僕は星が嫌いだ。 あんなにキラキラ輝いて皆を照らすのに、絶対に手が届かないなんて。 それでも空を見上げる事を辞めることは出来なかった。
星は、僕の行先を照らす希望であると同時に行先の困難さを示す絶望でもあった。
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小学生の時から、ある程度の事は人並み以上に出来た。 テストは大体90点。 運動会ではクラス対抗リレーに出るし、 そこそこクラスの誰とも接してある程度の人気はあった。
でもそこまでだった。 僕はずっと一番にはなれなかった。 クラスのあいつにはいつもテストで負けるし、あいつにはいつも50メートル走で勝てない。 クラスの委員長の方が皆の羨望の眼差しを集めていた。
そんなある程度の才能と一番になれなかった劣等感。 僕の小学生はそう表せられた。
中学に上がっても、何も変わらなかった。 強いて言うなら自分がある程度の人間である事を強く自覚したくらいだ。
テストはずっと70点前後。 部活ではそこそこ強いけど団体戦のメンバーには選ばれなかった。
自尊心だけが強くなっていった。 僕の方があいつより地頭は良い。 あいつより僕の方が上手い。 そう思わないと劣等感に押しつぶされる。 その恐怖から僕は本気を出さなくなった。
本気じゃないから。 本気を出したら余裕で勝てるけど、本気を出すのは面倒臭いし、なんかカッコ悪い。 そんな中学生特有の考えで、本気が出せなくなった。 努力が出来なくなった。
中学時代はそんな中途半端に終わった。 否、最後のイベントが残っている。 高校受験だ。 これが不味かった。
最悪な事に、 受験すら努力を放棄してしまった。 ここまではまだ良い。 いや、良くないが。
成功してしまったのだ。
そこからはもう全てがダメだった。 中途半端な成功は毒となりジワジワと我が身を蝕む。 ただ一切はすぎて行く。 その生活をダラダラと続けた。 続けられてしまったのだ。
高校の部活はかなり真面目に取り組んだ自信がある。 毎日部活でヘトヘトのなるまで練習し、 誰よりも本気だった。 少なくとも、 自分ではそう思い込んでいた。
唯一の縋り所。 しかし、 そこは勝負の世界。 上には上がいる。
自分の出来る限りの努力、 情熱を注ぎ込んでも勝てない相手がいる。 思い知った時に、 それをはっきりと自覚した時に自分の中で何かが壊れた。
自分の今までの全てを否定された。 俺はどうすれば良かったのだ? 誰か教えてくれ。
助けて
今、俺は大学で抜き差しならない状態にある。
全てが平凡。 非凡を望んでいるわけではない。 しかして多感な時期に肥えた自尊心を慰める方法もない。
酒タバコに溺れ、 ただ一切は過ぎて行く。そんな生活の中。 心の拠り所は夜空に輝く星々だ。
夜。 空を見上げ、人生と呼べる訳でもない万の日をただ積み重ねて来た怠惰という名の賽の河原を思う。
ただ、星を見上げ一等星になれなかった事を悔やむ日々。
ただ一切は過ぎて行く