藤襲山で暮らす鬼   作:夢食いバグ

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まぁ世の中そんなもんさ、人は脆い。だけれども鬼はそれ以上に脆い。精神的な意味では特にね。


料理は、もう無理あきらめた。

「とりあえず、君たちが襲ってこないって言うのはわかったけどね。でなに?俺追いかけ回して楽しいの?ビックリしたよ?」

 

あの後に拳骨を一つ少年に落とされて、落ち着いた。なんかざっと話を聞いた限りでは、最終選別においてそれなりに噂になってるそうで…………

 

いやなにそれ初耳、俺って有名人かやだー。

 

って下手したらむっちゃ殺されそうな立ち位置やんそれ………暫く選別来たら家空けてよ……寝込み襲われたりとかしたら普通に嫌だし、寝ないし寝れないけど。

 

「いや、こんな鬼がいるとは思わなかったんだ……」

 

「まぁ俺みたいな奴は、特例中の特例だとおもうよ。あんまりお腹すかないし。多分お腹とてもすいていたら、多分今でも人間やら襲ってる。」

 

只お腹が余りすかないから、他の鬼の残り物や獣肉で誤魔化せているだけであって。並みの鬼の食欲があり飢えていれば平気で人を襲うのは俺でもはっきりわかっていた。

 

特別な力を持つほど、特別じゃない。

 

何か特殊な術を使う鬼もいると聞いたことはあるが、この山ではほとんど縁の無いことだろう。

 

基本的に人を喰わねば、その術は得られない。

 

「お腹がすかない……?」

 

「だからさ、とりあえず今回の選別力は貸すから殺さないで下さい。普通に毎回切られるの痛いし、苦しいし、嫌だし、まだ楽しみたいことたくさんあるもん!

 

何で鬼になったかわからないし!時間だけはある体だから、色々見られると思うんだ!」

 

「うんまぁ、そうか、うん。」

 

なんか少し引かれているような気がするが、気にしないことにしておこう……………あれ。

 

狐の面を着けた二人の刀を、そっと見る一人だけやたらと消耗が激しい。確か山が騒がしくなってからある程度はたってはいるがまだ選別中だし、これでは最後まで持ちそうにないのは俺の目でも明らかだった。

 

もし剣の腕がよくても、これではその前に折れるだろう。

 

「刀ずいぶん荒く使ってるね。あと持って四回から五回ぐらいかな………折れそうだから家にあるのと変えていけば?

 

こう見えても結構ここにいるからね、使える刀は結構あるよ。多分全部日輪刀だっけかな。

 

色が綺麗で集めてるんだよね、まぁでも使ってこその刀とも言うし予備として一つ二人とも持っていきなよ。」

 

そうやって俺が話せば、驚いたような顔を見せた。そもそも鬼とそうやって話すこと事態無いだろうから仕方がない。だいたいは不意打ち目的か、それか飢えてそれすらせず襲うかの二択しかない。

 

「…………何で、鬼が日輪刀を!?」

 

「えっ綺麗だから、それに刀って格好いいよね。それ以外の理由は特にないよ。

 

強いて言えば、ここに来てからもの集めが趣味になったということかなぁ、狐面とかもそうだし……残念ながら割れてるのしかまだ見つけたことないけどね。

 

ここで話すのもなんだし、お家戻る?一回多分君達が勝手に入り込んだ所だけど、いらっしゃいますかーの一言もなく入るなんて非常識この上ないよね!

 

まぁそもそもこんな山に、あんなものがある時点で可笑しいと思われてるだろうから特に俺としては何も言わないけどさ。」

 

そろそろここで話すのも、疲れてきた。足が寒いし体も寒い、とっくに人間の料理が理解できなくてもお湯ぐらいなら出せるし問題ないだろう。

 

リュウリやらダイコンやらは、生で齧れるからな!それにシオとサトウとやら出せば良いだろう。

 

特に寝ていかないとは思うし、だって鬼だしねぇ………警戒解くってどうすればいいんだ?鬼って時点で最初最悪だぞ。

 

「まぁとりあえず、いこうか案内はしなくても大丈夫かな。じゃあ先にお家帰ってるわ。」

 

そうやって二人を置いていく、気になったら来るだろうしそのまま来なくてもどっちでもいいからね……必ず来てほしいって訳でもないし。

 

おもてなしっていうことをしなくてはならないものでもないし、全体的に人が来たら楽しいってだけだからね。俺にとっては。

 

 

「ふぅ……やっぱりお家は心地いいなぁ。でもダイコンやらキュウリやらなんやら抜いて洗わないとなぁ………獣肉は普通に渡せばええやろ勝手になんかしてくれるわー。」

 

まずお家にはいって、目一杯転がる。木の匂いが心地よい、心配など吹き飛ぶほどだ…………いやそれは言い過ぎた、心配なんていつでもくすぶっている。

 

食料や、いつ首切られるかわからない、正気を失ってあの鬼たちのようにならないか………そんなものだ。

 

でも今気にしても仕方がないだろう、これでも並みの鬼よりも生きてそして正気を取り戻してそして保っている。

 

まずそれを誇ろうではないか。

 

「うん、俺すごい頑張る。」

 

よし、ダイコンとキュウリ取りに行こう。備蓄していたゴボウもあったはずだ、それも出そう。

 

日が出る前に行わなければ、普通に死んでしまうからなぁ………そう考えると追いかけられたとき日が沈んでてよかった、普通に焼かれて死ぬ可能性も高い。

 

「……………♪」

 

適当に実った野菜を洗ってから井戸水をはった桶のなかにぶちこむ。そして部屋のなかにおいた。本当ならば縁側とかにおいた方がいいのだろうが……普通に焼ける、この時間だと焼ける。

 

「……失礼します。」

 

「うん、いらっしゃい。野菜とってきたけど食べるかい?大丈夫大丈夫、毒なんて混ぜ物じゃあるまいし入れられないから。」

 

ちょうど二人が来たようだ、さてこの二人に渡す刀はどうするかなその前に二人の腹ごしらえからだけど。




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