
とうとう我慢できなくなった私はベッドから起き上がり机に置いてある愛用の耳かきに手を伸ばした。私は耳掃除が大好きで粘着、黒、ベビー綿棒や金属、プラスチック、竹の耳かきなどいろいろと試してみたがどれも私の性分にあった物ではなかった。綿棒は風呂上がりに今でもよく使うが耳の奥を掻くには適さず。耳かきは力加減が難しく力量を誤り耳を痛める事があった為、せいぜい耳の手前を掻く事程度にとどめていた。
しかしそんな中で出会ったのが現在の愛用品「みみこごち」という耳かきだ。お値段500円と少々お高めだがまさに私が探し求めていた一品であり予備を含めて三本も所持している、。ヘッドが柔らかい極細ブラシになっており360度どの角度からも掻く事が出来、それでいて痛くない。これ程素晴らしい物があったとは……初めて出会った時は感動すら感じた。
そんな私の耳かき愛はさておき「みみごこち」に手を伸ばしてた私はあまりの痒さに今すぐに何でもいいから棒状の物で耳奥をガリガリと掻きたいという欲求に耐えながらペン型のキャップを外し耳かきを指でしっかりと摘み一気に奥に突っ込みたい気持ちを抑えゆっくりと耳の奥に入れる。
「おぅ……」
あまりの心地よさに思わず声が漏れる。柔らかいゴムのような素材で出来た先端は従来の耳かきなら掻くのが難しい耳の奥も痛みなく掻く事が出来る。しばらくの間、力の入れずこする程度に抑えゴソゴソとあたる感触を楽しんでいたが耳かきを摘んだ指に少し力を加え痒みの原因であろう側面部分を少し強めに掻く。
「うぃぃ‥……」
あぁ……いい、最高だ……
ベッドの上で胡座をかきながら掻いていた私は痒みよって消えていた睡魔が一気に押し寄せ、耳かきの心地よさも相まってうつらうつらと眠りに入りそうになる。しかしこのまま寝落ちに入るのはまずいので眠気を抑えながらゆっくりと耳かきを抜く。
「おぉ……」
ヘッドには粉状の耳かすが付着しており思わぬ収穫に満足する。恐らくこれが痒みの原因だったのだろう。実際、あれ程もどかしかった痒みはすっかり消えており不快感もない。付着した耳かすはあらかじめ用意しておいたティッシュの上でポンポンとはたき落とす。
大満足の結果になった私は押し寄せる眠気に我慢出来ず耳かきを机に戻さずどうせ朝に片付ければいいと思い耳かすを落としたティッシュを丸め耳かきと一緒にズボンのポッケにしまい横になり布団を被りそのままゆっくりと深い眠りに入った。
「みみごこち」最高。なんか書いていたら耳が痒くなってきた。